はてなキーワード: 稲垣足穂とは
世界とどこかでつながっていたい気持ち。でも完全につながっているんじゃなくて、安全なところに隠れて、そっと伺い見るような、そんなのを望んでいる。誰かが話しかけてきたら逃げてしまうだろう。いや、そんな気取られることすら嫌だ。そっと、屋上の物陰とか、屋根裏の隙間からとか。
ぼくは出て行っていいのかな。挨拶をしたり、話しかけたりしていいのかな。ぼくのような出来損ないが。
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あの新宿南口は、何度も行ったり来たり出たり入ったりしたところ。高校生の頃からおなじみの場所。予備校の帰りとか、入試日のチキンライス弁当とか。
受験の弁当を駅の西口コンコースの階段の広い踊り場にある売店で買って、いつも唐揚げとチキンライスの弁当で。30年以上前のこと。
ほんとうに、ぼくはどうしてこんなに無駄に回り道ばかりしているんだろうか。それとも回り道じゃなくて彷徨っているだけなのか。目的地すら知らない。もしかしたらずっと東の彼方に見える海峡の向こう、もしくは夜の黒い平原の彼方の光の粒に向かっているつもりなんだろうか。
降る雨が窓ガラスに降りかかり、細く開けた窓枠の横の隙間から右手を肘まで出して、手には何か棒状で平らなもの、たとえば定規とか持って、バスのワイパーになったつもりで動かす。扇形に。5歳、6歳のぼくだ。
あの頃、目的地なんて知らなくて、そんなものなくても平気で。でも、毎日親から叱られるのは嫌だった。脚を持たれて逆さにぶら下げられたり、床の上を引きずり回されたり。お母さんはいつも寝ていて、話しかけても叱られるだけで、そして仕事から帰ってきたお父さんに告げ口して、同じことでお父さんから叱られて、それも毎日1時間、2時間、立ちっぱなしで。晩ご飯を食べながらお父さんは叱り、食べ終えても叱り。
知らないおじさんおばさんのくせに。
家の前の石段で苔の盛り上がりを撫でたり、側溝の流れに揺れるご飯粒と、白くなったミミズの死骸の生臭さをかいだりしていた頃。自分のつま先よりも大きな石が転がる砂利道を歩いて、道端のコンクリ製のゴミ箱の中をのぞき込んだりしていた頃。台所の電灯の笠のスイッチを回す「キュッ」という音で夜がやってきていた頃。
ぼくはずっとあの町で過ごしたかったのに。あそこが一番素敵だったのに。寝台特急とサンドイッチと、そして車窓から射し込む朝日とコーヒーの匂いで騙されるようにして、知らない町、知らない大人のところに連れてこられた。そして、学期途中から入った幼稚園の初日、園庭の遊びの途中に他の子に触られて吃驚して、ぼくはその女の子を叩いて、そしてぼく自身が泣き出した。
通園バッグのパイピングは、ぼくの噛み痕ですぐにぼろぼろになった。ワイシャツも、吊りズボンも、蝶ネクタイも、カンカン帽も嫌いだった。
小学校も知らない町だった。卒業するまで、両手指は深爪のままだった。だって、通園バッグを噛むわけにはいかないから。「よくできる真面目な子」が通り相場だった。十本の手指だけでは足りなかったが、幸いなことに体は柔らかかった。ニ十本で何とかなった。
中学校は友達のいない遠くの私立で、中高生で友達も出来ず、大学受験は宅浪で、でも共通一次は頑張った。しかし、それをお父さんは認めてくれなくて、国大で最底辺の遠くの学校しか許してくれなかった。入学しても受験勉強して大学を受け直せとお母さんには言われた。
そんなぼくに、何ができただろう。
靴は指を丸めて履くんだと思っていた。だから、駈けっこはいつでもビリだった。中学生になるまで、両足指の関節は丸くタコのようになっていた。靴は指を伸ばして履くもんだと知ったのはいつだったろうか。
うん。
中高生のとき、ぼくは何をすればいいのかわからなかった。大人は「テストで点をとれ」とばかり言うだけで、それにはどうすればいいのか、そんなことは一言も教えてくれなかった。「勉強しろ」としか言わなかった。勉強って何? 何をどうすればいいの? という質問すら思いつかず、おそらく思いついたとしても質問自体が禁じられていただろう。「そんなこともわからないからダメなんだ」って叱られただろう。もしかしたら物を投げつけられたり、殴られたりしたかもしれない。教師は笑って相手にしてくれなかった。
勉強する、身につける、試験でそれなりの成績をとる――そこへ向かうには、幾重もの疑問や課題や障害や不安をひとつずつ解決していかねばならないというのに、それを一気呵成にぶち破れるような幻想を抱かせる言葉しか手許にないとしたら、夢の中に暮らすしかないじゃないか。
そして、ぼくは夢の中に逃げ込んだ。
東の窓。黒い平原。地平線の光の粒々は未来都市、宇宙港。ほら、横切る点滅は惑星からの到着便だ。低く流したAMラジオ、ハチミツたっぷりの紅茶。大学ノートに青インクの極細サインペンで思いつきを書きつけていく。お手本は稲垣足穂。
そうか、40年も同じことを続けているのか。
大したもんだ。
夢の中に40年間も暮らしている。
おかしくもなる。中も外も。
ぼくの人生は復讐か。復讐する相手は、もういないけど、居る。だから、ぼくは自分自身に復讐する。
道理で苦しいわけだ。
息子には味わわせたくない。
候補作:
谷崎潤一郎「美食倶楽部」(参加者が暗闇で顔じゅうを撫でまわされるというだけの話。感覚だけの話であるため映像化不可。)
稲垣足穂「一千一秒物語」(とりとめもない妄想的ショートストーリーが連続するだけの話。基本ストーリーがないので不可。)
坂口安吾「風博士」(文体と勢いだけでできている小説なので、「ストーリーだけ映像にしても意味がない」という意味で不可。)
埴谷雄高「死霊」(小難しい理屈が続く哲学的小説。映像化して見てみたい奴がいるとは思えないので不可。)
森鷗外「沈黙の塔」「食堂」「ファスチエス」等(鷗外が文学を弾圧する政府を批判するためだけに書いた作品。いろいろやばいし今では分かりにくいので不可。)
横光利一「ナポレオンと田虫」(ナポレオンの腹に田虫ができて狂乱する話。そんなんわざわざ映像で見たくないので不可。)
村上春樹「風の歌を聴け」(この人、このデビュー作だけは少し異質で映像に向かない。)
高橋源一郎「さようならギャングたち」「虹の彼方に」(風博士の理由に似てる。多分映像化しても支離滅裂。)
……あたりが思い浮かんだ。
稲垣足穂「聞き捨てならん」
さてさて。さてさてさて。
句点が「。」だそうです。
一日中布団の中にいたら毛布が汗で冷たくなっていました。
悲しいことです。
ままならないなあという感じです。
ただ生きているだけで何でこんなにも雑事が発生してしまうんだとため息をつきたいです。
たいやき食いたい。
あんこはそんなに好きじゃないので中身がチョコレートのたいやきがいいです。
ぼくごのみの文章を書く人には稲垣足穂好きの人が多いのですが僕は稲垣足穂が読めません。
あと彼らが稲垣足穂のどこに影響を受けたのかもよくわかりません。
読んでないので当然です。
それを知りたいので今一度稲垣足穂に挑戦してみようという気持ちです。
最近ダンボールで本棚を作ったのですがすぐにへたってしまいます。
ダンボールを重ねてみたりもするのですが本の重みで上の棚がどんどん前傾してきます。
朝起きると本が床に散乱していたりします。
ユカに産卵です。
意味がわかりません。
野菜ジュースが好きなのですがペットボトルを洗うのは苦手なので部屋中に野菜ジュースのペットボトルが散乱しています。
いろんなことを後回しにするからこういうことになるんです。
ぼくはいつもそうでした。
トイレが面倒だからとペットボトルに尿を排出するような人間になってはおしまいです。
みなさんも気をつけてください。
やる気は行動しないと起きないといいますが行動したからといってやる気が出るとは限らないわけです。
諦めて寝ましょう。
やる気は行動しないと出ないとかいう寝言を言っている人のことを信じてはいけません。
しかし僕はまだ眠くないので寝ることすらかなわないのです。
今はえらいやる気がない状態なんですがこういう状態で楽しめることといったらオナニーくらいしかありません。
勉強なんてできませんしアニメを見るのもしんどいですし本を読むなど無理です。
しかし今日は既に二発発射してしまったのでオナニーもしんどいです。
もう何もすることができません。
仕方がないので布団の上に仰向けになって何も考えずに体を横たえます。
しかし明日のためといってもいったい明日にぼくは何をしたらいいのでしょうか。
わからないのでとりあえずエビオスと亜鉛を摂取して明日のオナニーに備えることにします。
あとの欲求は残り滓みたいなもんです。
なんという。
読んでいると、ふと夜の散歩をしたくなった。
春めいて来たので外もそんなに寒くない。おれはつっかけを履いて外に出た。
誘蛾灯に誘われる蛾のようにふらふらと入り込んだ。
ど田舎のコンビニだから駐車場は広い。まばらに車が停まっている。
おれはその駐車場を横切って店内に入ろうかと思った。その時呼び止められた。
「ねえ」
それでその声がした方向を見ると、今どき珍しくゴスロリ姿の少女が立っていた。
夜中なので彼女の纏っていた黒いドレスに気がつかなかったのだ。赤いリボンを
胸元に垂らした彼女は、夜闇に不気味に光る
白い顔を歪めて笑顔で話し掛けて来た。
「いいものあるんだけれど、買わない?」
どうせドラッグの類だろう。おれがそう思っていると彼女は言った。
「そんなケチ臭いものじゃないわよ」と言って掌大の大きさの機械を
もちろん分かるわけがないのでおれが黙って機械を見ていると彼女は言った。
「これ、月を動かせる機械なの」と。「五百円で買わない?」
「悪い。そういうのは間に合っているんだ」
「まさか」と彼女は言った。「月を動かす機械なんて持ってないでしょう?」
「月を動かすのに興味はないんだ」と言っておれは立ち去ろうとしたら
彼女は言った。「ねえ、何だったら負けてあげるわよ。四百円でどう?」
「三百円なら考えてもいいな」
おれたちは交渉の末に、三百五十円でそれを買うことに決めた。
セブン・イレブンで「熟成豚のねぎ塩カルビ弁当」を買って帰ったおれは
少女が売っていた機械をしげしげと眺めていた。だが、どこからどう見ても
それはひと昔、いやもっと昔に流行ったポケベルに他ならなかった。
起動させてみると一応動くが、おれはポケベルなんて使ったことがないから
どうしたらいいのか分からない。それで、貴重な銭を損したことに
腹を立てつつ、その晩は缶ビールを呑んで寝た。
次の日の夜、ネットが何だか騒がしい。異常気象だとかこの世の終わりだとか
そんな話題で持ち切りだ。おれは外に出て空を眺めてみた。
月はふたつになっていた。
1.「限りなく透明に近いブルー」 村上龍
5.「国のない男」 カート・ヴォネガット
7.「夢渓筆談」 沈活
8.「神は妄想である―宗教との決別」 リチャード・ドーキンス
11.「冬の夜ひとりの旅人が」 イタロ・カルヴィーノ
12.「高い城の男」 フィリップ・K・ディック
13.「しあわせの理由」 グレッグ・イーガン
16.「きつねものがたり」 ヨセフ・ラダ
20.「フェルマータ」 ニコルソン・ベイカー
21.「四十七人目の男」 S・ハンター
22.「逆転世界」 クリストファー・プリースト
24.「謎の女」 福田恆存
28.「神秘の島~ミステリアスアイランド~」 J・ヴェルヌ
29.「連射王」 川上稔
34.「ほとんど無害」 ダグラス・アダムス
35.「黄落」 佐江 衆一
38.「リレイヤーⅢ」 鴻上 尚史
39.「糞尿大全」 柳内伸作
40.「十六の話」 司馬遼太郎
45.「穴」 ルイス・サッカー
46.「宇宙の戦士」 ロバート・A・ハインライン
47.「ギャシュリークラムのちびっ子たち」 エドワード・ゴーリー
50.「伊平次とわらわ」 坂田靖子
51.「食肉の帝王―巨富をつかんだ男 浅田満」 溝口敦
52.「だれも知らない小さな国」 佐藤さとる
55.「楽園の知恵」 牧野修
56.「鳩どもの家」 中上健次
57.「古事記」 倉野憲司
60.「魔獣戦士ルナ・ヴァルガー」 秋津透
66.「モルグ街の殺人」 エドガー・アラン・ポー
67.「世界の中心で、愛をさけぶ」 片山恭一
69.「百頭女」 M・エルンスト
74.「不可能性の時代」 大澤真幸
79.「他人をほめる人、けなす人」 フランチェスコ・アルベローニ
80.「星虫」 岩本隆雄
83.「おとなもブルブルようかい話」 木暮正夫
84.「ヨーロッパ文学講義」 ウラジミール・ナボコフ
85.「サマー/タイム/トラベラー」 新城カズマ
87.「死の蔵書」 ジョン・ダニング
88.「死のロングウォーク」 リチャード・バックマン
91.「フロイト先生のウソ」 ロルフ・ゲーデン
92.「ライ麦畑でつかまえて」 J・D・サリンジャー/野崎孝訳
94.「針の上で天使は何人踊れるか」 ダレン・オルドリッジ
95.「歴史」(上・中・下) ヘロドトス
97.「愛はさだめ、さだめは死」 ジェイムズ・ディプトリー・ジュニア
98.「幾千の夜を越えて」 神月摩由璃
100.「アルジャーノンに花束を」 ダニエル・キイス