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2022-04-07

【追悼】藤子不二雄Ⓐの傑作をひとつだけ挙げるなら

添乗さん/さすらいくん 奇想天外文庫1977

国際ツアー添乗員旅人を通じて1970年代の世相を

安孫子先生の鋭い人間観察の目で描いた小作品。

両者は2本別々の作品だが、文庫化された当時、一冊にまとめられたもの

共通するテーマは旅。いずれも見開き2ページで一話完結。さまざまなエピソードを収録している。

添乗さん

高度経済成長を経て経済大国となった70年代半ば、ブームになったのはハワイ香港などの海外旅行

おりしもジャンボジェット機が就航し、高価だった海外旅行庶民の手に届くようになった時代

それまでの日本人旅行といえば、熱海など温泉旅行。そして企業など慰安旅行が当たり前で、宴会どんちゃん騒ぎに温泉コンパニオン

そんな温泉社員旅行のノリで、庶民たちが海外ツアーに出かけると、一体何が起こるのか。。。

バスタブを初めて使い、トラブルになる場面、当時のお土産定番だったジョニ黒をネタにした作品常磐ハワイアンセンターダンサーを引き抜かれて本場のハワイではすっからかんお土産アロハシャツを棚ごと買い占める成金、といった当時の世相をユーモラスに描いている。

こんな客もいた。

英語をしゃべってみたくて、外人スチュワーデスコールするが、全く通じない。ワンスカッッチャンドワーラーリーズ!などと必死連呼するも歯が立たず、添乗員を呼びつける。

スコッチ水割りを頼んでるのに英語が通じないんだと添乗さんに話すと、そばでその日本語を聞いていたスチュワーデスがオー!スコッチ・エンド・ウォーターのことね、とはじめて理解した、という。

全く英語のわからない外人スチュワーデスも困ったもんだねえ!と添乗さんに文句をいうオチ

こういう人、いるよねぇ。。

安孫子先生人間観察とそのユーモアあふれる描写の仕方は本当に好きでした。

さすらいくん

海外旅行ツアーが大ブームになった70年代、一方、国内では、一人旅ブームとなっていた。

当時の日本歌謡曲も、心の旅(1973)、岬めぐり(1974)、いい日旅立ち(1978)など一人旅テーマにした曲が流行していた。

こちらの作品ではサラリーマン生活に疲れ、癒しを求めて一人旅にでた孤独青年の旅先での小話が描かれている。

添乗さんが日本人集団心理を切り取ったものだとすれば、こちらは日本のそうした組織風土に疲れて旅に出た青年を描いている。

モーレツ、と言われた時代が去り、しらけ世代という言葉が登場した70年代半ばというのは、どこかに誰も知らないところへ出かけたい、そういう時代だったのだろう。

なかでも印象深いのは、寝台列車に乗って、普段通勤していた駅に到着した朝、カーテンを開け、ホーム通勤列車を待つサラリーマンにわざと、お酒を飲んでくつろぐ姿を見せつけるエピソード

また、撮り鉄テーマにしたエピソードも懐かしい。

線路わきでのんびり昼寝をしていたら、蒸気機関車の音にむっくり目が覚まし、

いまどきSLなんてめずらしいねーなどと、近くでのんきにSLを眺め、見送るエピソード

驚愕したのは、朝からポジションを決めて待っていた撮り鉄たち。

線路わきから突如、人がにょきっと立ち上がって姿を現したため、予想外の出来事に動揺。邪魔だ、どけー!と叫んでも機関車の音で聞こえない。

結局、いい写真が撮れず、怒り心頭撮り鉄たちだが。。

「添乗さん」では、ホンモノをゲットすること、象徴的な意味での旅の証明としての戦利品収集したり体験することが旅の重要アジェンダとなっている。

例えば、マカオでニセモノに騙される日本人や、ビーチでナンパを試みたツアー客が間違えて日本人女性に声をかけながらも外人女性だけを探し求める姿などを風刺している。

一方、「さすらいくん」のほうでは、旅の目的は疲れ切った日常から逃避する場所を求めた癒しであり、ぬくもりだ。旅先の情報など何一つ収集しないし、旅の思い出を語る誰かもいない。

どちらも哲学的意味での旅の本質さらっと描いているのが秀逸だ。

この2作品は、旅というテーマを通じて、当時の日本人が何を思い、旅先にどんな夢を描いていたかを、

藤子不二雄先生しかなしえないユーモアでもって簡潔に描写している、という点で同氏の傑作のひとつ

どうもありがとうございました。

冥福をお祈りいたします。

anond:20220407132427

安孫子藤子不二雄Ⓐに、藤本藤子不二雄Ⓕとしたが、1年後に藤子不二雄Ⓕは石ノ森章太郎の薦めにより藤子・F・不二雄へと変えた(安孫子現在藤子不二雄Ⓐとして執筆活動を続けている)。

石ノ森章太郎先見の明があったんだな。

2021-08-21

ドラえもんパンがない理由

藤子不二雄コンビがまだ中学のころ、2人は『漫画少年』という雑誌漫画投稿していた。しかし入選率は藤本(F)の方が断然よく、安孫子(A)は屈辱感と嫉妬に悩まされたこともあったという。

そういう理由もあってドラえもんパンは発売されないらしい。

2021-02-25

 安孫子 これはまったくの余談だけど、テラさんという人は潔癖性がすごいからね、

     『もうれつ先生』とか『背番号0』とかね、柔道漫画とか野球漫画で人気あ

     ったんですよ。ところがテラさんは、自分作品が載ってる雑誌に、自分

     許されない漫画が載ってることが、もうダメなわけ。ピストルで撃ったり、

     斬ったはったは一切ダメから。その雑誌編集長に、「あの漫画は、やめ

     なさい」というのよ。ホント教育者みたいな人で。編集長が、「いやいや、

     先生、これは人気があって」っていうと、「じゃあ、俺がやめる」って、次

     々に自分からやめてったんだ。連載が3~4本あったかなあ、ほとんど自分

     で切ってしまった。

 --- 「少年サンデー」の『暗闇五段』が最後ですからね。

 安孫子 そうそう。あれもね、誰とはいわんけど、あの頃「サンデー」に載ってたド

     ンパチ漫画が嫌でね、それで、やめた。あんな人いませんよ。自分から降り

     てね。そうかといって、株やったりなんかして稼げる人じゃないわけですよ。

     僕ら、テラさんがどうしてるのかズーッと気にしてたんですけど、10年く

     らいたって、「ちょっとテラさんのところにいこうよ」とかいってね、僕

     と藤本氏と石森氏と赤塚氏と4人でね、茅ヶ崎の自宅にいったら、喜んでく

     れてね。昔に返って、酒飲んで、ワイワイやって、10時になったから帰ろ

     うっていって」立ったら、テラさん玄関まで送って出て、手振ってるわけ。

     長い一本道なんですよ。振り返っても振り返っても手を振ってるわけ。「な

     んだかテラさん最後の別れみたいだなあ」とかいって帰ってきて、次の日

     に、僕がお礼の電話をかけた。奥さんに、「いや、昨日はありがとうござい

     ました。ごちそうさまでした。楽しかった。テラさんちょっと出してよ」

     といったら、奥さんが、「寺田今日限り、いっさい外部の電話に出ないこ

     とにしました」って。すごいでしょ。本当に最後の別れ。

 --- 今、ゾクッとしましたよ。

 安孫子 いや、すごい。テラさんとこは豪邸なんですよ。その庭に別棟があって、奥

     さんと子供さんは、そこに住んでるんです。テラさん、本宅に引きこもって。

     奥さんが朝、ご飯玄関のとこに置いとくんだって。それが食べてあって、

     次にお昼を持ってく。食べてある。夜持ってく。食べてある。奥さんともい

     っさい顔を合わせない。1年後に、朝食持ってって、昼いったら、まったく

     手をつけていなかったんだって心配になって奥さんが寝室へいったら、テ

     ラさん、ベッドで眠るように亡くなっていた。まあ、緩慢なる自殺っていう

     かね……。

(『神様の伴走者』 佐藤敏章)

http://matumoto-t.blue.coocan.jp/tezuka3.html

2019-12-20

anond:20180201191602

オバケのQ太郎は 藤本安孫子権利関係リメイク困難だったんでしょうね

原作=まんが単行本も長らく入手困難だった)

2016-06-04

トピシュさんのブログを読んで思った事

ドラえもん図書館戦争だけの家庭と、3歳までに1万冊の絵本読み聞かせする家庭

http://topisyu.hatenablog.com/entry/how_to_use_library

ドラえもんは、言っちゃえば、勉強運動もできないのび太によるドラえもんを使った一発逆転ストーリー(とその甥っ子が受け止めている可能性はある)。ドラえもんばかり読んでいることを心配するより、そういうストーリーを心が求めている背景に焦点を当ててみるとまた違った展開もあったかなという気はします。甥っ子は学校いじめられていないかとか、勉強ができなくてコンプレックスを感じているんじゃないかとかですね。



なんかずーっと考えてしま文章だ。

まず、トピシュの言う通りドラえもんを読む「理由」を考えるのは、思考実験として面白いと思う。

ただ、そんなの本人との対話無しには、冗談抜きに無限に近い可能性が考えられる。

キャラの絵が好きだから画集感覚で見てる。

しずちゃんの裸が見られるからエロ本代わりに見てる。

ジャイアン感情移入して、理不尽暴力を振るう様に憧れている。

スネ夫感情移入して、色々買ってもらえる裕福さに憧れている。

ドラえもん感情移入して、他人に力を貸せるような技術や力に憧れている。

ガチャマニアで、目を皿にして、ガチャ子が出ているシーンを探している。

実は祖父安孫子で、その祖父世界で一番面白い漫画だよ、と紹介されたから心酔している。

実は前世トキワ荘の座敷童で、あの頃自分が見守っていた若者達の行く末に思いを馳せている。

実は正真正銘のタイムトラベラーでもうすでに自分の居た時間軸では焚書され失われたドラえもんが読めるということがただただ嬉しい。

いやもう、滑稽無糖な理由も含めて、山ほど思いつけるんですよね。

で、これらの理由とトピシュさんの言う

ドラえもんは、言っちゃえば、勉強運動もできないのび太によるドラえもんを使った一発逆転ストーリー(とその甥っ子が受け止めている可能性はある)。

って、そこまで大差のある意見ではないと思っている。

極論だけど、僕が上げた滑稽無糖な理由可能性が”ない”なんてことはないよね、しかもこれは甥っ子の脳内問題なのだから事実としてタイムトラベルできない事とか、事実として座敷童がこの世の中に居ないこととは、これらの可能性が”ない”理由にはならない。

しろ魔女裁判ガチでやるのが人類だし、狐憑きガチでいたのが人類なんだから、甥っ子の頭の中は自由なんだと思う。

要するに「先入観」をどこまで持っていいのか? みたいな話になるのかなあ。

これはもうインターネットリアルタイム発言のやり取りが出来るわけじゃない人らしい発想でもあると思う。

全部を質問してやり取りしてたら日が暮れるから、ある程度はこちらで質問先読みして答えないといけないっていうね。


はいね、というわけで、大喜利始めます

ONE〜輝く季節へ〜は、言っちゃえば、勉強運動もできない折原によるえいえんのせかいを使った一発逆転ストーリー(とその甥っ子が受け止めている可能性はある)。ONE〜輝く季節へ〜ばかり読んでいることを心配するより、そういうストーリーを心が求めている背景に焦点を当ててみるとまた違った展開もあったかなという気はします。甥っ子は学校いじめられていないかとか、勉強ができなくてコンプレックスを感じているんじゃないかとかですね。


シノハユは、言っちゃえば、異性愛も近親愛もできないシノによる同性愛を使った一発逆転ストーリー(とその甥っ子が受け止めている可能性はある)。シノハユばかり読んでいることを心配するより、そういうストーリーを心が求めている背景に焦点を当ててみるとまた違った展開もあったかなという気はします。甥っ子は家庭で虐待されていないかとか、恋愛ができなくてコンプレックスを感じているんじゃないかとかですね。


クロスボーンガンダムゴーストは、言っちゃえば、ミネバのその先もニュータイプ論もできない長谷川によるサイキッカーを使った一発逆転ストーリー(とその甥っ子が受け止めている可能性はある)。クロスボーンガンダムゴーストばかり読んでいることを心配するより、そういうストーリーを心が求めている背景に焦点を当ててみるとまた違った展開もあったかなという気はします。甥っ子はサンライズからF91以降の時代押し付けられているとか、カトキハジメデザインコンプレックスを感じているんじゃないかとかですね。


アクシズ落としは、言っちゃえば、ララァ母親にすることも人類革新題目スペースノイドを引っ張ることもできないシャアによるアクシズを使った一発逆転ストーリー(とシャアが受け止めている可能性はある)。アクシズを落とすことばかり考えていることを心配するより、そういうストーリーを心が求めている背景に焦点を当ててみるとまた違った展開もあったかなという気はします。シャアはナナイとの関係がうまくいっていないとか、アムロの嫁のチェーンかベルトーチカコンプレックスを感じているんじゃないかとかですね。

トラフィックス3は、言っちゃえば、エストを自分のファティマにすることもジークのように国を統べることもできないヨーンによるアイシャを使った一発逆転ストーリー(とちゃあが受け止めている可能性はある)。デコースを倒すことばかり考えていることを心配するより、そういうストーリーを心が求めている背景に焦点を当ててみるとまた違った展開もあったかなという気はします。ちゃあは桜子との関係がうまくいっていないとか、姉のアイシャコンプレックスを感じているんじゃないかとかですね。

2014-03-13

疑わしきは無罪

父の死を認識とは言えず 無罪 NHKニュース http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140312/k10015929983000.html

同居していた父親の遺体を自宅に放置し、死亡届を出さずに父親の年金をだまし取っていたとして、死体遺棄詐欺の罪に問われた山形市男性に対し、山形地方裁判所は12日、「父親の死を認識していたとは言い難い」として、無罪を言い渡しました。

山形市大工安孫子敏さん(36)は、おととし9月ごろ、山形市の自宅で死亡した当時66歳の父親の遺体を、数か月にわたって放置したうえ、死亡届を出さずに2か月にわたって父親の年金合わせておよそ20万円をだまし取ったとして、死体遺棄詐欺の罪に問われました。

裁判で、被告側は「父の死には気付かなかった」として無罪を主張し、検察側は「父親の郵便物がたまっていることなから父親の死を認識していた」として懲役2年6か月を求刑していました。

12日の判決で、山形地方裁判所の矢数昌雄裁判長は、「父親は部屋にこもりがちで、被告はおよそ2年間、顔を合わせない状態が続いていた。生活音がなかったり、郵便物がたまっていたりしても、それで父親の死を認識していたとは言い難い」と指摘し無罪を言い渡しました。

弁護士によりますと、男性は「長かった」などと話しているということです。

山形地方検察庁は、「予想外の判決だ。判決内容を精査し適切に対応したい」とコメントしています

「疑わしきは有罪」の我が国の司法真逆を行く山形地裁さんカッケー

こういう裁判官って出世できないんだろうけどね

2008-04-26

山手線停止

上野発の常磐線快速安孫子行き最終はもうすぐ発車

松戸行きは発車時刻未定だとか。

 
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