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今のところ一番科学的背景もしっかり書かれていて参考になる記事
なぜ彼女たちの女子カテゴリーへの出場資格が問題になっているのか?
国際ボクシング協会(IBA)は7月31日に声明を発表し、「認められた」テストにより、ケリフと林が女子競技の資格基準を満たしていないことが証明されたと説明した。IBAによれば、これはテストステロン検査ではなく、遺伝子検査のことだという。
2023年3月24日、IBAは林玉婷選手とイマーヌ・ケリフ選手をIBA女子世界ボクシング選手権ニューデリー2023から失格とした。この失格処分は、IBA規則に定められた女子大会への参加資格を満たしていなかったことによるものである。綿密な審査の結果下されたこの決定は、競技の公正さと最大限の完全性を維持するために極めて重要かつ必要なものであった。
注目すべき点は、選手たちはテストステロン検査を受けたわけではなく、別途認められた検査を受けたことである。この検査は、両選手が必要な資格基準を満たしておらず、他の女子競技者よりも競技上の優位性があることを決定的に示すものであった。
2023年3月24日にIBAが下した決定は、その後2023年3月25日にIBA理事会によって批准された。この決定の公式記録は、IBAのウェブサイトからアクセスできる。
失格処分は、両選手に対して行われた以下の2つの検査に基づいている:
林玉婷はIBAの決定をスポーツ仲裁裁判所(CAS)に上訴しなかった。イマネ・ケリフは当初CASに上訴していたが、途中で上訴を取り下げたため、IBAの決定には法的拘束力がある。
IBAの関係者は別途、両選手がXY染色体を持ち、テストステロン("高T")レベルが高いことを付け加えている。
「高T」とは、女性カテゴリーに属するアスリートについて語るときに、女性の範囲を逸脱したテストステロン値を表現する方法のひとつである。すぐ下の図1からわかるように、男性と女性のTレベルは13歳くらいで分岐します。下の図1と図2の両方から、思春期初期以降は男性と女性のTレベルに重なりがないことが明らかである。ドーピングと男性であることは、成人アスリートが "高T "である可能性のある2つの方法である。
5-ARDおよびPAISのアスリートは、XY染色体補体を持っており、精巣があり、精巣は正常な女性の範囲外のテストステロンを産生し、アンドロゲン受容体はその「高T」を読み取り、処理する。その後、彼らの循環Tレベルは、通常のパフォーマンス向上効果を持ち続けます。
言い換えれば、5-ARDのアスリートとトランス女性および性的に標準的な男性・女性を比較した以下の図3に示すように、男性標準からの変化(外性器の未発達など)は競技パフォーマンスには無関係である。彼女たちが女性の競技に参加するときは、男性の優位性を発揮する。
ひとつは、IOCが信頼性に欠けると主張するIBAのもので、ケリフとリンにはDSDがあり、不適格であるというものだ。つまり、IBAまたはその代表者は、彼らが男性優位の遺伝的男性であると言っている。後者は一般的に、彼らのTが生物学的に利用可能であることを意味し、アンドロゲン不感症ではないことを意味する。
もうひとつは、ソーシャルメディアや一部の報道でトレンドになっている、ケリフとリンはXX染色体、卵巣、すべてにおいて完全に女性であるという、根拠もないコメントである。選手たちの表現型が男性的であるという点は認めるが、多くの女性(彼らはトランス女性を含むと広義に読む傾向がある)が男性的な表現型を持っており、これはその前提を受け入れるだけの問題だと言う人もいる。
3つ目は、IOCの高度に暗号化された声明を注意深く解析すると、IOCの現在の立場であるように思われる。ケリフとリンには男性優位のXY DSDがあるかもしれないが、彼らは生まれたときに女性として識別され、現在もそのように識別され続けているため、女性なのだ。
IOCはここ数日、ケリフとリンへの攻撃を嘆くことに多くの時間を費やしている。本当にひどいことだ。しかし、この不安定な状況は、ほとんどIOC自身が作り出したものだ。スポーツにおけるセックスとジェンダーとの複雑な関係を考えれば、予想されたことではあるが、どうしようもなく複雑なメッセージを送っている。
IOCは6月、大会における選手の表現に性別に基づく表現を使用することを禁止し、女性であることを自認する性別多様性XYアスリートの扱いを明確にするよう求める言語ガイドを発表した。
この言語ガイドは、2021年にIOCがとった、性別が多様なXYアスリートは、男性であるという理由だけで、アリーナで男性優位とみなされるべきではなく、男性のTレベルは、最高の男性と最高の女性の間のパフォーマンスギャップの主な原動力として、科学的によく理解されている役割にもかかわらず、失格とされるべきではないという立場から導かれたものである。
このアイデアは、キャスター・セメンヤやリア・トーマスのようなXYのアスリートに関する論争を、関連する生物学と、それについて話すために私たちが使う言葉を消すことによって、女性カテゴリーから消し去ることだった。
もちろん、IBAがケリフとリンを女性カテゴリーに入れたことをIOCに指摘した時点で、IOCはこのまま逃げ切るつもりはなかった。しかし、IOCは事前に自らの手を縛っていたのである。そのため、IOCの広報担当者の口から語られたことの多くは、「内部事情」と「手品」の組み合わせであると私は思う。
それでも、『Inside the Games』のアレックス・オラー氏による8月2日付の優れた記事は、この質問に対する2つのXY DSDバージョンの答えのうち、どちらかを選んでいる知識豊富な記者たちが間違っていない可能性が高いことを物語っている。Oller氏のレポート全文(およびInside the Games全般)を読むことをお勧めするが、要約すると次のようになる:
形式的には、IOCはケリフとリンのパスポートに記載されている性別を採用している。これはIOCの現在の性別テストと考えることができ、法的な性別を性別および/または女性カテゴリーの資格の代理として使用している。
IOCはまた、ケリフとリンのパスポートに記載されているものが性別と一致していないことを示すものは何も見ていないと述べている。もちろん、IBAの声明はそうではないと述べているが、IOCは、IBAの声明が「恣意的」な手続きによって得られたものであるため、IBAの声明は信用できないとしている。
同時にIOCは、木曜日にケリフが初優勝した後、自らのウェブサイトから、少なくともケリフは-林もそうでないにせよ-T値が高いという表記を削除したことを認めている。その説明のために、T値は関係ない、女性でもT値が高い選手はたくさんいる、と一部で述べている。
T値が高い女性アスリート(多嚢胞性卵巣を持つアスリートを含む)は、T値が女性の範囲外でもなく、男性の範囲内でもなく、女性の範囲の上部にある。彼らの性別は疑わしいものではない。上で説明したように、女性のカテゴリーで競技しようとするアスリートの「高T」は、国際的なスポーツでは、外因性アンドロゲンによるドーピングか、生物学的に利用可能な内因性アンドロゲンによる男性であることを意味する。ケリフもリンもドーピングをしているという事実はない。
余談だが、多くの連盟やIOCが長年にわたってTを性差の代用として使ってきたのは、それが優れたものだからである。法的な性別よりも生物学的な性別を求めるのであれば、パスポートよりも正確であることは間違いない。
IOCはまた、実用的かつ無差別的に正しく判定する方法がないこと、そして科学的にケリフと林が女性であるというコンセンサスが得られていることから、性別判定を断念したと述べている。
ここでのIOCの発言を整合させることは、内部の人間であっても不可能である。専門家に選手のファイルを見させたのか、そうでないのか。もしそうでなければ、科学的なコンセンサスを得ることはできない。
オリンピック・ムーブメントの政治は、少なくとも2つの点で、この物語に大きな影響を与えている。
その第一は、IOCとIBAの戦いである。IBAは偶然にも、ドーピングやウクライナ戦争に対するIOCの姿勢に敵意を抱いている。
もうひとつは、IOCがトランス権利擁護派と協調し、性差に基づく女性カテゴリーを擁護する人々に反対するという政策的選択をしたことだ。ここでIOCはIBAだけでなく、世界陸上や世界水泳といったオリンピックムーブメントで最も重要な連盟とも対立している。IOCとは異なり、これらの連盟は、女性アスリートのための公正さと女性カテゴリーの維持を優先することを決定している。
https://www.youtube.com/watch?v=MXFdmyn45l8
Grisey: Les espaces acoustiques ∙ Ensemble Modern ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Kasakawa ∙ Cambreling
Gérard Grisey:
Les espaces acoustiques ∙
Prologue – pour alto seul 00:00 ∙
Périodes – pour sept instruments 15:58 ∙
Partiels – pour 18 musiciens 32:51 ∙
Modulations – pour 33 musiciens 54:14 ∙
Transitoires – pour grand orchestre 1:10:17 ∙
Épilogue – pour quatre cors solistes et grand orchestra 1:36:36 ∙
hr-Sinfonieorchester – Frankfurt Radio Symphony ∙
Megumi Kasakawa, Viola ∙
Sylvain Cambreling, Dirigent ∙
cresc… Biennale für aktuelle Musik 2024 ∙
hr-Sendesaal Frankfurt, 16. Februar 2024 ∙
ARD-Mediathek: https://www.ardmediathek.de/hr/sendun... ∙
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© 2024
明らかになったこと。ドイツ代表のスター選手のうち、2人以外は「ワールドカップでフィールド上での抗議をしたくなかった」
ドイツがワールドカップ開幕戦の日本戦の前に行った、物議を醸した「手で口を覆う」抗議は、選手たちの全員一致の支持ではなかったとする報道があった。
グループEの開幕戦で、ドイツのキャプテン、マヌエル・ノイアーは腕章をつけなかったが、
キックオフ前の写真撮影では、各選手が手を口の前にかざし、FIFAの制裁の脅しに抗議をしたようだった。
しかし、ドイツ公共放送『ARD』が『Bild』を通じて伝えたところによると、即席の抗議行動を行うことを支持したのはキャプテンのノイアーとバイエルン・ミュンヘンのチームメイト、レオン・ゴレツカだけで、他のメンバーは反対していたらしい。
様々な案が検討され、ヨシュア・キミッヒの賛同を得て、チーム内で万人受けはしなかったものの、最終的に手で口を覆うジェスチャーが選ばれたと言われている。
停止された理由ははっきりと説明されていないが、停止へ至った理屈はなんとなく予想はついている。もちろん犯罪に加担しているわけではないし、詐欺に遭っているわけでもなければ出品者アカウントでもない。無茶な返品要求をしたり、キャンセルを連発した訳でもない。アカウントに登録されている情報を見れば、すぐに停止解除を期待できるであろう内容だ(私の予想が正しければ、だが)。
問題は、停止された理由でなく、アカウント再開のために要求されている書類だ。
Amaz◎nのアカウントが停止された直後にログインしたところ、決済に使用したクレジットカードの請求先情報を求められた(この時、文書の添付は任意であり、「文書が存在しない」という選択肢も提示される)。正確な情報を入力したはずだ(送信履歴や控えのようなものは発行されないため、語字の可能性は否定できない)が、アカウントは再開されなかった。
その後、決済に使用したクレジットカードの末尾4桁が文面に含まれたメールにより、「氏名、住所、お支払い方法、および関連する取引情報 (利用明細) がはっきりと表示されている」書類を要求された。加えて、「お支払い方法に指定されているカード番号の最後の 4 桁のみを表示してください」と記されていた。私は複数のクレジットカードを保有しており、その中にはAmaz〇nブランドのMaster©ardを発行している三#住友カードも含まれている。≡井住友カードのWeb利用明細では住所もカード番号の最後4桁も記載されていない(カード番号の末尾3桁が隠される)ため、その旨を記載した上で、ダメ元で末尾4桁以外の番号を除去したクレジットカードの写真と、住所が記載されている郵便物の画像を提出した。
その結果、「提供された書類に名前、住所、電話番号が記載されていませんでした」と返信された。提出した画像には所有者の名前も住所も載っているのだが、そもそも画像を見ていないのか、誤記なのかは判断できない。ここで最も重要な点は、電話番号の記載を追加で要求されていることだ。
前述の三#住友カードのWeb明細には、電話番号も記載されていない。氏名、住所、お支払い方法、関連する取引情報、クレジットカードの末尾4桁、電話番号の全てを記載した書類は私が知る限りWeb上で直ちに取得できない。
Amaz・nのカスタマーサポートに電話すれば良いのではないかと考えたが、結論として電話では解決できなかった。
実は、アカウントが停止された日、置き配指定の注文が誤配された(後日、誤配を受けた方がわざわざ訪ねて来てくれて誤配が確定した)。配達完了メールが届いても荷物が見当たらないため問い合わせる必要があったが、アカウントが停止されているとカスタマーサポートを受けられないため、別のアカウントを作成して照会を求めた。結果として、誤配された注文とアカウント再開について即効性のある解決策は、カスタマーサポートから提示されなかった。
アカウントの管理は「アカウントスペシャリスト」と呼ばれる部署により行われているが、この部署へ電話が通じることはない(カスタマーサポートで「電話対応を行っていない」と説明される)。また、no-replyアドレスへ返信すればやり取りができるような説明をサポートは行うが、少なくとも私の事例ではやり取りが行われず、一方的に同じ要求が繰り返されている。
つまり、アカウントスペシャリストの要求を満たす以外に、(穏便な)アカウント再開は期待できない。
現在はクレジットカード会社へ事情を説明し、紙の利用明細を発行してもらっているところだ。利用明細が手元へ届くまでの約1週間、私のアカウントは停止されたままであることが決まった。ちなみに発行される明細について、クレジットカード番号の末尾3桁は記載されない(できない)とクレジットカード会社から明言されている。このことから、アカウントスペシャリストの要求は(少なくとも私が利用したクレジットカードについては)非現実的であると言えよう。
私のAmaz⦿nアカウントには、電子書籍、ギフトカード残高、未発送の注文、サブスクリプションなどが紐づけられており、当然ながら現在はいずれも利用できない。当たり前だが、色々と困っている。具体的なアカウント停止理由を説明されず、即効性のある解決方法がなく、こちらの説明を聞かずに非現実的な解決方法を一方的に繰り返し提示するサービスに対して、私が取れる行動は「サービスを利用しない」という一点に尽きるだろう。現状を飲み込んだ上で使い続ける人もいるかも知れないが、私はそこまで譲歩するつもりはない。
という訳で、停止されているアカウントが再開された後、ギフトカード残高とポイントを使い切ったら可能な限りAmaz◉nでの購入は控えようと決意した。Prime Videoウォッチパーティで友人と動画を観るような、私が制御できない理由で代替が効かない場合を除いて、アカウントに紐づいたサービスも利用しない。他国のAmaz◍nでどのような運用が行われているか分からないが、こちらも代替可能であれば積極的に代替していくつもりだ。アカウントが再開されない場合は…その時に考えるとする。
理由が説明されないままアカウントが停止されるという噂は認識していた。しかし、その情報は出品者やレビューを書き込んだ人にまつわることが多く、どこか他人事のように捉えていた。今回の件で、リスクを分散させることの必要性を身に染みて理解した。と同時に、私が一つのプラットフォームにどれだけ依存していたか客観視する機会にもなった。
また、Amaz◓nという会社が、顧客をどのように見ているかということも痛感した。私が与える利益は年間100万円にも満たず、私との取引が行われなくとも企業から見れば大したダメージにはならない。私のアカウントに残されている諸々の価値は合計で十数万円程度で、訴訟を起こす労力の方が高くつく。
集約することで手間を減らすことを悪いとは思わないが、どの程度集約するべきか、集約先の企業が顧客をどのように見ているかを含めて、生活全体で見直さなければならない。
7/25(日) 13:00から行われた東京オリンピック 女子ロードレースで奇跡が起こりましたので普段、自転車ロードレースに関心の無い方でも分かるよう解説してみました。
オーストリアからたった一人参加していたプロではない博士号持ちの数学研究者アンナ・キーセンホーファー選手がスタート直後から飛び出し、そのまま最後まで逃げ切って金メダルを獲得してしまいました。
通常ロードレースでは大きな集団(メイン集団とかプロトンと呼ばれます)になって走りますが、そこから飛び出して先行する少人数の逃げ集団も良く作られます。
今回もアンナ選手と他に4人がスタート直後にメイン集団から飛び出し、5人の逃げ集団を作って先行しました。
しかし、そのような逃げ集団はレース終盤にはメイン集団に追いつかれて吸収されてしまうのが一般的です。
たまに逃げ集団の選手がそのまま逃げ切って勝ってしまうこともありますが、それだけでニュースになってしまうぐらい珍しいことです。
しかも、今回はオリンピックという一大イベントで逃げ勝った選手がプロではない数学研究者だったということでロードレース界隈を越えて大きなニュースとなりました。
そもそも逃げ集団が終盤にメイン集団に追いつかれてしまうのは一言で言うと「人数が違うから」です。
集団の場合、先頭の人はこの空気抵抗をまともに受けながら走ることになりますが、2番目以降の人は直接空気抵抗を受けないので楽に走れます。
どのくらい楽に走れるかというと先頭の人の6割程度の力で同じ速度で走れると言われています。
そこで、集団で走る場合は先頭でしばらく走ったら後ろに下がって、次は別の人が交代して先頭を受け持つという戦術が取られます。
この場合、交代要員がたくさんいるメイン集団の方が少人数の逃げ集団より圧倒的に有利なため、ほぼ必ずレース終盤には逃げ集団はメイン集団に追いつかれてしまうのです。
ところが今回、アンナ選手は最後までメイン集団に追いつかれませんでした。
理由の一つは今回勝ったアンナ選手が最後まで速かったからです。
スタート直後からゴールまで残り40kmぐらいの籠坂峠というところまでは複数人で走っていましたが、そこでアタック(スピードを上げて飛び出すこと)を決めて他の人を振り切り、以降はゴールまで単独で走っていました。
http://www.vill.doshi.lg.jp/ka/info.php?if_id=929&ka_id=4
単独だと空気抵抗をずっと受け続けるので、しばらくすれば速度が落ちてくるものですがゴールまでスピードを緩めることがありませんでした。
これは彼女がロードレースよりも単独走行で時間を競う個人タイムトライアルという競技を得意としていたからだと思われます。
そして、もう一つの理由は今大会随一の強豪であったオランダ チームが彼女の事を見落としていたことです。
今回のオリンピックでは各国毎にポイントで参加人数が割り当てられ、強豪国オランダは最高の4人が割り当てられていました。
そのメンバーもリオ五輪優勝とかロンドン五輪優勝とかのすごい選手ばかりです。
ところが、そんなオランダ チームはアンナ選手に振り切られた2位のイスラエル選手に追いついたところで、それ以上追おうとしませんでした。
なぜなら、そのイスラエル選手の前にまだアンナ選手がいることを見落としていたからです。
なぜこんなことが発生したのかというと、通常のプロのレースでは選手は無線を使ってサポートカーに乗ってる監督から様々な情報や指示を受けることが出来ます。
しかし、今回のオリンピックでは国毎に参加人数が違う有利不利を緩和するため、選手が無線を使うことが禁止されていました。
そのため、情報を得るには集団から離れてサポートカーまで下がって直接聞くか、ホワイトボードを持ったバイクが先頭との時間差を書いて教えてくれるのを見るかしかありませんでした。
たしかに終盤はオランダの選手がサポートカーまで下がる場面は見ませんでしたが、バイクはホワイトボードで先頭との時間差を伝えていたでしょうから、なぜこんなことが起こったのか本当のところは良く分かりません。
いつものレースの様に無線で十分な情報を得ることのできない環境に戸惑っていたのか、あるいは日本の真夏の暑さにやられてしまっていたのでしょうか。
もし、オランダ チームが彼女を見落とすなどというミスをしていなかったら、彼女は勝てなかったのでしょうか?
一般的に逃げ集団をメイン集団が追う場合「平地なら10kmで1分差を縮められる」と言われています。
今回のレースでは中盤のゴールまで残り約60kmの山伏トンネルあたりで、逃げ集団とメイン集団の差は7分弱ありました。
しかも、下り坂ではコーナーを曲がるために単独でも集団でもある程度以上の速度を出せないため、あまり差を詰められません。
そんな下り坂がゴールまで約40㎞の籠坂峠から10数キロあるのです。
この時点で当然、オランダ チームは前に逃げ集団がいることと時間差を把握していたでしょうから、確実に捕まえるならここから既に追走を始めていなければならなかったと思われます。
しかしながら、オランダ チームはまだ追走態勢に入りませんでした。
追走態勢というのはこの場合、メイン集団の先頭でオランダ チームの4人が次々と交代しながら全力でスピードを出して集団を引っ張っていくようなことを言います。
自チームだけが全力を出していると相対的に他の国のチームが有利になるので、逃げ集団の5人がアンナ選手も含めて有力な選手では無かったため、ここで追わなくても後で追いつけると判断したのでしょう。
これは運が良かった、悪かったというレベルではなくオランダ チームの判断ミスだったと思います。
次に、アンナ選手に振り切られた逃げ集団の残り二人をメイン集団が視認したのはアンナ選手がゴールまで残り10km前後の時点と思われます。(逃げ集団の他の二人はそれ以前にメイン集団に吸収されていました)
この時、アンナ選手とメイン集団の時間差は3分以上ありましたので、仮にオランダ チームがアンナ選手を見落としておらず、その二人の前にアンナ選手がいると認識していてそこから全力で追ったとしてもゴールまでに追いつくことは出来なかったでしょう。
また、オランダ チームは二人を視認するまではアンナ選手を認識していたかどうかに関わらず、先頭に追い付くつもりで追っていたのでしょうから、結局予想よりも先頭との差が詰まらず追いつけなかったという判断ミスを犯したということになると思います。
よって、自分としては彼女は運が良かっただけでなく、終盤にオランダ チームが彼女を見落としていなかったとしても逃げ切っていたと考えます。
ちなみに2位となったオランダ チームの選手との差は1分15秒でした。(あれ、けっこう微妙?)
現在はスイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)で非線形偏微分方程式を研究するポスドク研究員だそうです。
先月も学術誌に論文を投稿しています。下のリンクがその論文ですが、さっぱり分かりません。
そして彼女のスポーツ歴はというと下記の通りで、短期間プロチームに在籍していたこともありますが、オリンピック参加時はプロチームとの契約の無いアマチュアです。
最近は大きなロードレースに参加することも無かったため完全にノーマークだったようです。
彼女を含めたレース後の選手へのインタビュー記事が以下にあり、彼女の名言を読むことが出来ます。
https://www.cyclowired.jp/news/node/350652
研究者らしくツイッターではオリンピック前に準備として自身の体の熱順応を分析してたりします。
https://twitter.com/AnnaKiesenhofer/status/1411359788454363138
(元のツイートにあったグラフが削除され、URLが変わったようなので修正しました)
今回のロードレースはNHKの下記のページから見逃し配信で全て見ることが出来ます。(いつまで見られるかは分かりません。大会期間中ぐらいは見られるのかな?)
表彰式まで含めると5時間ほどあって実況も英語しかありませんが、綺麗な景色も見れるので環境ビデオ代わりにずっと流して見てみてください。
https://sports.nhk.or.jp/olympic/highlights/list/sport/cycling/
ちなみに男子ロードレースは女子のようなサプライズはありませんでしたが、普通にかなりおもしろいレース展開でしたのでこちらもお勧めです。8時間弱ありますけど……
(好評だったので続きを書きました。https://anond.hatelabo.jp/20210806115303)