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2020-12-09

第2子妊娠中の申 真衣さん、スプツニ子!さんと「30代の卵子凍結」を

2020年における先進的な女性卵子凍結・代理母に対する率直な考えが現れている非常に重要な対談だと思うので記録のため引用する。

VERY2020年4月号「卵子凍結事業も始めるスプツニ子!さんに訊きました シンマイさんと学ぶVERY世代卵子凍結」

https://veryweb.jp/life/106461/

https://web.archive.org/web/20200817141554/https://veryweb.jp/life/106461/

以下引用

海外欧米)ではもはやメジャーカジュアルな「卵子凍結」。自然分娩や母乳育児が尊ばれる日本ではまだまだSF感の漂うマイナーな分野。でも、女性だけにタイムリミットがあり、仕事もノッてる時期に、伴侶を探し、結婚妊娠しろ、ってどうよ。と立ち上がったのが、自ら26個の卵子採取したアーティストスプツニ子!さん。結婚前に凍結を検討していたシンマイこと申 真衣さんと意気投合

※この対談はVERY2020年4月掲載時(取材2月のものです。申 真衣さんは、同年7月に第2子妊娠公表しました。

――シンマイさんももともと卵子凍結に興味があったとか……。

申 実際にカウンセリングに行ったこともあるんです。もうすぐ30歳だな、と思っていた頃にちょうど未受精卵子の凍結が日本でもできるようになって(*注1)興味が湧いて。結婚願望はなかったのですが子どもは欲しいと思っていたので選択肢ひとつとして話を聞いてみようと思ったんです。でも、当時はまだアングラ雰囲気で……。躊躇しているうちに結婚したので凍結までは至りませんでしたが。

スプツニ子!(以下ス) 私は33歳の時に初めて卵子凍結のカウンセリングを受けました。結婚もしていないしパートナーもいない。仕事もめちゃくちゃ楽しい、でも子どもが欲しかったらそろそろ考えないといけないのかな。じゃあどうする? と思った時に、日本価値観では出産の前に結婚しないといけないらしいし、結婚するには恋愛しないといけない。やらなくちゃいけないこと多すぎない?と思って、じゃあまず卵子を凍結しようと。昨年2回採卵して26個凍結しました。

卵子凍結を体験したスプツニ子!が準備中の新プロジェクトとは

ス 自分でやってみたら気持ちが変わったのを実感して。凍結卵子による妊娠100%ではないか保険みたいなものではあるけど、すごく解放された感じがあった。あぁ、これで私はもっと自由に生きられるんだって。女の人は意識していなくてもbiological clock(出産可能年齢)という枷がある。子どもを産みたかったら何歳までに○○しなくちゃ、と。日本では凍結した卵子を使えるのが45歳未満までだから、あと10年くらいの猶予がある。それだけでもこれだけ明るい気持ち仕事に取り組めるんだ、と思い、この経験もっと多くの女性シェアしたいと思いました。

申 米国だと福利厚生として導入している会社(*注2)もありますね。

ス 2018年には米国大企業17%が導入しています過去3年で3倍になっているから、今年は30%くらいに増えているかも。米国で有名な卵子凍結クリニックはNYの5番街にあって内装もオシャレ、女性自分人生選択肢を広げるために訪れるポジティブ空間英国では、採卵した卵子の半数を提供するならほぼ無料卵子凍結ができます。でも、日本ではまだ広まっていないし、中国シンガポールでは社会的適応による卵子凍結がまだ認められていない。それってもったいない

申 私も自分が興味を持った時にリサーチしたことがあって。日本でも潜在的需要は高いはず。それなのに供給はなされてない。これって事業になるんじゃないのかな?と思ったんです。

ス 実は今年、卵子凍結バンクCradle」をオープンします。興味はあるけれどよく分からいから手が出せない、そんな空気を変えたかったので情報クリアにしてもっとハードルを低くしていく予定。いくつか報告はあるのですが、35歳以下の卵子を凍結しておけば子どもができる確率10個でおよそ50~70パーセント、15個採ると70~80%。この数字を高いと見るか低いと見るかは人それぞれですが、ブランドバッグや海外旅行とそう変わらない金額人生選択肢を増やせることを知ってもらいたい。

――卵子凍結事業を始めるきっかけは?

ス もともと私は女性テクノロジーに関連するアート作品を作ってきました。テクノロジーって人類にとって平等進化しているように思われるけど、実は男性中心に動いてきてしまった歴史がある。例えば避妊ピル日本では承認ものすごい時間がかかっていて米国から30年以上遅れていて、国連加盟国の中で最後まで承認されなかったのは日本北朝鮮だけ。承認前も「女性の性生活乱れる」みたいな論争が起きて。でもバイアグラが出てきたら、多数の死亡例もあったのに、たったの半年日本議会承認したんですね。

申 ピルには30年、バイアグラ半年

ス It’s a Men’s world なんですよ。残念ですがこれまで男性目線で科学進歩してしまった。ハタチの時にそれに気づいてしまって、人類は月に行ったのに私はまだ毎月生理になっているし、妊娠出産原始時代から変わらない。周りは「女だから・そういうものから仕方ないよ」って受け入れているけど、私は『なんでだろう、おかしいな』と思っていた。だから卵子凍結という選択肢が出てきた時に、これは人類にとってすごく大事第一歩だと思ったんです。

VERY世代生殖タイムリミットにつねに急かされている

ス 社会活躍する女性が増えているのに、仕事いちばん楽しい時期と子どもを産まなくちゃいけないとされている時期がドンピシャっておかしい。どれだけ女の人の活躍が進んでも、最後ガラス天井が肉体のタイムリミット妊娠出産卵子凍結はまだ新しい技術だけど、怖がったりタブーにしておくのはもったいないと思います

申 私は入籍から1年、31歳で妊娠。このタイミングタイムリミットから逆算してそれしかないという感じでした。子どもは欲しいと思っていたし、娘のことはかわいくてたまらないので後悔はもちろんないのですが、妊娠タイミングキャリア的に最適だったかというと難しい……。昇進の時期を控えての産休だったので、復職後に頑張りすぎてバーンアウトしかけたり、と余裕のない状況にはなってしまいました。少子化問題意識を持つ男性と話すと、早く結婚しろ・早く子どもを産め、という話になりがちですが「相手もいないのにどうやって」と思います。そして、結婚すると今度は生殖可能年齢のタイムリミットが迫っているのでせっせと妊活に励まなければ、となる……。

――2人目・3人目を望むのであれば猶予がない状況も。

申 晩婚・晩産化で初産が遅れていて(*注3)、1人目が1歳になった瞬間から、『2人目は!?』というプレッシャー自分自身にかけなければいけないし、仕事もある。忙しすぎです……。子どもの年齢はできるだけ離した方が子育て的にはずっと楽だと思うのですが、生殖可能年齢のタイムリミットがそれを許さない。

ス 30代の間にAMH(*注4)は大きく変化するから、針の穴に糸を通すような感覚ですよね。今の生き方生殖バイオジーが嚙み合っていない。だからこそ、卵子受精卵の凍結はもっと知られるべきだと思います。すでにパートナーがいるVERY世代であれば受精卵の凍結もアリ。個人的には多様な可能性を残すために未受精卵も凍結することをオススメしますが!

申 日本不妊大国体外受精で生まれ子どもは16人に1人の割合でいるはずなのにオープンにしている人は少ないですね。自然に授かることを良しとして生殖医療話題は触れにくい風潮も。

ス でも、『#MeToo運動もあって女性の性や生理に対する意識もやっと変わってきてる。その流れで、生殖医療に対する意識も変わってほしいと思う。もっと自由に産む時期を決める権利があることに気づいてもらいたいです。

申 卵子凍結の次に来るのは代理母だと思うんです。

ス 卵子凍結をしても自分で産むにはリミットがあるから、その流れは必ず来ますね。

申 日本だと向井亜紀さんが代理母出産(*注5)して話題になっていたけれど、米国ではサラ・ジェシカ・パーカーキム・カーダシアンのように代理母出産するセレブがいますね。費用的にはなかなか手軽にはならないのだと思いますが、選択肢が増えることは良いことだと思います

ス そもそも男性って女性パートナー代理で産んでもらって、親として認められているのに、女性けが自分で産まないと認められない、なんておかしいですよね。大事なのは子どもに愛を注ぐことではないでしょうか。

申 憧れの女性の先輩が精子提供を受けてシングル子どもを産んだんです。もちろんシングルマザーにはそれなりの大変さもあるかもしれませんが、仕事でも成功を収めていて人間的にも素晴らしい人なのでその決断にはかっこいいという言葉しか見つからなくて。きっとお子さんはたくさんの愛を受けて幸せに育つだろうと思います

ス 女の人だって仕事があって自立していれば、子どもを産むために結婚する必要はない。恋愛結婚関係なく、望んだタイミング子どもを産める自由がある。夫というパートナーがいなくても、現にアメリカヨーロッパでは充実した社会的支援のもと精子提供を受けて生まれ子どもがすくすく育っているから、家族という形式にこだわりすぎなくていいと思います

申 国や社会家族の在り方や女性生き方を枠にはめようとしますが、子どもを持つというのは本来すごく個人的選択。その人らしい選択をできるようになればいいと思います。そのためにはまず選択肢が増えていかないと。卵子冷凍されていて子宮も借りられるとなると、何歳になっても子どもが持てる。子育てに要する体力的な問題はあります人生100年時代のこの先、50代、60 代になってから育児をするなんて選択肢があってもいいのでは、と思います

ス 私たちが当たり前に思っている家族の在り方――何歳くらいでママになって子育ては何歳くらいまで――というのがこれからどんどん変わっていくはず。好きに生きて、好きなだけ仕事して、好きな人出会えたらラッキーだし、そうじゃなくても「精子バンク子ども産むもん!」って思えたら楽しいと思う。私はそっち派です (笑)

申 私はもっと早く知っていれば20代のうちに卵子を凍結していただろうなと思います。娘には本人はその時は必要性を感じていなかったとしても卵子凍結を勧めたいと思っています免許取得を大学入学祝いプレゼントするのと同じ感覚ですね。大学生の時間に余裕があるうちなら採卵もしやすい。それに結婚を考えるパートナーがいないうちなら意思をすり合わせる必要もなく、誰かの合意必要いから。スプツニ子!さんみたいに爽やかな方が卵子凍結を勧めれば、ポジティブものだと広まりそう。

ス 私もそうしたいと思っています20代なら数も採れるし質もいいから、成人式の振り袖より卵子凍結をプレゼントする方がずっといい(笑)。申さんには卵子凍結のアンバサダーになってほしいです!

申 ぜひやりたいです(笑)


スプツニ子!/アーティスト

1985年まれ東京藝術大学デザイン准教授ロンドン大学インペリアルカレッジ数学部を卒業後、英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アートRCA)で修士課程を修了。マサチューセッツ工科大学MITメディアラボ助教2017年東京大学特任准教授を経て現職。「東京減点女子医大」(2019年)などジェンダーに関する作品も多数。今年、病院提携する凍結卵子保管バンクCradle」(https://www.cradle.care)をオープンする予定。※サイト5月ローンチ

◉申 真衣/VERY専属モデル

1984年まれ東京大学卒業後、外資証券会社に約10年勤務したのち、現在ベンチャー企業取締役を務める。2019年6月号でVERY初登場、効率を重視するワーママらしいロジカルファッションライフスタイルが注目を集めVERY世代オピニオンリーダーに。2020年3月からVERYモデル。30歳で結婚31歳で長女を出産。(2020年7月現在、第2子妊娠中)

2020-08-23

第2子妊娠中の申 真衣さん、スプツニ子!さんと「30代の卵子凍結」を

2020年における先進的な女性卵子凍結・代理母に対する率直な考えが現れている非常に重要な対談だと思うので記録のため引用する。

VERY2020年4月号「卵子凍結事業も始めるスプツニ子!さんに訊きました シンマイさんと学ぶVERY世代卵子凍結」

https://veryweb.jp/life/106461/

https://web.archive.org/web/20200817141554/https://veryweb.jp/life/106461/

以下引用

海外欧米)ではもはやメジャーカジュアルな「卵子凍結」。自然分娩や母乳育児が尊ばれる日本ではまだまだSF感の漂うマイナーな分野。でも、女性だけにタイムリミットがあり、仕事もノッてる時期に、伴侶を探し、結婚妊娠しろ、ってどうよ。と立ち上がったのが、自ら26個の卵子採取したアーティストスプツニ子!さん。結婚前に凍結を検討していたシンマイこと申 真衣さんと意気投合

※この対談はVERY2020年4月掲載時(取材2月のものです。申 真衣さんは、同年7月に第2子妊娠公表しました。

――シンマイさんももともと卵子凍結に興味があったとか……。

申 実際にカウンセリングに行ったこともあるんです。もうすぐ30歳だな、と思っていた頃にちょうど未受精卵子の凍結が日本でもできるようになって(*注1)興味が湧いて。結婚願望はなかったのですが子どもは欲しいと思っていたので選択肢ひとつとして話を聞いてみようと思ったんです。でも、当時はまだアングラ雰囲気で……。躊躇しているうちに結婚したので凍結までは至りませんでしたが。

スプツニ子!(以下ス) 私は33歳の時に初めて卵子凍結のカウンセリングを受けました。結婚もしていないしパートナーもいない。仕事もめちゃくちゃ楽しい、でも子どもが欲しかったらそろそろ考えないといけないのかな。じゃあどうする? と思った時に、日本価値観では出産の前に結婚しないといけないらしいし、結婚するには恋愛しないといけない。やらなくちゃいけないこと多すぎない?と思って、じゃあまず卵子を凍結しようと。昨年2回採卵して26個凍結しました。

卵子凍結を体験したスプツニ子!が準備中の新プロジェクトとは

ス 自分でやってみたら気持ちが変わったのを実感して。凍結卵子による妊娠100%ではないか保険みたいなものではあるけど、すごく解放された感じがあった。あぁ、これで私はもっと自由に生きられるんだって。女の人は意識していなくてもbiological clock(出産可能年齢)という枷がある。子どもを産みたかったら何歳までに○○しなくちゃ、と。日本では凍結した卵子を使えるのが45歳未満までだから、あと10年くらいの猶予がある。それだけでもこれだけ明るい気持ち仕事に取り組めるんだ、と思い、この経験もっと多くの女性シェアしたいと思いました。

申 米国だと福利厚生として導入している会社(*注2)もありますね。

ス 2018年には米国大企業17%が導入しています過去3年で3倍になっているから、今年は30%くらいに増えているかも。米国で有名な卵子凍結クリニックはNYの5番街にあって内装もオシャレ、女性自分人生選択肢を広げるために訪れるポジティブ空間英国では、採卵した卵子の半数を提供するならほぼ無料卵子凍結ができます。でも、日本ではまだ広まっていないし、中国シンガポールでは社会的適応による卵子凍結がまだ認められていない。それってもったいない

申 私も自分が興味を持った時にリサーチしたことがあって。日本でも潜在的需要は高いはず。それなのに供給はなされてない。これって事業になるんじゃないのかな?と思ったんです。

ス 実は今年、卵子凍結バンクCradle」をオープンします。興味はあるけれどよく分からいから手が出せない、そんな空気を変えたかったので情報クリアにしてもっとハードルを低くしていく予定。いくつか報告はあるのですが、35歳以下の卵子を凍結しておけば子どもができる確率10個でおよそ50~70パーセント、15個採ると70~80%。この数字を高いと見るか低いと見るかは人それぞれですが、ブランドバッグや海外旅行とそう変わらない金額人生選択肢を増やせることを知ってもらいたい。

――卵子凍結事業を始めるきっかけは?

ス もともと私は女性テクノロジーに関連するアート作品を作ってきました。テクノロジーって人類にとって平等進化しているように思われるけど、実は男性中心に動いてきてしまった歴史がある。例えば避妊ピル日本では承認ものすごい時間がかかっていて米国から30年以上遅れていて、国連加盟国の中で最後まで承認されなかったのは日本北朝鮮だけ。承認前も「女性の性生活乱れる」みたいな論争が起きて。でもバイアグラが出てきたら、多数の死亡例もあったのに、たったの半年日本議会承認したんですね。

申 ピルには30年、バイアグラ半年

ス It’s a Men’s world なんですよ。残念ですがこれまで男性目線で科学進歩してしまった。ハタチの時にそれに気づいてしまって、人類は月に行ったのに私はまだ毎月生理になっているし、妊娠出産原始時代から変わらない。周りは「女だから・そういうものから仕方ないよ」って受け入れているけど、私は『なんでだろう、おかしいな』と思っていた。だから卵子凍結という選択肢が出てきた時に、これは人類にとってすごく大事第一歩だと思ったんです。

VERY世代生殖タイムリミットにつねに急かされている

ス 社会活躍する女性が増えているのに、仕事いちばん楽しい時期と子どもを産まなくちゃいけないとされている時期がドンピシャっておかしい。どれだけ女の人の活躍が進んでも、最後ガラス天井が肉体のタイムリミット妊娠出産卵子凍結はまだ新しい技術だけど、怖がったりタブーにしておくのはもったいないと思います

申 私は入籍から1年、31歳で妊娠。このタイミングタイムリミットから逆算してそれしかないという感じでした。子どもは欲しいと思っていたし、娘のことはかわいくてたまらないので後悔はもちろんないのですが、妊娠タイミングキャリア的に最適だったかというと難しい……。昇進の時期を控えての産休だったので、復職後に頑張りすぎてバーンアウトしかけたり、と余裕のない状況にはなってしまいました。少子化問題意識を持つ男性と話すと、早く結婚しろ・早く子どもを産め、という話になりがちですが「相手もいないのにどうやって」と思います。そして、結婚すると今度は生殖可能年齢のタイムリミットが迫っているのでせっせと妊活に励まなければ、となる……。

――2人目・3人目を望むのであれば猶予がない状況も。

申 晩婚・晩産化で初産が遅れていて(*注3)、1人目が1歳になった瞬間から、『2人目は!?』というプレッシャー自分自身にかけなければいけないし、仕事もある。忙しすぎです……。子どもの年齢はできるだけ離した方が子育て的にはずっと楽だと思うのですが、生殖可能年齢のタイムリミットがそれを許さない。

ス 30代の間にAMH(*注4)は大きく変化するから、針の穴に糸を通すような感覚ですよね。今の生き方生殖バイオジーが嚙み合っていない。だからこそ、卵子受精卵の凍結はもっと知られるべきだと思います。すでにパートナーがいるVERY世代であれば受精卵の凍結もアリ。個人的には多様な可能性を残すために未受精卵も凍結することをオススメしますが!

申 日本不妊大国体外受精で生まれ子どもは16人に1人の割合でいるはずなのにオープンにしている人は少ないですね。自然に授かることを良しとして生殖医療話題は触れにくい風潮も。

ス でも、『#MeToo運動もあって女性の性や生理に対する意識もやっと変わってきてる。その流れで、生殖医療に対する意識も変わってほしいと思う。もっと自由に産む時期を決める権利があることに気づいてもらいたいです。

申 卵子凍結の次に来るのは代理母だと思うんです。

ス 卵子凍結をしても自分で産むにはリミットがあるから、その流れは必ず来ますね。

申 日本だと向井亜紀さんが代理母出産(*注5)して話題になっていたけれど、米国ではサラ・ジェシカ・パーカーキム・カーダシアンのように代理母出産するセレブがいますね。費用的にはなかなか手軽にはならないのだと思いますが、選択肢が増えることは良いことだと思います

ス そもそも男性って女性パートナー代理で産んでもらって、親として認められているのに、女性けが自分で産まないと認められない、なんておかしいですよね。大事なのは子どもに愛を注ぐことではないでしょうか。

申 憧れの女性の先輩が精子提供を受けてシングル子どもを産んだんです。もちろんシングルマザーにはそれなりの大変さもあるかもしれませんが、仕事でも成功を収めていて人間的にも素晴らしい人なのでその決断にはかっこいいという言葉しか見つからなくて。きっとお子さんはたくさんの愛を受けて幸せに育つだろうと思います

ス 女の人だって仕事があって自立していれば、子どもを産むために結婚する必要はない。恋愛結婚関係なく、望んだタイミング子どもを産める自由がある。夫というパートナーがいなくても、現にアメリカヨーロッパでは充実した社会的支援のもと精子提供を受けて生まれ子どもがすくすく育っているから、家族という形式にこだわりすぎなくていいと思います

申 国や社会家族の在り方や女性生き方を枠にはめようとしますが、子どもを持つというのは本来すごく個人的選択。その人らしい選択をできるようになればいいと思います。そのためにはまず選択肢が増えていかないと。卵子冷凍されていて子宮も借りられるとなると、何歳になっても子どもが持てる。子育てに要する体力的な問題はあります人生100年時代のこの先、50代、60 代になってから育児をするなんて選択肢があってもいいのでは、と思います

ス 私たちが当たり前に思っている家族の在り方――何歳くらいでママになって子育ては何歳くらいまで――というのがこれからどんどん変わっていくはず。好きに生きて、好きなだけ仕事して、好きな人出会えたらラッキーだし、そうじゃなくても「精子バンク子ども産むもん!」って思えたら楽しいと思う。私はそっち派です (笑)

申 私はもっと早く知っていれば20代のうちに卵子を凍結していただろうなと思います。娘には本人はその時は必要性を感じていなかったとしても卵子凍結を勧めたいと思っています免許取得を大学入学祝いプレゼントするのと同じ感覚ですね。大学生の時間に余裕があるうちなら採卵もしやすい。それに結婚を考えるパートナーがいないうちなら意思をすり合わせる必要もなく、誰かの合意必要いから。スプツニ子!さんみたいに爽やかな方が卵子凍結を勧めれば、ポジティブものだと広まりそう。

ス 私もそうしたいと思っています20代なら数も採れるし質もいいから、成人式の振り袖より卵子凍結をプレゼントする方がずっといい(笑)。申さんには卵子凍結のアンバサダーになってほしいです!

申 ぜひやりたいです(笑)


スプツニ子!/アーティスト

1985年まれ東京藝術大学デザイン准教授ロンドン大学インペリアルカレッジ数学部を卒業後、英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アートRCA)で修士課程を修了。マサチューセッツ工科大学MITメディアラボ助教2017年東京大学特任准教授を経て現職。「東京減点女子医大」(2019年)などジェンダーに関する作品も多数。今年、病院提携する凍結卵子保管バンクCradle」(https://www.cradle.care)をオープンする予定。※サイト5月ローンチ

◉申 真衣/VERY専属モデル

1984年まれ東京大学卒業後、外資証券会社に約10年勤務したのち、現在ベンチャー企業取締役を務める。2019年6月号でVERY初登場、効率を重視するワーママらしいロジカルファッションライフスタイルが注目を集めVERY世代オピニオンリーダーに。2020年3月からVERYモデル。30歳で結婚31歳で長女を出産。(2020年7月現在、第2子妊娠中)

 
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