はてなキーワード: 微罪処分とは
米軍関係者の起訴率が全国平均より低いという記事に対する河野太郎氏の反応を読んだのだが、
何点かおかしいなと感じるところがあったので記録しておく。
河野氏は日本全国の不起訴者数に微罪処分が数えられていない一方、米軍関係者には微罪処分が適用されないことを指摘し
と述べている。
だが微罪処分数を加えることが同一条件での比較に近づくとは言えないのではないか。
米軍関係者がなぜ微罪処分の対象外になるのかと言えば、米軍関係者が行った犯罪はそれだけで重要度が増すので一般人と同じに扱ってはならないということだろう。
条件を揃えることが目的なら、むしろ微罪処分の対象にならなかった数同士を比較するべきではないだろうか。
もしくは米軍関係者の個別ケースを調査して微罪処分が相応だったものだけを差し引くか。
河野氏は下記の通り、同一条件で比較するために日本に第一次裁判権がない犯罪は差し引く必要があると述べている。
米軍関係者の場合、「公務中の犯罪」と「『専ら犯』といわれる米軍人や米軍関係者同士の犯罪」には、日本に第一次裁判権がありません。
日本に第一次裁判権がない犯罪は必ず不起訴になりますから、同一条件にするためには、米軍関係者の不起訴人員数から差し引く必要があります。
これは明確におかしいと思う。
「米軍関係者の起訴率」と「日本全国の起訴率」を比較するために、なぜ日米地位協定により起訴できない人数を差し引く必要があるのだろうか?
当然日本に第一次裁判権がないケースも含める方がより同一条件での比較に近づくだろう。
本記事のタイトルは「米軍の起訴率は低いのか」なのだが、記事の結論を読むと
このように「日米密約の不存在」に話がすり替わっていることが分かる。
確かに米軍関係者の起訴率が低いからといってそれが日米間の密約の証拠になるかは微妙なところだと思うが
「米軍の起訴率は低いのか」というテーマを論じる記事としては本記事はデータの扱いが不適切であまり参考にならないのではないか。
公務員というても一般生活で関わるのはほぼ行政機関の職員だろう。
それ以外の行動はできないし法の枠内でしか行動できない。
組織が嫌がるのはこれ。
書面に残すというのも手法の一つだが、どの法に引っかかるか
過去事例があるかを調べてそこを突く。
勘違いしてはいけないのが、これは行政機関への嫌がらせのように思えるが
ちゃう、
行政は法で縛られて動きたくても動けない、動けるようにしてあげるには申し立て者の知恵が必要。
これを近所の交番に
空き地の中に焦げ跡でも見つける
「子供が火遊びしていて危ない、焦げ跡があった、彼らの仕業じゃないか」
このように申告をすると警官はまず
「子供がその焦げ跡になる火遊びをしているのを直接見ましたか」
このように問われる。
彼らもそれが無理矢理作った言いがかりであることは百も承知なのだ。
そこでうまくウソを付く、ついてあげる、なぁに向こうも分かってる、建前。
「歩いてて子どもたちの火遊びをみた(ウソでもいい)、その後別の用事で通りがかり心配になって
確認したら焦げ跡があった」
こういう申告が記録に残ると警察はちょっと動かないと不味い案件になる。
重要なのは放火未遂というタイトル、理由付けでおおっぴらにリソース配分ができる。
大義を作ってやるんだよ。
四六時中タクシーの客待ちで渋滞が起きてる交差点があるとする。
現場警官も忸怩たる思いがあるが、勝手に取り締まりなんてできんのだわ。
ノルマ達成できるじゃないか、とかそういう単純な組織ではない。
良かれと思って積極的に独断で行動して、成果を出せば評価される
重要なのはガバナンス。まして30万人組織が勝手バラバラに動いては統率などできない。
それでも無駄。
ようは放置してたら行政訴訟でも起こされて大事になる、そういう方向に持っていく
あるいは動ける大義を設定してやる。
署長、こんなんきました、署長のキャリアに傷を付けないためにも対処がよろしいかと、
そういうのを作ってやる
女が男に物陰に連れ込まれ体に触れるとする
この時点で
わいせつ罪
いろいろ引っかかるが解釈次第
警察はどう扱うか
上下大きいわけ、強要罪くらいではリソース割けない、本気出せない。
彼らにとっては微罪だから。
警察は被害調書作成においてやんわりと誘導してくれるが明確には言えない
言えねの
確か「ぶち込んでやる」てな事を言われました、怖くてはっきりセリフまで覚えてないけど
触られる以上の事をされるとはっきり感じました。強姦です、未遂です。
そういえばこの擦り傷そんときのかも、PTSDだ、殺されるかと思った、ガクブル、今すぐ犯人捕まえて射殺しろ
なぁにウソでもいいんだよ、バレやしない。
犯人捕まって「そんな事は言うてない」とかね、誰も信じないしどーでも良いことなんだわw
「ちょっと体触られたけど、必死で抵抗したからそんなには触られてません、怖かったけど、
相手もショボそうで、騒いで逃げれた、うひゃひゃ」
これ、最悪
警察だけの話ではない。
公務員、行政職員も意地悪したくて仕事してるわけじゃない、まぁそういう人もいるけど
穴を開けてやる
彼らは懇切丁寧に穴を教えてくれない。
少しでもなにかオプションを付けてあげる、
窃盗単体よりも
なぁにウソでもいい
知恵を絞って
読んでもくれねぇよ。ウチらにリスクなし、ちーん。
結論から言えば、「上級国民」なみのバカの戯言。バカは文章読めないからしょうがないね
第百八十九条 警察官は、それぞれ、他の法律又は国家公安委員会若しくは都道府県公安委員会の定めるところにより、司法警察職員として職務を行う。
「するものとする」なので義務的規定である(しなければならない、ほど強くはないが、しないことについて後で理由付けを迫られることとなる)。思料も、一定の判断根拠が必要である
第百九十九条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
○2 裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。
することができる、なのでしなくともよい。しかし逮捕というのがそもそも例外的な措置であることに留意。推定無罪の国民の自由を掣肘するからである。そのためにわざわざフダをとって(ザルとはいえ)裁判所の許可が必要となるのである。現在起訴事案中、身柄が拘束されているのは4割を切る。
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/63/nfm/n63_2_2_2_2_0.html
第二百十二条 現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。
○2 左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。
二 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
四 誰何されて逃走しようとするとき。
第二百四十六条 司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。
基本的には、捜査した事案は必ず送検(検事のところに送って処分させること)を行わなければならないという義務規定。なぜかというと、我が国では検察官のみが容疑者を裁判にかけ刑を要請することになっているからだ(起訴独占主義)
であると同時に後段に「検察官が指定した事件については、この限りでない」とあり、地検があらかじめ定めた基準以下の犯罪については個別案件を送検せず、警察の中で手続きを終了していいことになっている(微罪処分)
最近では知られるようになってきたがまだまだ不十分だ。
まず日本の犯罪者はほとんどが起訴されていないことを知っといてほしい。
殺人や放火などの重罪じゃなければ、初犯なら「起訴猶予」となって何のお咎めもない。
つまり誰でも一回なら犯罪を犯してもOKとも言える。
警察署に行くことを黙ってたり、適当に誤魔化せば何の障害もなく普通の生活に戻れる。
これも勾留などの面倒なことがないので黙っておけば誰にも気づかれない。
裁判中は定期的に裁判所に行く必要があるが、適当な理由をつけて会社や学校を休めばバレない。
履歴書には前歴を書く欄があるが、これはいくらでも誤魔化しが可能。
黙っておけばまずバレない。目の前の人間に前歴があるかどうかは調べることができない。
通報されたとしても起訴まで行くことはめったに無い。
黙ってりゃ何もその後の人生に影響ない。
執行猶予、さらには退学も免れることができる。
退学させられても四大に入って黙ってりゃ普通の人間として暮らせる。
これを更生しやすい社会と取るか、
"あなた"に問う。日本は素晴らしい国か、最悪な国か?
のはマスコミのせいだな半分以上は、と思ってるわけだけど。
「~の容疑で書類送検」みたいなニュースを見て、「何か警察が犯罪と認定したんだな」って受け取ってる人、多いよね。
違うよ。全然違うよ。
「書類送検」って、会社でたとえたら、「稟議書を営業部から役員会に回付しました」みたいなのと同類だってば。
しかも、その営業部長は、自分のところで稟議を揉み消す権限がない。
自分が受け取った稟議書は、全件、自分のハンコを押して役員会(の担当役員の秘書)に届けなきゃいけない。
稟議を通すか却下するかは、全部役員会で決める。
警察は、「立件」(うんたら被疑事件、として事件番号をつけてリストに登録すること)したら、全件、検察に「送致」しなきゃいけない。
これ勝手に揉み消せない。だって法律にそう書いてあるから。(刑訴法の条文は各自当たられたし)
だから、警察で、「うーん、見込みアリと思って捜査してはみたけど、やっぱこれ無罪だわ。てへ」って判断しても、検察にお届けしないといけない。
(微罪処分っていう例外はあるけどね。知らなくなくない?みんなググれーコピれー)
そもそも、「送検」(法律用語じゃなくマスコミ用語だけど)には、2種類ある。身柄送検と書類送検。
身柄事件の場合は、逮捕されてるから、被疑者の身柄と事件記録(録りたてホヤホヤの供述調書等)が一緒に警察から検察に送られる。
しかも逮捕は48時間のタイムリミットがあるから、だいたい逮捕のニュースの翌日に「きょう送検」って報道。
一方、在宅事件の場合、送検のタイムリミットはない。というとウソか。時効はあるけどね。何にしても、ゆったりたっぷりのんびり捜査してる。で、証拠が固まったところで、「送検」する。
在宅事件の場合、警察には書類しかない。被疑者はふつうに生活してる。だから、在宅事件では、書類だけ検察に送る。
「こんな事件で『書類送検』するなんて、○○県警ひでえ!」みたいな意見がいかにヘンかってこと。
じゃーなんでそういう誤解がマスコミのせいだと思うかというと。
警察は、送検の際には、「送致意見」てのをつける。「これは不起訴でしょうね」「できれば起訴きぼん」「不起訴、ダメ。ゼッタイ」とか。
でもねー。マスコミがそこまでちゃんと警察から聞き出して記事にしてないことが多い。多すぎる。故意か過失か知らんけど。
そして、「本日、○○容疑者が~罪の容疑で書類送検」ってだけ報道する。
明らかに不起訴が見込まれ、送致している当の県警でも不起訴が妥当だと思ってるような事件でも、「不起訴見込み」ってことをちゃんと伝えないのがほとんど。
ま、「書類送検」のニュースにはそれだけ裏があるんだから、刑訴法を一から勉強しろとは言わないが、犯罪報道に興味がある奴はリテラシーを磨いてマスコミに釣られないように気をつけなってこった。
んで、そんなこた言われなくたって分かってらいっていう奴は、誤解してる奴にどんどん教えてやれ。やさしくな。
【追記20091121】
id:koganei_hyogo 話をややこしくするものとして、(微罪処分にはできないはずの事件について)警察が「立件見送り」をすることがある。なぜか被疑者が警察官のときによく見られる現象。
ナイス派生。実際に刑事事件化する価値のない揉め事は多いから、裁量が適切に行使されてる分には問題ないんだが、まあ裁量あるところに不正・汚職あり。あと、告訴や告発の不受理なんかも、同じく「立件」防止の措置だあね。
id:mfigure 全くのシロでも警察にかかったら、社会から抹殺されてしまうんやねorz
警察は粛々とやってるだけ。8:2か9:1で、「社会から抹殺」される下地を作ってる責任はマスコミにあるというのが私見なんだぜ
(1割か2割は警察も悪いとするのは、無罪推定に沿うような送致意見だったら積極的にマスコミに開示しろよ、と言いたいので)
id:Gl17 容疑者てのは犯罪と確定してないから容疑なんだが、ソレで無闇騒ぐから既に「=犯罪者」感覚だもんな。
裁判員制度発足を前に、報道各社(特に新聞)がガイドライン作ったはずなんだけどな。埼玉と鳥取の詐欺女に続いて市橋で完全に視聴者のニーズを背景に吹っ切れたみたいだな。連日気持ちよさそうだ、連中。
id:sichimin 決闘した中学生のことか。
それもあります。でもぞうさんのほうがもっとあります。
id:kenken610 たぶん、逮捕されてなければ基本的に「容疑者」は使わないと思う。
正確な指摘thx。これはうっかり。在宅事件の場合は肩書で報道してるのが一般的なのを失念してました。「~の容疑で△△会社の○○男性社長(48)を書類送検」とかに読み替えplease.
id:MAXjeep つまり書類送検って「悪いことかもしれないから判断してねっ」って渡すことなのかな。
警察の担当者も、自分の仕事はさっさと仕上げないと評価に響くわけで。
被疑者本人や目撃者、関係者の事情聴取、それから実況見分や必要なリサーチ・ヒアリングなんかをしたうえで、検察官に「こんじゃわかんねーよ。補充捜査よろしく」とか言われないくらいに頑張って証拠を揃えて、検察に事件記録の束を送り届けて、やっと一段落。
「悪いことかもしれないから判断してねっ」というより、「遅くなり申し訳ございません。ご査収ください。(まあ俺的にはこんくらいが妥当と思ってるぜ、って意見は一応書いて送るけど)貴殿のご判断にお任せいたします」っていうほうが近い?
【さらに追記】
kazutaka_ueyama そもそも判決が確定するまでクロと決めちゃ駄目なのは、身柄送検だって同じでしょ。なんかこれだと逮捕案件は犯罪確定でOKと読解できてしまう。
一体どこを根拠に「逮捕案件は犯罪確定でOK」なる解釈が出てくるんだか。んでこんなクズコメに☆つけるのまでいるんだか。
id:kazutaka_ueyama氏のブコメはまともなことも書いてるのもちらほら見かけてはいたが、この程度の知ったかクンだったとはね。
お久しぶりです。相変わらずの長文ですが、おつきあい下さい。
のりPが逮捕されました。今日のワイドショーによりますと、酒井法子容疑者に起訴猶予の可能性が出てきたとのことです。
ですが、この聞き慣れない「起訴猶予」って、いったい何でしょうか。
起訴猶予のことを勉強する前に、検察官のお仕事についておさらいしておきましょう。
昨日付けで、酒井容疑者は送検されました。つまり、身柄が警察から検察へと移されたことになります。
検察庁には検察官がいて、警察から送られてきた容疑者(法律用語では被疑者といいます)に対して、
法的な視点を重視してさらに捜査を遂げ、被疑者に対する処分を決定します。
警察の捜査官・取調官(現場の刑事さんですね)は、法律の適用についてポカをやることがあるので、検察官がさらに検査している、というイメージでしょうか。
(後述の「罪とならず」なんて場合がたまにあることを考えると、非常に重要な役割です)
さて、検察官が被疑者に対してする処分には、起訴処分と不起訴処分とがあります。
起訴処分とは、そのまんま、裁判所に被告人を起訴して、裁判を請求することです。
一方で、不起訴処分というのは、次のような事情により、起訴しないことをいいます。
1.訴訟条件欠缺(親告罪なのに告訴がない、時効が成立している、など)
起訴猶予は、起訴が相当でないと検察官が考えた場合に下される処分です。
この「起訴猶予」を検察官に認めた条文があります。それは刑事訴訟法248条です。
248条 犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。
このように、検察官には、起訴するかどうかを、事案に応じて判断することが可能です。
このことを、「起訴便宜主義」といいます。
起訴便宜主義が認められている理由のひとつには、「段階的処遇」という考え方があります。
刑法や刑事訴訟法を杓子定規に解釈すれば、覚せい剤を所持してさえいれば、所持の罪に罰金刑はないので、即ブタ箱行きです。
ですが、これがあまりに不当なのはみなさんもおわかりになるかと思います。
法律の世界でも、「短期自由刑の弊害」という言葉で議論されています。
つまり、犯罪傾向の少ない人が、留置施設や刑務所で、他の犯罪傾向の強い人から影響を受けてしまい、
出てくる頃にはすっかり犯罪傾向が進んでいた、なんてことでは困ってしまうというわけです。
このように、犯罪を行った人の犯罪傾向に応じた、適正な処分をしよう、というのが「段階的処遇」というものです。
段階的処遇の例は起訴猶予の他にもあります。
たとえば、スーパーで食料品を万引きしたのを警備員が取り押さえて事務所まで連行したという事例で考えてみましょう。
常習犯や被害額が大量なら間違いなく通報しますが、少年だったり被害額が僅少だったりすればここで釈放しますよね。
次に、警察が事件として立件するかどうかを決めます。
事件と呼ぶにはあまりもアホくさい事件なら、事務所に警察官が来た段階で、帰っていい、ってことになりましょう。
また、警察が事件として取り上げた後は、検察官に送致するかしないかを決めます。
前科前歴が無かったり、素直に犯行を認めていて反省が深まった場合には、これ以上の処分が不必要ということになります。
警察官にはこの「検察官送致便宜主義」とでもいうものが認められていますが、これを「微罪処分」といいます。
刑事訴訟法246条ただし書を根拠とするもので、検察庁が指定した一定の罪について認められています。
そして、検察官に送致された後も、起訴するか起訴猶予とするかが認められているのは先ほど見てきたとおりです。
さらに、窃盗罪の場合は罰金刑がありますので、起訴されたとしても、公判請求するか、略式請求(罰金をさっさと払ってもらう手続)するか、の裁量があります。
裁判官は、公判請求、つまり、通常の裁判の手続になったとしても、3年以下の懲役にする場合には執行猶予を選択できます。
また、裁判官は、再犯者については刑の長期を引き上げることができますし、検察官は短期間で窃盗罪でブタ箱に何度も行ってる場合には、常習累犯窃盗罪という罪で起訴することができます。
このように、犯罪傾向の少ない者を早く刑事手続から解放し、犯罪傾向の進んでいる者に適正な処罰を与える仕組みができあがっているのです。
蛇足ながら、微罪処分や不起訴処分を受けたことは「前歴」といい、裁判を請求されて有罪判決を受けたことを「前科」といいます。
刑法上、有罪判決を受けたことによる不利益は、時間の経過や恩赦で消滅しますが、警察・検察のデータベースでは消えません。
本件で、積極事情はいくつかありますので、挙げてみましょう。
・有名人であり、大きく報道されることによりすでに社会的制裁を受けていること(犯人の境遇)
・使用の事実は証拠が不十分で、公判を維持できない可能性がある(=公判で否認されると立証が困難)(犯罪の情状)
・所持していた覚せい剤の量が0.008グラムと微量であること(犯罪の情状)
・これまでに前科前歴のないこと(ですよね?多分)(犯人の境遇)
・まだ10歳の子がいること(犯人の境遇)
逆に、消極事情もあります。計画的に逃亡していたこと(犯行後の情状)です。
酒井容疑者の弁護人は、酒井容疑者に、これをなんとか崩すべく指示しているはずです。
「気が動転してしまって」という主張はまさにそれでしょう。
しかしながら、「再起」といって、再び事件を掘り起こして、新たに処分をする可能性もあります。
たとえば、窃盗の例に引き直すと、
起訴猶予後に再び窃盗を繰り返した場合、起訴猶予になった窃盗が時効に掛かっていなければ、これも再起して起訴したりします。
そこらへんは執行猶予と似ている部分があるかも知れませんね。