はてなキーワード: 技術的知見とは
何か明確な思想や目的があって向上心のある個人を笑い者にしているのだろうか?
基本的に駆け出しエンジニアが技術力や発言力のあるエンジニアと協働してTwitterに晒されるまでの流れって
1. 未経験者が無責任なインフルエンサーやスクールの口車に乗せられ、駆け出しエンジニアになる
2. 応募した駆け出しエンジニアがハッタリをかました or 採用フローに関わる人間のスクリーニングが甘かった などの理由で当該者が特定のIT関連企業に採用される
3. なんやかんやありそこそこ発言力のあるエンジニアと未経験者が一緒に働くことになる
4. 未経験者の無能さに辟易したそこそこ発言力のあるエンジニアがTwitterで罵詈雑言を吐く
みたいなもんだと思うんだが、まずこの流れでキレたり文句を言うことが正当化できる相手は、
・ 無能な駆け出しエンジニアをスクリーニングできない所属元企業の採用フロー
なわけで(上記の 2. の部分で応募者が技術力を詐称していた場合は議論の余地はあると思うが)、この状況で一応正当な手段を経て採用された個人を公開の場でバカにするというのは、発言主も自身の人間性をネガキャンしているため不利益しかなく、頭の悪い行動だとしか思えない。
特に疑問なのは、bioから容易に所属元が推測できる状態だったり、普段は任意のプラットフォームで明確な根拠や思想信条に基づき有用な技術的知見を共有したり、時にはポリコレ的思想に賛同したりしている人が、先に挙げた言動を行っているケースだ。駆け出しエンジニアに限らず、技術力の低い人間を笑い者にするようなコミュニケーションは、こういった権威があったり社会通念上正しい言動を心がけているように見受けられたりする属性のアカウントだけを母集団にしても、歩けば当たるレベルで散見される。言動に一貫性が無いように感じられ、全く理解できない。一体どれほどの深いお考えで「こき下ろし」を行っているのだろうか。
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/www.timakin.com/posts/hacker-and-suits/
IT技術者のイメージが確立した頃のITというのは基本的に技術が収益性を決定していた。ビジネスの人間からすれば「おかしなこと」で、普通に考えれば顧客が何を求めているかが問題だ、という意識があったはずだ。
例えば、(フォードの速い馬車という意味ではなく)顧客がミント味のガムを求めていることが判明したとする。当然、ミント味のガムを製造すれば儲かる! のだが、ITでは「ミント味のガムを製造することを認めてよいかどうか」を決めるのはエンジニアであり、そしてエンジニアは実装言語の仕様書を読んでいるだけで、更にその仕様書は半導体ベンダが決定し、加えてその仕様書も主にカリフォルニア辺りの国立大学の発明を言語化しただけのものだ。つまり、ITにおいては、顧客が何を言おうと、経営者が何を提供したくとも、カリフォルニアの国立大学の研究室の学生が決めたルールに逆らうことは許されなかった(経営者的糖衣構文を使わずに言えば、実際に技術的に不可能)し、商業的に成功するプロジェクトとは「ルールの中で安価に実現可能なもの」と「顧客が欲しているもの」の共通部分のみを的確に選んで提供することができたプロジェクトだけだった。「技術が分かる経営者」とは、現時点の最新のルールを深く把握し、損益にどう出るかイメージを掴みながら商品企画を選べる経営者だった。
ただ僕も不思議だったのは、3[他部署を巻きこみプロジェクトを推進できる]にいるエンジニアですら「事業がわかる」エンジニアとしての評価を得られないケースがあると言うことです。ユーザーにいいものを届けたいし努力をしているつもりだけど、膨大な負荷がかかっているし経営層は何もわかってくれないということで、奥歯を噛み締めながらその場を乗り切っている方は少なくないのかな、と思います。
これはまさに「技術が収益性を決定するのは、本来はおかしなこと」という経営層の理解と、「現世で現実的に可能かどうかが最優先」というエンジニア間の乖離ではないだろうか? 経営層は顧客に価値を提供して対価を受け取りたいのであり、学術的な努力目標を数多く達成したいわけでは、本来はないのだ。だから他部署を巻き込んで膨大な負荷を受け止め新しい技術的知見を得ても、まったく意味がない。過去、技術的な制約を解除することには大きな意味があった。今はそうでもない。高い技術それそのものによる金銭的価値は少なくなったのだ。その結果、顧客が支払う金銭を最大化する製品設計の価値は上昇したし、そもそも元から低くはなかった。
そして、もちろん実行力も大事なのですが、彼らとの共通言語を持った上で会話ができる、具体的には採用方針を考えたりビジネスの状況を踏まえた塩梅での技術選定をしたり、さらには企業の将来像を共に議論するというある種の机上のフェーズですら、彼らは欲して止みません。それさえできれば多少の評価が得られるというのが、隠れた事実のように感じています(もちろん、それが良いとは言ってません)。視座が4にあるだけで相当な評価を得られるということですね。当然議論してるとしばらくしたら人事や社内管理、事業のブラッシュアップ、営業など、全ての方面で駆けずり回ることにはなるのですが。
となると、自らのキャリアに集中したい、技術力への危機感がいい意味で強いエンジニアであればあるほど例の三大美徳に殉じた方が技術者として成長するし、それで評価を獲得できる会社に転職するのが良い、となります。そして経営層からしてもそういうタイプの人だと同じレイヤーで議論をしてくれることへの期待値が高くないので、自然と「事業をわかって」くれないタイプだと見做して配置換えを行います。全てではないですが、こうした負の循環によって過剰にテックリードがいる組織が僕の頭にぼんやり浮かぶことがあります。
「優れたエンジニアは汎用的な問題解決能力が高く、その能力を是非とも経営でも生かしてほしい。あとは興味を持ってくれる人がいるかどうかだけなんだ…」という意見を経営層が漏らすパターンはこっち寄りです。そしてあくまで個人の嗜好性の問題なので、解決難易度が非常に高く、共通解も存在しません。1つ目の問題のように配置換えで多少解決できることではありません。
以上のような理由から、経営層はエンジニアにも「事業をわかって」欲しいと思いながら、その期待値を高く設定することができずにいるという印象を受けました。
まとめると、既存製品の改修にしろ新製品の企画にしろ、採用や企業内の人員配置にしろ、サプライヤや親会社との折衝にしろ、まず収益性をKPIに選び、検討項目を洗い出し、貪欲に裏付けを持って改善するエンジニアの能力を活かしてほしいという話だ。顧客からの売り上げを最大化する商品企画ができないエンジニアが多い、それが要点だろう。この文章にはエンジニアと経営者の言語が疎通しない理由が詰まっている。話の要点を短くまとめていない。要点をまとめないことを要求している。要点を省いている。だから技術的な制約と戦うエンジニアには通じないのだ。正直に「企業は顧客からの売り上げで成り立っている。だからできれば商品企画の段階でも収益性第一で企画進行が出来る奴が欲しい。そして社内外を問わずオジサンが求めているのは常に出会いだ。だから収益の話をグダグダ伸ばせること、酌ができることは必須だ」と言えばいいのだ。
その件でなぜ金があるのに形にならなかったのかは、技術不足のせいじゃなく、技術人材を惹きつけるだけのビジョンがなかったからでしょう多分。
魅力的なビジョンはある程度の技術的知見をベースにしてないといけない、という側面はあるかもしれないけど、
基本的には技術は道具にすぎず、それを応用してつくるサービスが顧客や労働者を惹きつけてこそ。先進性だとか痒いところに手が届く感だとかのね。
そういう魅力的ビジョンが肝で、そこが良ければ好循環が起き、あとのものは付随してくるんだと思う。
技術だけあってもビジネスにはならないし、技術自体で差をつける云々はよほど先端分野じゃない限りはあんまりないんじゃないかというのは元増田に同感。
どう調理するか、どう世の中に「響かせる」か、という言ってしまえば文系的な才覚はやっぱり商売の根幹にくるわけで、技術系の人はそこを過小評価しがちだと思う。
優秀なヤツ「これからはAが来ます! Aを取り入れたサービスを展開すべきです!」
優秀なヤツ「一応こういうデータがありました。あと別会社の取ったアンケート結果も」
上司「これだと、Bがいいとも取れるぞ。そのアンケートも前提が曖昧だ」
優秀なヤツ「できました!」
上司「不備があるからこことここ直して。あとここの言い方、引っかかるから表現変えておいて。」
上司「部長はこの部分のリスクが引っかかっていたから、修正案考えておいて」
優秀なヤツ「」
と、ここまでやらないとやらせてもらえない。本筋とは関係ない社内調整で追われ、それができないと何も新しいことができない。
優秀なヤツ「これからはAが来ます! Aを取り入れたサービスを展開すべきです!」
上司「よし、お前がそう思うならやってみろ。失敗しても会社としても知見が貯まるから思いっきりやってみろ」
もちろん毎回都合よくこんな簡単にいくわけはないが、少なくとも日本よりマシだと思う。
## 追記
正直、半分愚痴で書いたんだが、そこそこブクマついてて驚いた。
IT系なんだけど、尊敬していた上司が、「こんな社内調整をやるためにこの会社に入ったんじゃない」
と残し辞めていった。
生産性の話で言いたかったのは、新しいことにチャレンジしていかないと従来の延長線上でしかなく、劇的な成長は見込めないが、
過度な社内調整コストがあると、先見の明がある人はやる気をなくしてどこかへ行ってしまうということ。
## 追記2
何でこんなに技術的知見を持った俺の意見が採用されるのにこんなに時間がかかるんだよ、という愚痴に尽きる。
海外でスタートアップ的方法論を学んでから入社した。色々作ったり勉強した結果、ある分野では外部からそこそこ認められるようになった。
でも社内で色々やろうとすると、社内調整だらけでうんざりした。もっと本質的な議論を重ねて、世界を驚かすものを作りたいのに。
こう思う俺は、起業かスタートアップにでも行くべきなんだろう。
ちなみに、「こんなの作ってみたんですけど、どうですか」はよく使う。