はてなキーワード: マンデートとは
EUの文書がフェミサイドの定義を書いていると言っている人がいるので、そのメモを書いておく。
まず話に上げられていたフェミサイドの定義が書いてあるとされる文書はこちらのこの箇所。
Official Journal of the European Union/ISSN 1725-2423/C 227 E/Volume 51 4 September 2008/149page/E.
URL:https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=OJ:C:2008:227E:FULL&from=EN
“E. whereas the term feminicide emanates from the definition of violence against women which is laid down in Article 1 of the Convention of Belém do Pará as follows: any act or conduct, based on gender, which causes death or physical, sexual or psychological harm or suffering to women, whether in the public or the private sphere; whereas the punishment and eradication of feminicide is an obligation and must be a priority for any state based on the rule of law,”
“E. フェミニサイドという用語は、ベレン・ド・パラ条約第1条に規定されている「女性に対する暴力」の定義に由来するものであるが、その定義は次のとおりである。すなわち、性別に基づき、公的領域であるか私的領域であるかを問わず、女性に死または身体的、性的、心理的な危害や苦痛を与えるあらゆる行為または行動である。”
URL:https://www.wikigender.org/wiki/convention-of-belem-do-para/
預託先 米州機構事務局(General Secretariat of Organisation of American States
女性に対する暴力の防止、処罰及び根絶に関する米州条約(通称:ベレン・ド・パラ条約)[1]は、米州機構(OAS)内で締結された国際人権文書であり、米州において女性の権利を保護・擁護するためのメカニズムを確立し、公私を問わず、女性の身体的、性的、心理的な完全性に対する暴力と闘うことを求めている。
この条約は、1994年6月9日にブラジル・パラー州の州都ベレンで開催されたOAS第24回総会で採択され、1995年3月5日に発効しました。2012年8月現在、OAS加盟国35カ国のうち32カ国が批准しています(カナダ、キューバ、アメリカ合衆国の男女共同参画は未加盟)。90年代半ばにベレン・ド・パラの条約が採択され、広く批准されたことは、女性の権利を守るための闘いにおける画期的な出来事です。特に、この条約は半球の人権に関する他のどの条約よりも多くの批准を得ており[2]、女性に対する暴力の問題を具体的に取り上げた歴史上初めての条約です。[3)条約の遵守を監督する機関は、OASの機関である米州人権委員会(IACHR)と米州人権裁判所である。
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1 背景
2.2 各国の義務
3 米州における保護の仕組み
3.2 条約の実施をフォローアップするメカニズム(MESECVI
4 参考資料
5 参照
6 外部リンク
7 フィードバック
背景
ベレン・ド・パラ条約は、米州女性委員会(Comisión Interamericana de Mujeres:CIM)によって起草されました。1928年に設立されたCIMは、女性の人権認識を保証するために設立された最初の政府間機関であり、OAS内の各加盟国に代表者を置き、アメリカ大陸における女性の権利とジェンダー平等について議論し、政策を策定する主要なフォーラムとなっている[4][5]。
条約はその前文で、女性に対する暴力は「女性と男性の間の歴史的に不平等な力関係の表れである」と述べ、すべての女性が暴力から自由である権利には、あらゆる形態の差別から自由である権利も含まれると認識しています。これは、女性に対する暴力の問題の深刻さ、女性が歴史的に受けてきた差別との関連性、そして暴力を防止し、罰し、撤廃するための包括的な戦略を採用する必要性について、アメリカ大陸全体で感じられている一様な関心を反映しています[6]。 この条約のもうひとつの注目すべき質は、米州人権システムの他の文書に含まれる規範と創造的に組み合わせることで条約の強度を高めることができるという意味で、国連宣言が提供する領域を超える広範な戦略と執行メカニズムを提供していることです[7]。
実際、2011年に欧州評議会(CoE)で「女性に対する暴力及び家庭内暴力の防止及び対策に関する条約」が採択されるまで[8]、ベレン・ド・パラの条約は、女性に対する暴力の問題を具体的に取り上げた世界で唯一の国際条約でした。
しかし、2004年にアムネスティ・インターナショナルが指摘したように、この条約は女性に対する暴力の根絶に向けた国際的なコミットメントであり、アメリカ大陸で広く批准されているにもかかわらず、条約採択から10年経っても、この地域の女性に対する暴力行為は根絶されたとは言い難い状況にあります[2]。
ベレン・ド・パラ条約の第1章は「定義および適用範囲」と題され、女性に対する暴力を「性別に基づいて、公的領域であるか私的領域であるかを問わず、女性に死または身体的、性的、心理的な危害や苦痛を与える行為または行動」と定義し(第1条)、身体的、性的、心理的な暴力を含むと理解されています(第2条)。保護される権利」と題された第2章では、「すべての女性は、暴力から自由である権利を有する」(第3条)--あらゆる形態の差別から自由であり、女性が劣等感または従属感の概念に基づく固定的な行動様式および社会的・文化的慣行から解放されて評価され、教育を受ける権利を含む(第6条)--、および「地域的および国際的な人権文書に具現化されているすべての人権および自由を承認し、享受し、行使し、および保護する権利」(第4条)を定めています。締約国は、女性に対する暴力が、女性の市民的、政治的、経済的、社会的および文化的権利の自由かつ完全な行使を妨げ、無効にすることを認識する(第5条)。
第3章では、この章のタイトルに沿って、「国家の義務」を概説し、必要な国内法や行政機構の導入に特に重点を置いて、「あらゆる適切な手段により、遅滞なく、このような暴力を防止し、処罰し、根絶するための政策を追求する」ことを締約国の義務としています(第7条)。しかし、それだけではありません。続いて、プログラムを含む「漸進的に具体的な措置を講じる」という締約国の義務の概要と定義が述べられています。
b. 教育プログラムを通じて、男女の社会的・文化的な行動パターンや偏見、男女の劣等感や優越感の考え方に基づく慣習や固定観念を修正すること。
c. 司法行政に携わるすべての人々、特に警察官やその他の法執行官の教育・訓練を促進する。
d. 暴力を受けた女性に対し、シェルター、カウンセリングサービス、被害を受けた子どものケアと保護を含む適切な特別サービスを、公的機関および民間機関を通じて提供すること。
e. 教育を通じて、女性に対する暴力の問題とその救済策に関する認識を促進すること。
f. 暴力を受けた女性が、公的、私的、社会的な生活に完全に参加できるように、効果的な再適応プログラムや訓練プログラムへのアクセスを提供すること。
g. あらゆる形態の女性に対する暴力の根絶に貢献し、女性の尊厳の尊重を強化するために、メディアが適切なガイドラインを作成することを奨励すること。
h. 女性に対する暴力を防止し、処罰し、根絶するための措置の有効性を評価し、必要な変更を策定し、実施するために、女性に対する暴力の原因、結果、頻度に関連する調査および統計その他の関連情報の収集を確保すること。
i. アイデアや経験の交換、および暴力にさらされている女性の保護を目的としたプログラムの実行のための国際協力を促進すること(第8条)。
これらの措置を採用するにあたり、締約国は、特に人種や民族的背景、または移民、難民、避難民としての地位を理由とする女性の暴力に対する脆弱性、および妊娠中に暴力を受けた女性、障害者、未成年者、高齢者、社会経済的に不利な立場にある女性、武力紛争の影響を受けた女性、自由を奪われた女性の脆弱性を特別に考慮することが求められている(第9条)。
米州における保護の仕組み
締約国が条約に基づく義務を確実に果たすために、特定の保護メカニズムが設けられている。すなわち、(1)ベレン・ド・パラの条約自体に見られるメカニズム、(2)2004年に別個の法律によって創設された「条約の実施をフォローアップするメカニズム」(MESECVI)と呼ばれる追加メカニズムです。
ベレン・ド・パラ条約の第4章「米州保護メカニズム」に基づき、各国が条約を採択または批准すると、OASはこの引き受けた義務を、人権の促進と保護に関する2つの活動分野で監督します。1)米州女性委員会(CIM)、2)米州人権委員会(IACHR)と米州人権裁判所で構成される米州システム。
CIMの監督的役割は、2年ごとに発行される定期報告書[9]を通じて、「女性に対する暴力を防止及び禁止するために採用された措置、並びに暴力の影響を受けた女性を支援するために採用された措置、並びにこれらの措置を適用する際に観察されるあらゆる困難、及び女性に対する暴力の要因」(第10条)をCIMに更新する締約国の条約上の義務の結果である。このような報告書に基づいて、CIMは、そのマンデートと目的に沿って、女性の権利とジェンダー平等の分野で政策を策定し、締約国に勧告を行うことができます[10]。
米州システムの監督機能には2つの側面がある。第一に、このような機能は、締約国およびCIMが条約の解釈に関して米州裁判所に勧告的意見を求めることができる限り、米州裁判所の能力の下にある(第11条)。第二に、このような機能は、締約国が条約第7条で定められた義務に違反しているという苦情を受け取り、送信する権限を有する限りにおいて、米州機構の能力に該当する。このような苦情は、OASの1つまたは複数の国で法的に認められた個人、グループ、または非政府組織が提出することができます。「米州人権委員会は、米州人権条約および米州人権委員会の請願書の提出および検討に関する規約および規則によって定められた規範および手続きに従って、かかる主張を検討するものとする」(第12条)。
司法国際法センター(CEJIL)が2006年に発表したポジション・ペーパー[3]によると、条約の発効以来、CIMは条約に基づく締約国の報告書を受け取っていたが、限られた資源、報告書に関する十分な議論の欠如、報告書の独立した検証と詳細な評価の不実施などの理由により、条約から生じる国家の義務に対するフォローアップの影響は制限されていたという。この論文では、ベレン・ド・パラ条約の採択は、IACHRの機能に属する苦情処理手続きに関しても、最初の10年間でIACHRに提出された事例の数が限られていたこと、IACHR事務局長のリソース不足、米州システム機関の構成などの理由から、期待されたほどの影響を与えなかったと述べている。以上のことから、CIMとIACHRは、その任務を遂行し、ベレン・ド・パラの条約を批准した多数のOAS諸国が引き受けた公約の実現に貢献する上で、大きな困難を抱えていました。
このことは、条約発効後5年以内にCIMが調査を行い、条約の目的が達成されていないことが明らかになったことから[11]、ベレン・ド・パラ条約のフォローアップ・メカニズムの設立に必要な措置を講じることが委任された。
条約の実施をフォローアップするためのメカニズム(MESECVI
2004年10月26日、OAS事務総長が締約国会議を招集した際に、ベレン・ド・パラ条約実施フォローアップ機構(MESECVI)の規約が承認されました[12]。 MESECVIは、条約の目的達成に向けた進捗状況を検証するための、独立したコンセンサスベースのシステムです。MESECVIは、条約の地域への影響、女性に対する暴力の防止・処罰・根絶における締約国の成果、関連する公共政策の実施における既存の課題を検証するために、条約の締約国と専門家委員会(CEVI)との間で経験や技術協力を交換する場を通じて、体系的かつ継続的な評価を行うための方法論を提供しています[13]。”
↑のベレン・ド・パラ条約は”女性に対する暴力”の定義であって、フェミサイドの定義ではない。
また、”Official Journal of the European Union/ISSN 1725-2423/C 227 E/Volume 51 4 September 2008/149page/E.”はフェミサイドの定義を説明しているのではなく、ベレン・ド・パラ条約第1条を引用して”女性に対する暴力”にフェミサイドも含まれるということを書いている。
さらに、”Official Journal of the European Union/ISSN 1725-2423/C 227 E/Volume 51 4 September 2008”の中でもフェミニサイドとされているのは女性の殺人事件のみである
参議院議員選挙が近づき、れいわ新選組の山本太郎議員がした減税のためなら安倍内閣とも組むとの発言が支持者の間で炎上する一方、立憲民主党が経済政策を発表するなど、経済がニュースになった1週間でした。山本太郎議員は「2%を目指して物価を上げる」を公約にし、立憲民主党は「上げるべきは物価ではない、賃金だ」を公約にしています。どちらが正しいのでしょうか?
おまんじゅうが10,000個の経済があったします。1コ100円ならGDPは1,000,000円です。
これが翌年90円に値下がりしたとします。数量が同じであればGDPは900,000円です。物価全体が下がることを「デフレ」といいます。
「名目成長率」はマイナス10%ですが、これは物価が10%下落したからで、それを差し引いて考えた「実質成長率」は0%で、名目成長率<実質成長率となりました。
ところでおまんじゅうの値段が下がれば、同じお金でおまんじゅうが余分に買えるようになったのだから、とてもよいことのように思います。でも、来年の物価が下がるとしたら、企業は人を雇うでしょうか。お金を金庫にしまっておけば同じお金でも来年は価値があがって余分に物が買えるようになるのだから、人なんて雇いませんよね。借金して投資するなんてトンデモない。返済の負担が重くなるのですから。投資が落ち込み、雇われる人が少なくなります。雇われる人が少なく、お給料の総額が減れば物を買う人が少なくなり、次の年はさらに消費も落ち込みます。さらに物の値段が下がるのだから、ますますお金は使われなくなります。こうして物価の下落と経済の縮小がらせん階段を下っていくように進むありさまを「デフレスパイラル」といいます。企業の「内部留保」が増えているのはデフレだからです。
民主党政権時代、物価はほぼ全期間下がり続け、名目成長率は常に実質成長率を下回っていました。だから民主党政権時代は、現金を持っている人、安定した職がある人は「物が安くなった」と幸せでも、不安定な職しかつけなかった人、これから職に就こうとする人にとっては最悪で-デフレになれば売上も下がりますが仕入れも下がります。ただ同じように下がらないものがあります。それは「借金」と「賃金」です。借金は物価が下がっても減りませんし、正社員の賃金には下方硬直性があります。それゆえデフレ化で企業にとって借金と並んで一番負担に感じられるのは賃金です。だからデフレになると新卒の採用と不安定な就労層の雇用が一番打撃を受けるのです。-安月給で長時間労働を強いるブラック企業が全盛でした。
物価が上がればどうでしょうか?お金を持ったままだと来年価値が減ってしまいますから、人を雇ってより儲けなければなりません。だから企業はより人を雇うようになります。
デフレを放置した民主党政権下で雇用がヘロヘロだったのも、2014年に成長率の名実逆転を解消し(17年ぶり)、2017年に需給ギャップを解消した(9年ぶり)安倍政権下で雇用が劇的に改善したのも、経済学的にはまったく理に適っています(なお、先日朝日新聞に"年収200万円未満が75% 非正規のリアルに政治は"という記事がありましたが、この記事がアベノミクスによっても雇用に成果がでていないというのであれば明確に誤りです。また雇用環境が改善したのは少子高齢化や団塊世代の大量退職のせいだという人がいますが、それも誤りです。この記事はその点を説明するためのものではないので、詳しくは論じませんが、失業率の分母は生産年齢人口ではなくて労働力人口で、労働力人口は民主党政権化では増えておらず、安倍政権下では増え続けているとだけ指摘しておきます。)。
党首討論で、枝野議員は、「経済の数字の最終成績はどこなのかと言ったら、やはり実質経済成長率。2010年から12年の実質経済成長率は1.8%。2013年から18年は1.1%。これが客観的な経済のトータルの総合成績であることは、自信をもって申し上げたい。」と発言し、安倍首相に「実質成長の自慢をなされたが、名実逆転をしている実質成長の伸びは、デフレ自慢にしかならない。」と諭されていましたが、まさにそのとおりです。立憲民主党は物価を上げずに賃金をあげて雇用も増やすとしていますが、それは卵を割らずにオムレツを作りますといってるのと同じです。
では、上がった方がいいとして、毎年10%も20%も上がるのがよろしくないのは当然として、なぜ2%なのでしょうか?
理由は3つです。まず、それが経済成長にとって最適というのが現時点のコンセンサスだからであり、為替レートの安定のためであり、デフレに陥らないためです。
FRBは「年2%」が物価の安定と雇用の最大化という2つのマンデートを達成するには最適としています。
"The FOMC noted in its statement that the Committee judges that inflation at the rate of 2 percent (as measured by the annual change in the price index for personal consumption expenditures, or PCE) is most consistent over the longer run with the Federal Reserve's statutory mandate."
https://www.federalreserve.gov/faqs/money_12848.htm
ECB(欧州中央銀行)は中期的に「2%を超えない、但しそこに近いところ」を目指しています。
"The primary objective of the ECB’s monetary policy is to maintain price stability. The ECB aims at inflation rates of below, but close to, 2% over the medium term."
https://www.ecb.europa.eu/mopo/html/index.en.html
イングランド銀行(イギリスの中央銀行)もすべての人の将来の計画を立てるのに資するとして「2%」をターゲットにしています。
"To keep inflation low and stable, the Government sets us an inflation target of 2%. This helps everyone plan for the future."
https://www.bankofengland.co.uk/monetary-policy/inflation
オーストラリア準備銀行(オーストラリアの中央銀行)も「2~3%」のインフレ率を目指しています。
"The Governor and the Treasurer have agreed that the appropriate target for monetary policy in Australia is to achieve an inflation rate of 2–3 per cent, on average, over time. This is a rate of inflation sufficiently low that it does not materially distort economic decisions in the community. "
https://www.rba.gov.au/inflation/inflation-target.html
世界の中銀が2%にしているのはそれが経済成長と物価の安定のためには最適というのがコンセンサスだからですが(1つめ)、そのなかで日本だけがそれより低い目標を掲げるということは、ちょっと物価が上がると他国に先駆けて引き締めますと事前にアナウンスしているのと同じことになりますから、事あるごとに円高が進んでしまいます(2つめ)。
3つめの理由は、いったんデフレに落ち込むとなかなか抜け出せないからです。日本の経営者はアベノミクスでデフレが解消しても内部留保を取り崩すことには慎重なままです。経営者もマクロ経済学を理解しているわけではないので、この20年間合理的だった経営=金をできるだけ使わない=が行動原理として染みついてしまっています。そして高齢化が進行し、低成長が常態になって、常にデフレ圧力がかかっている環境で、インフレ目標をたとえば1%などに設定して、低い物価上昇率をもって金融緩和を止めてしまうと、すぐにデフレに陥ってしまうのです。その失敗を日本は2000年と2006年に経験済みで、最近だと昨年末にECBが同じミスを犯しました。
麻生財務大臣から財界の幹部や朝日新聞まで、ことあるごとに「2%なんて無理なんだからさっさとその目標を放棄せよ」と提言していますが、彼らより山本議員の方が正確に経済を理解しています。
物価が上がった方がいいというのは、私たちが生活で感じる直感とは異なります。私も物の値段は下がった方がうれしいです。但し、直感にしたがった行動が、悪い結果をもたらすことはしばしばあります。法学、経済学、社会学、それを知ることに学問の価値があるのだと思います。
(追記)
dc42jk 現在の経済状況からは金融緩和と財政拡張政策の両方が必要だと思う。その両方を掲げているのはれいわしかない。自民も金融政策に触れてないし立民は金融引締めを示唆している。
まさに。賃金の上昇はどうしても物価の上昇に遅れますし、デフレ脳に染まった経営者を変えるのは簡単ではないので、デフレ脱却の過程ではどうしても、特に安定した雇用を得ていた層の実質賃金が低下します(新たに職を得た人が増えたので、総雇用者所得は増えてはいますが)。それを補うために積極的な財政支出が求められるのですが、1年目を除き高齢化に伴う社会保障費増以外の財政支出の拡大を渋ったのが安部政権の最大の問題点です。現在、国債は新規発行のたびに0.1%程度しかクーポンがつかないのにその4倍も5倍も札が入り(落札利回りはマイナス)、政府債務の調達はただ同然、これはデフレ現象そのものである民間部門の過剰貯蓄、特に企業のISバランスのI<S化と表裏一体です。ご指摘のとおり金融緩和とあわせて財政拡張をしない手はないのに、その両方を掲げているのは国債を財源に、奨学金をチャラにして、最低賃金1500円を政府が補償し、公務員を増やし、公共事業を積極的に行いますとしているれいわ新撰組だけです。
(ご参考)
「日本の財政政策の選択肢」オリヴィエ・ブランシャール・田代毅(2019年5月)
https://piie.com/system/files/documents/pb19-7japanese.pdf
「景気の回復が感じられないのはなぜかー長期停滞論争」ローレンス・サマーズ、ベン・バーナンキ 、ポール・クルーグマン、アルヴィン・ハンセン(山形浩生:翻訳)(2019年4月)
"Macroeconomics"(12th Edition) " Robert J Gordon (2013年)
https://www.amazon.com/Macroeconomics-12th-Pearson-Economics-Hardcover/dp/0138014914
(未翻訳ですがアメリカの代表的なマクロ経済学の教科書です。IS-LM分析の箇所で日本に対する処方箋が取り上げられています。"combined monetary-fiscal policy expansion""The IS and LM curves shift rightward together"れいわの政策はそれに合致しています。)
(追記2)
左派・リベラルはほんとうに山本太郎に乗ってほしい。今まで何か提言する度に、財源はどうするんだ、そんなことして景気はだいじょうぶなのかと突っ込まれ、やれ法人税の増税だ、富裕層の増税だ、行政改革で埋蔵金だと、見当外れなことを言うだけで(法人税は支払うのは企業ですが負担するのは庶民です。富裕層の増税は格差縮小の意味はあっても財源にはなりません。埋蔵金なんて結局みつからなかったし、公務員減らせば貧しくなるだけです)、結局有効な提案を何ひとつできませんでした。何を言っても信用されないのはそのせいです。
そこに、自民党と異なる価値観を唱えながら、景気はむしろ良くします、財源はありますという政治家が現れました。しかもブランシャールやサマーズ、ゴードンのような権威ある学者の提案と軌を一にしている。これに乗らない手はないでしょ?
(追記3)
立憲民主党は「アベノミクスによって事実上の財政ファイナンス化した弛緩した金融政策について、市場と丁寧に対話しつつ、正常化を図っていく。」要するに、日銀による長期国債の買い入れ=量的緩和は財政ファイナンスであり、やめますとしています。そのうえで消費税増税凍結を訴えています。国債発行も減らして消費税増税分の2兆円もあきらめる、足りない分は金融所得と法人税に課税するというのだから、その二つの税金は大幅にアップするということになります。金融所得に対する課税強化はリスクプレミアムを高めるので、日銀による買入れ縮小と同じく金融引き締め効果があります。すべての経済学の教科書に書いてあるとおり、法人税を支払うのは企業ですが、負担するのは庶民です。
彼らの政策を実現したらどうなるか。FRBが利下げを示唆し、ECBが量的緩和への復帰を口にしているなか、日本だけ量的緩和をやめます、リスクプレミアムを高めます、金融は大幅に引き締めますというのだから、円高が急速に進みます。物価上昇率は下落し、またデフレに戻るでしょう。企業業績は悪化し、円高で特に製造業が打撃を受け、そこに増税が追い打ちをかける。雇用がシュリンクし、製造業の海外移転が拍車をかける。特に地方の高学歴でない層の雇用やこれから就職する人たちの雇用環境が大幅に悪くなります。民主党政権のころの方が実質成長率が高かったから良かったと今でも主張する人たちなので当然なのかも知れませんが、彼らは要するに民主党政権当時に戻します、と言っています。同じく消費税増税に反対していても、デフレが最大の問題だとするれいわ新選組(「新撰組」じゃなくて「新選組」でした。ややこしいのは良くないと思いますが…)とは方向性がまったく違います。