2016-08-07

シン・ゴジラ見た。

 テンポはとてもいいんだけど、細かいところが気になっちゃって、今一つ嵌れなかった。

 

 まあそうはいっても、正直なところ「原子力(微)生物」ってどんな描写にしたらいいのか想像つかない…。

 自分で考えようとすると、「原子力」抜きでエメリッヒ版みたいな「ありそう路線」になってしまう。











↓こんな感じ

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グリーンランドバイキング居住地遺跡。逆叉の骨が大量に散らばる中に、奇妙な足跡発見される。

氷河期の巨獣たちが生き残っていたのか? バイキングは何のために逆叉を、危険を冒してまで捕っていたのか?

…訝る学者達。

(生き物としての逆叉の凄さが語られる)


そのころのカナダ

逆叉の「聖地」で、鯨類の研究……特に、逆叉の「会話」を傍受・研究してきた海洋学者が、パニックを起こしていた。


「とにかく、様子が尋常じゃないんだ!」

…と、報道記者やDFO、さらにNOAA必死アピールするが、禄にとりあってもらえない。


「減ってるって言うけど、ここから移動したのかもしれないでしょ」

「オルカに迫る危機…って線なら良いと思いますが、”人類への脅威”みたいな言い方は疑問ですね。恐れながら、入れ込みすぎでは?」

「オルカと人類を同一視しておられる様に見えますよ。」


しかし、すぐに。「北大西洋では、逆叉の個体数は急速に減少している」との見解を、別の科学者も示す。

明らかに何らかの異変が起きている。学会NGOなどに緊張が走るなか、さらに身近なところで事件が起きる。海洋娯楽施設マリナワールド」のスターである逆叉達が。一匹、また一匹と、痕跡も残さずに飼育プールから「消えて」いってるというではないか


通報を受け、マリナワールドに張り込むTV局や警察の目前で。10m以上に及ぶ“何か“が「突入」してきて、最後の逆叉が瞬時に両断される。その様子や、警察ライトに驚いて?凄まじいスピードで逃げる「何か」の不明瞭な映像が放映された。

こいつは一体何だ? いったいどうやって海水導入溝の多段鉄柵を越えているのか? 全世界の注目を集め、前後まっぷたつにされた逆叉や現場の遺留物から、様々な「正体予想」が氾濫する状況に。

そして、報道学者環境保護団体「シー・リカオン」などが州軍とともに詰めかけるのをあざ笑うかのように、100km以上南にある別のマリナワールドが襲撃される。今度は一夜にして12尾の逆叉を全滅させ…たのみならず、施設の大規模な損壊火災行方不明者を出す事態


キラー・ホエールキラー州軍迎撃陣の裏をかく!」

「KWK、ヒトの味を覚えたか?」

 騒動が大きくなって、最初海洋学者に再びスポットがあたるが…。

「頭おかしくなっていたんだ、きっとそうだ…だって、ありえないんだ!」

「どういうことです、あなたは何を見たんです?」

「うぁあっ…勘弁してくれ!」


幸いというのか、北米犠牲はそこまでであった。

今度は、西南アフリカ…。とあるマグロ密漁船が、環境保護団体シー・リカオンのIUU監視阻止船「MYキャニー・ロデルから逃走中に突然、沈み始めたのである。余りに速く沈んでいき、誰も浮かび上がってこない。

マリナワールドからは余りに遠く、KWKと結びつける材料もなかったので、現地国家「G国」海軍に対鑑武装を疑われるMYキャニー・ロデルの乗組員たち。調査で乗り込んできた軍人たちの目前で、軍艦のほうが襲われる。船尾の舵が壊されたのち、水中から飛び出して甲板に跳び乗ってきた”それ”は、あの特徴的な背鰭と禍々しい皮膚を備えていた。

「あれは?…あの、KWKじゃないのか?……しかも、脚があるぞ!」


軍人達は銃撃を浴びせるが殆ど利いてない。シー・リカオン側の船長は、とっさにMYキャニー・ロデル封印装備…「爆発電気銛」を使い、KWKを追い払う。そうこの船は、嘗てノルウェー捕鯨船だったのだ。シー・リカオンとして決して使ってはならない装備を……苦悩する船長


そのころ、マリナワールド遺留品調査していた学者達は驚くべき事実を突き止めていた。DNA解析によれば、KWKに最も近縁な生き物は、鯨類だというのである

(昔は鯨にも脚や頸があった、現世の鯨類から万年前に分岐した…などの蘊蓄が語られる)


「KWKの正体は鯨類と判明。即ち、キラー・ホエールキラー・ホエール!」

ゴンドウ・クジラ類にもっとも近いとされたこから、米NOAAは”ゴジラ”と命名。」

「遺留物の分析からゴジラの表皮や背鰭には鯨類が放つ声…音波を吸収ないし散乱させる性質があると判明した。つまり、逆叉はゴジラ待ち伏せを探知することができない。おそらくはソナーも…」

ゴジラ待ち伏せ型の捕食者であり、ゼロダッシュの加速は凄まじいものがある。」

「頭部の唾液腺のような器官からは、着火性のある炭化水素類を噴出できると思われる…!」


一気に情報が溢れるなか、口をつぐんでいた海洋学者までが、

「あのとき私が見たのは、陸へ打ち上げられるオルカ…を追って、このゴジラも上がってきて。オルカをあの後脚で押さえつけて、前足から飛び出したナイフで……おおぉお!」


さて当のG国では、EEZ内でも出没するゴジラ正規漁船が入漁を見合わせるなど損失が拡大、洒落にならなくなってきた。他国組織からの介入を強く牽制するが、ゴジラ対応できる改装を行うこともままならない。

一方、シー・リカオンに対しては、G海軍密漁対策連携していた経緯から、またKWKが野生動物と判明したことから、G国政府さらなる協力を求めてくる。

しかし、結果的にせよ”鯨類”に銛を向けてしまったMYキャニー・ロデルは、船長も乗組員も動揺が激しく、身動きがとれない状態であった。


一方。

極東の「鯨類研究所」は、ゴジラを”害鯨”と認定、「調査捕鯨に乗り出す」と公表インド洋上の目視採集船「シンユウマル」が、喜望峰を回って大西洋に入る。衛星の合成開口レーダーで同船の動きを追うシー・リカオン。シンユウマルは、かつて南氷洋調査母船シンニチマルとともに、MYキャニー・ロデル挟み撃ちにして、癒えない傷を追わせた仇敵である

しかし。G国が箝口令を強いているため、シンユウマルは、ゴジラがどうやって軍艦航行不能に陥れているか知らない。


そんな中でG国は、シー・リカオン新造IUU阻止高速船「オーシャン・ハチェット」の派遣正式要請した。

ゴジラはヒトを”密漁”しているのです。それで十分ではないでしょうか? それに、貴団体新造鑑には色々”特殊な装備”があると伺います殺処分なら時間をかければ私達でも、あるいはシンユウマルでもできるかもしれませんが…」


実は、G国は。ゴジラ公海などへ追い出してシンユウマルにしとめられるよりも、EEZ内で”確保”するのが望ましいと考えていた。

CBD名古屋議定書に基づき、ゴジラを”遺伝資源”として研究収益化をもくろむであろうグローバル企業達を呼び寄せ「公正かつ衡平な利益配分」を受けられる、「ゴジラ遺伝資源ライセンサー」としての地位を確固たるものにするのだ。米国などで確保した断片程度の”遺伝資源”よりも、生きているほうが価値が高い。そのためにもシー・リカオンは利用できる、と。


そんなG国の本音を知らないまま。G国沖EEZへと急ぐオーシャン・ハチェットは、ゴジラ捕獲」の任務を果たせるのか?





その少し後。

G国沖、公海上に停泊するシンユウマルを後目に、海軍ヘリに先導され、EEZへ入ることを許されたオーシャン・ハチェットであったが……そのあとを巨大な影が追ってきた。シー・リカオン側がそれに気づいたのは、G国の港湾に入った後であった。

もう、ゴジラに追われていた?…身構える乗組員。既に接岸していた同船が、回頭できなくなるほど近くまで、巨体が寄ってきている。

しかし、「ピヨオウアッ!」…という鳴き声で甲板の緊張が解け、興奮へと変わった。


「オルカだよ!本当に大きい…すごい…」

それは20mにもなるかという巨大な逆叉。シー・リカオン等では、通常の逆叉が子供サイズに見える望遠写真で有名な個体だ。頭頂部にも、目の後ろのアイパッチと似た白い紋様があるため、「三ツ目」というコードが与えられている。


「三ツ目が、一頭だけ?」

「南から、シンユウマルを追ってか?あいつら、オルカの群に何かしたのか?」


から来たオーシャン・ハチェットについてきた筈はないから、ある意味当然の発想であったが。レーダー履歴は、シンユウマルが脇目もふらずにやって来たことを示していた。


「ウオイヨ、ニアァーウイウッ、プペラポポ~」

「やたらとアピールするな…」

「野生のオルカが一頭で港へ来て、こういうのって…とっても珍しいですよね」

「やっぱり、ゴジラのことじゃないですか?」


最後質問をしたのは、同船に同乗していた記者である。既にG国のモバイル通信網を経由して、映像送信を開始していた。

そのわずか5分後。記者スマホに着信があった。例の海洋学からである


『三ツ目が来てますよね?』

「もうキャッチですか…!」あきれる記者

『これ、見せられますか?』


海洋学者は、G国検閲済みゴジラ画像プリントを抱えている。甲板に大型ディスプレイが引き出され、大写しにして、色を少しずつ調整していくと…


「パアアアアアアア!!!」と、すごい大声。


「ほんとかよ。」

「ほら、そうでしょう?」

発音や解析の環境も一式用意していますので、画像を併用すればある程度通じるかと』

「え、ここでやるの?」

『ここまで積極的ですから成功率高いと思います


港へ出てきたG国政府の面々も、この状況に驚いたものの。三ツ目がゴジラ接触したがっていることを、すぐ納得した。


「何で、勝手に探さないんだ?」

一言入れてから、ということなんじゃ?」

『”わたしが囮をやる”と言ってますね…戦闘態勢に入ったオルカには手出ししてこないから、と。』

「何だ、古馴染みなのか?」

『大昔からのつきあいで、協定のようなものがあるそうです。それを破ったのだと。』

「あれだけ狼藉働けば、そうだろう…というか異種間のコミュニケーション、初めてじゃないんだ?」

『北のオルカはエコロケーションに頼りすぎ、だそうです。』

「あの。そういうの、貴方自身見解ではないでしょうね?」


こんな感じで。ディスプレイの中から、図版を沢山抱えた海洋学者が色々言うのに、誰もが半信半疑になりつつ。ともかく大逆叉の意向にそって「作戦」を組み立てることになった。


翌日。MYキャニー・ロデルが舷側に大布を吊し、そこに仮病の三ツ目を「収納」して、囮の役割を担う。かなり距離をとって、「ゴジラ対策」を施したオーシャン・ハチェットと海軍巡視艇2隻が追っていく。誘いを掛けるために、三ツ目は自らの血液までも提供した。


ゴジラ巡視艇の後方から現れた。急拵えの「枠」に阻まれて舵を壊せなかったものの、舷側に前脚を掛けて甲板に飛び乗ってきて、自重でロールを抑える。もう一隻のほうの甲板に軍人達が現れ、速度を落として併走しながら銃撃を加え始める。ゴジラは音もなく跳躍するが、足場になった側の船は強烈にロールしてひっくり返った。

ゴジラは、もう一隻の舳先に「着地」したかと思うと、そのまま海へ走り抜ける。その反動で急激な回頭が生じ、底を見せた一隻目に激突。軍人達も海に落ち、海軍は脱落を余儀なくされた。


「あれ、助けなくていいのですか?」と記者

ある意味、予想通りだろう。後方から救助が来るので、こちらは海岸に沿って遠ざかった方がいい。」

『もう外してくれ、だそうです。』

三ツ目の鼻先、海上すれすれにあるディスプレイの中で海洋学者が「通訳」した。一旦リリースすれば、意志疎通は難しくなるだろう。


「き、来たぞ…?…来たぞォオ!!」

保護布を巻き上げつつ、全速で離脱!」

三ツ目の巨体が音もなく沈み、MYキャニー・ロデルの起こした波だけが広がっていく。


「どうなりましたか?」

「あれ…?」


三ツ目の役割は疲れさせるだけ、の筈だが。水中で決着がついてしまったのか?…と全員が思い始めたときもつれあった巨大な塊が海面から飛び出したのは…


あんな後ろで!」

ハチェット、無視されてるぞ…」

「というか、さっきの軍のほうに向かってる?」

大口叩いてたけど、馬乗りされてなかったか?三ツ目。」


オーシャン・ハチェットは、搭載の無人デバイス類を離鑑させていたが、標的に「無視」されてしまったので回頭を始めていた。


「三ツ目に戻ってくるよう伝えられないか?」

「もう無理だろう」

「こっちに誘導してくれないと、まずいぞ?」


実際、流され続ける巡視艇公海に近づいていた。ゴジラはその「障害物」を巧みに利用して、三ツ目と渡り合っている様子である巡視艇の乗員は救命具でひとかたまりになって、二体の闘争から距離をとっていた。

そして、それを観測しているのはシー・リカオンだけではない。「調査」と書かれたブルーグレーの船体に白いブリッヂ……軍艦じみた奇妙な船の操舵室でも、どよめきが広がっていた。


「わざわざ足場を作ってあげてるとは…」

「何とやりあってるんだ、ゴジラさんは?」

「あれ、鯱じゃないか?」

あんなおおきい鯱がいるかよ!」

「上を飛んでいるのは何だ?どうぶつ団の連中のか?」


既に公海上であり、シンユウマルが接近していた。乗員達があわただしく動き、捕鯨砲の準備を行っている。

その鑑影を見て、シー・リカオン側に殺気が走った。


キャッチャーボート接近。シン……ユウ……マル……あれは"シンユウマル"だ!」

「こっちくんな、ポーチャー。」

「雷落としてやれ!」

冗談でも止めろ。裁判いくら掛かったかと…」


オーシャン・ハチェットから操られる飛行ドローンフリゲートバード」は上空で落雷装置を吊り下げたまま、ゴジラの疲れを待っている。同じく潜水ドローンバスケットスター」も特殊装備「ハイロメデューサ」を解放するチャンスを伺っていたが、目まぐるしく移り変わる二体の戦いに手を出す隙がない。

そこへ、速度を上げたシンユウマルが突進してきた。


「ああ、下がってくれ!」

「無理だ!手を出すなぁ!」

…と、若干芝居がかった嘆き声が響きわたるMYキャニー・ロデル船内。公海に出たので、例の記者がTV中継を開始したためだ。シンユウマルへの罵声は(なるべく)控えている。


「いやぁ、下がりませんとも。」

情報戦だなあ。うちも南アに寄って記者でも乗せればよかったかな?」

「よしましょうよ。」

…と、余裕を見せるシンユウマル側では、少し前に”クーデター”が起きていた。

 共倒れを狙い待機する方針を打ち出した砲手長が、大逆叉に畏敬の念を抱いていることを、若手の乗員達に見抜かれたのだ。

 鯨研の「情報戦」に晒されて育った世代にとって、鯨類へ「食品」や「天然資源」以上の評価を与えようとするのは許し難い裏切りであった。

 そして「鯱」はある意味、シー・リカオン象徴であった。この状況は、シー・リカオンが逆叉を操っているようにも、逆叉がシー・リカオンを操っているようにも見える。

 ゴジラと大逆叉。どちらに銛が刺さっても別に問題はなかろう?…この方針に反対する「年寄り」達は、船底の一室に軟禁されることとなった。


 迷いの無くなったシンユウマルが急速に二体へ接近する。三ツ目は深度をとっているのか、ゴジラはひっくり返った巡視艇の側で小休止している。

 絶好のチャンスに食らいつこうとするシンユウマルは、ゴジラ挑発しようと高度を下げていたフリゲートバード直下に入ってしまい、軽く「落雷」を食らってしまう。落ちた先がライトニング・ロッドではなかったため、諸々のシステムが停止し行動不能になったところをゴジラに襲われ、舵を破壊されてしまうシンユウマル


邪魔をするから!」

「いや、チャンスだ……シンユウマルの向こう側へ”手”を掛けようとする筈。急げ!」

バスケットスターハイロメデューサをパージします!」


 これまでのゴジラ船舶襲撃パターンから、先を読んだ指示が乱れ飛ぶ。水中ドローンから無数の「浮き袋」が密集状態で放たれた。膨らみながら急速に浮上していく。ゴジラ側の選択肢制限し、空中ドローンの「雷」を当てやすくするのだ。しかし…この状況では、またシンユウマルの側へ落ちるかもしれない。


 しかも、ゴジラは先程の「落雷」をちゃんと見ていた。舷側から上がろうとせず、上方を警戒して、すぐ潜行しようとする。そこにハイロメデューサが、相互に繋がった無数の「浮き袋」が浮き上がってきた。このまま押し上げられるとまずい…そう判断したのか、ゴジラはシンユウマルを蹴って距離をとろうとした。


「今だ。」「落雷機、投下ァ!!」


 フリゲートバードは、ゴジラの進行方向をふさぐように落雷機を落下させる。着水間際に相当なショックが走る筈…しかしその所要時間を見切り、逆に加速するゴジラ


「全速かけろ!ハチェット!」

嗚呼これは…間に合わない…」

「光った!落ちたのか?」

ゴジラ、頭を出したぞ!」

畜生…」


 MYキャニー・ロデルに広がる落胆の呻き声は、途中から歓喜の驚きに変わる。


「あそこ、三ツ目が!」

ゴジラ、様子がおかしいぞ?」

「痺れてるな…うまく泳げてない」

クリックアタック、食らわせたのか!」

「ぶちあてろ…ハチェット!!」


 三ツ目が発射した「超クリック音」を

  • (つづき) 結果から言うと、鯨研側の心配は杞憂に終わった。「通訳」である海洋学者が”失踪”したのである。おそらく原因はスキャンダル。シー・リカオンと海洋学者との過去の因...

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