はてなキーワード: TVBとは
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皆さん、こんにちは、香港柳川日本語教室の校長先生です。まずは、この一か月の間、香港で起きた政治的な運動を簡単にまとめてみたいと思います。
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七月一日:55万人のデモ
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ここ数年、日本国内にて、一か月の中に三回も50万人以上の国民が参加した政治的運動はありましたでしょうか。不思議だと思いませんか。僕達が猛暑の中で、何時間もかけて練り歩きながら政府に自分達の要求を訴えてきたのには、ちゃんとした理由があるのです。まず、そんな人達の姿を茶番劇のように捉え、「騒がしいな」と軽く言葉を放り投げてきたあげたには、特に以下の文章を頂きたく思います。
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日本のどこのメディアのどの半人前がどのように誤解したかは知りません。ただ一つ、今、香港にいて、正々堂々と日本の皆さんに伝えられる真実は一つ:このままでは「香港」が亡くなってしまいます。
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「政府側が一歩譲っているのに…」
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日本人の方々のツイッターやフェースブックを見ていると、よく、このようなコメントが見かけられます。正直、見ていて悲しいです。それ以上に、ちゃんとした情報の伝授ができていないマスコミの事が憎くて憎くて仕方がありません。
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政府側は何も譲っていません。政府は逃亡犯条例改正案については、「延期」としか言っていません。確かに、今期の立法委員会では制度的に逃亡犯条例改正案の審議を通すことができなく、来年の七月で自然に「事実上の廃案」になるのですが、「廃案である」と明言されていない以上、決して油断してはいけないのです。
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今回のデモが起こったのも、この改正案が突然持ち出され、民意の反対を無視して急遽、強行採決されそうになったからです。なので、来年、また持ち出してくる可能性は大にありなのです。我々香港人は、この改正案が二度と復活できないよう、改正案の「完全撤回」を政府がはっきりと宣言すること求めています。
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しかし、政府側にはそのような態度が一切感じられません。悲しみ、憎み、失望、これらの感情に疲れ果てた三人の香港人が、この二週間の間、自分の人生に終止符を打ちました。中には二十一歳の大学生の女の子がいました。彼女は「この命と引き換えに、二百万人の願いが叶うことを祈ります」と言うメッセージをマンションの階段の壁に書き込んだ後、飛び降りました。二十一歳です。もったいないにも程があります。「どうか、この子の犠牲を無駄にしないように」、と皆が次にできる事を考えていた時です、「昨日、恋愛問題に疲れた女子が自殺しました」と言う報道が流されました。
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香港には共産党の息がかかったメディアが多数あります。一番大手のTVBがその一つです。彼達はこの三人の「犠牲者」の件について、一言も触れようとしませんでした。報道があったとしても、「恋愛問題に疲れたから」や「建物の上で足を踏み外した」と真実を捻じ曲げていた物しかありませんでした。そして、最も信じられないのが、二日後、彼女が残した遺言が壁から綺麗に消されていたのです。「掃除しただけだ」と、堂々とカメラの前で強調する人達がいました。悔しかったです、唇を噛み締める事しかできない自分が凄く嫌でした。
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そして、連続十日もの「引き籠り」を終えて、やっとマスコミの前に姿を現した香港政府のトップであるキャリーラム行政長官は記者会見にて、必死に怒りを抑えようとした記者にこう聞かれました、「三人もの命が今回の件で失われています。あなたの感想を教えてください」。記者の質問に対して、キャリーラムは口を開こうともしませんでした。ただただ、沈黙を保つだけ、ただただ、何事もなかったのように、静かにスポットライトを浴びていただけでした。僕達香港の政権のトップは、この三人の命について、何も語ろうとしなかったのです。市民の声なんて、最初から聴くつもりなどなかったのです。
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それもそうでしょう、香港が返還されて以来、デモに参加する人数はどんどん増えてきています。その中、大学生や中学生、更には未成年の子供達の姿がよく見かけられるようになってきています。この理由については、香港政府がこの数年間やってきた二つの「仕事」を皆さんの前で並べながら、説明していきたいと思います。
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香港の沙田駅と中環駅の間を結ぶ「沙中線」と言う鉄道の工程が今、現在この瞬間、行われています。予算1兆3427億円で、そのうち、2279億円が予算オーバーとなりました。長さ17キロメートル、平均1キロメートルにかかる費用が787億円です。皆さん、北海道と青森を結ぶ北海道新幹線を造るのにいくらかかったか、ご存知でしょうか。答えは「長さ149キロメートル合計5300億円」です。平均1キロメートルにかかるコストは36億円でした。
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これは香港市民の税金で造られた施設です。しかし、香港市民の間では、この工程に対して大きく反対の声が上げられていました。理由は二つ:「要らないから」と「高いから」です。鉄道の連結なんてもともとあるルートで十分ですし、新しい鉄道が生み出せる効率を見てみると、必要性なんてそこまで感じられません。何よりも「値段」です。以上の数字を見れば一目瞭然です。中学生でも目を丸くするぐらい、意味の分からない予算だったのです。
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僕達は抗議を続けました、手紙をたくさん書きました、色々な専門家が政府に提言をしていました。それでも、香港政府は市民たちの意見を無視して、強引にこの鉄道を造り上げたのです。それも、この鉄道の工程にはいくつもの問題点が取り上げられています。ネジが無いやら、鉄筋が切られているやらの原因で、工程は延々と長引くばかり。「玩具じゃないんだよこれ?なんでそんなミスが起こるの?」と香港人は凄く怒りを感じています。
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日本で同じような事が起こると、皆さんはどのような反応になりますか。「謝罪して辞任するのが当たり前」、僕達もそう思います。と言うか、それが民主主義の道を歩む国のあるべき「当たり前」の制度です。しかし、この鉄道の工程の責任者たちはつい先日、香港返還記念日に、中国共産党の参加者がたくさん集まるパーティーでシャンパンを飲み終わったばかりなのです。もちろん、まだまだ現役です。
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二つ目は中国と香港を結ぶ「港珠澳大橋」と言う海上道路です。予算オーバーが5732億円、合計1兆6257億円の工程でした。僕達にとってこれほど要らない物はありません。香港にいる人間が何故このような道路を使う必要があるのですか。この海上道路を使う人間は大体中国人観光客です。日本人の皆さん、もし安倍首相が「税金を使って中國との海上高速道路を造ろう!そしたらもっとたくさんの観光客に来てもらえる!」と参議院で叫んでいる姿を知ったら、皆さんはどんな気持ちになりますか。
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もちろん、これに対しても、香港人は立法会を囲んだり、デモを起こしたり、皆さんの一番賛成できる「平和」な手段で政府と話し合える窓口が作れればと頑張っていました。しかし、結果に変わりはありませんでした。僕達の政府は中国政府に媚びる事しか考えていなかったのです。
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他にも、たくさんあります。香港には公立病院が不足しています。インフルエンザのピークにもなると、トイレのドアの前にまでベッドが置かれていて、そこに貧弱な老人が寝転んでいるのです。看護師も医者は睡眠不足のなか、必死に病院の中を走り回り、数えきれない患者たちの世話をしているのです。また、大学の入学定員も極めて今の人口を満足できていません。そんななか、中国からの入学生は増える一方。そこそこ勉強できている香港人の若者が進学できない状況になっているのです。
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日本のメディアは今の香港の政権がどれほど市民の意見を踏みにじってきたか、報道してきたでしょうか。今回の政治的運動をきっかけに自殺した三人の若者達の事について、どこまで詳しく伝えていたのでしょうか。それに対する香港政府の態度を、また、どれほど具体的に、客観的に描写することができていたのでしょうか。
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もしくは、あなた達は香港の大手の報道をそのまま翻訳して載せ上げてきただけでしょうか。
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昨日、若者達が立法会ビルディングを包囲し、夜、中に突入しました。ガラスを割り、歴代立法会の司会の写真を踏みにじり、色スプレーで至る所に「落書き」を残して、深夜に去っていきました。と言うように日本では報道されていますが、もう少し、現地の香港人の目から見た光景を伝えられればと思います。
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ガラスは割りました。それも一枚や二枚ではありません。何枚ものガラスが割られました。確かに、あれは暴力です。認めるべき物は認めないといけません。しかし、「どんな状況においても、暴力はダメだ」と強調するあなたに質問です。これまで、この数年間、僕達が何万通の手紙を書いても、何回デモを起こしても、何時間練り歩いても、政府は僕達に目を向こうともしませんでした。このような政権に対して、一体、僕達が次に取れる手段とは、どんな物なのですか。「ガラスを割るイコール暴力」ですか、では、もう一つ質問させていただきます。民意を無視し続けてきた政権の暴力はいかなる物なのですか。若者達の命に目を置こうともしなかった官僚達の沈黙の暴力はまた、許せる物なのですか。
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「なんでそこまでして立法会の中に入りたがるのか」
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凄くな肝心な問題だと僕は思います。どうか、一度、子供達の立場になって考えてほしいです。二百万人もの香港人がデモを起こして政府に要求を訴えたのにもかかわらず、ちゃんとした解決法を考えようとしない政権に対して、あと、何ができるのか。仲間達の自殺が誤報されるなか、官僚達が沈黙を保つなか、残り、何ができるのか。ただただ、許せなかっただけなんです。自分の利益のためなんかじゃなく、誰かの苦しみに涙を流しながら、彼達はより多くのスポットライトを求めて、立法会に突入したのです。「僕達は香港の政権に見捨てられたんだ。せめて、せめて、この叫びを世界各国に聞いてもらいたい。それで何かが変わるのであれば、それで少しでも未来が明るくなるのであれば、僕達は命ですら投げ出してみせる」。これが、子供達の真の声です。
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はい、写真も踏みにじりました。あなたは自分の自由を奪い取り続けてきた人間の写真を目の前にして、拝むことができますか。取り外して踏みにじったところで暴徒扱いしないでほしいです。若者達の靴の下にある人間のほうがよっぽど「暴徒」です。「共産党さまさまに喜んでいただけるために」とずっと中国政府に媚びてきた官僚達が、どのような笑顔で、香港人達を裏切ってきたのか。そんな適当に誰かの写真を外して踏みにじるような行為、誰がやってどう得するのですか。少しは考えてほしいです、「どうして」を。
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色スプレーでの「落書き」ですか。「逃犯條例(逃亡犯条例)改正案の廃案宣言を名言しろ」、「香港行政長官の辞任を求む」、「抗議活動の暴動と言う定義を撤回しろ」、「抗議に参加して逮捕された市民を釈放せよ」、「警察の武力濫用に対しての調査と処罰を行え」などと言うメッセージがほとんどでした。スプレーで「汚れた」所は洗えばいい、なんなんだったら僕が子供達の代わりに洗ってやります。その代わりに、誰か、彼達が流してきた涙を拭いてやってください。本当に汚れているのは立法会の壁なんかじゃなく、今の香港の政権なんです。
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日本のメディアが「伝え忘れた」事をいくつか書き残したいと思います。立法会の食堂にてドリンクを取った後、子供達は自主的にお金を残していったのです。立法会の中には歴史的価値がある物がたくさん展示されています。子供達は「触るな」と書かれた紙をガラスに張り、他にも壊してしまうと取り返しがつかなくなってしまう物がまだあるか、巡視していました。図書館の正門には「図書には手をつけるな」と書かれた表示板が置いてありました。
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この若者達を「暴徒」を名付けようとしているあなたに質問です、「暴徒」とは一体、どんな人達のことなのですか。
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そして、最後の最後まで、残ろうとした若者が四名いました。あと十分でフル装備の警察達が立法会に着く時です。「一緒に出るぞ!」と何十人もの若者達が叫びながらこの四名の仲間を迎えに戻ってきたのです。現場にいた一人の記者が声を震わせながら帰ってきた一人の女の子にこう聞きました、「もうすぐで警察が来るんだよ?怖くないの?なんで戻ってきたの?」。女の子は涙をこらえながらこう答えました、「怖いよ、凄く怖いよ。でもね、このままだと、もうこの四人に会えなくなるのかもしれない、そう考えると、もっと怖いの。だから、皆で決めたの、一緒にここを出ようって」。それを聞いた記者は涙でいっぱいになり、質問を続けることができませんでした。
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「自分達の町のために」、「友達のために」、「弱い人達のために」、「苦しんでいる人達のために」、本当ならプリクラを撮って、ユーフォーキャッチャーを遊んで、カラオケではしゃいでいるはずの年齢の子供達が、このような心境を抱えて、政治的な議論の一番の前線に立ち、戦っているのです。
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どうか、より多くの人達に分かってほしい。今、香港で起きている事を、真実を、この政権の醜さを。ちゃんと捉えてほしい、既に三人もの尊い命が失われている事を、何人もの若者達が逮捕された事を、たくさんの血と涙が流れている事を。最後、できるのあれば、日本の社会の中でこの投稿を広めてほしい。一人でも多くの日本人の方に、香港の若者達の魂の叫びが届くように、ただただ、それを願うばかりです。
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