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2019-12-09

原作読者によるアニメ夜明けのブギーポップメモ4(13話)

(前)

https://anond.hatelabo.jp/20191209211700

第13話 「夜明けのブギーポップ 4」

STORY|TVアニメ「ブギーポップは笑わない」公式サイト

脚本鈴木智

絵コンテ演出斎藤圭一郎

作画監督:原科大樹

総作画監督筱雅律

来生真紀子と戦うために準備を整える凪。

もう人間ではなくなってしまった来生真紀子と凪が戦えば、恐らく凪は殺されてしまう。

まさしく無謀な戦いを挑もうとしている凪を見ているうちに、これまでの自分では決して選択し得ないような行動を取ってしまうモ・マーダー。

一方、来生真紀子対峙した凪は、病院を戦いの場にしないように、全力で自転車を走らせるが、来生真紀子の圧倒的な身体能力によって追いつかれ、組み敷かれてしまう。

来生真紀子は、凪を殴打しながら、恐怖を感じろと叫ぶのだが……。

原作5話「虫」後半および、エピローグ夜明けの口笛吹きREPRIZE」に相当。

アバン

自宅で「戦闘」の準備をする凪と、それを隠れて見る佐々木原作では、この時凪が住んでいるのは榊原から与えられたマンションだが、アニメは誠一と住んでいた一軒家のままということにしているようだ。

ピンクサイクリングスーツ?を着る凪(0:04)

こういう色なのは、まだ「炎の魔女」としてのスタイル確立される前だからなのか、それとも、絶縁体入りなのでいつもの黒いツナギとは別物という表現なのか。

自転車メンテナンス?改造?する凪(0:17

原作にはない細かい描写相手能力が分からない以上、準備を万端にしておくのは自然

一瞬で屋内に入り込む佐々木(0:27)

見逃しそうになるほど一瞬。というか、初見では見逃していた。なお原作では、佐々木マンション内には入っていない。

工作マットの上のスタンガンやハンダごてなど(0:28

タンロッドを改造、もしくは自作した跡。

荒々しく外へ飛び出す佐々木(0:57)

自分でも訳のわからない焦燥に苛まれて」いるのがよく伝わる。

誠一「人間は、統一された意志など〜」(0:59)

霧間誠一の(もちろん架空の)著書『人が人を殺すとき』の一節を、誠一自身の声で読み上げる。直前の、キョウと凪のセリフフラッシュバックと併せて、二人の言葉が誠一から引用であることを示している。

今回のアニメはどうやらテロップを使った演出をなるべく避けているらしく、霧間誠一の著書から引用基本的にこのようなセリフの形で行われている。当然、テロップ場合よりも尺の制約を大きく受けることになるわけで、原作の霧間誠一語録は、本筋に関わるもの外大半がカットされている。仕方のないことではあるが、もったいない

本棚の『人が人を殺すとき』(1:16)

他のタイトルは、「犯罪心理学」「〜想の中の心理学」「恥知らず傍観者」「生き抜く精神」。

いずれも、恐らくは霧間誠一の著書ではないが、「恥知らず傍観者」はブギーポップ原作者によるジョジョスピンオフ小説恥知らずのパープルヘイズ」を連想させる。

周囲を見回す凪(3:18)

逃走経路の確保?

警備室で監視カメラを見る佐々木(3:37)

原作では単に先回りして物陰から凪を見守っていただけだが、「物陰から」にも限界があることを考えるとこちらの方がいいか。床には警備員らしき人物が倒れている。

凪と対面する女医(の格好をしたピジョン)(3:55)

小柄な印象があったが、この時の凪よりは背が高い?

ピジョンライフルケースを見た佐々木想像(4:46)

麻酔銃で凪を狙撃し急患として運び込ませ、当直の医師としてゆっくり料理する計画(と思い込まされた)

これはあくま佐々木予測しかないが、はっきりと映像で見せてしまたこと、察しが良すぎること(ライフルケースを見ただけで「麻酔銃?」はさすがに)、本来佐々木能力が作中で説明されていないこと、などが重なった結果、原作未読者の中には佐々木能力を「予知」だと勘違いした人もいたらしい。言葉だけで説明するよりスマートな造りだとは思うのだが、難しいところ。

黒髪ピジョン(5:12

派手な髪色のデザインは、このシーンでのミスリードを想定したものでもあったのだろうか。

ピジョン「やっぱり、あんたは殺人鬼ね!」 佐々木「なんとでも言え」(5:17

オリジナルのやりとり。ピジョン言葉に一瞬目を泳がせ、凪の「あんたは本当は優しい人間だ」というセリフフラッシュバックを間に挟んでの言葉に、佐々木の諦念が感じられる。

眠っている?警備員(5:51)

来生の策にしては、何をしたのかよく分からない。単なる居眠りなのだろうか。

4階から降ってくる来生(6:00)

一応膝を使って衝撃を殺してはいるが、両足(しかも爪先)だけの堂々とした着地。効果音もズドンと力強い。

来生「ハーイ、お待たせ凪ちゃん」(6:03)

旧作アニメ放送当時のCM使用されたことでも印象深い名(?)シーン。今回も来生の禍々しさがよく出ている。

黒田案山子と鳩が〜」 ピジョン案山子相手は〜」(6:24

アニメではこの回想で初めて使われた会話。

ピジョン接触する来生(6:33

原作では回想で簡潔に済まされている部分を、具体的に描いている。

ゴミからエサを漁るカラス(6:47)

アニメではカットされた「霧間凪スタイル」の内容を意識したものだろうか。だとすれば気の利いたサービスで嬉しい。

来生「あなた人間になりたいと思わない?」「誰かが言ってたわ、人間は恋と革命のために生まれてくるのだって」(7:11

太宰治斜陽から

このような既存名言その他を用いたオリジナル台詞は、3話のブギーポップ弓道における美とは〜」があったがその唐突さに比べて、今回はピジョンの心の弱みに来生が付け込むという状況に、かなり自然マッチしている。

鈴?の音(7:27)

本作におけるブギーポップ出現の合図。

ピジョンスケアクロウ、迎えに来てくれたのね」(7:30)

口が動いているため、原作とは異なり一応は声に出して喋っている言葉のようだ。

逃げる凪と追う来生(8:19)

恐らくは、10話で黒田佐々木が通ったのと同じ道。佐々木と比べて来生の走り方は、獣のように野性味があるものとなっている。

街灯を足場に大ジャンプする来生(9:14)

10話の黒田連想させるが、黒田場合よりも街灯の破壊の度合いが大きい。

石礫を受けて倒れ込む凪(10:05)

原作では「水たまり」となっているが、この大きさだと沼か?

凪「人目を気にしなかったのは犯人じゃない〜」(10:43)

原作では、里香からの聞き込みの直後に提示された情報。ここに持ってきたのは、凪と来生のやり取りを増やすのと、意外な事実として突きつけることでミステリ解決編風の味付けをする狙いか

来生「あっはぁ!まさしく人は見かけによらないわよねえ!」(12:14)

表情といい口調といい、嫌味が絶好調

佐々木の部屋で偽装を行うピジョン(13:03)

物の少なさに佐々木らしさが感じられる部屋。

凪の冷静さに激昂する来生(13:18)

ここからの表情は一線を超えて「顔芸」の領域に入っている。少々行き過ぎな気もするが、強烈な印象を残すのはたしか

凪の腹を殴る来生(13:34)

腹パン

来生「何に失敗するっていうの?」(14:24

左手無意味プラプラさせる動きが妙に気になる。

凪「反撃にだよ」(14:38)

攻撃から「反撃」への変更。ニュアンスとしては分かるような気はするが……

水を通したスタンロッドによる電撃(14:41)

わざとバッグの中身をばらまいて、あらかじめ水の中に「通電物質」を溶け込ませていた、という設定はたぶんカット。ここはハライチ岩井勇気も残念がっていた。

赤熱して爆発するスタンロッド(14:55)

改造スタンロッドが一撃で壊れたという記述原作にもあるが、見た目で分かりやすくするためか、だいぶ派手な表現になっている。もう一本のロッドに持ち替えてさらに電撃で追討ちをかけるくだりはカット

来生に飛びついて関節を極める凪(14:59)

腕ひしぎ十字固め、でいいのだろうか。詳しくないので不安

腕がもげて逃げ出す来生(15:07)

アニメ身体欠損表現にうるさいと思っていたのだが、そうでもないらしい。一応、切断面は袖で隠れてはいるが。

ブギー「ここからは、僕に任せてくれ」(15:31

セリフと共に、沼から「泡」が浮かび上がる。

ブギー「急激な進化を遂げた肉体が電気衝撃によって〜」(15:53)

地の文情報セリフに変換。ブギーなら何を知っていてもおかしくないので便利。

来生「いつでもいいわよ!どこからでもかかってらっしゃい!」(16:18)

ここに関しては、狂気に歪んだ表情と声ではなく、堂々した態度に描いてほしかった……と初見では感じたが、原作を読み返すと、

それは、もはやかすれた声が破れかけている喉からひゅうひゅうと漏れているだけの弱々しい声だったが、しか彼女の耳にはそれは見事な口上として響いた。

ということなので、客観的映像化するならこれで正しいのかもしれない。また、怖がりとしての本性を取り戻した来生が、それでも約束を守るために「真剣勝負決闘」に臨もうとしただけで、「最も美しい瞬間」と言えなくもない。

ブギー「フィア・グール」 来生「恐怖喰らい、それが私の名前、なのね……」(16:25)

原作では地の文でのみ呼ばれていた名前を、最期の瞬間にブギーにより名付けられたという形で処理。イマジネーターやバットダンスなど、ブギーが世界の敵に名付けを行う展開は原作にもいくつかあるので、違和感も少ない良アレンジ

「そうかい」の直後に首切断という、無慈悲であっけない瞬殺の印象はやや薄れたが、ここはトレードオフなのでしかたないだろう。

キョウ「だから言っただろう」(16:41)

セリフ佐々木の心の中の幻だが、このキョウの姿は佐々木に突き落とされた瞬間のものか。

ブギー「君は、これからも続けるつもりなのかい」(18:59)

そう聞かれて、「そうだな……正義の味方かな」の時の黒田を思いだす凪。直後に映るのは、二人が初めて出会った「ガーデン」の現在光景

やけにもっちりしたブギーポップ(19:27)

もちもち。

ブギー「ブギーポップ?とでも名乗っておこう」(19:41)

たった今思いついた名前を、自分でも確かめるような言い方が絶妙。表情ははっきりと左右非対称。

直前に挿入される黒田の姿は、「泡みたいにすぐに弾けて消える、死に際のはかない願望だ。ずいぶん不気味だがな」の時のもの。このやり取りを原作から少しずらしてこの位置に持ってきたことで、凪とブギーポップ、二人のオリジンに共に黒田が大きく関わっていることが明確に強調された。

空間(19:58)

夜明けの口笛吹きREPRIZE」パート

ブギー「そもそも黒田慎平が霧間凪を救おうとしなければ、マンティコアや君が世に放たれることもなかったわけだ」(20:09)

オリジナル10話での、黒田施設RS22TTU襲撃の余波でマンティコアエコーズが統和機構から脱走した(二人はRS22TTUに囚われていた)、という話のようだ。

これが原作の設定と矛盾せずに済むかどうかはすぐには分からないが、少なくともアニメだけで見れば、エピソード同士の結びつきを強める意味でも、「いろいろなことが絡みあっている」という「夜明け」のテーマ的にも、良い改変だと思う。

ブギー「この世界もそろそろ限界だ」(20:26)

ブギーの口笛とエコーズハミングによる、マイスタージンガー合奏カット。尺を食うので仕方ないが、もったいない

エコーズ世界を遠くから見守っていきますよ。(略)あの人の代わりに」(21:12

紙木城直子の姿が挿入。順当な解釈ではあるが、「あの人」については、反響ではないエコーズ本人ではという意見も一応ある。

ブギー「まずは、歪んだこの世界から戻る方法ゆっくり考える」(21:23

原作は、「この、ゾーラギが壊した廃墟世界の元をつくった歪曲王と会うことになるか」。歪んだ〜と言っているので全く無関係とは考えにくいが、同じものを指しているのかは不明

アニメ最終話(歪曲王5)ラスト竹田と再会しているのもこの世界(とよく似た場所)なので、ブギーポップの待機場所的な扱いのようにも思えるが……

「笑わない」のラストで水乃星透子の飛び降り、「VSイマジネーター」エンドロール夜明けの光、そしてこの「夜明け」の「歪んだ世界」と、次のエピソードに繋がる要素が毎回最後に盛り込まれていることになる。

ブギー「実は僕自身、いつどこからたかは分からないんだ、戻るまで」(21:31

「歪んだ世界」に来るまでの話(ムーンテンプル)のようにも、現実世界で藤花の中に現れる前の話のようにも見えるオリジナル台詞ダブルミーニングでないのなら、たぶん後者意味なのだろうが、だとしたらもう少し明確にしてほしかった(「戻るまで」が少し分かりにくい)

目を離した隙に消えているエコーズ(21:46)

原作と違って、消滅の瞬間は見せない。

夜明けの光?の中に消えていくブギー(21:59)

口笛は無し。流れている劇伴がいいので不満はない。が、聞こえないだけで本当は吹いていると思いこんで見たいところ。

消える瞬間にいつもの鈴?のSE



総評

まず何よりも、情報の取捨選択がうまくいったエピソードという印象が強い。原作読者がアニメで見たい(であろう)部分の大半が的確に拾われ、原作で盛り上がる部分がアニメでも見せ場として扱われている。ここに関しては、原作の4(5−1)話構成と、アニメ4話という尺が噛み合ったのも大きい。

変更部分に関しても、大半はメディアの違いや時代問題で納得できる内容になっている。10話のアクションのような原作ではさほど情報量の多くないシーンの映像化は、原作読者のイメージと大きくズレるリスクもあるが、結果としてこのエピソードは賭けに勝った。そして、そういった積み重ねで作品への信頼が生まれてさえいれば、多少違和感を覚える部分があったとしても、肯定的解釈しようという気にもなるだろう。

良く出来ていたから良かった、みたいな当たり前の話をしている気もするが、ともかく、このエピソード存在だけでも今回のアニメ化には意味があったと、改めて思う。

 
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