はてなキーワード: 順位戦とは
・疑惑について「報道が出る可能性」があり,それを知ったのであれば,
・かつ「このまま竜王戦に入れば七番勝負が中断になる可能性もありますし、将棋連盟にとって最悪の展開は後に隠していたと言われること」が告発の理由なのであれば,
その時点で行動すべきではないのだろうか。
これについては、その時点では「黙殺する」「無視する」という可能性も考えていたのだとすれば合理化できる。
なにせ物証はないんだ。だったら週刊誌による憶測記事として黙殺したっていい(今年の文春の将棋報道なら森内と竹俣の師弟関係破綻とかもあるが、中村記者の力量もあっていい記事になってるが所詮はゴシップの域を出ていない。もちろんそんじょそこらのクズゴシップ記事とは比較にならん出来だが)。
ところが、いざ対局してみて「挙動不審の相手に」「思いもよらない好手を連発されて」完敗し、自分でソフト検証したら「一致率が高かった」。
おそらくこの時点で理性は吹っ飛んだと思うのよね。それで逆に文春を利用して洗いざらいぶちまける手に出た。
このへん、確かに合理性は欠くと思うよ、物証はない、根拠は超一流棋士のカンと、この時点では本人の主観ではそれなりの根拠になると考えていた一致率だけ。
だけどそもそも理性が吹っ飛んでいたとしたら、逆に理解可能だと思うのね。
これも常識的に考えればそうなんだが、しかしこの件は発端からして常識の範囲をはみ出てる。
三浦がシロだったとしても、そもそもは三浦の常軌を逸したレベルの挙動不審が発端なんだし、後から後から出て来る報道を見る限り、ほとんど芥川の『藪の中』のレベルで、関係者が残らず、何らかの嘘をついているとしか思えない(全員が本当のことを言っているとしたら何らの整合性もなくなってしまう)。
だから、この件で誰がどんな嘘をついていて、その理由はなにかということを考えるのはあまり意味がない気がする。
その上で敢えて言うと、俺はこの件、Aであったとしても渡辺はそのことに関する限り嘘をついていないと思う。
それは上記の通り、自分が「被害者」になるまでは黙殺も可と考える合理性がある点、それと竜王戦に関しては、渡辺三浦両者の合意のもと金属探知機で対局前の調査を行うことの決定が10/5付で連盟より発表されていて、おそらく打診と合意は10/3以前に取れていたはずで、渡辺としてもそれで十分と踏んでいたのではないかという点。
毎日新聞に掲載された三浦渡辺の順位戦の観戦記を読むと(これも図書館で確認できたら可)、とにかく渡辺の対局中からの意気消沈が半端なくて、三浦相手に完璧に読み負けていることにすごいショックを受けているんだよね(むろん観戦記者は観戦し執筆した段階では疑惑のことは知らない)。だから、この対局でスイッチが入ってしまった、ということは、それなりに合理性があると思う。
中村記者は、そもそも連盟が三浦の処分を発表するずっと前から追っていたと文春の記事に書いていたよね(文春の記事はもし未読ならバックナンバー買うか図書館行くかで確認しておいたほうがいいと思う)。
だから自分は渡辺は、三浦との順位戦対局前からその話を聞かされていたと思う。ただ、半信半疑の上に疑わしいだけでは何もなかっただろう。
で、当の三浦に惨敗して、まさかと思って棋譜をソフト解析してみたら、という流れかと。
タイトル獲得経験者(通算1期)。羽生善治七冠王を崩した棋士である。
顔つきは朴訥とした雰囲気が有るかもしれない。野武士という異名をとったこともある。なぜかニコ生で人気(だった?)。
ソフト指しが疑われているA級順位戦の三浦ー渡辺戦は角換わりの序盤早々にポンと▲4五桂を跳ねる将棋であった。前例はあって無いようなもの。話題になったお陰で棋譜は検索すれば簡単に見つかる。ちなみに将棋の棋譜に著作権は無い。素人目にはこの桂馬は、後手が△4四歩と伸ばせば簡単に取れそうである。プロから見てもそうであったらしく、順位戦の渡辺はそう指した。その後は後手は期待通りに桂馬を取り、引き換えに先手は馬を作り2歩を得た。以降は10手ほど穏やかに進み、先手が戦端を開き一気に後手陣を攻め潰した。馬と歩得の時点で形勢は先手が良かったようだ。実際、今日の竜王戦第一局(対丸山九段)で渡辺はほぼ同局面から△4四歩を見送り、ponanzaはこの選択をそんなに悪くないと評価した。
三浦の▲4五桂にはソフトによる研究が伺える。駒損して歩得と馬を主張するところがソフトっぽいと言われる。同時に三浦の棋風も伺える。端的に言えば研究将棋とはハメ手であり、毒饅頭を目の前にチラつかせる将棋なのだ。渡辺はまんまと引っかかり、自然と思われる桂取りの△4四歩からほぼ一直線の流れで、気づけば形勢を損なった。
行方尚史八段は三浦を表して「局地戦になると異常に力を発揮する人」「狭いところでの三浦君の計算力はすごい」と評した*1。一見して選択肢の狭い局面に誘導し、そこで相手を罠に嵌め、自身の計算力を頼りに仕留めるのが得意である、というわけだ。そして三浦はこの棋風を維持するために、自身の研究に加えて他の棋士の研究をも吸い出してきた。圧倒的な研究量が三浦のウリなのだ。
第68期名人戦(2010年)において三浦は羽生善治名人(当時)に挑戦した。梅田望夫「羽生善治と現代」ではこのシリーズの第二局を通じて、三浦の棋風すなわち研究将棋の極北について論じている。三浦はここでも羽生相手に罠を仕掛けた。当時流行の横歩取り8五飛戦法の、その最新型に一撃必殺の罠を仕掛けた、のだが、この罠は関西有力若手棋士(行方は豊島将之現七段か糸谷哲郎現八段か、誰かは知らないが、と言う)を二晩ホテルに缶詰にして聞き出した研究の成果であると言われる。
自分が出席しない研究会の成果をその日の夜に電話で聞き出したりもする。後日有力棋士に公に批判された。
三浦の将棋脳の特性と、それを活かせる狭く罠を仕掛けやすい展開を収集する研究力・人脈、これによって三浦はトップ棋士たりえた。
近年ではソフトが鬼強いので、誰でも棋力に関係なく高度な研究ができるハズだ。では三浦の強みが無くなったかというとさにあらず。現に順位戦で渡辺は三浦の研究手▲4五桂に対応できず、自然な手に乗って形勢を損ねた。プロより強いソフトが行き渡った現代でも、三浦の研究力は存分に発揮されている。
つまりカンニングしなくても、三浦は十分強い。序盤は優秀な研究があるので仮にカンニングするとしたら中終盤だが、この将棋は優勢な局面から一方的な攻め将棋で終わった。カンニングが必要とは、個人的には思えない。
ちなみに羽生との第68期名人戦、三浦は4タコで無残に敗退した。形勢良しの将棋を勝ちきれず、善悪不明の将棋を手品のように負けた。
第二局で羽生は三浦の罠を看破し、三浦の研究の隙の隙を掻い潜り、見事勝利した。
中学生でプロになった。20歳で棋界最高峰の竜王を取った。タイトル通算17期、史上初の永世竜王資格保持者。名人挑戦者に未だなれない。
生え際は若くして後退した。歯に衣着せぬ実直な物言いも人気。
自玉を固めて細い攻めを繋げて一方的に殴るのが一般に渡辺っぽいとされるが、最近はどんな将棋でも単純に強い。
研究家。ソフトを使用しているがソフトの評価値はあんまり重用していないとも語る*2。
渡辺は単純に強い棋士である。2000年以降、渡辺は将棋界のトップ3以上の実力者でありつづけた。研究家であっても、三浦のような極端さは無い。
人望の厚さが伺われるエピソードも多い。佐藤天彦新名人にも慕われている。
渡辺は正義と公正の棋士である。ゆえに、三浦の若手搾取が許せないらしい。村山慈明現七段から三浦に電話で研究会の成果を根掘り葉掘り何時間も訊かれたと愚痴られた渡辺は、NHK将棋講座誌上で三浦を名指しで、質問三羽烏として痛烈に批判した。
とばっちりを受けた残り二羽の烏は深浦康市九段と丸山忠久九段である。深浦は「羽生善治と現代」にて三浦の研究将棋を擁護し、丸山は今回の将棋連盟の決定に不服ととれるコメントを出した。前述の通り、丸山ー渡辺で開幕した今期竜王戦第一局の序盤は、件のA級順位戦三浦ー渡辺戦とほぼ同じ将棋であった。丸山の意趣返しであるが、渡辺の対策が良く封じ手時点では丸山苦戦の模様。
三浦のカンニング疑惑の聞き取りに、渡辺は理事に混じって同席した。
5人前後の三浦に負かされたと推察される棋士が三浦を告発したという。根拠はつまりプロの直感である。正義の棋士渡辺は告発者の一人であり、卑劣なカンニングを許せず、またタイトル戦の直接の対決者であるから、聞き取りに同席したのだろう。
聞き取りは聞き取りだけで終わり、証拠は一切示されないが、あるともないとも知れない。
三浦からしたら、タイトル戦の直前にタイトルホルダーが連盟を味方につけて、盤外戦術を仕掛けてきたようなものである。
三浦がカンニングしていたのなら、怖くて大舞台には出れないだろう。
三浦がカンニングしていなくても、怖くて大舞台には出れないだろう。
つまり三浦相手に連敗中の渡辺が三浦を竜王戦欠場に追いやったとも言える。
まさしく陣屋事件に勝るとも劣らぬ怪奇事件。なんと命名したらよいだろうか。
将棋界を震撼させた三浦九段の疑惑だが、将棋ファンの間には様々な憶測が飛び交っている。
三浦九段の替わりに竜王戦の舞台に登場することになったのは、同じくトップ棋士のひとりである丸山九段だ。その丸山九段による「日本将棋連盟の決定には個人的には賛成しかねますが」とのコメントは、三浦の潔白を信じての抵抗を意味するのか、それとも、年末までの公式戦出場停止処分が軽すぎるという意味なのか。
ネット上の棋士たちの多くの第一声には、どちらかといえば擁護の色が見られた一方で、橋本八段のような黒断定派も現れた。しばらくして連盟記者会見からの「告発者が5人ほどいる」という追加情報が流れると、三浦九段の直近の対局者リストや夏以降とされる告発の時期、対局の重要度などから、竜王への挑戦をかけて三番勝負を戦った丸山九段も告発者のひとりではないかとの憶測も生まれた。
仮に丸山九段が告発者のひとりだとすれば、「日本将棋連盟の決定には個人的には賛成しかねますが」という発言の真意は、処分が軽すぎるという意味に受け取れる。
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いっぽう、その丸山九段を迎え撃つことになった渡辺竜王も、当初はブログでの「詳細は各種報道に任せて、ここでは省略します。」と言葉少ないコメントだけが発表されていたため、三浦九段に対してどのような思いでいるのか判然としなかった。しかし「三浦九段への聴取が行われたとされる常務会には、渡辺竜王も出席していた」という追加情報、そして渡辺竜王の「疑わしい要素がいくつか出ている状況で、やむを得ない措置ではないかと思う」というコメントがもたらされると、渡辺竜王こそが告発者の筆頭格だったのではないかと思われた。
その前提に立てば、今回の疑惑を語る上で、先に挙げた三浦九段と丸山九段の三番勝負と同じくらい重要な一局として、三浦九段と渡辺竜王のA級順位戦での一局が俄然、注目を浴びることになる。
なにより対局が10月3日と直近であったこと、そして棋士人生に大きく影響する順位戦であること、極めつけに三浦九段が「驚愕」とも評された手を放った上で勝利したことから、この対局が決定打となって、渡辺竜王が「行動」したのではないかと思われた。
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そして、本日の竜王戦開幕である。公式のニコニコ生放送も大きく荒れることなく、将棋ファンは塚田親子によるほっこり解説を楽しんでいたが、対局開始からまだ間もない午前中、その心はにわかに揺さぶられることになった。
丸山九段が、直前の、そして「疑惑」の三浦vs渡辺戦をなぞるように手順を進め、1筋の歩の突き合いこそ省略したものの、ついには三浦の放った4五桂という「驚愕」の手までをも踏襲したのである。
もちろん、前例のある手順を途中まで踏襲することは、プロの対局ではまったくめずらしいことではない。また、4五桂というのも某棋士によれば「先手の▲4五桂跳ねは昔指されていたんですが軽すぎるというので先手いいとは思われてませんでしたがここ半年位に研究されていた形です」とされ、決して想定外の手ということでもない。しかしその前例というのは、今回の大騒動の当事者であり、いま自分がいる場所に座っているはずだった三浦九段が、いま目の前にいる渡辺竜王に対して指した手なのである。竜王戦の大舞台で、指せば誰もが三浦戦を思い起こす。よほどの覚悟がないと、指せるものではない。
「日本将棋連盟の決定には個人的には賛成しかねますが」という発言の真意は、やはり三浦九段の処分に対する反抗だったのだ——
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棋士は盤上で語る。
丸山の三浦への思いはあくまで憶測であるし、「純粋によい手だったから指しただけ」とする意見や、渡辺竜王を心理的に動揺させるための狡獪な戦術とする向きもある。しかし、そのいずれにしても、丸山九段は大勢の将棋ファンや棋士を前に、盤上で語ったのだ。
ニコ生も、2chも、ついったも、男、丸山の4五桂に沸き返った。
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渡辺と三浦・丸山の間には、深い因縁がある。渡辺が最初に竜王位を獲得してまだ年の浅かった2006年、NHK将棋講座のテキスト誌上にて渡辺竜王は、当時の三浦八段・丸山九段・深浦八段の研究姿勢に対して「若手にメールや電話で聞くのはA級棋士としての自覚に欠けると思います。そういう人たちの将棋は並べる気もおきませんね。目新しい手を指しても、どうせ誰かに聞いたんだろ、と思ってしまいますので。こういう人には負けたくないです」とこき下ろした。将棋界に言う「質問三羽烏」事件である。
その直後にも渡辺は、NHK杯戦で丸山に対して初手3六歩という、プロの対局でめったに指されない手を指して丸山を挑発し、局後に解説の米長から「相手が相手だからこのくらいでいいと」と水を向けられると「そうですね」と応じ、聞き手の千葉女流を慌てさせている。
温厚で口数少ない丸山が、渡辺をどう見ていたかはわからないが、三浦に対しては、同じ「烏」として、ひょっとしたらシンパシーを感じていたかもしれない。
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重苦しくなるかとみられた七番勝負の竜王戦を、挑戦者の丸山九段は、いきなりまさかの形で盛り上げてくれた。また、避けることもできた手順を受けて立った渡辺竜王もまた、堂々たるものである。名勝負に期待したい。
名人と並ぶ称号、竜王。この二つを同時に得てこそ、将棋界のチャンピオンといえよう。
名人になるにはまずいくつか方法でプロ棋士にならねばならない。そしてプロの資格を得るとまず、序列で最下位の地位を得る。毎年、プロ棋士160名ほどを5層に分けたリーグ模様の対局を行い、各層の成績で上位下位の2~4名を入れ替え序列も整え直す。これを順位戦という。最上位のA級には10名の騎士が在籍し、各棋士がそれぞれ年9局を戦い、最優秀者が名人への挑戦権を得る。
名人になるには最短でも5年もかかり、さまざまな相手に勝ち続ける必要があるので、安定した実力がなければ名人にはなれないであろう。
竜王になるには一年でよい。そして女流枠や資格が必要とはいえアマチュア枠もある。そのかわり、竜王戦で実績を積んである1組16名から5名、2組16名から2名、その他3~6組130名ほどから4名のなかに選ばれ、さらに11名からなる変則トーナメントを駆け上がらなくてはならない。特に3~6組に割り振られたら誰にも負けずに駆け上がらないと挑戦者の資格は得られない。
竜王になるには、たった一年間でもいいが、その間は誰にも負けないほどの実力が必要となる。
竜王は渡辺明。20歳から6年間その座に就いている。竜王戦にて倒してきた挑戦者も森内、佐藤(康)、木村、と実力者ばかりである。名人挑戦への道である順位戦も、苦労しながらようやく挑戦者リーグであるA級に食い込んだ。いま成績三位であり十分に挑戦権を狙える位置にいる。そしてなにより牙城の竜王戦、土壇場で絞り出される底力は凄まじいものがある。
名人は羽生善治。40歳に到達するがますます強さを増している。七冠独占をはじめ、20年間近くどれかのタイトルを保持し続ける、対局相手のほとんどがトップレベルにも関わらず千局以上指して勝率が七割を優に超える、あと一度でも竜王を奪れば全七大タイトルで永世・名誉位が揃う。さらに今年度は現在勝率八割をも超え、王座戦では19連勝中での19連覇中と勢いが止まらない。
そして、二年前を思い出す。
そのときも渡辺は、羽生を竜王挑戦者として迎えていた。大局観、読み、研究手を咎められ、渡辺は三連敗し、崖っぷちに追い詰められた。後が無い第四局目も玉将を裸にされ、負けたかとうなだれる。しかしギリギリで詰みがないことに気づき、攻め、逆転勝ちを収めてしまう。そして続く第五・第六局を絶好調の羽生相手に圧勝、乱戦の最終局まで決め手を躊躇させたのか制してしまう。将棋界初のタイトル戦3連敗4連勝が刻まれた瞬間であった。
竜王戦が、はじまる。
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