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2024-09-14

グッドウィル社はなぜ潰されたか 2/3

part1はこちら https://anond.hatelabo.jp/20240914181511

 

GW社は元は雨後の筍の一つに過ぎなかった

GWを興した折口雅博ジュリアナ東京ベルファーレを興した有名人物。防大卒で、任官拒否して日商岩井就職、同社在籍中にイギリスディスコジュリアナライセンス経営元の出資を受けて芝浦ジュリアナ東京開店し、社会現象ともなった。次いで六本木ベルファーレオープンするが、共同出資者のAVEXクーデターを起こされ社長を解任されてしまう。

AVEXは元はダンス系の輸入レコード卸で、ディスコレコードというのは六本木坂下のウイナーズレコード六本木WAVEくらいしかわず、スモール商売だったが、英国ダンス音楽メジャー化してきて市場が大きくなって来ていた。そこでAVEX自社レーベルを作り、更にダンスユニットタレントを売り出すなど商売を大きくしている最中であった。日商岩井退職して同社とのスジが切れた折口カリスマの下で商売するつもりはなくなっていた。

 

解任された折口独立し、小さな人材派遣業を始める。

労働基準法では人材派遣は基本禁止である。だが1985年派遣法が施行されると事務職のうち技能職、ガイド、受付係など一部の職種のみが解禁され、終身メンバーシップ組織に属さな自由な働き方と持て囃された。

だがその一方で、建築現場工場引越し事務所移転物流など、許されていない業務への違法派遣が増えて行った。これらは業務請負の形を取っていた。偽装請負と呼ばれる。

そもそも禁止業務への派遣からブルーオーシャンであるノウハウ蓄積も資本も資材も必要なく、口八丁だけで営業可能だ。

最初GW社もこれら取るに足らない違法零細偽装請負の一つでしかなかった。

だがGW社が違うのは、折口氏が経営者であった事だ。経済誌によくインタビューが載った名物経営者の新ビジネス、という事で、リクルートなどが度々インタビュー掲載した。

折口氏のもう一つの特長が、日商岩井時代に築いた銀行とのコネ、信用である1997年介護保険スタートを受けて、介護事業者のコムスンを買収。ただの偽装請負会社に買収資金を出してくれる銀行はない。折口氏のコネカリスマがあってのものであろう。

 

GW急成長

1999年派遣法が改正され基本自由化、ネガティブリスト方式になる。禁止業務港湾建設、警備、医療製造製造は後の2004年自由化。このうち警備は警察監督事業で、やはりヤクザ企業舎弟排除歴史立法趣旨がある。

 

偽装請負だった業務一般派遣業として運営できるわけで、ここでGW社は急激に事業を拡大している。

その方法はやはり事業買収で、既存偽装請負事業者を買収しまくり、従業員設備事務所賃貸物件ごと吸収している。

次に2000年オープンした六本木ヒルズの1フロア契約(賃料1000万円/月)。

都市圏事務所を借りまくり支店を次々オープン

CMを打ちまくり携帯電話だけで短期バイトが出来る「モバイト」として労働者を大量募集した。

 

支店オープンしまくったらその店長が大量に必要だ。その店長は、買収した業者バイト正社員希望の者を募ってあてがった。オープンしたては営業してないか仕事も無いしバイトも来ない。

仕事は買収した業者既存支店から回して貰う事にして、バイトも増えて仕事が回るようにるまでは店長ワンオペとした。朝6時から22時くらいの勤務となるのでずっと泊まり込みとなるが、ブラック企業ではそれ以上の会社も多いし正社員をエサにしたらそれくらいの激務で音を上げる者は居なかった。

 

この事業資金銀行から借りていて、その金額は400億だという。

90年代から銀行中小零細や個人経営商店取引しなくなっていて、それらの法人客には子会社ノンバンクを紹介していた。夜間金庫も撤去最近、小銭の両替料を取る様になったのも同じ理由で、小さい会社は客ではないのだ。客として有用に考えていれば両替商売必要からコスト銀行が持ちにする。偽装請負だった日雇い短期バイト派遣事業に400億とはべらぼうな話で、零細経営者だったら頭にくる話である

これも折口しかあり得ない融資であろう。

 

例えば買収された業者の一つには「ラインナップ」社がある。ここは都内城西城北地区事業をしていた。基本、偽装請負なのでイベントの設営、引越し事務所移転内装など色々な業種へバイト派遣するのだが、勤務歴が長いフリーターが多いので半職人化して、作業内容説明したら放ったらかしで養生などの準備から始めて、他の業者との作業のカチ合いを調整、作業完遂、片付けまで出来たり、内装では工具を持参して図面を見て指示通りに工事をしたりと、請負業務に近い事が出来る。

ここの買収額は10億であった。工具や台車養生材など資材込みの値段だが、元が偽装請負結構いい加減な会社10億出すのが適当か、そもそも値段がつく業態なのか、という気がする。

この会社社長は今でいうFIREして悠々とした生活をしていたそうである

 

こういう業者は他にも多く、客先には「モバイトじゃない方です」と案内していた。モバイト急募されたノンスキルバイトなのでいちいち説明必要だが、そうじゃない半職人で指示と監督が最低限の方です、との意だ。

 

店長会議六本木ヒルズ

バイトから昇格させた支店長を含め、買収でGW社員となった支店長の意識age意思疎通の為に月に一度六本木ヒルズ本社に少なくとも関東支店長を全て集め、店長会議を行っていた。人数が多いので実際は経営方針の訓告目標訓告が中心であった。

これで顔を会わせて意思疎通が出来ていた…と思っていた事が後の悲劇を生む。

 

労災事故

急成長していたが、元が偽装請負違法業務でありその構造や客先などはそのままだった。派遣自由化されて業態一般派遣業にした為に融資を受けたのだが、禁止業務だった建築港湾への派遣はそのまま行われていた。しか建築はその数が非常に多い。

 

また労働契約日雇いとしてその日で労使関係清算されるのだが、その場合労災事故が起きた時の休業補償をどうするかというのは決めていなかった。事故が起きない事を前提にして経営していたのだ。

そこに2005か2006年頃に、建築現場事故が起きる。製品からロングスパンとかピアットとか呼ばれる現場エレベータが墜落し、載せていた貨物の下敷きになって派遣バイトが死亡した。

現場エレベータラック(平歯車)にモーターで駆動されるピニオンギアが噛んで登っていくという簡単な仕組みで、暴走時の安全装置がない。組むのもエレベータ会社職工ではなくて鳶職がやる。これに大量に貨物を載せて荷揚げしている時に落下し死亡に至った。

 

禁止業態である土建派遣して事故に至ったのでGW本社は立入検査を受け、一部営業禁止処分が下された。

一般的に派遣会社は客先からの引き抜きを警戒し、「毎日来てるから打ちで直接働かない?」といった事を言われたら直ぐに会社に伝えろと労働者に厳しく言うものである

だがこの時のGW社は、土建客先常駐のようなバイトをその派遣先の会社社員として直接雇用出来るように尽力している。

土建業への派遣はもう出来ないのでそのバイトは他の仕事に移るか辞めるかなのだが、だったら派遣先で雇ってもらえないかと話を付けて無償職業斡旋していたのだ。

この辺から風向きが向かい風になって、世間良しを意識せざるを得なくなったようだ。

この時点で全土建現場への派遣廃止ヘルメット安全帯装備が必要現場は全て断り、常駐のようなバイトが居たら上記のように就職斡旋をした。

 

遵法を意識するようになったのだが、見落としによってこの先に決定的なミスをするのだった。

 

東和リース

東和リース社はその名の通り、リース会社であった。ローラーコンベアなどの物流用、荷役用機械リースしていたが、一番需要が多いのはフォークリフトである倉庫業必須だ。

ところで、フォークというのは操作するのに免許必要だ。フォークオペの免許持ちを常に確保しておくのは結構難しい。

そこで、同社はオペレータ込みのリースをしていた。これはちょっとグレーな派遣だが、これをやっているリース業というのは多い。

 

偽装請負一般化すると、同社は妙な事を始めるようになった。

フォークオペが必要会社では流動的な需要に対する人も必要なことが多い。季節により貨物数が増減して必要仕分け人の数も増減する。海コンが到着する日にはバン出し(コンテナからバラで出してパレットに積む事)の人数も必要だが、コンテナが来ない日には要らない。

そこで、それらの人間調達しますよ、という営業をするようになった。最初は自社でバイト募集していたのかもしれない。だがそのうちに他の派遣会社派遣を取るようになった。つまり二重派遣である

当初、同社の仕事を取ったのは先例に出したラインナップ社だったと思われる。客はそのまま受け継いだのでGW社に変わってもそのまま二重派遣は続いていた。

作業終了後、作業伝票をきって貰うが、実派遣先の会社東和リースから派遣と思っている。その伝票で二重派遣がバレるといけないので、伝票の社名(GW社)の部分をハサミで切っておくという姑息な事をしていた。

 

 

part3→https://anond.hatelabo.jp/20240914181822

 
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