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2024-09-04

自動車キャンバーは何のためにあるのか

ヤンキーVIP車のハの字のタイヤ(鬼キャン)のエントリがバズっていたので尻馬に乗って軽く書いてみる。

多くの人は車のタイヤは全部直立してると思ってるだろうが違うのだ。

そもそもなんでキャンバーが必要かという事が判らないと、ハの字にするのがカッコ良いとう文脈が出来たって事が判らない。ヤンキー文化というのは大抵、カッコいいの特徴を極端にし過ぎて独自文脈に至っているというのが多い。

『「タイヤがハの字」のクルマ、たまに見かけるけど何のため?→専門家解説が的確すぎた!』

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/diamond.jp/articles/-/349720

4輪は真っ直ぐ直立していない

まず、多くの人が抱いている直立タイヤを模式化する為にペン小皿を用意して欲しい。ペンを直立に立てて小皿ペンにくっ付けて立たせる。ここの小皿タイヤペンハンドルを切った時にタイヤが向きを変える軸だ。

ペンを動かさずに小皿を動かしてみると、小皿はその場で向きを変えるんじゃなくてペンの周りをグルっと回るような動きをする事が判る。

これが自動車だとこの小皿タイヤには車重が掛かっているのだ。数百キロの重さが掛かっているタイヤ2本をこうやって位置を動かす、しかも腕の力で、というのははっきり言ってチャックノリス以外は無理である。だからこの構造だと停止状態ハンドルを切るという事が出来ない。更にブレーキを踏んでいたらタイヤの動きがロックされるので物理的に無理となる。

 

初期の自動車もこの問題に直面した。その為、18世紀フランスで造られた蒸気自動車google:image:Cugnot Fardier19世紀ベンツ初の車、モトルヴァゲンgoogle:image:Benz Patent-Motorwagenも前1輪の三輪車だった。

 

キャンバーは据切りを楽にした

でも3輪だと安定性と積載性に難がある。そこで4輪、つまり前の舵輪が2輪で運転に難が出ない仕組みが試行錯誤され、こういう風になった。

1.タイヤの向きを変える為の軸(キングピンという)をハの字に傾斜させる

2.そしてタイヤ自体は逆ハの字に傾斜させる(キャンバー)

 こうすると、キングピンの旋回軸を延長して地面にぶつかるところとタイヤが設置する場所を一致させることが出来る。つまりハンドルを回してもタイヤは接地面を移動させずに向きを変えるだけなので、停止状態でもハンドルが切れるのだ。

剥き身になってる車では見やすいのでこれを見て欲しい。https://youtu.be/13WS1UpG38I?si=46LZ8ChZ6ftGXrZ9&t=180

3:00の辺りから前輪の内側が見えるが、スポークホイールの内側にブレーキドラムがあってその内側にキングピンが見えるが、キングピンは傾いている。またタイヤも逆ハの字に少し傾いていて、キングピンの軸の延長をタイヤの接地面が一致しているのが判るだろうか?

 

しかしこれだと問題も発生する。例えば右に傾いた円盤を転がすとどうなるだろうか?右にどんどん曲がっていくよね。だから逆ハの字に傾いたタイヤは走り出すとずっと右のタイヤは右に曲がろうとし、左のタイヤは左にっ…て状態になってて、無理にねじ伏せて走る事になる。タイヤゴムはずっと「消しゴム掛けてる」状態になってるから直ぐに減ってしまうし燃費だって悪くなる。

そこでこうする。

3.上から見て前側が狭くなるようにタイヤの向きを変える

 右のタイヤは右に行こうとするので左向きにする。すると右に行くのと左に行くのが釣り合って直進するのである

タイヤはその逆に。

なんだが無茶苦茶で無理させてるように見えるが、実際にはちゃんと安定する。そしてこのタイヤの整列状態戦前から1970年頃までの標準となった。

この為に逆のハの字が標準状態なので逆ハの字がポジティブキャンバーと言われる。上から見て前側を狭めるのはトゥインという。トゥはつま先で、つま先をすぼめた内股で立ってるイメージだ。ポジキャン+トゥインが70年頃までの標準ね。 

だが逆ハの字の車というのは今は見ないだろう。それは駆逐されてしまたかなのだ

 

逆ハの字=ポジキャンの難点

逆ハの字であるポジキャンには難点もあった。

まずレースなどのスポーツ走行カーブでは外側のタイヤが踏ん張るのだが、車体が遠心力で外側に傾く(ロール)。するとタイヤも一緒に傾くので、逆ハの字が強くなってしまう。この状態だと踏ん張りがきかないというのは判ると思う。

だったらレースカーは駐車場の据切りとか考えなくていいのだから最初からハの字(ネガディブキャンバー)にしておけばロールした時に直立状態になるからカーブを速く走れる。

という事でレースカー=ハの字となり、つまりネガキャンは速さの象徴となったのであった。

 

特に1970年代まで多く使われていたタイヤは今のもの構造が違う。今使われているタイヤラジアルタイヤといって、空気を入れる前も入れた後もタイヤの形が同じになるように構造がしっかりしている。更に接地面は平らになる様に鉄のワイヤを編んだベルトが入っていて、空気圧の多寡で形が変わらないようになっている。

だが70年代までのタイヤバイアスタイヤといって、形が変化するように柔軟な構造になっていた。自転車タイヤと同じである空気を入れるとトレッド面(地面に当たる外周部分)も丸っこく変形する。だが接地面は車の重みで凹むので、これが接地面積になるという構造だった。

こういうヤワ構造タイヤではタイヤが突っかい棒の方向に向いていれば踏ん張れるが、逆向きだとヨレてしまって全然踏ん張れない。

 

更にポジキャンが車界から駆逐されてしまったもう一つの理由FF化だ。

FFは前輪を駆動する方式の事だが、初期のFF車には重大な欠陥があるものも多かった。

歩くほどの一定速度でアクセルを踏まずにハンドルを切ってぐるぐる回ると、前輪の向きと前輪が通るルートは一致している。だが速度を上げていくとタイヤゴムなので外側にジリジリと滑りながら曲がるようになる。

ここでタイヤが大幅にスリップせずに路面とハンドル追従するのは接地面のグリップ力によっている。このグリップ力を超えると滑りが大きくなってスピンや外側の壁にぶつかってしまうわけだ。

前輪駆動では駆動力が前輪にかかるが、グリップ力はカーブで踏ん張る力と駆動力で折半しているのだ。

これがどういう事かというと、首都高の急カーブハンドルを切っているのにちゃんと曲がらず、外側に膨らんでしまうという時、グリップ力の限界付近になっている。

ここで慌ててアクセルを戻すと、駆動力分に割り振られていたグリップ力が全部カーブ踏ん張り力にやってくる。するとハンドルが効きすぎて急旋回し内側の壁に突っ込んでしまう。曲がらないからとハンドルの切り増ししていたら最悪だ。

から首都高カーブでの事故というのは、外側の壁にぶつかるよりも内側にぶつかる方が圧倒的に多い。

逆ハの字のポジキャンではこの挙動が起きやすくなってしまう。因みに初期FF車でこの特性が強く出て問題視された車にはgoogle:image:ホンダ1300セダンなどがある。ホンダ1300は後から2ドアクーペが出るのだが、クーペの方が穏やかでセダンの方がじゃじゃ馬という不思議な車だ。

 

また車の駆動力は内側から伸びるドライブシャフトで伝達されるわけだが、この時、力を受ける軸の方に曲がろうとする特性がある。つまり両輪とも上から見て内側に向こうとしてる訳で、これはトゥインと同じ状態だ。これをこのままにしていると加速の度にタイヤが減ってしまうしハンドルも安定しない。

だったらFFではトゥアウトにしておけばいい。トゥインと逆にガニ股につま先を開いた状態だ。

トゥアウトにしたら加速していない時に備えて、キャンバーをハの字にして辻褄を合せなきゃならない。

 

という事で、FF車や4WD殆どとなった現在、逆ハの字のポジティブキャンバーは見なくなってしまった。一番最後ポジキャン車は恐らく1990年終売のシトロエン2CVかと思われる。google:image::Citroen 2CV

スペアタイヤにご用心

市販車ネガキャン可能になったもう一つの理由ホイール形状の変化だ。

昔はスポークホイールだったが、今は鉄のプレスホイールアルミ鋳造ホイールが多い。ホイールディスク面を外側にずらす事(オフセット)で内側に空間生まれる。更にタイヤホイールも太いものが主流になっている。

するとステアリングの旋回軸の先をホイール内に入れてしまう事が可能だ。するとこの旋回軸の延長にタイヤ接地面を持ってきて更に緩いハの字にする事が出来るようになった。

 

ところで、この10年ほどで省略される事が多くなったが、その前は黄色く細いスペアタイヤテンパータイヤ)を積んでいるのが一般的だった。

このテンパータイヤは実はバイアスタイヤなのである

そもそも細いので接地面の位置が合わなくてチグハグ状態になる。その上で、上記バイアスタイヤが抱える問題を抱えていて、FFフロントに付けた場合上記危険特性を呼び出してしま可能性があるのだ。

なので、FFフロントパンクたからとそのまま黄色スペアを前に付けると危ないのだ。更にそれで高速に乗っちゃったりというのはもう自殺行為しかない。だから黄色いスぺアには「FF車の前輪には絶対につけるな」と書いてある。

 

法規制車検通るの?)

では鬼キャンヤンキー車は違法なのかどうかについて。

 

まず、道路走行する車の規制法は二つあって、役所も二つある事を踏まえよう。

規制法は、車両法と道交法規制役所警察国交省運輸局)だ。

で、警察道交法車両法を扱い、国交省運輸局車両法だけを扱う。

 

車両法の政令は「道路運送車両の保安基準」、略称保安基準と言って、具体的にどの部品はどういう風でなきゃいけないかという事が書かれている。改造する場合や荷台などを付ける場合はこれを参考して判断する。

保安基準ではタイヤは車体からはみ出して露出してはいけない。これは元は水はねを予防するための基準だった。

だがこれは違う意味大事規制になっている。それは歩行者との接触時にタイヤ周りの回転物を接触させない為だ。ボディに接触したのとタイヤホイールナットなどに接触したのでは受傷程度が全然違うのだ。タイヤへの接触では巻き込んで踏んでしま可能性が高くなるし、ホイルナットなどに接触すると抉るような力が人体に掛かって重篤傷害を負わせてしまう。

ネガキャンめくらいだと上の方はタイヤハウスに収まっているし、張り出した下側もボディ外寸内に収まる。故に警察検挙されるという事もない。

しかし鬼キャンともなると、明らかに下側が出過ぎているし、ボディ外寸を超える。だから警察検挙されうる。

 

では車検は?というとこれは多分ネガキャン強めでも鬼キャンでも通らないはずだ。

というのも、車検では「サイドスリップテスト」というのがある。上記説明した、タイヤに無理な力が掛かっていないか、トゥインとキャンバーの組み合わせが釣り合っているかテストだ。

具体的には横にスライドする鉄板の上をゆっくり通過する。釣り合っていなければ鉄板が横に動くので「サイドスリップ ×」と電光掲示板に表示されて車検落ちだ。

キャンバーいじってあるとここで落ちてしまうので車検は通らないという事になる。

このサイドスリップ改造車じゃなくても駐車場で縁石にぶつけた、サスペンションゴムブッシュが経年でヘタっている、とかでもタイヤの整列が狂って落ちてしまう事が多い。

 

だが警察はこのサイドスリップテスターを持っていないのだ。そこまで厳密な検査車両違反摘発するという運用になっていない。だからサイドスリップでは車検には通らないが、警察には検挙されないという状態である

 

ヤンキー逃走論

というわけで、ハの字のネガキャンレースなどの速さの象徴が過剰化し実用範囲を飛び出して、速く走れなくなったというヤンキー文化ありがちな代物である

だが昔は逆ハの字のポジキャンが車の当たり前であって、その中でハの字のネガキャンにするというのはレーサー標榜の不良であった。

しかエンジンの高出力化、車重の増加により太いタイヤが主流となってネガキャンの方が都合が良くなった上に、FFの主流化によってトウアウトにする必要からネガキャン必須となった。

故に今は嘗ての不良の象徴だったネガキャンしか世に無くなった。そうなると不良性を売り物やファッションアイデンティティとする者にとっては、実用性ブッパする程の鬼キャンにするしかアピールする方法が無くなったとも言えるのである

から「なんであんな異常なキャンバー角付けるの?」と問われたら「”世間側”の全てが不良側に寄って行ったからその先に逃げるしかなかった」というのが一つの答えになるのだ。

2024-02-01

anond:20240201111846

自分の力で止められる←男の下痢トイレまで漏れないよう必死我慢した話とかから発展した想像ではないだろうか

おりものシート←性行為のあとにも使えるしむしろ中だしされておりものシートすらなくてこまった(当然ながらトイレットペーパーではおいつかない)っていう話からでは。

自動車スペアタイヤ(緊急修理用代替タイヤ)をとりつけたままずっと走ってる(教習所で、すぐそちらもパンクするからすぐ修理にいくためだけに使えと習うのだが忘れている年寄りがいる)

みたいな話とにてる

どっちにしろ無茶はするものではない 女性の体を大切にしましょう

2023-08-17

スペアタイヤみたいにスペアバッテリートランクに積んどくでダメなん?

EVの充電時間が云々ってあるけどさ、いざって時のためにスペアバッテリートランクに積んどくんじゃダメなん?

2021-06-17

日本経済五輪によって支えられている

自動車産業日本エース産業

四輪車スペアタイヤの一輪を加えて五輪となる

田舎では五輪が無いと暮らしが成り立たない

2019-12-02

銭湯セットと常備増田酢魔微雨ょ時を戸っ世鵜屯世(回文

結局先週は銭湯週4で行くというこの温まりっぷりがなんともやめられなくなっちゃったのよね。

いいわ~銭湯

すっかりしっかりハマってしまったわ。

なにせ家に帰ったらそのままパジャマに着替えてごろん出来るのが楽チンなのよ。

おはようございます

銭湯の話が尽きないわ。

違うところのお湯とか実際使ってみると温度微妙に違う感じがするのよね。

こっちの方が熱い湯船はより熱い!とか

よりこっちの水風呂の方が冷たい!だとか。

違いの分かる感じになっちゃったわ。

でね

オープン時間に行こうと思って行ってみたら

もう暖簾の前には一番風呂を求めて行列できてたわよ。

意外と銭湯人気ってあるのかしら?

こういうリラックスタイムの一番風呂開店時間直後に飛び込み前転で暖簾飛び込む感じがまたいいじゃない。

なんかやっぱりベテラン勢多くて、

新参者は~!なんて言われるとかマナーのこと何かしら誰かに怒られるかと思ったけど、

結構優しい世界だわ。

あと憧れの腰牛乳一気飲みやりたかったんだけど、

ショーケース冷蔵庫の中のどうしても気になる缶ビールが気になって

牛乳どころの騒ぎではなくなっちゃって、

風呂上がりのルービーをキメたところで

ホクホクと湯気を立ち上らせながら、

ちょっと寒い夕方の空の下をくたくたになった感じで歩いてかるのは

まるで夕方にやってるアニメ

なんだかちびまる子ちゃんサザエさんなんかの世界観を彷彿とさせる感じがして、

18時のアニメ枠のあとの鉄腕ダッシュ見てイッテキュー見る流れが

よりノスタルジックさを覚えたわ。

で、もう隙あらば銭湯ということで、

車に銭湯グッズを搭載するべく、

洗面器入れがどこか似ないかなとスペアタイヤのスペースを探ってみたんだけど、

私の車には今頃気付いたのかよって言われそうだけど、

スペアタイアがなくて

これってパンクしたと起動したら良いのよ!?暗中模索不安にもかられるという

結果良かったのか良くないのか分からないけど、

洗面器スペースが見つからなかったことは確かだわ。

番頭さんもさ、

良くお客さんのことを見てて、

この人初めてだなって言うのが分かるのかしら?

桶とイスはありますからね、って入ったとき教えてくれるのね。

一瞬桶ってのが何のことが分からなくて、

素で洗面器は無いんですか?って聞いちゃって

一瞬ミリコンマ秒考えたら桶は洗面器のことってことで、

あオッケーですって言いたくもないダジャレを喰らった番頭さんの顔が苦笑いだったことが

私の銭湯初鮮烈のデビュー戦だったことは

ここだけの内緒の話しにしておくわ。

マリアントワネットがこの時代にいたら、

スペアタイアがなかったら洗面器を使えば良いじゃないって言いそうなほどの

車輪の再発明を司るほどの画期的発明よね。

私それ聞いて本当に恥ずかしくなっちゃったわ!

まったくね。

うふふ。


今日朝ご飯

銭湯代捻出と言うことで、

おにぎり1つにしておきました。

いつもトメジュースを止めどなく飲みたいところだけど、

今週の銭湯代に持って行くように仕掛けるわ!

デトックスウォーター

寒くて朝起きられないので

温かく温めた白湯ホッツウォーラーを人肌より温かいぐらいまで冷めてから飲むのが、

じゅわっと身体の芯から温まるけど、

ちょっと冷めすぎていたので、

もうちょっとかい方が良かったわね。


すいすいすいようび~

今日も頑張りましょう!

2019-06-14

タイヤ泥棒だったのか

昨日の夜、仕事帰りにスーパーに寄って買い物をして出てきたら、駐車場に停めた車の前におっさんが2人、立っている。ややこしいことになったらいややなあと思いながら近づくと、問題なのはこっちの車ではなく、隣に停めた車だということがわかった。左前輪がパンクしている。おっさんはその車の持ち主だ。もうひとりのおっさんは、おれの車をはさんだ隣に車を停めていて、おっさんが困っているのに気づいて手伝いを申し出たところらしい。

成り行き上、手伝わないわけにいかない。近頃の車はなかなかパンクしないから、なかなかないチャンスでもあるし。

タイヤ交換のこととかおっさんの身の上話とか、それはそれで書いてもいいのだけど、まあどうでもいいことだ。それはおいといて驚いたのは、なんとこのタイヤ、ワイヤーが出てるどころかワイヤーが擦り切れていて、その下のゴム1枚でもっているという恐ろしいシロモノ。溝が消えてるとかそういうレベルもんじゃない。こんなもんで走ったら事故るってのはシロウトでもわかる。駐車場に停めてるだけでパンクしたのも不思議ではない。いや、駐車場でよかったよ。走行中なら間違いなく悲惨なことになる。

で、不思議なのはおっさんが「タイヤをこないだ交換したところだ」と主張していることだ。言われてみれば後輪はピカピカの新品で、スペアタイヤ完璧だ。ただ、前輪だけがありえないほどにすり減っている。

そのときは、腑に落ちないながらも他人事なんで「すぐに修理工場に行きなよ」とだけ言って別れたのだが、あとで知人にその話をしたら、

「それはタイヤ、パクられたな。前輪だけやったんは犯人スペアタイヤが底をついたか時間がなかったか、どっちかやろ」

と言われた。なるほど、そうでなければ、あの、それほど走ってなさそうな車で、あそこまでひどいタイヤが吐いていた話の辻褄が合わない。

この話にオチはない。おっさんが無事に家に帰れたことを、いまになって祈るばかりだ。

 
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