2020-12-24

善悪を超えて

Smoozという国産ブラウザアプリサービスを終了して、私はなんだか無性にイライラしてしまった。

WEBセキュリティを専門としないので関連記事ざっと見た感じだと、

といった感じが主とした批判理由で、批判記事が書かれた数日後、アスツール社は利用規約を変えるでもなく、サービスの一時停止でもなく、サービスを終了させた。

私のイライラの原因に、登場人物は4人いる。

Smoozを開発したアスツール社、

批判記事を書いたreliphone、

mala氏、

そしてお前ら

reliphoneへ

最初あなた記事を読んだとき、私は「こんな中華アプリみたいな情報ぶっこ抜きブラウザアプリを作るなんて、なんて腐った連中なんだ」と思いました。あなた情報小出しに勝負する様は見ていて気持ちよく、私が明るくないセキュリティに詳しいこともあって、あなた正義の見方に見えたのです。

しかし、Smoozがサービスを終了させたと聞いて、私の態度は一変しました。もしアスツール社がmala氏の言うような"面の皮が厚い連中"であったなら、最初に取る一手は利用規約を変更して、なんだかんだ理由をつけてサービスを続けるだろうと思ったからです。しかしそうではなかった。

スツール社は、アプリ使用者に「セキュリティ問題が起きたので使わないでください」というポップアップを表示する機能実装させ、ストアから削除し、サービスを終了させました。

もしかして邪悪情報売買事業者は、存在しなかったのではないでしょうか?

なぜあなたセキュリティに詳しいにもかかわらず、IPAに報告もせず(してたらごめんね)、アスツール社に報告をせず、初手でブログで開示という方法をとったのでしょう?

それはセキュリティ界隈のキャリアアップ方法が、既存サービス脆弱性を見つけて、それを指摘しSNSブログでバズらせて名を上げるという戦国時代のそれだからでしょうか?(心あたり多すぎですね?)

それとも情報セキュリティマネジメント試験には、「問:脆弱性発見した場合、これ以上被害がでないために何をすべきか」「答:SNSブログでバズらせてサービスを停止させる」という問題が出題されているのでしょうか?

不思議なことに、私の怒りはアスツールから一変、あなたに向けられることになりました。

malaさんへ

私は、このmalaさんという方が「アスツール社に脆弱性報告をしている」というのを見て、正直感しました。

なぜならセキュリティ界隈の人間戦国時代武将なので、脆弱性を見つけるや否や、スクショをとって「ここがまずい」「ここがやばい」とSNSに連投したり、なんの権限もないコールセンターとのやりとりをブログでバズらせる人ばかりだと思っていたからです。

しかし考えてもみれば、まじめに脆弱性報告をする人は目立たないのです。私はteraailでこまめに回答を書いている徳丸某氏活動には目を向けないくせに、声のでかい戦国武将活動ばかり目を向けて、セキュリティ界隈はクソだと思っていたことを恥ずかしく思いました。

しかmalaさんの以下の文言を見て、私はそれどこらではなくなりました。

似たような要件仕様が上がってきたら、多くの開発者が同じようなことをやるだろう。 上から目線評論家気取りでこれは酷いなどとのたまうばかり、火事場を外から眺めて他人事自分のことは棚に上げ、 人のふり見て我が振り直しもしない、お前もお前もお前も、漫然とインターネットをしている醜い卑しい下賤の生き物ばかり。なんとかしてくれ。

私はかつて「時間と金」を理由に、数年後に爆発する時限爆弾を見て見ぬ振りをして開発をしたことを思い出しました。そして爆発の火中に巻き込まれるのを恐れて転職しました。

そうです。私は自身仕事ぶりには棚を上げるくせに、はてなブックマークであがってきたインシデントには人一倍敏感な棚上げクソ野郎だったのです。しかmalaさん、毅然インターネットをするには人生は短すぎて、人類繁栄しすぎていますインターネットビジネスチャンスの宝庫で、殆ど人類の関心事は他者を出し抜きそのチャンスを掴むことにあります。当然、注力すべきはビジネスロジックで、セキュリティ二の次になりますあなた記事ブクマして偉そうなこと書いてる技術的に聡明な人とは違って、私のような凡人は、 あなたの書かれている脆弱性手法意味をまったく理解できていないし、関係ない話ですが機械可読性に配慮して文章を紡ぐという必要性すらも感じていません。ただ1週間の残った2日でどう人生を輝かせるかで価値が決まる人生を歩いているのです。

あなた文章を読んで、自分自身にも怒りが沸いてきました。真にクソなのは、棚上げ転職逃亡クソ野郎自分自身だったからです。確かに私はインターネットも、人生も、漫然と惰性で生きている。しかしだからといって、どうすればいいのか。ビジネス意思決定権は自分以外にあり、私にできることといったら、せいぜいが静観を決め込むぐらいだ。

残念だったのが、あなたが reliphoneに暴言を吐いたことです。セキュリティ界隈には強い言葉反論をしずらくし周りを萎縮させる重鎮が鎮座していると思っていましたが、あなたもそれになっていることです。漫然とインターネットをしない先がそれなら、蛇の道ですね。

スツール社へ

まず、私がアスツール社を知ったのは、はてブにSmoozの記事があがってからでした。

そこで私は「なんて非道アプリだ。許しておけぬ」と思い、代表取締役名前検索し、クソ野郎の顔と名前を覚えたぞ、しししと、汚い笑みを浮かべました。

その数日後、Smoozがサービス終了したとアナウンスがあり、私は驚きました。それと同時に、貴社の情報ぶっこ抜きアプリが、果たして本当に悪意によってなされたものかと考えを改め始めました。

貴社のやりたかたことは、広告収益をあげたかったので、そのために記事からキーワードを引き抜いてユーザに合った広告を出したかっただけなのでしょう。すべてのユーザがハナから有料ユーザになってくれればこんなビジネスモデルにする必要はなかったのかもしれないが、そんなことは起こりうるはずもないので、無料ユーザからは本文テキストをぶっこ抜いて、DOMをいじって広告を挿入する。これはいいアイデアだと思ったのでしょう。

今では私も同意します。これは完全にいいアイデアだ。

私も中小零細企業で働いたことのある身。凡人の自分が考えたアイデアなんて世の中にはたくさんあって、思いついたアイデアはどれもこれも上司リジェクトされる、特許で押さえられていた、法律的にアウト寄りのグレー、なんてのはありふれた話だ。会社員歴十何年の人間が、赤字部署で一度も利益を上げたことがなく嫌気が差しついには退社し増田に入り浸る、というくらいありふれた話だ。

から、多少の通信の秘密暴露がなんだというのでしょう。これは開き直ったギャグでもなんでもなく、真面目にそう思います

そうでもしないと大企業に勝てないし、潰される。あらゆることは大企業占拠している。中小ベンチャー企業にとって、それをかいくぐったビジネスモデルは死活問題だ。たとえそれが法の穴でも……タックスヘイブンで何兆もの税金を現地に還元していない大企業脱法行為に比べれば、可愛いものじゃないか

私は、設立2016年資本金1億の凡百弱小スタートアップ企業である貴社を応援したくなった。

ふてぶてしくサービスを続けてほしかった。私は クソ野郎なので、そのときはもちろん 貴社 を批判をしているだろうが、SmoozはかつてのLINEのように批判されながら成長する余地があったのではないか、という気がしました。

貴社のような弱小凡百無名スタートアップ企業セキュリティ人材を雇うのは難しいでしょう。優秀なセキュリティ人材も、 貴社を目にも止めなかったでしょう。もしかしたら、国内ブラウザの開発という、一種エンジニアの憧れを源泉にビジネススタートアップにした時点で、そのフロントエンドの複雑広大なドメイン知識キャッチアップしきれるはずもなく、セキュリティ二の次にするスタートアップ企業である貴社は必敗が約束されていた……と考えるほど、私は人の夢を悲観的に捉えてたくないのですが、やはり生き残るには、批判を跳ね返す強靭なメンタル必要なのでしょう。たとえ瑕疵が貴社にあったとしても。 "面の皮を厚く"せねば生き残れないなら。

それとも貴社は、本当は邪悪情報売買事業者で、さっさとトンズラこいたのか?

「さっさとトンズラ」なんて簡単に言ってくれる。そうですよね?

お前らへ

どっかの誰かに「漫然とインターネットをしている」とキレられたお前らへ。

はてブに聡慧たるコメントを残している皆様におかれましては、Smoozとかいう弱小ブラウザが、他ブラウザであるSafariChrome、諸Microsoft製品、その他製品諸々と比較していかevilであるかをご存知でしょう。

どんなページを見ているかがアスツール社に筒抜けであるのは嫌ですが、どんなページどころか年齢、性別検索履歴、趣味嗜好、各サービスアカウントパスワード大企業たるGAFAM様には筒抜けでも一向に構わない、という理由けがあなたの中にあるということです。アスツール批判していてLINEやってる人はいないですよね?それとも最近LINEクリーンイメージからもう大丈夫、と自分を納得させましたか

ところでChromeパスワード管理機能はすごくて、どの端末で開いても、Chrome自身アカウントログインすればその機能が使える。つまりパスワードサーバ管理されているというわけです。たとえ同期パスフレーズデフォルト有効ではなくても、Googleグローバルビッグカンパニーでnot evilなので、情報を売るなんてセコい商売をするわけがないとハナから信頼されているからこそ許される行為なのです。

Google閲覧履歴を少しずつわからないように販売している 」という発想に私たちがならないのは、Googleはそんなことしなくても事業成功しているからなのですが、「実はその心理的死角をついて」「裏をかいて」という発想すらもならないのは、やはり単純にGoogleビッグすぎるからでしょう。一方、弱小貧弱キングボンビーである中小零細企業は、少しでも怪しい所があれば、単純な知識技術不足 というよりも (弱小企業ゆえにこっちのほうがありえそうな話だとしても)、「あたりまえのように」悪意を疑われてしまます

結局、Google邪悪情報売買事業者ではなく、アスツール社は邪悪情報売買事業者で"ありうる"、という判断あなた脳内で線引きされるのは、単にアスツール社が弱小凡百零細の聞いたこと無い企業であり信頼が足りない、ということ以外に理由はなく、Googleがやっている「検索履歴やキーワードから適切な広告を表示している」というのが想像以上にドラスティックで大規模にもかかわらずグローバルスタンダードになっているので、それに比較して アスツール社が「本文をぶっこぬいて送信しているから怪しい」というのは、「やり方がせこくて本流ではなく、マナーがなっていない」程度のものしかないわけです。つまり私はマナー講師が嫌いなので、マナー講師たるお前らに腹が立っているわけです。

許せないやつはどいつだ

四者四様、いや自分を含めたら五者五様に怒りが沸いてくる。これは理不尽な、行き場のない怒りだ。大企業不祥事書類送検だが弱小企業社長懲役刑になるような理不尽さを見たときの怒り、自身の棚上げ癖と、過去爆弾を思い出したこと、それを指摘されたように感じた羞恥に似た怒り。界隈のキャリアアップ方法が、受け入れがたいにも関わらず常識になっていることへの怒り、自己矛盾、考えがまとまらない怒り……私には世界がわからない。ビジネス成功したためしがない。セキュリティもわからないし、なんなら上手な人間関係もわからない。アスツール社が邪悪かどうかの真実もわからない。ただ開発者気持ちはわかる。あの頃、やばいね、ああやばいねと隣の同僚と話していた頃を思い出す。今、Smoozの開発者の席に、私がいるような気がして、それを考えると、全ての善悪を超えて、みんな許してやってくれんかね、と思うけれど、そういうわけにはいかないだろ、とイライラが一向に収まらないんだ。

  • なにを勘違いしてるんだこの知恵遅れ malaは自分の手柄じゃないから擁護して喚いてるだけだぞ こいつはそういう幼稚なやつ そしてお前は知恵遅れ クレカ情報含むあらゆる情報を保存さ...

  • 長い ◆アスツールのだめなところ ・金儲けのために、維持すべきモラルの限界を超えてEvilな実装をした ・その過程で、意識が低いために利用者のセキュリティを危険に晒した ・relipho...

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