2020-11-28

アサシンクリード ヴァルハラの流血規制についての推測

 アサシンクリード ヴァルハラの流血規制についてバタバタしている。

 11月28日時点の状況は、ユービーアイソフト株式会社(以後UBIJと略す)が「バグが原因で修正する」と発表したが、バタバタで不信感や怒りで燃え上がったユーザー(大声なごく少数だと信じたい)は収まら匿名掲示板などで怒り声は上がり続けている。

 発表時点で信頼度がかなり低下していたためか嘘と断ずる人も多いが、バグだとすれば個人的に腑に落ちなかった点に色々納得できた。

  

 事実UBIJ(およびUBI本社)が間違った情報を発信したのは確かだし、バグも多いのも確かだし、CEROという日本レーティング機関が(たぶん海外とかから苦情が来て)声明を出したのも確かなんだが、「UBIJが悪の企業で、ユーザーを騙すために嘘をついた、詐欺意図していた」というのはちょっと現実的じゃないと思うので、ここに残しておく。

  

・発売前の規制に関する項目漏れ

  

 ことの起こりはUBIJが発売前に発表していた規制に関する項目に流血規制が無かったのが発端だと思う(ヴァルハラに関しては)。

 「いざ発売してみたら、聞いてない流血まで規制されてるじゃないか! 詐欺だ!」という怒りの声が沸き上がった。怒りからこういう流れになるのはわからないでもない。

 でもUBIJが悪意を持って日本ユーザーを騙したとか、発売本数を伸ばすために詐欺的に情報を隠したというのは考えにくい。

  

 そう考えるのはUBIJに好意的からじゃなくて、彼らの目的は売り上げを上げるためだからだ。

  

 切断された首の表現や、ヌード規制をかけると発表していて、流血だけ黙っていてどれだけ売り上げが変わだろうか?

 本当にユーザーを騙すつもりなら、規制について全部黙っているのが一番だ。

 彼らは残酷表現規制とまとめて書いてもいいところを、細かく項目を出して伝えているし、事前にネット動画放送を行って製品販促を行ったりしている。真摯な態度で売り上げを上げようとしているのに、急にユーザー馬鹿にして詐欺を働くメリットが無い。

 ヴァルハラだけ売り逃げても、次に出すゲームの売り上げに響くのは馬鹿でもわかる。

  

 もう一つ、流血規制についてはオプションに項目がありオンオフできるのだ(現時点ではバグ機能してない)。

  

 じゃあ、なんで流血について黙っていたのかは、UBIJの発表通りバグ可能性が高いし、納得もできる。詐欺企業案寄りの考えでUBIJやUBIの考えた巧妙な言い訳可能性ってこともある(数パーセント?)けど、事前に動作しないオプションを残しておくのは、準備が良すぎる・・・普通ユーザー馬鹿にするためにあらかじめ用意した仕掛けというより、バグ機能してない方が妥当だと思うよね?

 UBIJの発表は、本社から「こういう規制をしたよー」という文章翻訳して出したという流れだと思うけど、バグだとすれば本社側も流血が規制されているなんて思いもしないわけなので、それは漏れる。

 バグは良いものではないけど、どうしても出てしまう。非が無いわけじゃないけど、悪意はない。もちろん、詐欺を行う意図もない。

  

 ゴア表現規制の部分で、検証甘いなぁという思う部分がある。トドメ演出で血が飛び散って首が飛んだり、手足が飛んだりする部分、これ規制かかって無くない? という感じがする。オプション機能してないし、規制も不徹底だし、流血規制バグというのも悪い方向で信ぴょう性が高い気がする。まぁ、進行不能バグが残っているのに、一部地域規制検証が十分なはず・・・経験則でいわせてもらうと、初期に出てくるのはわかりやすバグだ。この時点でこれだけでるなら、まだまだ規制に関しても出てくる可能性はある。

  

 昨今、規制に関する内容は結構センシティブというか話題になりやす問題から、UBIJはもう少し海外版と比較したり、オプションオンオフを行い自国発売版を確認してみるべきだったかもしれない。まぁ、ギリギリまで英語版しかもらえないとか、プレイできたバージョンバグが埋め込まれる前の版でしたって可能性もDay1パッチが当たり前のいまの開発事情だとありうる。

  

 購入者側としては色々混迷した結果の「バグでした」という発言は、なんか言い訳っぽいと感じるのは仕方ないけど、そこを一歩踏みとどまって冷静に考えてみると、説明が付く点が多い。

 嘘つき、詐欺って叫んでいる人、間違った情報を元に買わされた怒りに支配されて、本当に詐欺等ならどういう動機でどういう経緯だったか考えること放棄してるでしょ、ぶっちゃけ

  

CEROおよびアジア問題

  

 発売後、UBIJやアジアの各支社が規制に関して発表を行った。

 日本では関係機関相談してこのような規制になったというような説明をし、日本以外のアジアでは日本CERO準拠したと発表した。

 例えばヌード規制のいらない国で規制がかかっている妥当性はCERO名前を出さないと説明できないので仕方ないのよ。日本だけCERO名前を出していないのは、CERO準拠しているのはあえていうことでもないからか、名指しを避けたのかだろう。

  

 この件は日本以外の国で不要規制をかけたUBIアジアに怒りを向けるのが正しく、CEROに腹を立てるのは筋違いユーザーが間違っているだけ。まぁ、UBIアジアが下手を打ったといえばそうなのだが、UBIがCERO責任なすりつけたは間違いだと思う。この辺がUBIJ憎しな解釈でどんどんねじ曲げていく人への自浄作用が働かないのは炎上の悪いところ、それなりに「いや、そこは違うだろ」という人はいるんだけど、UBIJ擁護的な意見は一部否定でも認められん! という力学が働くことが多い。

 そもそも日本ユーザーは「俺はCEROの味方だからCEROへの攻撃はゆるさん!」という人でもない限りこの傾向に対する危惧はあっても、怒るようなレベルでの実害はない。

  

 そうなるとアジア各国でCEROに対する非難が出る(そもそもCERO非難すること自体不当だと思うけど)、日本の今の炎上を思えば海外ユーザーCEROに怒りを抱くものがでるのもさもありなん。

 色々苦情があったのかはわからないが、ここでCEROが「UBIJとは協議も行っていないし、流血ありで審査通してるけど?(怒)」という声明を出す。CEROが喋った! という驚きの声が上がりつつ、UBIJに怒りを抱いているユーザーCEROの反撃に拍手喝采普段ゲーマーからマイナス感情を向けられがちなレーティング機関CEROユーザーの側に付いた歴史的瞬間かもしれない。

  

 とにかく「ここでUBIJがまた嘘をついた!」という声が上がる事態になるのだけど、最初UBIJ側が流血ありでCERO審査を通して、発売版で規制していた意味がわからなかった。この時点ではUBIJ側からバグという発表は無かったから。

 嘘をつくにしても、詐欺をするにしても、この動きは説明できないように思える。

 なのでこの時点でCEROを通した後に、さら残酷表現CEROへの報告漏れが発覚したので過剰に表現規制したのかも、なんて考えていたがスッキリしなかった。

  

 これも流血規制バグであれば、流れは理解できる。

 流血以外の首切断やヌードに関する規制に関してはCERO準拠させたため、アジア全体でCERO準拠と発表したのだろう。

 ここで資本である中国に合わせたけど、それが言えないかCERO責任を擦り付けたのだろう! という説もあるけど、正直中国規制事情がわからないので、私は判断が付けられない。

 まぁ、中国レーティング機関に合わせたっていっても中国資本は意に介さない気もするし、中国に気を使ったなら、アジア全体のレーティング考慮したってぼかして言えば良いだけでCEROスケープゴートにする必要はない。流血に関してはバグであれば、そもそも規制対象ではない。

  

 中国っていうけど、香港とそれ以外で事情ことなるよね。香港以外ってバイオハザードも発売できなくて、なんか名前変えて売ってなかった? まぁ、中国云々はわからない。

(中国販売禁止されている『バイオハザード RE:2』を売るために、売り手は「隠語」や「暗号」を使う)

https://automaton-media.com/articles/newsjp/20190127-84042/

  

 (追記)調べてみたらバイオハザードに関する記事は見つけることができた。

  

 それを置いておいて、日本関係機関って何? CERO相談受けてないって言っているよという問題別にある。

 関係機関というのがCEROを指すのか、SONYなんかのコンシューマーメーカーなのか、いやいや各アジア支店相談しただけなのかが明確じゃないので困る。

 個人的にはアジア支社全体で相談してCERO基準で通せば各国でも売れそうだからCEROに通るようなこういう規制にしようと相談したということじゃないかと考えている。

  

11月30日追記

 CERO基準に逸脱する表現での販売があったとCEROが発表。UBI側は今発売している版では修正済みと報告したらしい。

 週末ぐらいに無規制版(流血規制云々ではなくみんなが望んでいた完全な無規制)がUBIのストアで発売されていた件を言っているのだと思う。他にもビデオカード付属版だと規制が無いという話もあったからそれを指すのかもしれない。

 ストアの件はゴタゴタの最中だったから「問題たから、日本版一旦差し止めて!」と慌ててストアで操作して差し止めたら、そういう仕様なのかバグなのか、操作ミスなのか海外で売っている版が買えるようになったとかじゃないだろうか。無くはないだろうけど、設定後にちゃんと動いているか購入をトライして確認するということを誰もしなかったのか? という腑に落ちない点は残る。

 CERO説明を求めているようだから説明あるといいね

  

 先の海外CERO準拠発表のお返しかどうかは・・・疑わしきは断ぜずの精神

 とはいえ、このCEROの発表も無規制販売のことを指していると明言していないので、購入者というかUBIJとCERO以外の者には説明不足だったりする。

 たぶん、騒動になっている流血規制のことかな考える人だったり、規制されているはずなのになぜか描画される首切断から出血ドバッのことかなと思う人いると思う。ユーザーには知らされていない他の何かについてかもしれない。

 こういう説明不足の点にUBIJ憎しのバイアスのかかった「事実」が生み出され、まことしやかにそれが積み重なっていくのがネット炎上な気がする。

    

・UBIJの二転三転する公式発表

  

 UBIJ側の発表が迷走した。

 最初関係機関相談して流血規制をすることになったと発表して、次はCERO発言の直後、やっぱり社内の問題でしたテヘペロと報告したのだ。

 ユーザー側としたらそりゃ怒るのもしょうがないし、信頼できないのも確かだけど、騙すつもりなら目的もなくユーザーを混乱させて喜ぶ愉快犯だし、詐欺だとしたら効果が無い。

 混迷しているし、正しくもなかったけど、騙すつもりでも詐欺でもないことは明白(いや愉快犯説っていったけど、本気であると思う?)。

  

 じゃあ、内部で何があったんだろう? となると流血規制バグなら予想ができる。これまでの推測より想像に近いけど。

 UBIJは日本支部でおそらくマーケティングチーム主体だ。開発の本体は無い。

 そうなると規制内容の詳細とか、バグの有無は本社確認するしかない。ただしバグというのはやっかいもので、特定しないと「調査中」程度しか開発チームは言えないのだ、だとしてもマーケティング部門はいつまでも調査中というわけにもいかず、色々確認しつつ回答するのだ(本当にユーザーの方を向いていない、馬鹿にしている態度なら何も言わず放置しておくんじゃないかな。結果誤報を出したけど、ユーザー真摯な良いマーケティングチームだと思うよ)。私もプロダクトに関しては開発よりなので、もうしわけないという思いを抱いている(でも、まだわからないとしかいえない)。開発側のバグなどで迷惑をかけた(まぁ、新しい事実がわかって開発からの回答が二転三転することもあった)が、信頼して矢面で対応してくれるマーケティングチームやユーザーサポートには神と崇めんばかりの感謝をしている(UBI内に信頼関係があるかは知らん)。

 そして、アサシングリードヴァルハラはお世辞にもバグが少ないゲームではなかった。世界全体で発生している進行不能に関する問題と、アジア規制に関する問題、どちらを優先して対応するかは推測するに難くない。

 何かがおかしいという思いはあっても、本社に問い合わせても「調査中」とか「仕様通り(バグは見つかってないかねこの時点で、そんなもんよ)」という回答ぐらいしかもらえない中。UBIJは何かしら発表はしなければならない(バグ特定できない場合は数か月かかるかもしれない。そんなもんよ、優先度低そうだし)。各支社と相談したけど「CEROに合わせるって話したよね。規制があるなら日本準拠しかありえないよね(バグは見つかっていない)」なんて話があったのちの、

  

日本で発売可能となる表現修正を再度検討した結果、流血表現の削除も修正項目に含まれることとなりました」

    

 という発表をしたのかもしれない。結果、続くバグという発表と矛盾することになるし、どちらかが間違っているのだから批判も信頼低下も起こるのは仕方ない。

  

追記)読み直していて勘違いに気が付いた。「再度検討」したのか、元々の規制がかかっていた原因ははっきり言えない(まぁ、バグだしこの時点ではわかってなかった)けど、発売後のこの発表をする少し前に再度検討して流血に関しては規制としたってことか、どちらにしろ後で撤回するから、早まった発表だけど、その時点の動きがより理解できた。できるだけ正確に伝えようとするユーザー向きの姿勢だよ。

  

 けども、日本馬鹿にして騙したわけでもないし、詐欺という批判ちょっと考えにくい。悪気はないんだよ。海外本社企業アサシングリードヴァルハラほど大規模なオープンワールドゲームを発売した当初に、日本の1支社が常に正しい情報を発信できなくても当たり前だと思う。間が悪かったり、CEROに飛び火したりとかあったけど・・・

 UBIJに落ち度が無いとか、UBIJが正義というつもりも無い。

 意図がある無しにかかわらず、迷惑をかけたし、間違った情報を発信している! という声に関しては、その通りだと思うしそれを否定する気は無い。悪気はないって言っているだけ、悪気が無ければ良いというのもではない! という意見に関してもその通りだと思う。ただ詐欺といいたいなら、詐欺を行う意思の立証が必要から詐欺とは言えないねというだけ。

 景品表示法は発信者意図関係なく成立するから、これを主張するなら訴えてみて欲しい。有罪が確定したら犯罪呼ばわりすればいいし、それまでは犯罪者呼ばわりは不当な決めつけだろう(容疑者?)。

  

・推測終わり

  

 まぁ、事実はUBIJのみ知るなので、推測しかできないけどバグとか、本社支社の連携の難しさとか、良く調べないで焦って発表した結果である可能性は高いと思う。

 ユーザー馬鹿にした詐欺企業ってのより現実味はあるんじゃない。

 

 嘘の定義を調べてみた(Wikiで)が「嘘とは事実に反する事柄の表明であり、特に故意に表明されたものを言う。」とある特にってところが絶対ではない感じがするけど、嘘つきと罵倒するのも罵倒する側が狭量な感じ。

 詐欺詐欺を働く意図を立証しないと駄目だから詐欺って呼ぶのは明確な悪意の証拠でも出てこない限り正しくない。まぁ、UBIJ悪意無いよきっと。

  

 というわけで、みなさん「詐欺!」とか「嘘つき!」という発言を、「UBIJは悪意は無いけど間違った発表をしてしまった!」に置換しましょう。怒り舞い踊る炎上もずいぶんマイルドに鎮火しそうな気がしますよ。

  

 炎上って現実としてどうかより、罵倒できて鬱憤を晴らせるかで正誤を決めている気がするから、彼らにはこの声は届かないだろうなぁと思いつつ。ネット発言炎上一色というのも良くないなぁと思い書いてみた。

 というか、エスカレートしすぎて広報の人への個人攻撃とか、ヴァルハラプレイ動画信者への批判にまで至っているのはひど過ぎる。よく言われるように、ネット炎上は0.5%論が正しいことを祈る。本気でUBIJが悪意を持って嘘をついたとか詐欺を行ったと思っている人が大半だとするとネットは中々絶望的な環境だ。

 自分たち普段そういう発想だから相手側もそう見えてしまうというのはあると思う。匿名煽り、煽られる世界から少し離れてみてはどうだろう。

  

 最後にUBIJは翻訳品質もいいし、色々販促もがんばっている(オデッセイの時に藤村シシンさんを呼んだのはグッジョブでした)し不当に貶める評価は無くなって欲しい。サポートは別の件で以前お世話になったけど、いかにも大企業的というか、型通りの対応改善して欲しい。商品バグも多いし、値下げも早いから発売日に買って悲しくなるから改善して欲しい。

  • 詐欺はしてないけど日本を舐めた対応したってだけか

  • 何が起こってるんだ・・・と思っていろいろ調べてたけど一番しっくりきたわ。増田続報きたからそれも解説してくれ

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