はてなキーワード: 借地権とは
空き家の問題を語る時は、色んな話がごちゃまぜになりがちなので、
ガッツリボジショントークで、解説してみることにする。
要は「固定資産税が変わらずに、撤去費用役所持ちなら、何が変わる?」という話。
みんな空き家買おうぜ。
NHKの「郊外住宅地の見えない空き家」では、あえて郊外という高度成長時代の職場から離れたベッドタウンに焦点を当てている。
ただ、途中のグラフでも上手いこといってないように、東京の単身・老人世代が多いとか、ちょっとチグハグだ。
まず、「空き家」を、理解しやすいように4つに分類しておこう。
本来は「郊外住宅地の見えない空き家」には入らない話なんだが、グラフにすると入ってきちまう。
古くなってきたワンルームマンションで、学生が減ると、まあ空くよね。
あとは、地方の一戸建て。誰も借りない。不動産屋でも持て余し気味。
親が死んで相続したけど、もう俺マンションローン中だしなあ、なんて物件。
両親の思い出を整理する時間はないし、かと言って全部捨てるには忍びない。
売ろうかなあ、どうしようかなあ、とちゃんと税金は払ってるパターン。
賃貸も販売もそうなんだけど、バブルって言うと言い過ぎだが、思った値では売れないね。
のに、やっぱり人間「家賃は下げたくない」「この値段以下では売りたくない」となりがち。
まあ、掲載料を頂ければ高値で掲載し続けても不動産屋的には問題無いですからね。
別に借り手見つからないとか、売れないとか、不動産屋困らないし。
思い出の家として倉庫代わりにしてたり、昔の土地を売って都会でマンションでも買いたいんだけど
「古家付きなんで評価的にはマイナスですねぇ諸経費引くと150万くらいかな」とかで売りたくない。
あと、超揉めてる。そもそも誰が相続したのかわからない。撤去費用がないしなあ。
とかナントカやってるうちに、経年劣化や台風一過であちこち壊れていく感じ。
売れないか、売りたくないか、どっちかだから。
(なお、課税標準1/3になるタイプの家はまあまあレアケースだから触れない)
なんか変じゃない?
その廃墟は、年間3~10万円くらい無駄にカネが出て行ってる。
もちろん古家を潰せば18~60万円になるから潰す理由はない。
じゃあ、なんで住んでもいないのに売らないの?
簡単な方からね。
「思い出の家」や「バブルの残り香」だと、売りたくない。
単に近所の人が「あそこ空き家だし、不審者が住み着いても嫌だし……」というレベル。
まあ、治安悪化につながりかねないというのも判らなくはないが、
実体的にはバブル期のリゾートマンションとかも、結構こういうの多い。
リゾートマンションみたいに不払い管理料で、とかは実は管理組合が競売にかけて強制的に精算するって荒業がある。
(たいてい管理組合が機能してないから問題なのであって、残債整理も行政が手を入れるという手段は残されてる)
これが、「あの土地は高く売れる」とか「先祖伝来の土地だから」とかで放置されると廃墟になる。
これね、売主が満足する値段が付けば売れるという意味で売りたくない理由に聞こえるかもしれないんだけど、
実質的に「売れない」のよ。売主が納得する値段は(たぶん)本人が生きてるうちにはつかない。
(バブリーな地価上昇が夢物語だと言うのは同意してもらえると思うが、そう思わないお年寄りも多いということよ)
身寄りのない年寄りにも法律的には権利のある親類が居るかもしれない。
母親は老人ホーム。兄貴は売ってカネにして分けようというが、妹が「父は生前残してほしいと言ってた」とか揉めてる奴。
もうね、正直触りたくないですそういう揉め事。
築年数不明な古家付き借地権。土地はその辺の顔役が持ってて絶対売らない。田舎。300万。買う?
人は減ってきてる。空き家が増えてる。
ということはだよ。わざわざ郊外まで行かなくても、手頃な値段の家って沢山あるのよ。
職場から電車で一本。駅近。でも古家付きで売れない。こういうのは更地にして新築立てりゃ売れますよと言いやすい。
調べたら実家の近所の廃墟もオヤジの持ち家だった、物納するにゃカネがある。そもそも廃墟だから物納対象外だ。
値段を下げたら売れる?売れない。そもそも仲介手数料の旨味もないし売り込む理由がない。
だから、「郊外住宅地の見えない空き家」は、どん詰まって放置される。
(蛇足。民法第717条読むと、ボロ家を捨て値で貸せない理由がわかるよ。無過失責任超重い)
固定資産税取られるぐらいなら売ったり貸したら良いのに、という質問が本質。
売れないし貸せないんです。
撤去費用も立替費用もなく、売り更地にも新規賃貸物件にも出来ない。
売れるアテもない。引き取り手もいない。
これが「固定資産税UPは一定期間保留」だけだとあんまり減らない。
追加で「警告から一定期間後に、撤去費用は役所持ちで、強制撤去」にするとほぼ無くせるとは思う。
4月1日に「2020年迄に都内の木造密集エリアを解消」なんて見出し記事が流れてた。
(荒川区町屋、世田谷区太子堂など。大震災時に大規模火災の危険性・消火活動が困難)
見出しだけしか読まない人は、2020年に木造密集エリアが「解消される」と解釈してしまうだろうが、
関係者である自分に言わせれば、完全な「見出し詐欺」としか言いようがない。
正しくは「解消するように努力する」、いや「解消できればラッキー」程度のシロモノでしかない。
タテマエは政策目標として「2020迄に解消」と国土交通省は発表するだろう。
しかし、実際に2020迄に木造密集エリアが解消するとは、当の国土交通省が思ってないだろう。
内心、「半分、いや3割が解消すれば御の字」程度の認識じゃないか?
そもそも阪神大震災の時に、散々「木造密集地の早期解消を!!」が叫ばれた。
あれから19年。19年間解消しなかった課題が、急にあと6年で解消する訳がない。
強制収用でもするのか?
いわゆる木密エリアの解消政策に、何か新たな特効薬でも用意したのか?と調べてみたが、
本気でやるなら「木密特区には、ドーンと1世帯辺り2000万円の全額補助金を付けます」位の
予算の大盤振る舞いをしないと2020年の木密解消は不可能
また役所の悪い癖で、
「建て替え費用の全額を役所が補助金で負担する」という思い切ったことはせず、
「役所は半額負担するから、あなたも半額負担してね」的補助金で、木密解消が進むと思い込んでる。
そういう手法が通用するのは、太陽光発電補助金みたく、「本人がやりたい意欲マンマンな場合」のみ。
太陽光の補助金などは、自ら「太陽光を付けたい」という「水を飲む気がマンマンな馬」が相手だから、
一方、木密エリア建て替えは、「水を飲む気がさらさらない馬」に水を飲ませる作業。
木密エリアの問題点というのは、「不燃化されてない」ということ以上に
「前面道路が4メートル未満で、建替え時にセットバック必須(敷地の一部が削られる)」な点。
敷地の一部が削られることで、建物も従前面積が建たない、狭くなる可能性もある。
つまり自分の土地財産の毀損を伴う訳で、「仮に全額補助金がついても、やりたがらない人が多い」。
それこそ
「町屋尾久243ヘクタールの不燃化に、総額1兆円を投入する」のような大盤振る舞いをしないと、
2020での100%不燃化という「政策目標」達成は不可能だろう。1兆円掛けても可能かどうかわからないが。
また、木密エリアの事情として、権利関係が錯綜してる点がある。
土地の底地権者、建物所有権者、借家権者がバラバラ、というのがザラ。
しかも借地上の建物だと、取り壊したら借地権が消滅したりするので、絶対建替えに応じない、というケースもありえる。
2020年迄に解消させるには「このエリアに関しては借地借家法の特別法を作る」くらいの荒業が必須になるが、
そういう話は聞こえてこない。
更に、木密エリア住人は相対的に年収も低く手元資金も少ない。そして高齢化している。
「自分が生きてる間に大地震が来る訳ないから、対策しない」「地震で死ぬなら天命」と諦めてる高齢者も多い。
1.「カネが掛かる」以外に
先日から木密エリア解消ニュースのツイートチェックしてるが、100はあろうか、というツイートの中で、
殆どのツイートは、単純に国交省発表の大本営発表を、そのままツイートしてるだけ。
都市防災の専門家や不動産関係者なら「2020迄の解消は不可能」と気付く筈なのに、誰も指摘ツイートしない。
マスコミが国土交通省の画餅の政策目標を無批判に垂れ流し報道し、防災関係者や不動産関係者が誰も突っ込みを入れない。
「おっ、国土交通省が2020迄に木密解消か、国土交通省もなかなかやるなあ」と勘違いして感心するのでは、と心配してしまう。
ただ、今回の木密解消ニュースは、自分が業界関係者だったから「こんなの画餅だろ?」と嘘を見抜けたが、
仮に「農水省が2020迄に●●を達成する」「厚生労働省が2020迄に●●を達成する」というニュースがあっても、
農業・厚生畑は素人である自分には画餅を見抜く能力はない。大本営発表を盲信するだけ。
そう考えると、日経辺りの役所発表記事は、相当程度「画餅」が混ざっていたんだろうなあ。
本来の日経の役割は、役所の大本営発表に対して「それは画餅だ」と突っ込みを入れることではないのか?
しかし多分、国交省内部では「固定資産税減免が木密解消の切り札になる」と「大真面目」で議論してるんだろうなあ。
議論に参加させられる若手官僚は「こんなの焼け石に水にもならない」と内心思ってるが、正論を吐くKYなことは出来ない
課長だか課長補佐辺りのキャリアが、「固定資産税の減免で、オリンピックまでに木密解消ですよ!!」と絵空事言っているのを、
「2020年までに、固定資産税減免程度で、木密解消なんて無理じゃん」と思っているんだろうが、
※でも、実は「国土交通省が2020年という目標を自ら設定」したんじゃなくて、