はてなキーワード: ルチンとは
酔った勢いでフルチンになってボコられ大恥をかいた話を前に書いたけど、似たようなことを地元の祭りの日にもあった。間違いなく俺の人生の「痛い記憶ベスト5」には入るな。
たぶん二十歳になったばかりのころで、トイレでの集団いじめがきっかけで中退した二年後だから、ふつうに地元の工場で過酷な勤務を続けていたころだ。
ほとんど親しく話せる年配者や年少者がいないにもかかわらず、祭りだけは強制参加だった(そんな了解がむかしからあった)。
でも最後まで誰とも親しくせずにフンドシですごすのはさすがに酷なんだ。
なんというか虚しさが先行する。どこにいても居場所がない。居場所がないのは慣れてて、いつものことなんだけど。祭りはなにしろ長いから。
それに非力だから地味に重い神輿がきつい。肩もいかれる。ほかの兄弟は休日だからいいけど、俺にはよくじつ肉体労働があるんよ。睡眠不足にもなるし!きつい
孤独の時間をまぎらわすため、俺は二十歳になって覚えたばかりの酒ばかりをハイペースで飲んでいたな。
酔いが回るのが超絶早かったな。
俺は悪いところだけは親父と似ていて、飲んでいるうちに何もかもにムカついて喧嘩腰になるなんだな。喧嘩が弱いくせに喧嘩をふっかけ逆にボコられるケースはこれまでに何度もあった。
祭りの後半、十一時過ぎ、神輿をかつぐ連中もだらけてきたあたりの時間だったけど、当時19歳頃の弟や当時22歳頃の兄貴が女をつれてことあるごとにイチャイチャしていた。
俺はそのころようやく出会い系で知り合った女に金だけ絞られ罵られ捨てられたばかりだったんだよ。職場でもろくなことないし。
だからむしょうにムカムカしてきたのを覚えている。それに基本的に男ばかりの祭り空間に女がチャラチャラ入り込んでいることにも不満だった。あの和気藹々のムードをぶちこわしてやろうと思った。
(俺をゲジゲジのように毛嫌いする妹によれば)これぞ人間のクズ
(俺が話しかけても全て無視する弟によれば)キング・オブ・腐れチンポ
酔いの勢いも借りて、兄貴カップルと弟カップルが仲良くしている場に乱入し大声で怒鳴ってやった。この場をなんだと思ってるんだ、いますぐ女は帰れ、みたいなことを口汚く叫んだ気がする。
想像通り、すぐに返り討ちにあったんだな。ミゾオチに兄貴の一発をくらい死ぬほどの痛みにもがいたね。一瞬目の前が真っ暗になるあれ。
兄貴もかなり飲んでいたのでメチャクチャ手荒くて、腹蹴り股間蹴りを何回も何回も繰り返してきて、地面に倒れこんだよね。その時点でK・Oだった。K・Oしてる俺の足をつかんで兄貴はかなり派手に引きずりやがった(その地面がコンクリートだから背中が残酷なくらいに剥けて、その日のシャワーはもう地獄で悲鳴あげた)。
たしかその引きずられた直後のタイミングでめちゃくちゃ吐いたと思う。腹ボコボコにされてタマ蹴りもモロで食らってたから。それにやたら息苦しかった。
祭り自体がメチャクチャやかましいのでこういうリンチはたいして目立たなかった。だからだんだんエスカレートしたんだと思う。
それに俺が盛大にボコられるのを祭りの参加者は毎回見てる(一番無意味にボコってくるのは親父なんだけど)。
兄貴は一度怒ると誰にも止められないんだよ。特に俺への怒りはすさまじいものがあったな。
地面に崩れ落ちていた俺からフンドシを力ずくで外して、グロッキーになったフルチンの俺を羽交い絞めにして、弟やその不良系の同級生どもに「おいお前ら、やりたいだけやれ」とか面白そうに叫んで、俺はかなり長いあいだ弟達のサンドバッグ状態だった。
羽交い絞めのフルチン男を五、六人の男が交代で殴るなんてありか?
尋常ではない痛みと恥ずかしさのせいで意識も遠ざかっていたな。だから細かいことは覚えていないなー。
だって殴る奴ら全員本気だし普段からガチの格闘系の喧嘩やってる連中だったから。顔は腫れあがって怪物みたいにパンパン、腹もボコボコ、足の関節も集中して蹴られたのでおかしかくなった。野球の軟式ボールを本気で投げたのも当てられるし、弟の得意技タマ蹴りは見事に直撃して気絶しかけるし(だってフルチンですから)、石や空き缶の的にもなるし、ちん毛ファイヤーはされるし(軽い火傷もした)、プロレスの関節技の実験にもされるし、顔も踏みつけられまくるし、殺虫剤はかけられるし、唾や痰は吐かれるし、もう酔いに任せた集団リンチ。
ところで俺、そこまで悪いことした?←素朴
ただ、兄貴と弟の女なんかももかなり酒が入っているので、楽しそうにキャッキャッキャッキャッ騒いでいたのは記憶してる。何人かは携帯カメラとかも向けてたし。
もっとやれ、ぶちのめせ、キンタマ蹴り上げろ、その不潔な腐れチンポ攻撃しろ、キモイだけの嫉妬野郎は退治しろ、なんてことを女どももガキどもも叫んでいた。集団リンチは怖いことを知ったな。
しょうじき殴られてるのは俺じゃなかったら絶対に誰かが止めてるはずだけどね。やっぱりボコられるのは俺で決まりという空気。それを身に染みて感じた。ふだんから嫌われてて暗くて生意気で友達ナッシングだから。しかもとびきりの不細工。周囲の評判もめちゃくちゃ悪い。
そういや弟はボクシング大好き人間でいつもシャドーボクシングみたいなことやってたので、いつも兄弟喧嘩があるとこんな展開になってたな(兄弟喧嘩といってもけっきょく俺が一方的にボコられるだけだが)。
ボコボコにされて痛くて気持ち悪くて立ち上がれないでいた俺はさいごに飲みかけのビールを頭から盛大にかけられて、いつの間にか集まってきた人垣の帰れコール、笑われながらチンポをかくして着替え場所のある公民館に命からがら帰りましたとさ(というのもフンドシは捨てられて見当たらなかったから)。
その日は帰って若槻千夏ちゃんの写真集でマスかいて寝ようとしたが、腹部と背中の中央部が痛すぎて全然寝られなかった(調子にのったガキが軟式ボールをがちで当てやがったから。しかも皮がめくれてた)。というか腹を殴られ過ぎて気持ち悪く何度も吐き戻した。そもそも殺してやりたいくらい兄と弟にムカつていた。というかあの場にいた奴ら全員をめちゃくちゃ呪っていたね。その後数か月は歩くたびに足に膝に激痛を感じて仕事にも支障出たよ。医者にみてもらったのは当然だが。あのころのメンタルはがちでやばかった。
生まれてから身も心もいつも安定してボロボロだけど、その頃はいつも以上にボロボロだったな
翌朝親父がその件を聞いて、俺はまた猛烈なビンタと腹蹴り(これはたいていセットだった)を食らい、兄貴と弟に対して土下座させられる羽目になった(親父はとにかく謝罪感情を土下座で表現させたがった。ほとんど俺だけになんだけど。俺が土下座ナンパになんの抵抗もないのはその経験のおかげなのかな。ある意味親父のおかげなのか?)。
おしまい。なんのタメにもならないクズエピソード、読んでくれてくれてありがと。
俺みたいになるなよ、みんな。