「好景気」を他人（ひと）並の事をして真っ当にやっているだけで自動的に所得が伸びていくこと、と定義すれば、最後は1991年のバブル崩壊までで、この先は20年か30年は少なくともこの状況は来ない。
- （つまり無条件な所得拡大期はもう訪れないと言うこと。そらそうよ。と思うけども、会場は納得しているひとが1/3,あとは「えっ」ってのと「またまたー」という感じ）
「アベノミクス」であるが、アベノミクスは去年の2015年自民党総裁選の後、大きな方向転換をした。キーワードは「一億総活躍社会」である。これは「質より量への戦略の転換」だ。方策は3つうたわれた
- GDP600兆円
- 介護離職ゼロ
- 出生率1.8
GDP 目標は2020年に向けてと考えると年間3％の名目成長率が必要となるが、昨年はマイナス0.1%で挙がるどころか下がった。が、可能かどうかと言うのは、残りの2つの戦略によっては不可能ではないかもしれない。
従来アベノミクスは「トリクルダウン」理論による、輸出3業種の大手を円安誘導で高い競争力を持たせることで、標準家庭モデルにおける一家の大黒柱たる「父親」の給与を伸ばそうとした。ところが、トリクルダウンは起きなかった。
- 円安で最も恩恵を受けた大企業が最高益を更新し続ける中で、下請け企業などは逆に部品単価、工賃などが下がるという現象が発生した。
- 理由は輸出産業は高い国際競争にさらされていて、トリクルダウン（あふれ出る）ほどの余裕がなかったためだ。
そこで、安倍首相は違う戦略をとってきた。それが一億総活躍社会だ。
つまり、一人当たりの所得ではなく、世帯所得を伸ばす方向である。「父親」の所得を伸ばすのが無理なので「母親」をパートで働く今以上に働いてもらい、曾祖父の世代も「生涯現役だ」とさらに働いてもらう、と言う経済戦略が「一億総活躍社会」だ。
- 一億総活躍社会で誰が活躍するのか、と言う質問に対して、安倍首相は当時「女性」「高齢者」「障害者」と答えている。
  - (と言う話だとすると「介護離職ゼロ」も質より量の大転換で福祉対策と言うよりも経済対策なのか？と思う）
つまりアベノミクスは「質より量」という経済政策の大転換である。
すでに人手不足から結婚してリタイアした女性が子育てが一段落した段階で声をかけて呼び戻す一方、若い女性世代を若い男性社員と同等に従来男性の職場でも登用すると言う動きが見られる。
これは日本の仕組みを変える大きな大転換である。同時に新たな巨大な市場を生む。例えば洋服チェーンが従来は「季節商品」扱いされていた女性向けのスーツが季節商品ではなくなり、新しいブランドを設けたり、従来男性が食べるイメージだった外食チェーンが「働く」女性向けの店舗を作って成功しているのが例である。
これからは「他人（ひと）並み」ではだめで「他人と違う事」をして「富」を得る時代になる。中小企業の皆様も、世の中の流れをみて、新しい仕事に行ってほしい。

と言うことであった。

正直、アベノミクスが第二弾になって、そういえば失敗失敗と言われている「トリクルダウン」が確かになくなった。その後、経済対策はばらまき系になった、と認識していたのだが、須田氏の見立てでは、新しいアベノミクスの本質は、一般に、と言うか、少なくとも自分がは福祉政策だと考えていた一億総活躍社会の方にあると言う。