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2021-03-13

ガルパ好きの関係オタク腐女子アルゴナビス AA side をプレイした

Bang Dream! ガールズバンドパーティー面白いですよね。

プレイ心地の良い音ゲー豊富カバー曲、飽きのこない協力ライブ

中でも私はストーリー推したい。個性的な7つのバンドメンバー1人1人に夢や悩みが有り、イベントを経る毎に成長していくからテキストを読むたびにキャラクターを好きになっていく。

ただでさえメインストバンドスト・イベストが上質なのに、音ゲープレイ後の掛け合いにもキャラの組み合わせによってパターンが有ったりしてバンドリはとにかくテキストが多い。

バンドストーリーで女と女の会話を読むために街中で女と女の会話を聞いてバンド経験値を上げたり、

インストリーで女と女の会話を読むためにライブで女と女の掛け合いを聞いたりもう何をするにも女と女の会話を浴びろ!!!っていうのがBang Dream! ガールズバンドパーティー(以下、ガルパ)っていうゲーム

で、ストーリーの量・質が良いだけでなく更に幅が有る。キャラ同士の関係バンド内で収まらずにバンド間で意外な関係性が有ったりする。

例えばRoseliaGt.氷川 紗夜とPastel*PalettesGt.氷川日菜は双子姉妹だし、Pastel*PalettesBa.白鷺 千聖ハローハッピーワールドGt.瀬田 薫は幼なじみということがメインストリーで明かされる。

ガルパのイベントには大きく分けて箱イベと混合イベの2種類が有って、箱イベではバンド内の人間関係が、混合イベではバンド間の人間関係が掘り下げられる。

この混合イベで、前述した氷川姉妹の姉・紗夜が最初天才肌な妹・日菜に嫉妬していたのが徐々に打ち解けていく様子が書かれたり、

みんなの王子様・瀬田薫が千聖に昔のあだ名で呼ばれて照れてしまうみたいなシーンが出てきたりしてたまらん。

私がハマる組み合わせってどのジャンルでもグループグループの間を垣根を超えた越境なやつので、そこの掘り下げが深いガルパは理想的ジャンルだった。

そんな関係天国とも言えるガルパの男版・アルゴナビスプロジェクト存在を知った時、私確信したんです。これは派遣とるぞって。腐女子って関係性好きだから

昨年春のアニメ版ちょっとご都合主義が強かったけど、まぁガルパもアニメ1期よりアプリストーリーの方が面白いし。と、勝負アプリが出てからだと思っていた。

そして今年1月。ついに迎えたアルゴナビスのアプリ版・アルゴナビス from BanG Drem! AA side(以下、ダブエス)のリリース

リリース初日から各5バンドの箱イベと現在開催中のイベントプレイして、評価する要素は揃ったかなと思ったからここに書き捨てる。

私が期待していたのはガルパの男版だからガルパの好きな要素と比較しながらの感想になります

ライブ部分

サービス開始から3ヶ月も経ってないかしょうがないけど、まだ曲数が少なくてイベント走ってるとしんどい

プレイモード3Dモデルキャラたちが実際に演奏する3Dモードと、任意カード絵を背景にスキル発動のたびに掛け合いとカットインが入る2Dモードの2種類がある。

サービス開始までは3Dモードばかりが紹介されてて、なんとしても掛け合いを実装してほしかった私としては不安だったけど、蓋をあけたら2Dモードで掛け合いをしてくれててホッとした。

オリジナル楽曲

良い。各バンドにそれぞれ別のバンド楽曲提供してくれてるそうですね。主役バンドのArgonavisはUnison Square Gardenとか、ヴィジュアル系バンドのFantome Irisはシドとか。

提供楽曲以外の曲も良い。私はArgonavisのAA side、風神 RIZING!のランガンラン、εpsilonΦのPlay With Youとかが好き。

音ゲー操作

ガルパやプロセカをプレイした後だとどうしても見劣りしてしまう。

プレイしている時にノーツタップさせられてる感というか…なんか爽快感が無いし、判定してもらえるか不安になる。

1つはガルパはノーツ長方形なのに対してダブエスダイヤ型なこと、

もう1つは盤面が心なしか狭いことが原因な気がするのですがどうでしょう

盤面の狭さについてはちゃんと測ったわけじゃなくて印象で言ってるから、同じ狭さだったらごめんだけど。

あと、スライドノーツに曲がりの判定を入れていて、それがプレイしにくいような、慣れてきたら楽しいような。

譜面もまだ曲数少ないのも有ってプレイしてて楽しい譜面っていうのはそんなに無いけど、Fantome IrisのInto the Flame楽しい

カバー

良い。私がプレイしているソシャゲの幅が狭いというのもあるけど、男性バンドカバーが中心なのが新鮮で良い。

ここが一番他の音ゲー差別化できるところだと思うから、他のゲームには無いようなカバー曲たくさん実装して新規ユーザに繋げてほしいですね。

GLAYの誘惑とかブルハ情熱薔薇プレイ出来る音ゲーを他に知らないので楽しんでプレイしてる。

個人的には社畜キャラがいるFantome Irisに筋肉少女帯労働者Mカバーしてほしいですね。

協力ライブ

無い。これから実装されると思われる。

私は曲のランダム選択目的で協力ライブをしてるから、今のダブエス実装しても曲数が少なくてあんランダム性なさそう。だから気長に待ちます

あと、後述するイベントFeverタイムが5分制限から、もし協力ライブ実装されてもマッチング待ちの時間が惜しくてFevar中は単独ライブしそう。

ストーリー

内容は良い。全体的に量が少ないように感じる。ストーリーの種類別に見ていきたい。

ストーリー構成するキャラクターだけど、これも良い。個人的には社畜として虐げられる姿が身につまされる黒川燈と、悪意の塊・宇治川紫夕が好き。

ダブエスの5バンドはそれぞれ出身地が違うってことで私が好きな越境関係性はあるのか不安に思ってたけど、Fantome IrisのVo.フェリクスとεpsilonΦのVo.紫夕の間で過去に何か有りそうな会話をしてたりして期待できるんじゃないかと。

インストリー

良い。北海道名古屋京都長崎活躍する5バンド東京フェスに呼ばれて、優勝目指して切磋琢磨する話。

まだ完結してなくて量を比較しようが無いので、質はガルパと同じくらい良い、という評価をしたい。

バンドストーリー

これもメインストリーと同じく完結してないので量は比較せず、質はガルパと同じくらい良いという評価

ガルパとダブエスリアルバンドより非リアバンドのストーリーの方が個人的には面白いという謎の共通点が有る。

εpsilonΦの3章に痺れて思わずサブスク課金しちゃった。

楽曲ストーリー

これはバンドリには無いダブエスオリジナル要素。

楽曲が作られた背景とかが語られて曲に愛着が持てるし、テキスト量も多いしで、間違いなくダブエスしかない長所。手放しで良いと言える。

カードストーリー

質は良い。良いんだけど、量が少ない。

ガルパが最低レア度★2でレベ1と最高レベの2種類ストーリーを用意しているのに対して、

ダブエスは最低レア度は★3からで更に種類も特訓後の1種類のみ。

ストーリーの数がそもそも少ない上に、中身の量もガルパは50前後メッセージウィンドウを送るのに対し、ダブエスは15前後のみと1/3以下の量だった。

キャラストーリー

そういえばこれもダブエスオリジナル要素だった。

量・質共にそこそこという印象。

街中の会話

ガルパはマップを開くと施設という施設アイコンキャラクターの顔アイコンを表示してこれでもか!これでもか!と街中でのキャラクター同士の会話を読ませてこようとする。

それどころか、数年前からラウンジというライブハウスのラウンジで延々と会話を自動送りする機能まで追加した。

タップ送りなどしなくて良いから女と女の会話を見ろという強い意思を感じる。

一方でダブエスは後述するバンドクエストというのを実行中のバンドじゃないとまず会話を見れないし、

その会話が見れる条件もキャラ派遣先に他キャラいるかどうかに左右される。ガルパに比べるとかなり渋い。

会話の量もガルパは3往復はしているのに対して、ダブエスは大体1.5往復で終わる。中身も薄くて、会話イベントよりミニキャラの上に出ている吹き出し一言の方が面白いである

イベント

システム

ひたすら楽曲プレイするスタイルイベント。後述するバンドクエストはかなりだるいシステムなのでイベントと絡まなくて良かった。

音ゲープレイするとイベントポイントが貰え、イベントポイントを貯めると★2や★3のカード報酬でもらえる。

また、ランキングで5万位以内に入ると★3カードが貰える。アクティブユーザは4万人以下らしいので、イベント間中音ゲーを1回でもプレイしたら確実に貰える。

ガルパもダブエスイベントには対応タイプ対応メンバーという要素が有り、

ガルパの場合対応タイプ対応メンバーのどちらかが一致したカードを編成するとポイントボーナスを貰える

ダブエス場合対応タイプが一致してるのが最低条件で、対応メンバーだと更にボーナスが増える。レア度が上がったり同じカード複数枚手に入れて重ねたりするとボーナスが増える。

ガルパはボーナス対象カードが幅広い代わりにボーナスの伸び率は一緒、

ダブエスボーナス対象カードが狭いけどレア度の高いメンバーがいるとボーナスがどんどん伸びていくという感じ。どちらが良いかは人によるという感じですね。

また、ダブエスオリジナル要素としてFeverゲージというのがある。これは楽曲プレイする度に溜まっていくもので、100%溜まったら任意タイミングFeverを発動できる。発動後は5分間イベントポイントボーナスがつく。

この5分というのが曲者で、大抵は音ゲー2回くらいの長さなんだけど短い曲だと3回遊べる。

また、ダブエスにはガルパと同じくブーストという体力的なものがあり、通常の音ゲーだと体力が尽きるとプレイできなくなるのがガルパ・ダブエスだとなんとブーストが尽きてもスコアが落ちるだけでプレイのものはできる。どこで集金する気ですか?と問いたくなる太っ腹っぷり。

で、ブーストが尽きると獲得するイベントポイントの量は減るのに、なんとフィーバーゲージの溜まる量は変わらない。

まりブーストが尽きている間にフィーバーゲージを溜めて、溜まったら回復アイテムブースト回復してフィーバーを発動し、短い曲を3回連続プレイするというのがイベント中のプレイヤーの基本行動になる。

そんなプレイスタイルでイベストを開けていったので、箱イベ混合イベそれぞれの感想を以下に書く。

箱イベ

質。非リアバンドのイベストが良かった。

量。ガルパは7章構成メッセージウィンドウは40前後、ダブエスは6章構成メッセージウィンドウは30前後メッセージウィンドウストーリーにもよるから誤差だと思うけど、やっぱ1章短いのもあってダブエスの方がストーリーの量は少なく感じる。

混合イベ

5バンドの箱イベが終わって、報酬・告知バナー共にArgonavisのメンバー風神RIZING!のメンバーが入り混じったものが始まったから、箱イベを1周して混合イベントが来たのかと思った。

箱イベと混合イベの両方をプレイしたら、評価したい要素は一通り揃ったか増田を書こうと、そう思っていた。

が、今も開催中のこのイベント果たして混合イベントと呼んで良いものか迷っている。

https://twitter.com/AAside_INFO/status/1369166060021284864?s=20

このイベントの告知画像を見たら、左側の方にいるキャラがイベストに出てくるって思いますよね?私は思います

出ないんですよ。

左側のキャラ風神RIZING!のキャラ、右側のキャラがArgonavisのキャラで、バンドを越えた人間関係が生まれるのかなーと期待してストーリーを読んでみたらですね、

なんと、Argonavisのキャラしかベストに出てこないんですよ。

左側のキャラガチャに入れられただけ。編成に組んだらイベントボーナスが増えるだけ。それ以外一切イベントとの関わりは無い。

イベントバナーに描かれたキャライベントストーリーでフィーチャーされるだろうという私の認識が間違っているのか?

イベントキャラってなんだ?イベントってなんだ?何もかもがわからなくなっていく中、

私が一番バンドシリーズに期待している「バンドを越えた人間関係」が混合イベで見れなかったという事実けが頭のなかにくっきりと残り、萎えたのでサブスク解除しました。

イベントストーリーも混合な混合イベントが開催されるようになったらサブスク再開しようと思う。

他、ガルパには無い要素

バンドクエスト

音ゲー以外にバンドメンバーミニキャラタスクをさせるモードが有る。タスクによって時間がかかったりかからなかったりして、それを終えるとバンド経験値が入る。

バンド経験値が溜まるとバンドレベルが上がってバンドストーリーが読めるようになる。ソシャゲによくあるやつ。

個人的には興味無くて、バンドストーリー読むためにやってる。

ヒストリー

これはダブエスオリジナル要素。登場キャラクターの来歴が年表形式でまとめられていて、ストーリーでまだ描写されてない過去とか生い立ちについても知れるようになっている。

個人的には事前情報無しでストーリーで初めて色々なことを知れた方が新鮮なんじゃないかなって思うけど、

最近腐女子ってあまり描写が無いうちから「これだ!」って青田買いした組み合わせが本編進むにつれて全然絡まなくなって顔カプと言われるみたいな現象があるから

骨組みだけでも関係がわかってるほうが安心して萌えられるのかな。

総括

ストーリーの質は良いが量と幅が足りない。幅はマジでなんとかしてほしい。そこを一番求めてる。

音ゲーの質はイマイチ。量はこれからのアプデでどんどん増えるから期待。

2019-10-14

ジークリサの弟?」

「俺の命令に従え!!すべてのユミルの民から生殖能力を奪えと言っているんだ!!今すぐやれ!!ユミル!!」

ジークは叫んだ。

「俺は王家の血を引く者だ!!」

ジーク最後に目にしたのは、涙する始祖ユミルと、それを支えるエレンだった。次の瞬間、すべてが暗転した。

いかなる原理によるものか。宇宙真空の量子揺らぎからインフレーションにより生じたものだと言う。ある世界線の内部を往来するうち、量子的に絡みあう複数世界線が混線した。そして、ジークは他の世界線へと転落した…

店舗と住居を兼ねる北沢精肉店の二階で、はぐみの兄は目を覚ました。

はぐみの兄はボリボリと頭を掻き、寝惚け眼で放心した。朝日がその横顔を照らしている。大学講義もなく、朝の身支度をする必要がなかった。

しばらくして、はぐみの兄は股間をまさぐり、やがて絶叫した。

「た、勃たなくなってるーッ!」

その大声でジークは体を起こした。眼鏡位置を直す。

「《うるさいな…》」

マーレ語で言ったが、はぐみの兄には通じなかった。

(《ここは…ヒィズル国か?俺は始祖ユミルといたはずだが、どうしてここにいるんだ?あれからどうなったんだ?ユミルの民から生殖能力を奪うことはできたのか?》)

思考に沈潜するジークに対し、はぐみの兄はふたたび絶叫した。

「うわーッ!裸にジーパンの髭のオッサンが、俺の部屋にーッ!」

地上から商店街を走る自転車チリンチリンというベルの音が聞こえていた。

「あたしがもう一人!?どういうことだ!?しかもなんか胸がデケェし!」

「うるせー!胸のことは言うんじゃねー!」

流星堂の土蔵の前で、二人の有咲が言いあいをしていた。

「うわー、有咲が二人!これで次の定期試験は楽勝だね!」

「はァ…もう一人の私、声が大きくて苦手かも」

二人の香澄が声を出すと、二人の有咲はさっとそれぞれの香澄の背後に回った。異なる香澄とはいえ、対人恐怖症は拭えないらしい。

香澄と有咲に偽物がいる。…双子の入替わりトリック?」

「これがもう一人の自分っスか。正直、信じたくないっス…」

一人のたえの泰然とした様子に、もう一人のたえは肩を落とした。

「いったい何が起きたんだろうね。うち、すこし怖いかも。あ、関西弁が出ちゃった!」

りみがわざとらしく怖がる。が、混乱の最中にあって誰も反応しなかった。

「うわー。ポピパはまた大変なことになってるね」

流星堂の門内を覗いたリサが大げさに言う。おどけた態度と裏腹に、表情に疲労が滲んでいた。

リサの腰には小学生ほどの少年がまとわりついていた。

リサさん、そのガキ…いや、子供は?」

胸が大きいほうの有咲が尋ねる。もう一人の有咲はリサと面識がないため、対人恐怖症を発揮しオドオドとしていた。

「アタシの弟ってことみたい。気づいたらいたんだ。どうにも、ポピパでも似たようなことが起きているみたいだね」

リサの後ろにはRoseliaの残りのメンバーもいた。

「でもリサさん、いくらガキとはいえ、知らない異性が家にいるのはキツくないですか?」

リサはすばやく片目で瞬きした。

「え?《年下の少年性的な目で見られて気持ち悪いけど、それを口にして傷つけるほどでもないし、気付かないフリをしている》?リサさんすげー!一瞬のアイコンタクトでこれだけの情報を伝えてきた!」

有咲は感嘆した。一方、リサの弟はリサ本音暴露されてショックを受けていた。

「でも、異常は人が増えたり現れたりしていることだけじゃないみたいよ」

千聖流星堂の門内に入る。

「あッ、紗夜さん!助けてください!」

「待ってください、紗夜さん!助けるなら私を!」

日菜の両脇につぐみが一人ずつ抱えられていた。

「は、羽沢さんが二人…」

紗夜はその光景を見て呆然とした。

「アハハ。面白いよね。こっちのつぐちゃんおっぱいちょっと大きくてー、こっちのつぐちゃんはまっ平らなんだ」

「また人が増えた…それで白鷺先輩、他の異常ってなんですか」

「なんと言ったらいいのかわからないのだけど…

千聖ちゃん生理が来なくなったんだよねー」

言葉を濁す千聖無視し、日菜は直接的に言った。

「それはオメデタ…じゃないですよね。ピルを飲んだりとかしたんですか?」

千聖の殺気立った気配を感じ、有咲はすばやく言葉を変えた。

「そうね。昨日までは普通に生理は来てたのよ。それで、この異常でしょう。気になってスタッフさんたちや知人に尋ねてみたら、やはり急に生理がとまった人がいたのよ。というより、生理という現象がなくなったというほうが自然ね。個人的にはありがたいけれど…」

千聖ちゃん、いつも生理中はイライラしてるもんねー」

彩は自分失言に気付き、顔を青ざめさせた。

花音たちにも同じような異常が起きているみたいなの。ここに呼ぶわね」

しばらくして、ハローハッピーワールドメンバーが現れた。

はぐみはスーツを着た会社勤めらしい女性に背負われている。

「見て見て。この人、はぐみのお姉ちゃんなんだ。はぐみ、ずっとお姉ちゃんがほしかたから嬉しい!」

紗夜は口元に手を当てた。

「つまり、今現在わかる異常はこのようになるでしょうか。第一に、異なる可能性の同一人物が同時に存在している。第二に、存在しないはずの兄弟姉妹存在している。第三に、広い範囲で人々の生殖能力が停止している」

「第二の異常が重要だと思うな。もし第二の異常が第一の異常と同じ原因なら、第三の異常は独立した問題ってことになるもん。ただ、第二の異常が第一と第三、それぞれの異常と同じ原因のものが混ざってるってこともありえるけどねー」

日菜が紗夜の分析をすばやく補足した。

「でも本当、どうしたらいいだろうねー。もう一人の私に学校に行ってもらって、私たちバンド練習しよっか。あ、でもさーやはもう一人のさーやが夜学らしいから、どのみち二人とも学校に行かなきゃ!」

「うー。やっぱり、この私は苦手だ…」

暗いほうの香澄がため息をつく。

そのとき、怒声が聞こえた。

「待てー!モカ!」

一同が路上に出ると、上半身が裸でジーパンを履いた髭男が走ってきた。その後ろをモカが追っていて、時折ふり返りつつ、石を投げている。

大学生らしい青年と、Afterglowメンバーが二人を追っていた。

「あッ、はぐみ」

「兄ちゃん!」

大学生らしい青年ははぐみを認めた。

そいつを止めてくれ!俺のEDそいつが原因なんだ!」

一同は髭男を見た。

「みんな、ジークさんの邪魔をしないで!」

モカが鬼気迫る表情で叫ぶ。

「よくわからないけど、あの男、友希那のお父さんと同じ雰囲気がする!自堕落無責任無能力だけど、ときどき妙な行動力を発揮して周囲に大きな迷惑をかけるタイプだよ!」

リサあなた、私のお父さんのことをそう思っていたの…」

友希那は表情に微妙なショックを浮かべた。

一同が道を塞ぎ、モカジークは包囲された。

「はァはァ…ヒィズル国の言葉が通じて協力者を得ることができたのはいいが、そのために敵もできてしまったな。まあいい…どういうわけか、いまの俺は《始祖の巨人》の力を手にしているのだからな。舞台は変わったが、計画は続行する!このまま、この世界のすべての住民生殖能力剥奪する!」

「そんなこといいわけないでしょ!モカ、なんでそんな気持ち悪いオジさんに手助けするの!もうあたしの『ゼクシィ』貸さないよ!」

「そうだぞ、モカ人間は守るべき家族をもって一人前だろうが!そして自分を産んで育ててくれた親と町、国に感謝だ!ソイヤぁ!」

まりと巴が問詰する。

モカ淡々と言った。

「ごめーん。でも、モカちゃんもう決めたから。あたしたちが最後人類になるの。それで、これまでのすべての人類の屍の上に、あたしと蘭だけがきのこるんだ。それって素敵じゃない?」

蘭は甲高い声をあげた。

「はァ!?意味わかんないよ!なに言ってんの、モカ!?っていうか、気持ち悪いよ…」

「蘭にはわからないだろうね。けど、あたし、もう蘭の背中を追いかけるのは疲れちゃったよ…」

微笑するモカの目は、涙に濡れて見えた。

「あたしたちはみんな、生まれてこなければ幸せだったんだよ。音楽コンプレックスからはじまる。ここにいるみんなも、生まれてこなければ良かったって思ったことが絶対あるよね!?それが正解なんだよ!もう、そんな過ちをくり返しちゃいけない。全部ここで終わらせるんだ」

その言葉に、その場の数人は沈黙した。

千聖が輪のなかに踏みだした。麻弥はハッとした。思索的で感受性の高い麻弥には、千聖モカ言葉共感したことがわかっていた。

千聖はポツリと言った。

「私の人生に、いいことはほとんどなかったわ」全員が千聖注視する。「思いだすことのできる最初記憶は、母に子役として振舞うことを無理強いされたときのものよ。私は母に褒めてもらいたくて、必死努力したわ。けど、母が私を肯定してくれることはなかった…努力過程けが残って、私は自尊心ばかり高い、空っぽ人間になった。それが向上心という形で、攻撃的にあらわれてしまうこともあったわ。パスパレのみんなと知りあって、ようやくそんな自分を変えることができた。けど、たしかに生まれてこないほうが良かったと言われれば、それを否定することはできないわ」

千聖ちゃん…」

彩が目に涙を浮かべる。

「けれど、たしかに言えるのは、自分人生が悪かったという理由で、他人生殖能力を奪うような自分は、生まれてきたことよりもなお悪いと言うことよ!」

千聖は啖呵を切った。

千聖ちゃん!」

千聖さん!」

Pastel*Palettesメンバーが抱きつく。

千聖さんの言うとおりです!モカさん、あなた大和撫子の風上にもおけません!子孫繁栄富国強兵ブシドー天誅です!」

イヴたまたま持っていた竹刀モカジークに襲いかかる。

あんたたち、こっち!」

胸が小さいほうの有咲が声をかける。門内を示され、モカジークはすばやく駆けこんだ。二人が入ると、有咲は鍵をかけた。

「何やってんだ、お前ーッ!」

胸が大きいほうの有咲が怒鳴る。しかし、有咲は鍵を握りしめて離さなかった。

「ごめんね。でも、私、どうしても生まれてきたほうが良かったと思えない…!」

有咲はその場に座りこんだ。膝に顔をうずめ、しばらくすると嗚咽が聞こえてきた。

「有咲…」

暗いほうの香澄が呟く。有咲の苦しみを知っている香澄は、その言葉を軽々に否定できなかった。

そのとき、いくつかの弦の音が聞こえた。

「生まれ場所から、すこし、はなーれてー」

うるさいほうの香澄ランダムスターを手に、歌を口ずさんでいた。

有咲が顔をあげる。香澄の歌は次第に勢いを強めていった。『Returns』。はじめに合唱に加わったのは、もう一人の香澄だった。有咲、二人のたえと、次々と合唱に加わった。

「あったかもしれない未来のことー、なかったかもしれない過去のことォー!自分の姿を鏡に映し、キミは誰なのと、問いかけてみたァー!」

やがて、Poppin’Partyの全員が合唱した。有咲は涙を拭い、門の鍵を開けた。

門内に突入し、モカジークを囲む。

「《チッ、使えないヤツだ…》」

ジークマーレ語で毒づいた。

「俺の《安楽死計画》はまだ生まれてこない子供対象にしたものだ。いま生きているもの犠牲にすることは避けたかったが、仕方ない…始末させてもらう!」

ジーク自分の腕を噛み千切った。一瞬であたり一面が蒸気と熱気に包まれた。

「おいおい。人間が増えたり減ったりする怪奇現象が起きてるって言うから取材に来てみりゃよォ…またこの姿になるとはな」

有咲は怖々と目を開いた。触手で全身が構成された巨人が有咲たち全員を蒸気と熱気から守っていた。

気付くと、ラフ服装女性と、テレビカメラハンチング帽の男性が傍らにいた。

女性挨拶する。

「私は映像制作会社ADをしている市川と言います。こっちはカメラマンの田代です。えーと、あと、あの大きいのがディレクター工藤です」

「おう!撮影許可も貰っとけよ!」

市川は苦々しそうな表情をした。

巨大化した工藤は、類人猿のように見える巨人をとり押さえていた。

「俺も業界にいて長いからよォ。てめェみたいなツラのヤツはよく知ってるぜ。おめェらみてェなヤツはよ、いろいろもっともらしい理屈を捏ねるけど、要は部屋に引きこもって一人で◯◯◯◯してるのがお似合いなんだよ!」

「う…」

巨大化したジークは呻いた。だが、それは哄笑の前触れだった。

ハハハハ!わかっていないようだな。格闘戦で俺に勝とうが、なんの意味もないということが。俺は《始祖の巨人》の力を手にした。それは、この世界のすべての生物操作できるということだ!はじめからお前らに勝目はないんだよ!もうお前らの体を直接、操作して全員、絶滅させてやる!」

その場の全員が硬直した。

「もし、いまの俺を倒せるとしたら、直接、因果律に介入できるヤツだけだ!ハハハハ!」

「呼んだか?」

空中に亀裂が走った。裂開したなかから、冴えない中年男性が出てきた。背中制服姿の少女を乗せている。

「よッ、白石君。助けに来たで。おっと。いけない、田代君やったな」

「助太刀にきたでござる。ニンニン」

「りみ!」

背中にいる少女を見て、暗いほうの香澄が声をあげた。

冴えない中年男性は巨大化したジークに言った。

「知っとるか?高圧鍋や圧力釜なんかは、威力の高い爆弾材料になるんやで。つまり炊飯器はえ爆弾材料になるんや。ゆうても、炊飯器がなんなのかわからんやろうけどな」

まさかうちの炊飯器をこんなことに使うとは思わんかったわ。まあええわ。みんなを助けられるんならな。御免」

もう一人のりみは炊飯器を巨大化したジークの延髄部に放った。

「《や、やめろおおおお!》」

ジークマーレ語で絶叫したが、その言葉理解できるものはいなかった。

爆音とともに、巨大化したジークの延髄部が爆散した。

全身に火傷を負い、四肢の断裂したジーク中年男性は担ぎあげた。

「お前はアッチの世界に連れていくわ。案外、お前みたいなヤツにはアッチの世界のほうが居心地がええかもな」

ふたたび、りみと裂開のなかに飛びこむ。その間際に言った。「もろもろの因果律も俺が修復しとくから、まあ安心しといてな。じゃ、またな、白石君」

「江野さん…」

田代呆然と呟く。しかし、その声を聞くものはもういなかった。

モカ…」

蘭は涙を流して放心するモカの肩を抱いた。しかし、モカがその声に応えることはなかった。

リサやはぐみは、つかの間の兄弟姉妹と別れを告げた。千聖生理が復活して沈鬱な表情をしていた。

二人の有咲が対面する。胸の小さいほうの有咲が言った。

「いろいろ、迷惑をかけて悪かったな」

別にいいって。あたしのしたことだしな」

有咲たちは同時に笑った。

「いろいろあったけどさ、あたしはちがう可能性のあたしを見て、なんだかんだ、いまの自分が好きなんだってわかったよ。…ありがとな」

「お前はもう一人のあたしだ。すこしでも運命歯車がズレてたら、あたしもお前みたいになっていたかもしんねー。いまのあたしのことも、すべて受けいれられるわけじゃねーし。だから、お前を助けられたなら良かったよ」

ちがう世界の有咲はこの世界香澄に言った。

「お前も…サンキュ」

「うー。有咲がいなくなって寂しくなるよ」

「お前にはあたしがいるだろうが!」

この世界の有咲が叫ぶ。

「えッ、有咲…?」

「うるせー!いまのはなし!」

「有咲ー!」

香澄は有咲に抱きついた。そうしているうち、ちがう世界住民たちはいなくなっていた。

「離せ!妊娠したらどうすんだ!」

「なに変なことを言ってるの、有咲ァ」

「あれ?本当だ。どうしてそう思ったんだ?」

江野は因果律の修復である間違いを犯したようだった。

些細ないまちがいと綻びで、この世界はできている。

(終)

2018-03-12

anond:20180312034247

当たり前すぎてそうですねとしか言いようがない。

自責の念とかなければ主観的にはハッピーワールドだ。

2017-09-13

ソシャゲ日記

デレステ

たまには初日スパーンと離脱してみたい(まだ何も出ない)。

ガル

ハロー、マイハッピーワールド目標:100kP

メンバーボーナス対象表示も出た!わかってくれてた!

 
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