はてなキーワード: 秘境とは
自分だけエエカッコ、というよりも、神の目線的に俯瞰的にみりゃ、生物としての人間が増えすぎて調整局面、みたいな面もあるのかなと思うけど。
「神の見えざる手」が、市場調整のために人間を間引いているというか。
拡大再生産優先の(言葉としてはジェンダー的に正しくない使い方ではあるが)男性的な方法自体が、200年ぐらいやってきて制度疲労してることに絶望しているという言い方もできるか。
議論としては少し違う軸におかれがちだが、今の貧困極右vs富めるリベラル、みたいな構図も「制度疲労」前提で考えると上手く配置できるんだ。言葉遊びみたいなもんではあるが。
拡大再生産は効率性を求めるが、制度が成熟していけばいくほど、多様性がないものには価値がなくなる。プロダクトの価値差異で儲けにくくなる。
そういう過剰成熟した資本主義社会は、労働賃金差異のみでしか価値を生み出せない貧困層にとっては、全体主義的なマスプロダクツが無くなり生産効率が落ちて自分たちの懐にまで金が回らないから都合が悪い。
一方で、資本主義が求める価値=今まで最も大きいウェイトを占めていた賃金差異を生み出せる場所は、もう地球上にほとんど残っていない。マスプロダクツの生産拠点は、中国→東南アジア→中央アジアとどんどん「秘境の奥地」へ開拓されていく、それももう限界で一昔前の秘境もいまや一大消費地となり、また価値差異は小さくなっていく。要するに世界中のほとんどの場所で、燃費が悪くなった状態。
で、異なる社会間での賃金差はもう期待できないからプアホワイト的な貧困労働者が更に苦境に立たされる、そして同一社会において相対的により低い労働力としてカウントされがちな移民や女などの社会的弱者への排斥圧力が高まってくるんだろう。トカゲが自分のしっぽ食う感覚。
この1年ちょっとでもう誰も言及すらしなくなってるが、ピケティが21世紀型の富の再分配方法を考えなければ、という命題を提示したのも、象徴的に考えられるような。
例えば秘境駅。今ではすっかりメジャー?になってしまい、直接行かなくとも検索すれば日本全国の秘境駅の様子を伺うことが出来る。
当時血気盛んな若者だった私は、色々な出来事を経て日本全国を旅することにした。
物凄い割愛すると、私は水筒に入れた芋焼酎を飲みながら、気付くと坪尻駅にいた。
あの時感じた異世界感!!私はその虜になり、日本全国にあるマイナーな場所に行こうと思った矢先に仕事が忙しくなり、
それからあっという間に月日が経ち、今年に入り仕事を辞めて自由な時間を謳歌している。
そして、念願の憧れだったこの日本に残る秘境を巡ろうと、私はパソコンを開きネットで検索した瞬間に気が付いた。
あれ?なんか違う?
あぁ。もう所狭しマーキングされているのだ。
絶望した。
だけど、それでもまだネットに上がっていないような場所があるのではと、私はフィリピンパブで熱弁した。
イイネーという3文字を胸に、これから出かけてきます。どこへ?
夜の底は柔らかな幻を読んだ。ミステリーがサスペンスが始まると思ってたのに、めくるめく現代SFファンタジーが始まったからびっくりした。高知県の山奥がすごいことになってしまった。
恩田陸のSFファンタジーというと、劫尽童女を思い出す。個人的に結末が尻すぼみに感じられて残念な読後感だったけど、今作はスケールの大きさにも投げっぱなしジャーマンにも圧倒されてしまった。
すごい。最後までよく分からない重要用語があり、使われている超能力みたいな力が何由来なのか、いろいろ疑問は尽きないけれど、そんなこと関係なくとにかく面白い。熱量が本当にすごい。
上巻の終わりがけなんて、バトル描写が冴え渡っていた。ライトノベルを意識しているのかとも勘ぐっちゃたけど、書きたいように、書かねばならないように書き切った大作なんだと、上下巻を読み終わってから認識を改めた。
いろいろな人の結末が知り切れトンボで終わってるけど、それさえ悪い効果をもたらしてない。このぶつ切り感が、作品の根底に流れているの重要な要素の一つになっているんだと思う。
加えて登場人物のその後の人生を想像するのも面白いしね。例えば最後に二人は下山出来たのだろうかとか。軍さんは死んじゃったのかとか。占部さんとみつきはどのような報告を受けるのだろうかとか等々。個人的に、ぼろぼろの二人には生き残ってもらいたし、葛城には改心してもらいたいなって思う。しなさそうだけど。
凄惨な描写もあって結構惨たらしい内容だったけど、随所に現れる象徴的な風景描写が秀逸で、読み進める内に不思議な世界に迷い込んでしまった。
ただ本当にミステリーだと思って読み始めたので、冒頭の数十頁はよく分からない単語が説明もなしに出てくるし、何がなんだかわからないまま読まなければならなかったので辛かった。
そこさえ過ぎてしまえば、高地の山中にある秘境から思いっきり突き落とされるような読後感ま、でノンストップで突き進める。壮大な作品でした。
久しぶり。元気にしてた?
偶然の出会いだったこともあり、私の口調は妙に馴れ馴れしく、それでいてどことなく余所余所しいものになってしまった。本当はとても驚いていたはずなのに。胸裏を満たした懐かしさと感慨を、薄っぺらい声色で覆い隠してしまった。
唐突に、そして呆気なく別れてしまったあの日から、もうかれこれ十数年。過ぎ去った月日の分だけ大人になったのはあなただけで、私は私のまま、変わらぬ姿のままで、いま再びであなたと向かい合っている。
けれどもあなたは返事をしてくれない。大きなガラスの外壁越しに聞こえてくる小鳥のさえずりだけが、私たちの間をとりなしている。
ふいに私は、今日まで旅をしていたのと口にした。海を渡り、赤茶けた奇岩がそびえる岩石砂漠を仰いだことを。空を飛んで、湖畔に浮かぶ水上の宿で猛烈なスコールに見舞われたことを。多種多様な人々が行き交う大都市の雑踏を前にしたことや、人っ子一人いない秘境の地で一夜を明かしたことまで、流れるように話し続けた。
ただじっと見つめられるだけの沈黙に耐え切れなかったために――そしてきっと互いの知らない時間を少しでも埋め合わせたいがために――語らずにはいられなかったのだ。
どれもこれもが壮大で美しく、圧倒される出来事ばかりだった。おかげで思いがけず国に戻ってきてしまうくらいに疲れてしまったのだと話の終わりに苦笑すると、あなたが腰を下ろしているソファーのスプリングが微かな音を立てたような気がした。
……ねえ、これからどこへ行くの。何か予定はあるの。
訊ねてみても、あなたは決して答えない。口を開く素振りさえ見せてはくれない。
私の衝動は、もしよかったら、と続けかけたところで行くあてを失ってしまう。ぺらぺらとした薄い小声は、今回もあなたの鼓膜を震わせることができなかったのだ。
十数年前と同じ。私の声は、今も昔もあなたの耳には届いてくれない。たった一度きりでさえ。
かなしい。さみしい。くやしい。
思いが溢れてくる。輪郭が滲んで、身体がふやけてしまいそうになる。
けれど、それでもいまは、たとえ僅かな時間だけでもあなたの側に居られるのなら――
私の表を見、裏を見て、少なからずの驚嘆が入り混じった息を漏らしたあなたは、やがて誰に聞かせるでもなくぽつんと一言独り言ちた。
「久しぶりに見たなあ、二千円札」
そうして私を財布に滑り込ませると、ソファーから立ち上がって足早に移動し始めた。程なくして小鳥のさえずりがはっきりと聞こえてくるようになる。春の陽気に誘われたのか、伸びやかな鳴き声は代わる代わるに響いている。突然、少し強く風が吹いたらしい。一瞬止まった靴音の合間を縫うようにして木々のざわめきがざあざあと降り注いできた。
私は再び歩き出したあなたの小気味良い足音を感じ取りながら微睡んでいく。遠くない未来に揺るぎのない別れを予期しながらも、束の間の安らぎに身を委ねてそっと目を閉じた。