ながら運転を考える時、米国の禁酒法と同じで、「違法化」したからとも言える。また、規制を強化して指定ながら運転を増やせば、新たな脱法的でより危険なながら運転が流通してしまう。マッチポンプになっているような気がする。
日本の場合、「ながら運転を使う人間などいてはならない。いや、あり得ない」ことを前提に、取り締まり強化・規制に重きを置いた対策をとってきたが、問題は一向に解決していない。ながら運転違反者の再犯者率が高いのが良い証拠だ。むしろ「いくら取り締まりを強化し、厳罰化してもながら運転をする人間はいる」ことを前提に、需要低減(ながら運転の治療・回復支援)の対策を強化する必要がある。
だからながら運転者に罰金をかしたたり刑務所などに閉じ込めたりするのではなく、地域で地元住民の中で回復の姿を見せることが必要だ。だが、特に「ながら運防止教育」はながら運転への恐怖心をあおり、ながら運転依存症という障害を抱えた人との社会内共生、包摂的な社会の実現を阻んでいると思う。