はてなキーワード: 直死の魔眼とは
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○ 月姫-A piece of blue glass moon-
月姫-A piece of blue glass moon-
小さい頃の臨死体験からモノや人の死を見る力を開眼した遠野志貴が街に潜む吸血鬼との戦いに身を投じつつヒロインたちと恋愛関係を結んでいく原作の骨子はそのままに、登場人物が大幅に増えてボリュームもたっぷりになっている。
原作では5名いたヒロインの内、アルクとシエルの2名のルートが今作の内容。
伝奇パートではバトルに燃えて設定の開示にワクワク、恋愛パートでは伝奇部分での活躍を踏まえてのヒロインの魅力にドキドキする、この二面で展開するストーリーが面白かった。
主人公の遠野志貴は人やモノの死を線や点として見ることができる直死の魔眼の持ち主。
力を加えることなく線をなぞるように切るだけで不死身の人外生物であってもあっさりと殺すことができる。
一見するとかなり強い無法な力ながら、それ以外は(本作で開示されいる範囲では)一般人なので、人外の力を持つ吸血鬼にはそもそも近づけずに負けてしまうバランス。
そのため、ヒロインたちと協力して敵を倒す知恵を練るのが面白さだ。
この作戦会議のために、直死の魔眼とは吸血鬼とはの設定開示パートもたっぷりと楽しめる。
特に敵となる吸血鬼の中でも特別な死徒二十七祖が何故特別なのか、彼らが何者なのかの開示は非常に興味深くワクワクした。
死徒二十七祖は原理血戒と呼ばれる今の地球の原理原則とは大きく異なる異能力を持っているんだけど、これが名乗りに使われるシーンはめちゃくちゃ熱かった。
残念ながら本作では死徒二十七祖は一人しか登場しないので一回しか無いんだけど、他作品などでこの原理血戒を使った名乗りシーンがあるなら是非とも遊んでみたい。
これは、吸血鬼の真祖の姫であるアルクは、夜の間は死ぬ可能性が無いため直死の魔眼でも見ても線や点が浮かばず美しい、という伝奇パートの設定を踏まえた上での非常に納得感のある導入が良かった。
遠野志貴にとって世界は死と隣り合わせで脆いものなのに、彼の目で見てもアルクの美しさは特別なのがよく伝わってくる整合性が非常にとれたエピソードでとても良かった。
アルクとシエル以外のヒロインはルートがないのだけど、教師ながらダメなところがいっぱいあって愛おしいノエル先生、部屋を壊すように暴れる人間を看病しなれている様が痛々しい琥珀さん、短い登場ながら主人公へ向ける好意が瑞々しい弓塚さつきなど魅力的なヒロインが他にもいるので、いつかそこら辺も楽しめたらいいな。
21759.匿名@嫌い派 04-07 14:23 [通報] [非表示] [返信]
音霊魂子(panana#4949)のVALORANTの試合をまとめました
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21760.匿名@嫌い派 04-07 14:24 [通報] [非表示] [返信]
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【47回】
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【41回】
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mepo#001
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【13回】
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夜乃すみ(YorunoSumi#9233)@Yorunosumi_vt
【11回】
じゃへい(jaheyhey#4141)@jaheyproject
【10回】
賭雨るぅる(青色のたぬき Twitter#0001)@kake_r@kake_ta
Sou(SOUCHANBLUE#2525)@nico_nico_sou@s0q0u
パカエル(pakael#8376)@paka_el@P4K4EL_sub
【9回】
瀬島るい,そらいろくぅP(ruiseshima#9310)@Rui_Seshima@sorairo9p
ばたーくっきー(ばたーくっきー#758)@sexyBC69@butterrrrr2nd
水城碧(aoi#0626)@HP_mizukiaoi@aochan_sb
【8回】
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山黒音玄(nekurooooon#2653)@yamaguro_nekuro
ミラージュボンバー(蜃気楼爆弾おじさん#Hello)@MirageBomber@MirabomSub
なんこつ#8221
弦月藤士郎,尾北ねむ。(GALmindBABY#ゥチら最強)@1O46V@Gn2qi@x2zzx
【7回】
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hamadi(はまたにえん#2815)@hamadi_jp
ようづき(ようづき#shiro)@Shiro_Youduki
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LOB(FAV L0Bgachi#L0B,kÄni#6762)@LOB__LOB
ZackFirst#4286
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ななかぐら,カグラナナ(kanimitainaikura#7525)@nana_kaguraaa@Kagura_Nanaa@kagura_pepper@nana_kagu_ra
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日向夏レト(日向夏レト#みかん)@xOretochanOx@subrtc_1224
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頑張るます#Anya
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【2回】
不磨わっと(김민규#4444)@Wat_Huma
Middleee(MIDDLEEETV#1234)@MiddleeeTV
natumi yume#8866
蜻蛉むつみ(Mukun#0623)@TonnboMutsumi@623_Sub
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yuukare#9384
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白栖(shirasu#8009)@Shirasu_ne5
セヲハヤミ,ぼくをすこらねば(セヲだよ#1393)@seohayami83@sukoraneba
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小雀とと(Toto0v0#4940)@toto_kogara
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【1回】
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ぽてうさ(poteusa#JP1)@culq_@cyantikt
無印良品#2929
二番煎じ(2ban1000ji#6426)@2ban1000ji
みざ(始めようグランブルーファンタジー#miza)@ru324@ru324d
亜咲花(究極封眠龍AK#0215)@AsakaOfficial
Luk4s(Luk4s#8260)@Luk4svalo
栢森エマ,八重沢なとり(ごいごいすー#2960)@Emma_Chouette@YaezawaNatori
シノノメイト(シノノメイトVT#666)@ShinonomeIto@ShinonomeIto2
ヒヅキミウ(miu#3003)@HizukiMiu
呼んだか?(当時エロゲオタだったやつが満面の笑みを浮かべながら
型月がヒットしたのはいくつも理由があってそれらの複合によるものだろうから一言ではとても説明できない。ただまあその「複合」を当たらずも遠からずぐらいで表現すると、「ネットに対する信頼があったから」ということになろうか。
俺自身はたしか2001年ごろにまんだらけで『月姫 完全版』を買った。なぜかというとネットで話題になってたからだ。当時はまだtwitterがなくGoogleもこれからという時代。情報の仕入れ先は主に個人ニュースサイトやエロゲレビューサイトだった。カトゆーだったかsawadaspecial.comだったか。他にもいくつかのサイトを見ていたが既に名前すら忘れたし、果たしてどこで知ったのか定かではない。ただネットで『月姫』が面白いという情報を得、当時学生だった身としては決して安くない金額を払って購入した。噂に違わず面白かった。ネットへの信頼性が増した。
他のジャンルでも同じことがあった。個人制作なのに映像がすごいらしいという情報をたよりにヨドバシまで『ほしのこえ』のDVDを買いに行ったのもそうだし、Sound Horizonの『Thanatos』をサンプルさえ聞かずにオフィシャル通販で買ったのも2chで話題になってたからだ。今ほど選択肢はなく、今ほど情報が流通していない時代にあって、それでも取り立てて情報感度が高くない平均的なオタクのところまで到達するコンテンツはおしなべて面白い。そう無邪気に信じていい時代だった。
型月に話を戻せば竹箒時代に『空の境界』を出したときは6部しか売れなかったという。最初からビッグネームだったわけじゃない。だから拾い上げたやつらがいる。それが個人ニュースサイトやらエロゲレビューサイトやらそこからさらに口コミやらで広まって葉鍵に並ぶ同人ジャンルまで成長していった。
コンテンツが人口膾炙するにはネットで語りたくなったり二次創作したくなる魅力がないといけない(こんにちにおいてオタクコンテンツの人気は≒同人人気とも言えるだろう)。そういう意味では型月の作品にそれだけの魅力があった(俺もネットでいっぱい語った)。
時代のめぐり合わせが良かった面もあるだろう。サウンドノベルから派生したビジュアルノベル(『雫』、『痕』)によって“読むエロゲ”という文化はできていたし、葉鍵の隆盛によってネットでエロゲについて語ることや、それらを題材にした同人文化もすっかり馴染み深いものになっていた。そんなコンテンツの“最低限”が低い玉石混淆の時代に月姫がブチ込まれればそりゃ話題にもなろうってもんである。型月は『Fate』で商業に移行したため同人ゲーム文化の爛熟は『東方』とか『ひぐらし』とかあの辺りによってピークを迎えるのだが。
ところでハード面の話としてパソコンの普及も個人的には見逃せないと思う。Windows95が出た頃はメーカー製PCで50万とかくだらない時代だったが、00年頃になると自作PCも敷居が高くなくなり15万~20万ぐらい出せば一式組めるようになった。ネット回線もADSLやFTTHみたいな定額かつ安価なサービスが始まっていた。今の学生がスマホを持つような気軽さはないが、それでも充分身近になった感はあったのである。俺のまわりはエロゲがやりたいからPC組んだやつ(俺)、『BM98』がやりたいから組んだやつ、『RO』がやりたいから組んだやつ、と概ねこの3つのパターンに分かれるのだが、いずれにしても(95年頃に比べれば)安価になったPC市場もそれらを後押ししたのは間違いない。
話がとっちらかった感はあるが、ざっくりまとめると…
・葉鍵を始めとした先行作品によって、エロゲを語ったり同人にしたりする文化が醸成されていた
・個人ニュースサイトやwebリングのようなハブとなるサイトがインフルエンサーとなって上記を広めた
・新規プレイヤーが入ってこれるぐらいにはPCが身近なものになった
・00年前後はPC+ネットでできること、いける場所がオタク文化の最先端な感じがあった(2ch、エロゲ、ネトゲ、テキストサイトetc…)
ちなみに俺自身は典型的な葉鍵厨で、型月にはそこまでハマらなかった。『空の境界』は講談社ノベルスを模した同人版が出たときにけっこう熱中した(腕に仏舎利を埋め込んで直死の魔眼を無効化する荒耶宗蓮とかやっぱカッコいいでしょ)けど月姫はそれなりって感じ。『歌月十夜』はついぞ未開封で終わったなあ。そんな俺でも『Fate』の盛り上がりは覚えてるよ。発売日、日本橋に買いに行ったんだけどすごかった。どこのエロゲショップだったかフロア1つまるまる『Fate』売り場になってたとかね。なんかあの頃のエロゲオタにとって最後の共通言語みたいな感じはあったなー。みんながやってみんなが語るエロゲはこれが最後だろうなっていうね、なんか祭りが終わるなーみたいな感じがね、何処かしらにあったよ。多分それは、俺の思い込みなんだろうけどさ。
・月姫の琥珀編→『姑獲鳥の夏』+『絡新婦の理』+『狂骨の夢』※盗作レベル
・月姫→『痕』→夢の中で殺人起こして、目覚めたら本当に事件が起きており、主人公は自分がやったと錯覚する。
しかし実際は、殺人鬼と自分は、意識が共有するリンク能力を共に持っていたため、
自分が相手に意識をリンクしていたように、殺人鬼もまた自分の視点を盗み見ていた。
殺人鬼が身内を狙っていることに気が付き、主人公は犯人を止めようとする。
・シエル、ネロ・カオス→『HELLSING』アンデルセン、アーカード
・空の境界→『ブギーポップは笑わない』+『異邦の騎士』
・Fate/stay night→『仮面ライダー龍騎』+『魔界転生』
・士郎→『ブギーポップは笑わない』霧間凪→他が死んで自分だけ生き残ってしまった結果のメサイアコンプレックス
自分の命を救った故人の夢を継いで「正義の味方」を目指して戦う。
・アーチャー→『少女革命ウテナ』鳳暁生→理想を求め多くの人を救おうとして自己を犠牲にしてきた結果
白髪で色黒で紅い服の体躯のいい男になっている、心象風景は無数の剣。
・空想具現化、固有時制御→混淆世界ボルドーから造語をそのまま引用。
・HF→『少女革命ウテナ』→憎悪を受け続けて育ち愛する人に依存し暗黒面に堕ちて魔女となったヒロインと
西谷は「主人公は作家の分身」であり、それは「五感を共有していること」、「心の奥底まで共感しあうこと」だとするが、だからといって「主人公が作家の思うように考え、行動することを意味するのではありません」と警告する。五代/榊もまたありがちなワナビのラノベについて「キャラクターが作者を代弁するただのお人形になってる」と揶揄している。
このように見てみると登場人物と作家の関係について、作家が主なのではなく登場人物が主である、と主張しているように見える。しかし当然ながら各場面における登場人物の言動や思考は作家によって執筆されるのであり、作家が考えないのであれば誰も考えてはくれない。
この点でヒックスは登場人物を作家の一部であるとして、作家のある面を誇張したものであることを求めている。つまり嫉妬深い人物を描くならば自分の嫉妬深い側面を誇張した人格を創造する、というもので、全くの新たな人格を創造するのではなく、そのベースはあくまで自分自身だとする。
これに基づけば「キャラクターが作者を代弁する」状態とは、その人物を描くにあたり作家の誇張が無い状態、いわば作中に作家自身が名前だけを変えて登場した状態だと言える。作中に登場する作家自身がどれだけ失笑を買うかはくぅ疲の例を見るまでもないだろう。
登場人物は作家自身である。主人公は間違いなく作家の思うように考え、行動する。しかしその作家の「思う」主体は作家の人格そのままではなく、登場人物それぞれの設定によって歪められ誇張された人格であり、その結果時に作家の人格そのままであれば決して選択することの無い言動に出ることになる。
「キャラクターはある瞬間、勝手に動くものです」とは大塚の言だが、逆に言えば登場人物はだいたいの場合作家の想定通りに行動する、ということでもある。当たり前だが一定の合理性をもって人間は行動するものであるし、他人ならまだしも登場人物の人格のベースは自分自身である以上、ほとんど常に作家の想定外の行動を登場人物がするんです、という状態はありえない。もしそうだとすればそれは単に何も考えておらずその場しのぎで適当に考えているからか、もしくは薬物でもやっているからだろう。
なお突如として想定外の動きを登場人物がした場合、ヒックスはそれにあわせてプロットを書き換えるべきだとする。ヒックスは後述するようにプロットを重視するが、それ以上に登場人物を「愛さなければならない」という。
ヒックスは登場人物を創造する際、その登場人物の将来の夢は一体何なのかと作家に問いかける。これは夢を作家が事前決定しろという意味ではない。それではヒックスが否定する「組み立てられた登場人物」にしかならない。
ここでいう「夢」はその登場人物の人格に依存して考えだされるべきものである。これは大塚が世界設定で指摘した、ある条件を前提にしてそこからどうなるのか、ということを演繹的に導き出していく方法とよく似ている。
もちろん何の事前設定もなく人格を作れと言われても作家当人の人格にしかなりえない。ゆえにいくつかの設定は事前定義が必要である。それは主題や、もしくは世界による必然性を伴った定義であることが望ましいだろうが、それら断片的な設定に後付で作家が適当にどんどん設定を付け足していくのではなく、演繹的に設定が導出されていくべきだ、というのがヒックスの考え方であると筆者は理解している。
西谷がヒロインのブラジャーの形状にこだわった逸話はしょーもないの一言で済む話だが、そこに人格から来る必然性があるのであればわからなくもないと言えよう。
以上のように作家と登場人物の関係について述べてきたが、一方で主人公を決して困難な状況に陥らせないワナビにそれを指摘したところ「だってかわいそうじゃないですか」と反駁したという事例を西谷が挙げている。この点だけ見ると作家が主人公に同化し過ぎたり、感情移入し過ぎることに問題があるように思えるが、西谷がここで問題にするのは、ワナビとは裏腹に読者がまったく感情移入できていないことにある。読者も同様に感情移入しているのであれば、徹底して登場人物への虐待を作家が行うことに逆に嫌悪感を覚えることすらあるだろう。
西谷同様、筒井は「自分が作品に感情移入しているからといって、読者も必ず感情移入してくれるだろうと思うのは間違い」と指摘する。
本格ミステリやSFなど、感情移入を必要とせずとも最後まで読ませる魅力を持った小説は存在する。しかし感情移入が読者に続きを読ませる原動力として強く機能することは言うまでも無く、感情移入できないという状態は読むのをやめようという動機になりうる。読者が感情移入をしてくれるに越したことはない。
さて、基本的に読者の感情移入は物語の中心を担う主人公に対してなされるべきであるが、ではどのような要素が感情移入を誘うことができるのか、という点について各説を整理する。
まず榎本や水島は主人公の年代をターゲットとなる(と下読みや編集部が想定する)読者層と重ねるべき、としている。すなわちラノベの主人公は中高生であることが望ましいと言う。同じ理由で性別も男性の方が好ましいと言いうるだろう。スレイヤーズやブギーポップのように女性主人公の成功例はもちろんあり、水島のようにそれを地雷ジャンルとまで言うのもいかがなものかと筆者は思うが、女性より男性の方が主たるターゲットである男子中高生の感情移入を誘いやすいことは想像に難くない。
まず作者自身をモデルとして主人公に据えるやり方について、「基本的に失敗する」「ナルシズムか自虐に陥るのがオチ」と榎本は断言する。もちろんそれで成功している例もあるが((森博嗣などは成功例と言えるだろう))、分の悪い賭けであることは確かだろう。
主人公に求められる特質について、西谷、榎本、飯田は読者の憧れを具現化していることであるとする。憧れとは立場的、能力的、性格的に秀でていることでもたらされるものだと榎本は言い、クーンツもまた「高潔」「有能」「勇気」「好感」という要素を挙げ、これらを満たしていることが必要だとする。
そして最も重要な点は、完璧超人では読者の共感が得られない、という点である。「ジェームズボンドのような例外はあるが」とクーンツは言いつつ、共感を得られやすい主人公には上記の要素に加えて「不完全さ」が必要だとしている。これは人によって「欠点」「弱点」と表現は異なるが、いずれも同じ意味である。
一方で「低スペックで卑屈、無個性、へたれ」な主人公像については、飯田は「マスな読者のニーズとはマッチしない」として、そういった主人公のラノベは「実売数千部のマイナー作品」に見られる傾向だという。榎本もまた、読者が作品を読む理由の最も大きなものは「自分とは縁遠い出来事を手軽に楽しく疑似体験するため」であり、現実の平凡な中高生に近い主人公像ではそれが得られない、という。
しかしながら水島は「平凡な主人公」でも問題ないとする。超人的能力を持った主人公像を否定することはないが、榎本や飯田のように平凡さを否定することもない。西谷も同じであり、憧れへの言及は最近のヒットしたラノベを見ているとそのような傾向がある、と言うにすぎず、読者の分身として機能する平凡な主人公像も肯定している。
さて、筆者はこれらの各説は人物の能力と精神と倫理を区別せず論じていることで生じた混乱だと考えており、ここで対立があるとみることは無意味だと考える。
能力とは例えば「直死の魔眼」のような、その人物だからこそ実行可能な、常人には実行不可能な行為の名称である。この点での超人性を主人公が備えているかべきかは物語上の必要性によって判断されるべきであって、主人公がそうした点で無能力であることは全く問題なく許容されるし、また絶対に負けず死ぬこともない完全無欠の超人的能力を持っていても(それが物語上必要ならば)問題ない。
次に主人公の精神についてであるが、これは完璧であってはならず、平凡でなくてはならない。あらゆる誘惑に対して微塵も揺らぐことなく、確固とした信念を持ち理性と知性に溢れた決断をし続ける聖人君主はご立派すぎてうさんくさく、クーンツが言うところの「好感が持てること」という要件を満たさない。飯田にしても「ヒーローは悩む存在である」としてこの点での超人性を否定する。自分の将来や恋愛といったわかりやすく、読者が共感できる悩みを主人公は持つべきであり、さらに「何を考えているのか、わかりやすく書くほうがよい。感情がオープンにならないキャラには感情移入しづらい」とする。
最後に主人公の倫理は、読者の倫理に反してはならない。主人公への感情移入によって「あらゆる女の子にモテまくる存在であるという全能感」を読者は得るのだと飯田は言うが、しかしどれだけモテようとも複数同時並行で交際することは一般に許容されない。「主人公は鈍感でなければならない」とする指摘は、倫理的正しさを保ったままその状態を維持する点で(安直だが)効果的に機能する。
一方で木刀を持って不法侵入の上傷害沙汰を起こした同級生に対して警察を呼ぶことなく、彼女の空腹を察してチャーハンを振る舞い、自分の恥を晒しながらも穏やかに話し合いで事態を解決する主人公は、まさしく完璧超人と言うべき存在である。
Unlimited Blade Worksとかマジカッコイイ!憧れる!といった読者もいるだろうが、失笑する人も少なくないだろう。しかし倫理的にそうすべきと読者が思い、また自分にも物理的には不可能ではないだろうがしかしなかなかそうはできないと思うことを主人公がやってのけることにこそ、多くの読者は「憧れ」を抱くのではないかと考える。
さて、憧れは感情移入の要素として極めて強力に機能するが、冒頭からいきなりその段階に持ち込むことは容易なことではないだろう。まず最初に主人公へ興味を抱き、好感度を稼いで少しずつ感情移入を誘い、そして上述のような行為によってその感情移入を一気に深め、確固たるものとして確立する、というのがより無難な戦略だと言える。
こうした興味喚起、好感度向上に役立つ要素として、例えば西谷は「肉体的な苦痛を与える」ことを有力な手法だとしている。クーンツの「主人公を冒頭で過酷な困難に放り込む」も同様の指摘と考えられ、冲方による「苦しい場面での感情移入に成功すると、自然とハッピーな場面ではそのまま感情移入してもらえることが多くあります」というのも、苦痛を伴う場面は幸福な場面よりも感情移入の効果が高いという指摘だと言えよう。
西谷が肉体的苦痛をあえて挙げている点は特に説明はないものの、おおむね誰にとっても明確でわかりやすいという点で精神的苦痛よりもメリットがあるからだろうと筆者は理解している。
そしてもう一つ効果的と思われる方法が、飯田が指摘する登場人物のギャップである。
本項では「キャラ」と「登場人物」を区別しないが、新城はそれぞれ異なる意味で定義しており、曰く登場人物を「内面があって葛藤と選択をする人格」、キャラを「こういうシチュエーションではこういう言動をみせそうな、いかにもそんな外見の人物」とする。
飯田は「人間は意外性のある物語に弱い。とくに、内面なんてなさそうな人物に内面があった、というパターンに弱い」と述べ、人物の外面と内面でギャップを設けるべきだとしている。すなわち新城がいうところの「キャラ」としてまず描かれ、それが物語を通して「登場人物」であると描いていくことで読者の感情移入が誘えるのだ、とする。
ところで飯田は良いツンデレと悪いツンデレがあるとして、良いツンデレは多面的な感情の一つにツンとデレがあるが、悪いツンデレにはツンとデレの2面しかない。だからハルヒは不人気でルイズは大人気なのだ、とする。筆者はツンデレに良し悪しがあるとすれば、それは新城の言う「キャラ」と「登場人物」であろうと考えるため、飯田の説には同意しない。
「ツンデレ」は言動まで類型化された属性である。本来内面であるはずの照れ隠しの典型的言動はまさしく「こういうシチュエーションではこういう言動」であり、そこに人格を読者は感じられず、むしろ「お人形」として認識されると考える。
良いツンデレがあるとすれば、同じ典型的発言をするにせよ、そこに「葛藤と選択をする人格」があると読者に理解されることが要点と考える。ツンデレ喫茶でバイトが事務的に発言する様を見て「ツンデレ萌え!」と興奮できるオタクがいないとは言わないが、ドン引きするオタクの方が多いだろう。
さて、さらに飯田はギャップは「属性」についても適用できるとする((「属性」についての議論としては東のデータベース消費論などがあるがどうでもいいので無視する))。登場人物へは二つの落差のある「属性」を付与することが効果的だと飯田は言う。例えば「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」における「モデル」と「オタク」という組み合わせを挙げ、「モデル」が持つ華やかでリア充的イメージと「オタク」が持つ根暗でコミュ障的イメージを同一人物に同居させることで意外性を与え、興味を喚起できるとする。なお当然ながらこの手の単純な「属性」の組み合わせはそれ以上工夫する余地が無く、すぐに陳腐化する点は飯田自身が指摘するところである。
このギャップについては、陳腐化しやすい「属性」の組み合わせよりもその個別の設定においても有効に機能する。
例えば「とらドラ」における「目つきが悪いヤンキー」かつ「家庭的で親切」という主人公の設定、「小柄で可愛い」かつ「家事は苦手で暴力的」というヒロインの設定はそれぞれ落差のある設定だと言えるだろう。これは個人的なレベルでのギャップであり、また同時に登場人物間のギャップにもなっている。
西谷は主人公とヒロインを組み合わせると完全な人格になるよう相互補完関係を持たせること、また主人公には対照的な人を親友として持たせるのが好ましいとする。しかし主人公、ヒロイン、親友という限定した関係に留まらず、主人公格として機能する集団を想定し、それぞれは別の仲間とその設定にギャップをつけること、というように拡大解釈可能だと筆者は考えている。