はてなキーワード: 再犯者率とは
2024年6月に成立した日本版DBS。学校や保育園などの職員や職員希望者の性犯罪の前科を調べることを義務付ける制度です。
性犯罪者が子どもたちに近づけないようになる。なんかすごくいいことのように聞こえる。
でもふと疑問に思った。
「日本版DBSって本当に児童への性犯罪を減らせるの?というか他人が前科を調べられるような制度を作っていいの?」
一応言っておくと、私自身は性犯罪の前科前歴はない(というか前科自体ない)。だから日本版DBSができたとて、メリットはあれど困ることは一切ない。
でもどうしてもモヤモヤするので、そのモヤモヤの原因も含めて色々と思うことを書いていきたい。
※実際書いたらめっちゃ長くなったので、モヤモヤの原因は別の日記にまとめました。
そもそも再犯率が低ければ、対象者も少なくなります。当然、日本版DBSの効果も期待できなくなります。
ところで性犯罪全体については、すでに↓である程度議論しつくされています。
ちなみにデータはほとんど平成27年度 犯罪白書がソースです。なぜ平成27年度かというと、この年に性犯罪の特集があって、色々なデータが公開されているから。
https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/62/nfm/mokuji.html
性犯罪、特に子供に対する性犯罪は何度も何度も繰り返し行う、いわば依存性のある犯罪であるというイメージはないだろうか。
もし依存性のある犯罪であるならば、再犯率は当然高くなる。そこで再犯率を確認したい。
小児強姦型…約5.9%
https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/62/nfm/n62_2_6_4_4_2.html
最も再犯率が高いのは痴漢型で36.7%にもなる。他の性犯罪類型と比較しても、子供への性犯罪が再犯率が高いとは言えない。
残念ながら性犯罪以外の犯罪の再犯率のデータは見つけられなかった。
だが子ども家庭庁の「「性犯罪の再犯に関する資料」で下記の記載があったから、おそらく他の犯罪と比較しても、子供への性犯罪の再犯率が高いとは言えないだろう。
「一般的に、再犯を繰り返すことが多いと認められる他の犯罪として、薬物犯や窃盗犯が主に挙げられる。これらの犯罪より再犯率が高いわけではないとしても…」
つまり再犯率は「犯罪者が未来において、犯罪を行うか?」を見る指標です。繰り返し同じ犯罪を行うと、再犯率は上がります。
それに対し再犯者率は「犯罪者が過去において、犯罪を行ったか?」を見る指標です。再犯率が高い場合や初犯が減ると、再犯者率は上がります。
日本版DBSは再犯を防ぐ目的なので、本来は再犯率を見るべきだと思います。
一方でもし性犯罪の再犯者率が高い(=初犯が少ない)とするならば、再犯防止に力を入れるのは合理的であると言えるでしょう。数の多いところに対して、対策を打つというのが最も効果的だからです。
では再犯者率はどうか。
小児わいせつ型…14.6%
https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/62/nfm/n62_2_6_4_3_3.html#n2_6_4_3_3_2_03
85%以上は性犯罪の前科がなかったようです。再犯者率は高いとは言えません。
ちなみに刑法犯全体の再犯者率は47.9%なので、他の犯罪と比較しても高くないです。
https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/70/nfm/n70_2_5_1_0_1.html
いくら再犯率が少ないといっても、再犯者のうち教職員の占める割合が高いなら、日本版DBSは効果的かもしれない。
ところが性犯罪者の教職員の占める割合なんてデータは見当たらなかった。せめて子供がどういう経路で犯罪の被害を受けたのか(SNS、親、見ず知らずの人、教員)というデータがあればよかったのだが、見つからない。それに、そろそろ探す気力もそろそろ尽きてきた。
一応、公立の小学校~高校までの教職員の懲戒処分等の状況はあった。
「児童生徒等に対する性犯罪・性暴力により懲戒処分を受けた者は96人」
https://www.mext.go.jp/content/20221222-mxt-syoto01-000019570_00.pdf
……いや結構多いやんけ。
まあ全教員数のうち0.02~0.01%くらいなので、割合としては少ないのですが。教員だけが再犯率が高いとは考えにくいから、小児わいせつ型で約10%の再犯率になるだろう。96人の内、10%なので約10人。
日本版DBSで防げるのは、この10人の内、再び教員に就こうとした者のみ。ということは、防ぐことができる再犯者の数は数人程度ということになる。
ちなみにこの懲戒免職は「強制性交等、強制わいせつ、児童ポルノ法第5条から第8条までに当たる行為、公然わいせつ、わいせつ物頒布等、買春、痴漢、のぞき、陰部等の露出、青少年保護条例等違反、不適切な裸体・下着姿等の撮影(隠し撮り等を含む。)、わいせつ目的をもって体に触ること等」をした人が対象になっています。肌感覚でしかないですが、盗撮と痴漢が多そうな気がします。
再犯の9割は20年以内に起こっています。だから日本版DBSで確認できる前科の期間も20年なんですよね。
再犯率を調べる時に、5年ではなく、調査期間を20年まで伸ばすとどう変化するのか分かれば、もっと性犯罪の再犯実態が見えてきそうな気がしました。
残念ながら、20年まで伸ばしたデータはついぞ見当たらなかったのですが、5年未満でも、5年以上10年未満でもほとんどその割合は変わらないから、おそらく再犯率は20年まで伸ばしても変わらなさそう。
以上、調べたデータたちでした。
理由①そもそも再犯率が低いから、性犯罪の前科者を弾いても、犯罪は減りにくい
理由②小児への性犯罪は再犯者の占める割合が低い。つまり初犯の方が圧倒的に多いから、たとえ日本版DBSで性犯罪者の前科のある者を弾いたとしても、効果は薄い
↑に加えて、日本版DBSの対象者は「教職員」に限定される。これでは対象者が少なすぎて、効果を出しようがない。
日本版DBSは水が下に落ちるの止めるために、ザルを使っているようなものだ。目が粗すぎて、ごく一部しかふるいに引っかからない。
ちなみに「だから再犯防止策を講じなくていい」とか「日本版DBSはいらない」とか言うつもりはないです。子供への性加害は深刻な被害をもたらすので、根絶を目指した方がいいと思っています。
ただ日本版DBSが再犯防止策である以上、再犯率の低い犯罪に対しては効果的ではなく、相変わらず教育現場では性犯罪が起き続けることになるだろうなあと。
冒頭に書いたように性犯罪者が子どもと関われないようにする、という意見は一見すごく正しく聞こえます。だから日本版DBSのような法律を作ることに誰も反対しない。むしろ、この法律を作った政治家の評判は上がり、親や学校経営者は喜ぶ。その正しそうという感覚こそが罠で、効果がないのにやっている感、対策している感が出てしまう。
でも相変わらず性犯罪は起き続けるから、子どもたちだけは苦しむことになる。
世知辛いなぁ…。
この日記では「小児」に対する「強制わいせつと強姦」のみ検討している。
13歳~17歳以下については、その年代を抜き出したデータはないので、詳しく調べることは出来ない。調べるとするなら、大人の女性も含めたデータで再犯率・再犯者率を調べる必要があるだろう。
圧倒的に再犯率が高いのは痴漢型であるが、通常、教育現場において痴漢型の犯罪が発生するとは考えにくい。なので日本版DBSについて考える時には痴漢型は考慮する必要はないだろう。
その次に再犯率が高いのは盗撮型で、これは教育現場でも発生し得る犯罪だろう
※ここでいう盗撮型は条例違反のみが対象。学校のトイレや更衣室で盗撮をして裸体が映っていた場合、児童ポルノ法違反になるのでここではカウントされない。
確かにこの部分については日本版DBSが一定程度効果を発揮するかもしれない。
だが盗撮を防ぐために、性犯罪の前科を調べるという手法は合理的であるとは思えない。教室内に防犯カメラを設置するというやり方の方がよほど効果は高いだろう。
教室内で着替えをする場合は、そこを狙われやすくなるだろうから、更衣室での着替えを徹底する、更衣室とトイレの入口に防犯カメラを設置するというやり方が学校・学習塾などにおける盗撮型の犯罪防止には効果的ではないか。
再犯率が高い、指標によっては50%以上という事実はそのリンク先からは確認できません。
そのリンクは平成27年度の犯罪白書をもとにした記事ですが、犯罪白書を確認すると、性犯罪の5年以内の再犯率は痴漢型が最も高く、約45%です。
なので50%以上ではありません。
https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/62/nfm/images/full/h6-4-4-03.jpg
おそらく50%を超えていると勘違いをしているのは前科の有無の部分かと思います。
https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/62/nfm/images/full/h6-4-3-04.jpg
以上より再犯率ではなく、再犯者率が高いという指摘のみが可能です。
なお再犯者率は初犯の人数が少なくなれば高くなるため、再犯者率が高いからと言って再犯率が高いとは限りません。単に治安が良くなり、初犯の減少スピードが速くなっている可能性もあります。
ちなみに、なぜ近年になって政府や捜査機関(処遇機関ではない点に注意)が再犯防止を叫ぶようになったのかというと、犯罪が激減してるからなのよ。
ただでさえ少子高齢化で初犯者予備軍が減ってる上に、犯罪率のコホート分析を見れば分かるとおり後に生まれた世代ほど犯罪を犯さなくなってきてるから、初犯者がどんどん減ってる。(それ故に、再犯数や再犯率の低下にも関わらず再犯者率は増加している。)
好意的に見れば初犯が減って再犯防止に手を入れられるようになったと言うのかもしれないけど、再犯率の低下を無視して再犯者率の増加を悪し様に言い立ててることから、予算維持のために民衆を欺こうとしてるというのが大方の見方。
「再入者の前刑罪名別の累計」なのでいずれにしても再犯率ではない。
「再入者の前刑罪名」なんて、再犯率が極めて低く再入者が1人しかいない場合には100% or 0%になる代物で、結局のところ再犯者率と同様、再犯の多寡をなんら推認させる数字ではない。
累計かどうかでしょ
再犯率が3割程度っていうのはどっかの専門家の話で聞いたことがあったからまあそうなんだろうって思う
かといって元増田がウソをいってるわけでもなく、元増田は性犯罪がことさら高いという事実はないと言ってる
なお再入率は徐々に下がってきている
再犯率・・・1回捕まった人が一定期間内にもう1度捕まる(犯行を犯す)割合
つまり初犯が減っていってる
皆が想像するのは再犯率で、これは調べても中々統計として出てこない
俺も前間違えた
日経新聞も前間違えてた
豆知識な
https://www.yomiuri.co.jp/national/20211224-OYT1T50133/
「再入率」の方が一般的なんだろうか?
2年以内再入率の推移を調べたほうが出てきた
https://www.moj.go.jp/hisho/saihanboushi3/html/n1230000.html
徐々に減ってるらしい
https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/69/nfm/n69_2_5_2_3_3.html
5年後は割と高いが減ってはいる
性暴力を考える時、米国の禁酒法と同じで、「違法化」したからとも言える。また、規制を強化して性暴力の指定を増やせば、新たな脱法的でより危険な性暴力が流通してしまう。マッチポンプになっているような気がする。
日本の場合、「性暴力を使う人間などいてはならない。いや、あり得ない」ことを前提に、取り締まり強化・規制に重きを置いた対策をとってきたが、問題は一向に解決していない。性暴力違反者の再犯者率が高いのが良い証拠だ。むしろ「いくら取り締まりを強化し、厳罰化しても性暴力をする人間はいる」ことを前提に、需要低減(性暴力の治療・回復支援)の対策を強化する必要がある。
だから性暴力者に罰金をかしたたり刑務所などに閉じ込めたりするのではなく、地域で地元住民の中で回復の姿を見せることが必要だ。だが、特に「性暴力防止教育」は性暴力への恐怖心をあおり、性暴力依存症という障害を抱えた人との社会内共生、包摂的な社会の実現を阻んでいると思う。
ながら運転を考える時、米国の禁酒法と同じで、「違法化」したからとも言える。また、規制を強化して指定ながら運転を増やせば、新たな脱法的でより危険なながら運転が流通してしまう。マッチポンプになっているような気がする。
日本の場合、「ながら運転を使う人間などいてはならない。いや、あり得ない」ことを前提に、取り締まり強化・規制に重きを置いた対策をとってきたが、問題は一向に解決していない。ながら運転違反者の再犯者率が高いのが良い証拠だ。むしろ「いくら取り締まりを強化し、厳罰化してもながら運転をする人間はいる」ことを前提に、需要低減(ながら運転の治療・回復支援)の対策を強化する必要がある。
だからながら運転者に罰金をかしたたり刑務所などに閉じ込めたりするのではなく、地域で地元住民の中で回復の姿を見せることが必要だ。だが、特に「ながら運防止教育」はながら運転への恐怖心をあおり、ながら運転依存症という障害を抱えた人との社会内共生、包摂的な社会の実現を阻んでいると思う。
であれば今まさに起こっている貧困層や高齢者層が引き上げる48.7%という再犯率は対策されているはずだし、
https://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2019051902000061.html
刑務所が老人ホーム代わりに使われる現状に対してセーフティネットも強化せざるを得ないはずだし、
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/022700044/022700001/
入退所を繰り返す「累犯障害者」なんて真っ先にセーフティネットで守られるべき存在なのに。
あなたの言葉の通りなら、この国にとっくに存在しているはずのセーフティーネットは、いったいどこにあるんだ?
存在するんだろう?実際にこういう状況になれば、セーフティネットは強化せざるを得ないんだろう?
ならばこの現代日本に。これらの問題を解決するためのセーフティーネットが存在するはずだろう?
どこにあるんだ?セーフティーネットは。彼らを救い上げるためのセーフティネットは、いったいどこにあるんだ?
少なくとも2019年の日本は、罪人のみが刑務所に収監されている世界ではないのだが。
ひょっとしてタイムリープとかしておられる?