この日記はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
現在大学三年生。モバイルアプリを自社開発している[1]スタートアップのバイトを一年弱やっていて今日辞めた。
漠然と会社に不満を募らせていたが、その不満をちゃんと整理したことがなかったので書く。
辞めた理由
自分が雇われてから辞めるまで正社員は社長とエンジニア(以下Aさん)の二人しかいなかった。社長は後述するが自分からみるとまともな思考ができているとは思えず、また経営に向いているとも思えなかった。自分がエンジニアとして働いていたこともありバイアスがかなりかかっているが、Aさんはバイトの人たちによく気を配っていてとてもいい人だった。しかし絶望的に実力が足りていないと未熟な自分でもわかった。
雇われた当時自分はテキストの表示と画面遷移しか機能がないアプリを作って一人でニマニマしているレベルだったが、それでも主要戦力として扱われるほどまともな人材が存在していなかった。僕の後にもバイトの方が何人か入ったが、その中にもまともにモバイルアプリ開発を経験している人間はいなかった。
要件は当然のように定義されていなかった。なのでもちろん設計なんてものもない。エンジニアの誰もが開発のゴールを知らず、社長の思い付きで追加される仕様の実装とバグ修正をやっていた。おそらく社長も作りたいアプリがわからなかったのだと思う。社長の頭の中にもやもやとした自分が考えた最強のアプリ存在し、その中で偶然具体的に表現できたものをエンジニアチームに投げているだけのような気がした。
また、まともに開発を体験したことがあるエンジニアがいないため開発もガバガバであった。自分が入った当時は本番環境しかない、DBは誰でもフルにアクセスできる、バックアップは取っていない、ドキュメントどころかコメントすらない、といった状態だった。なのでAさんが書いたカオスなコードの上にさらにカオスを重ねていった[2]。これは当時実力がなかった自分の責任でもある。
3.主要戦力として働いている割には給料が低い
働き始めた当初はレベルも低く給料に不満はなかったのだが、勉強しある程度のアプリは作れるようになっても時給2000円を超えることはなかった。プロジェクトはすでに自分が抜けたら崩壊することは社長以外の誰の目にも明らかだったので昇給の交渉をしたが、400円しか上がらなかった(その時自分は時給2000円にしてほしいと交渉していた)[3]。
会社にお金の余裕がないならまだわかるが自分が知っているだけでもかなりの蓄えはあったと思う。社長はあまり資金をバイトに知られたくないようだったが、その理由はバイトがそのことを知ると昇給の交渉をしてくるから、ということであった。そのことを知ったときは驚愕した[4]。この時点でエンジニアへの投資の感覚が壊れていて、いかに安く雇うかということしか考えていないのだなと理解した。
4.社長の見通しの甘さ。アプリの方針に関する意見を全く聞き入れないところ。
辞めた理由の9.9割をこれが占める。3でも書いたが開発に関してはいかにエンジニアを安く雇うかということしか考えていない。社長は開発がうまく回っていると思っていたようで、まともな開発経験を積んだエンジニアではなく自分のような雑魚エンジニアでも現状維持できればいいと考えていたのだろう。これはうまく回っているように見える状況を作っていた自分にも責任があると思う。初期の段階でアプリを徹底的に破壊し、「まともなエンジニアを雇わないかったからこうなりました」と突きつけるべきだったと今でも思う。言葉と文字で何回もまともなエンジニアを雇うべきだと提案していたが聞き入れられることはなかった[5]。
またアプリの方針に関する意見もことごとく聞き入れられなかった。自分の感覚からすると明らかに間違っている方向に進もうとしているのを指摘しても、n=1~3くらいのレアなサンプルを出して反論してくる。サンプル数が少ないことを指摘しても「サンプルのような人たちに向けて作っている」と話が全く通じない。でもアプリは数百万人に使ってほしいらしい。こんなことが何回もあって指摘するのも疲れてしまい、次第に指摘をしなくなった。社長からみたら社会に出たこともない学生エンジニア風情がわかった気になりやがって、としか思っていないのだろう。開発していくにつれてアプリに愛着がわき、どうにかしていい方向にもっていきたいと常々思っていたがその愛着もなくなるほどだった。
slackで社長が文末に「笑」をつけるのがなぜか無性にムカついた。
最後に
この日記はフィクションなので当然上記のような会社は存在しないのだが、就活は慎重に行おうと思った。
→自社の株を売って資金を得ていたらしい(?)。おそらくエンジェル投資と呼ばれるものだろう。口先だけはうまいのでお金を集める能力だけは高かったと自分から見ても思う(実際に集めてこれてるし)。投資家は今のアプリを見てなぜ投資しようと思った(=成功すると思った)んだろうと毎回不思議だった。
→大盤振る舞いをするのは確かに無能だが、抜けられたら困る人材に時給2000円すら払わないのはどうかと思う。自分の感覚では都内で時給2000は決して大盤振る舞いではない。
→コストカットをしたいというのはよくわかるし、大切だと思うが傍から見てそれしかやっていないように見えるのが問題だと思う。せめて自分が指摘したときにまともな反論をしてほしかった。
→未熟といっても最低限のレベルは必要で、全くプログラミングがわからないちょっと口がうまい人間とwordpressしか触ったことないような人間が自社開発の会社を起業しても学生サークル以下にしかならないと思う。
→確かに開発はサークル活動みたいで楽しかったが、今思えばこのような考えは本当に良くなかったと思う。自分と違いAさんは人生がかかっているのにもかかわらず、うまく回っていない現実から逃避するように開発していたように見えたし本人もそう言っていた。あと「笑」は普段はそこまで気にならなかったのだが、深夜にバグ対応しているとき「大丈夫?笑」みたいなメッセージが来たときはどうにかなりそうだった。
思ったより反応が来て驚いている。自分と相反する意見が結構あって、自分の視野の狭さを認識できた。結局自分はベンチャー企業や社会に夢を見ていただけかもしれない。
[1] G○○gleが作ったマルチプラットフォームアプリの開発ツールを使用していた。
[2] チーム開発がこれが初めてだったので勝手がわからなかったが、今考えると本当に酷いコードだった。
[3] 1400 -> 1800
[4] これがバイトに知れ渡ってしまうのも管理が甘いと思う。
[5] slackのpublicチャンネルで方針を非難していたら社長からDM or 電話が来るというのを繰り返していた。
例えば何のマンガ?
それはもうプログラミング教育じゃ無くてコンピュータ工学では。
まぁ昔の話をしだすとMSXとかPC98とかで子供もそう言う低レベルでゴリゴリやる世界もあったけど、オヤジホイホイの話になるからここで終わり。
終わりったら終わり。
ないけどいつも座ってしてるやで
4500円(定価 予定価格)
ワイは不正解やったで