「不正義に対しては肌の色の違いを超えて共に抵抗する」という志の者だけでなく
「どうせ暴動は黒人のせいにできるしこの機会に好き放題暴よう」という者も含まれるらしい
今日の学級会会場
神棚はいわゆるウォールシェルフの場合が多く、壁の高い位置にあるので邪魔にならない。
『100日後に打ち切られる漫画家』というツイッターの連載ものが完結した。
作者は浦田カズヒロ、かつて週刊少年チャンピオンで『JINBA』という漫画を連載し、打ち切られた漫画家である。
あの作品の連載開始から星の数ほどの便乗作が出たわけだが、100日完走したという意味で、その中でもかなり特異な存在であるといえよう。
かつて週刊少年漫画誌に連載を持っていて、打ち切られた経験がある作者がこんなタイトルの連載をしているということで、それなりに話題になっていたので知っている人も多いと思う。
で、これが、凄かった。
ここには、地獄がある。
はっきりと一言で感想を言うと「どんな気持ちで読めば良いのかわからない」。
優れたフィクション作品というのは、作者が読者の感情をちゃんとコントロールできている作品だと思う。
「ここで笑ってほしい」「ここで泣いてほしい」……そういう、感情の導線がちゃんと引かれていて、読者はそれに身をゆだねていれば良い。
個人的に好きかどうかはともかくとして、あの漫画は「ここで盛り上がってくれ!」という作者の意思がはっきりと感じられる漫画だ。そりゃあ、人気になる。
で、『100日後に打ち切られる漫画家』は、とことん、作者が読者にどう思ってほしいのかが分からないのだ。
最初、私は「調子に乗ってる漫画家が痛い目にあうのをスカッとジャパン式に楽しむ漫画か」と思って読み始めた。
それらしい要素はたくさんある。
本編の主人公は、とことん愚かに描かれていて、その所業をざっとまとめると下記の感じだ。
・俺は年収一千万以上の漫画家様だと通勤するサラリーマンを嘲笑う。
・女アシスタントに手を出す。
・皮算用で調子に乗って車を買ったり服を買ったり無駄遣いをする。
・そもそも、主人公の絵が「かわいい」とも「かっこいい」とも思えない、どっちかというと不快になるタイプの顔
・「あの漫画家は実は親子で…」とかの個人情報を友人との飲み会で話す。
・ネットに書かれている批判を「嫉妬乙」といって、SNSのアカウントをブロックする
これらの要素は、控えめに見ても、まあ、好感が持てるものではない。
こういう風に主人公にヘイトを集めて最後に爆発させる。そういう話か、と思う。
けど、読み進めていくと、違和感が出てくるのだ。
もしかして作者、この主人公を「可哀想」「がんばれ」と思ってほしい、と描いてないか?となる描写が一方で沢山ある。
たとえば、こんな具合だ。
・嫉妬に狂う友人
読みながら「えーっと、好感を持ってほしいのかな?そうじゃないのかな?」と困惑してしまう。
もしかしたら、作者は、良い面も悪い面も持った愛すべきキャラクターとして彼のことを描いたつもりなのかもしれないが、はっきり言って、そういう深みを出すには四コマ100連発はページ数が少なすぎるし、
何よりも上記で彼に対し読者が感じるヘイトは尋常なものではないので、むしろ良い奴、可哀想な奴アピールされても、ただ、不愉快なだけなのである。
それは元ネタのワニからしてそうでは…と思う人がいるかもしれないが、実のところ、そんなことはない。
ワニは確かに派手なストーリー展開がある作品ではないが、「毒にも薬にもならない日常」を一本筋を通してしっかりと描けている。
ワニ君の友人たちの話であったり、女ワニさんへの恋であったり、一日ごとに進行する話としてのストーリーが地味ながらも用意されていて「明日も読んでやろうかな」という気分にさせる。
『100日後に打ち切られる漫画家』では、そういう、一本筋がない。
思いついたように調子に乗ったり、真面目な漫画家アピールをしたり、ゲス顔をしたりで、一日一日が繋がっていないのだ。
(それが上で言ったような主人公に対してどう思ってほしいかが見えてこないチグハグさに繋がっている)
そもそも、100日のリアルタイム進行という枠すら守れていない。
主人公の連載が開始するのは30日目だ。
物語は、主人公が描いていた漫画の最終回が雑誌に載った日で終わるので、10週打ち切りである。
作中では人気が落ちたどうこう路線変更がどうこうと言っているが、10週打ち切りでそんなわけはない。
たとえば48日目に主人公がカラー原稿を描いている描写がある。
場合にもよるだろうが、普通、連載開始前に数話書き溜めているだろうから、連載開始二週間ちょっとでカラー原稿がくるということは、第七話とか、第八話とかの原稿を書いているタイミングだろう。
このタイミングでカラーページをもらえる漫画が、10週打ち切りになるだろうか?
100日は一日一日をかみしめて過ごすと確かに長い日数だが、リアルでのことを考えるなら
ちゃんと考えるならただつまらなくて、人気がなくて、連載終了したというだけのストーリーにしかできない日数だ。
このへんの日数のコントロールが、全くもってできていない。
(ちなみに路線変更を促した編集者が登場したのが68日目。打ち切り宣告が79日目。
路線変更した回は、どう考えても打ち切り宣告時にまだ発売されていない)
登場人物のキャラクターも、ストーリーも、何もかもがガタガタ。
あえて打ち切り漫画家の悲哀を描くために酷いものにしたんです、ということかもしれない。だったら素直に拍手する。
かつて週刊少年誌で連載を持った漫画家が、こうもガタガタの漫画をツイッターに放り投げて、一瞬チヤホヤされる。
なんというか、辛い。ただただ、辛い。
凄い漫画だ。
リリースから5年が経ってなお、俗に言う「覇権ジャンル」の一角を保ち続けている恐ろしい人気のある作品だ。
アニメやゲームを好むオタクであれば、その名を聞いたことがない人間は殆どいないと思う。
「ああ、聞いたことはある。なんか人気なやつね。」レベルを含めれば、オタクの世界でかなりの高さの知名度を誇っていることだろう。
自分もリリース開始直後ぐらいの時期だろうか、熱中してやっていた時期がある。
創造の土台として優れた世界観、歴史と物語性、哲学のある深みを出せるキャラクター。魅力的だった。
どうしても生活を削る周回数とそれに見合う対価が得られないことに耐えられなくて、ゲームの方はやや放置気味なのだが、作品そのものは今だに好きだ。
だがそんな刀剣乱舞が最近嫌いになりそうなのだ。もう刀の字も見たくない。
というのもTwitterなどでほぼ毎日、円盤の同時視聴会を開催しているのだ。これがうっとおしい。
4月の終わり、刀剣乱舞のミュージカルのシリーズが毎日1つ無料で視聴できるキャンペーンが行われた。これが5月の頭まで続いた。
毎日夜の2,3時間の間、タイムラインにその実況がずっと流れ続ける。
自分も予定が空いていた日は視聴したりして、実況とまでリアルタイム性はないにしても少しそれについて呟いたりすることもあった。
短気な人はこのタイミングから既に鬱陶しがっていたが、「まあ1週間ちょっとだし」と思っていた。
ミュージカルのキャンペーンが終わると、今度はファンたちが自主的に視聴会を開くようになり始めた。
毎日夜の数時間、刀剣乱舞の実況がTLを走る。ほかの話題が全部それに流されていく。
5月下旬、今度は舞台のシリーズが、同様に配信キャンペーンを行い始めた。
毎日夜の数時間、刀剣乱舞の実況がTLを走る。ほかの話題が全部それに流されていく。
キャンペーンは5月31日までだった。ようやく終わるとほっとしたのに、今度はまたファンたちが同時視聴を自主開催し始めた。
4月末からずっと、1ヶ月間ずっと、実況がタイムラインを占拠している。夜の数時間ずっと。
流石にうっとおしい!!
そもそも自分は刀剣乱舞の為に構築した人間関係はない。別の話をする為に仲良くなった間柄の人たちばかりだ。
にもかかわらず、刀剣乱舞の知名度および人気が異様に高いせいで、皆が刀剣乱舞を見ているのだ。
自分も楽しいことは大好き!とりあえず乗った方が楽しい!という主義なので、最初の方は乗っていたんだ。
でも1ヶ月以上ずっととなると流石にそれにずっと付き合えるほど暇人ではない。
ミュートすればよいか。視界には入らなくなるかもしれない。だが絶対数が多すぎて今度は誰も彼も消えてしまったタイムラインだけがそこに残る。
見えなくなっただけなので、結局誰ともほかの話が出来ない。何故ならみんな刀剣乱舞を見ているから。
フォローをはずせ、というのも人数が多すぎる。
そうなるとTwitterをやめろになってきた。確かに面白くないので他サービスを見てることも増えたけど、Twitterが見たいという自分の欲望は解決しない。
どんなに好きな食べ物でも、流石にずっと食べてたら嫌いになるんだなぁと思った。