2020-07-15

漫画みたいな体験をして会社を辞めた。


昨年、3ヶ月位働いた仕事を辞めた。

理由は色々あるけど、一番はお局さんだ。

この会社に入るまで私は男9割の業界にいて、今回初めて女9割の業界転職した。

しかもそこは8割がアラフォーオーバーBBAパラダイス若い人は同じ歳くらいの人が3人位。

私はこの会社に前業界仕事担当してほしいと初めて入ってきた、お局さんにとって異物だった。

全く考え方の違う異民族って感じだ。

社長殆ど思いつきで入れてしまったのですぐに仕事が用意できるわけもなく、まずは通常部署仕事に入ってほしいと言われた。

まぁ他職種をやるのもいい経験だな、と思いながら初出社。

9時50分までに出社と社長が言っていたので、30分に会社に到着、社長と話して着替えて通常部署へ行ったのが45分。

100%こいつがこの会社の裏ボスだって見た目と態度の人が、某ドラマみたいに後ろに他の女社員を並べて腕を組んで顔を真っ赤にしていきなりキレてきた。

理由は45分には準備を開始するのに何故早く来なかったのか。

答え、社長からそんな事聞いてないし入社前に貴方エンカウントしてないからです。

すごい理不尽だ…と感動した。

社会にいたせいで今までお局という存在にあった事がなかったのでまとめサイトでの妄想か誇張と思っていた。

オラ、ワクワクすっぞ。

とりあえずすみません、と頭を下げておく。

何か言ってるけど早口で聞き取れない。

更年期って大変だな、自分がなったら早めの治療を心がけようと思った。

そして、お局さんが奥の部屋に消えて仕事開始。

私の育成担当はお局様に頷いて相槌を打っていたおばさん、もう直ぐアラフィフ

煙草匂いがする。独身らしい。

どっちにしろこの部署に今後来ることのない私を真剣に教える気もない、そりゃそうだよなぁと思う。

流石に仕事にならないので最低限は教えてくれたが、細かいところは知らないのにいきなり怒られる。

対応以外に関係ない事…例えばゴミ出しの曜日とかシフト希望提出締切だとかは結局辞めるまでその人からは聞けなかった。

漫画で見たことあるやつだ、とニヤけた。

作業中はマスク必須で本当良かった、マスクしてなかったらビンタひとつも食らってたと思う。

次に、少し年上の先輩。

細くて顔も綺麗でじじいの客のアイドルだった。

しかし、じじいなんて若い新人が入ればそっちに興味が湧くに決まっている。

じじい達は先輩の事なんて忘れてしまたかのように私に話しかけてセクハラギリギリかます

先輩が輪をかけて冷たくなったのはその時からで、影で私の事をジャージー牛みたいと呼んでいたのを聞いた。

ホルスタインと言わない所に例えが美味いなとこっそり笑った。

私は耳に一応ピアスホールが一つずつ空いてるし、黒髪死ぬ程似合わないので会社規定内の範囲茶髪だ。

タグでも付けて行こうかと思ったけど辞めた。

最後受付嬢

嬢といっても、ギリアラサー。

社長副社長、お局さんには完全に声を高くして同意しまくっているし、一人称苗字。色々すごい。

ドラマ漫画しかたことがない人種だった。

ただし私には目が据わり低い声で話しかけてくるのでこっちが素なんだなあ、としみじみ。

辞める2週間前、パソコンエラーを直してあげたら少し優しくなった。

他にもいるけど、とりあえずこの4人が凄かった。

そして、シフト管理をしているお局さんは夕方早上がりする私にブチ切れてきた。

社長との契約であるのでキレられても困る。

こっちにも事情があり、時短を条件に入ったのでキレるなら社長に言ってほしい。

入社直後に仕事が用意できずこの部署に入ったのも社長の指示なので。

お局さんはいろんな人…特に古株の人達に私の愚痴を言っているようだった。

お局さんとは担当がちがうので殆ど迷惑をかけてないはずなのだけど、色々言っていた。

声がでかいので休憩室の横を通ると聞こえてくる。

声が気に食わない(そんな事言われても)

乳を強調している(支給された制服である)

今時の化粧をしているのが生意気(してない)

男に媚を売っている(売ってない)

婆さんから褒められているのが謎(知らん)

何故客から評判がいいかからない(知りません)

早く辞めてほしい(さいですか)

他にもいっぱい言っていたが、麦茶を飲んでるのが意味わからんって言い出した時点で吹き出しかけてさっさと帰った。

坊主憎けりゃ袈裟まで憎いになりかかっている。

私が毎日飲んでた麦茶飲めなくなってたらうけるな。

そうして、一月経つと元々担当する予定だった仕事も始まった。

大体比率としては半々。

私の仕事は専門的で調べる事が多い仕事なので半分位はネトサをする。

どうするかと悩んで考え込む事もしばしばある。

パソコン上で完結して時々アウトプットするくらい。

まり、表面上目に見えない仕事だ。

社長がお昼に行った瞬間、お局様が別の部屋からすごい勢いで突入してきた。

闘牛みたいだな、と思いながら耳を傾けると、簡単に言えば遊んでいるんじゃないかとキレてきた。

言い訳してもまた長くなりそうだなあと思い、とりあえずすみませんと言っておく。

それしか対処法も分からないし。

社長が用意した私が使用しているパソコン社員共通パソコンなので使われると邪魔だとキレている。

すごい、全部社長に言ってくれって事しか言ってない。

そうして二ヶ月が経った。

その間に私の靴は無くなったし、全員に一つずつ配られたはずの社長出張お土産は貰っていない。

無視される事もあったし、知らない優しそうなおばさん社員からいきなりアンタここにいちゃ死んじゃうよ、と諭された事もある。

漫画みたいだ、そんなセリフ生で聞けるなんて人生でそうそうない、感動した。

しかもよく考えたら給料もまだ貰っていない。

田舎の超小規模会社なので労働組合なんてない。

どうしたものかなぁと思っている矢先、なんとなく現状を友達に話した所、友達経由で知ったのだろう古巣の知り合いから此方の業界に戻ってこないかと声をかけられた。

電車を乗り継がないといけないし家庭の事情フルタイム残業が厳しくなり辞めたのだけど、時間も調整してくれるらしい。

まだギリギリ試用期間だし、そうだ、辞めよう。

早速社長相談した。シフト締切3日前なのですぐ言わなくてはいけなかった。

とりあえず現状を話す。

社長もやはりお局さんから私の愚痴を聞いていたらしく、苦い顔をしていた。

誘われた会社よりこちらの方が近いし、時間を調整してくれると社長が言っていたから現状が好転するならこちらの方が都合が良かったので、今後他の仕事を手伝うにしても他の部署でお願いしたいと頼んだ。

僕にはどうする事も出来ないけど、君がみんなと仲良くできるなら考えてもいいよ。

そう言って社長は腕を組んだ。

なんや工藤?!

頭の中の平次が叫んだ。

元はと言えば社長が私をいきなり雇い、いきなり別部署ぶち込み、私を入れてどうしたいか説明しなかったせいでいきなり訳の分からない新人が来るとお局さんがキレて私にあたり古株全社員愚痴を言ってる中で、それを言うのか。

漫画じゃん?!

こういうの病院に置いてあるレディコミで読んだことある!!!

最高に理不尽ってやつだ!!!

ハイになって、「えっどう考えても今更無理なので辞めまぁす!!!」と言ってしまった。

そうして帰りにマクドナルド限定バーガーを買って帰った。

幼少期ぶりにバニラシェイククーポン100円だったので買った。

飲んだら少し寝不足だった頭がすっとして、明日からどう会社で過ごそうかな、とワクワクした。

だって後13回働けばお別れだ、どうせなら漫画みたいな体験もっとしたい。

ババアになった時、しみじみと語る経験をしたい。

ずっとは精神衛生に悪いので辞めるんですけど。

そうして出社したら、お局さまが辞めるなとキレてきた。

あれだけ辞めろと言ったのに、どうしたどうした?

面白い展開になってきた、よしお局さんの話を聞こう。

成る程、シフトに組んでしまったので今更組み直すのが困るですと?

まだシフト提出期限じゃないですよ?

仕事教え損?

それは申し訳ない、でも私今後在籍したとしてもこの部署には入らないようお願いしたと思う。

だって毎回引きっぱなしのネットの有線で転ばされるからアザがすごいので。

でも貴方から仕事は教わってない気がしなくもない。

多分10分程一方的に喋っていたと思う、落ち着いたのでそっと靴下を引き下げてホルスタインみたいにブチ模様になった足を見せたらヒュ、とお局さんの喉が鳴った。

本当に喉ってヒュ、と鳴るんだな。

長年の疑問が思わぬ形で解決されていく快感

流石に察したらしい、どうしてアザだらけになっているかを。

靴も靴箱に置いておいたんですけど知りませんか、アレ兄からもらったものなんです(これは嘘だ、某大手靴屋で30%オフで買った)、パソコンデータ知りませんか、アレは私が作ったやつを副社長が使っていたものなんです、給料まだ貰っていないんですけど、手渡しとお聞きしたのですが?

血の気が無くなる人も初めて見た気がする。

お局さんは多分、恐らく手を出さず愚痴悪口を言っていただけなんだと思う。

誰が何をしたかなんて知らないだろう。

みんな大人だ、自分が何をしたかだなんて言うわけがない、きっと休憩室でお局さんに同意したりその日の私の行動を面白おかしく報告してただけなんだろう。

来る前から私の存在を気に食わなかったらしい。

本当にその仕事はいるのか、今までいなかったのにと。

想像もつかないたった一人の異職種

そいつが入ったことによって変わるかもしれない長年の古巣

全部気に入らない、此方には味方しかいない。

ならば追い出したい。

群れで生活している生き物として正しい判断だ。

実際最初に隙を見せた私という敵に先制攻撃を喰らわせられた事で、止まらなくなってしまったのかもしれない。

でもまさか手まで出す人間がいるなんて思ってもいなかったんだろう。

この会社で実際社長よりお局さんの味方の方が多い、だって実質会社の事を把握してシフト管理をしているのはお局さんだから、この人を敵に回すと子どもや孫のために休む事があるパート達は逆らえないのだ。

そのお局さんが敵とみなしたやつは、何をしてもいい。

そう判断して、日頃のストレスをぶつけたんだろう。

だって実際私が辞める日に聞いたら、4人はお局さんに嫌われたお前が悪い!とキレて何処かへ行ってしまったんだから

最終日、三ヶ月分の給料が入った封筒を手に私は地元夫婦経営焼肉屋に入ってテイクアウトのお弁当を買った。

私の事を気に入ってくれたお客さんのじじいの店だ。

来てくれてありがとう、また行くな!と明るく笑う尻を触ってきたじじい。

今辞めてきたんです、と言いながら焼肉弁当お金トレイに置く。

びっくりする夫婦、そりゃそうだ、地元密着のあの会社は馴染みのお客が多くGoogle map評価は悪いが爺婆には評判が良い。

なんで辞めてきたんだ、と焼酎片手に聞いたのはこれまたよく会社発注を取りに来ていた地元商店街に店を出しているじじいだった。

休日は大抵この焼肉屋で飲んでいる。

私は迷った。

全部話すべきか、それとも濁すか。

悪魔が囁いてくる、来週転職と共に引っ越ししまうんだからこの町には戻らないだろうと。

頭にいつか読んだ例のレディコミが浮かぶ

私も漫画みたいな事をして締め括っても良いだろうか。

だってあん漫画みたいな事が起きた事、この感動を話してしまたかった。

じじいにゆサワーを奢ってもらった私はいくつかかいつまんで、ポツリポツリと話した。

じじい達は絶句して、腕の傷に気付いたばばあはそっと骨付きカルビを焼いて弁当に乗っけてくれた。

聞いてくれてありがとうございました、とゆずサワーを飲み干して浅く一礼し弁当を受け取る。

焼肉屋引き戸を閉じた瞬間、にやける口を覆った。

完全に漫画みたいな事をしてしまった、平凡な私が。

私もお局さんみたいに思った事を話してしまった。

悪意や敵意というのは印象に残りやすい。

初めて悪い事をしてしまった時の子供のように、少しの罪悪感と山程の高揚を胸に食べた焼肉弁当は最高に美味しかった。

そうして一年が経った。

転職先は前と同じ業種なので男だらけの緩い縦社会だ。

多少の妬み嫉みはあるものの、あの三ヶ月と比べたら可愛いもので、本当にあの人間の醜い部分の煮凝りみたいな三ヶ月は漫画を読んでの妄想だったんじゃないかと思う。

最後、つられて私も少しおかしかった自覚がある。

風の噂であの会社倒産寸前と聞いた。

それはコロナ所為かもしれないし、もしかしたら焼肉屋での15分がきっかけなのかもしれない。

もうあの田舎町に知り合いがいない私が理由を知る術はないのだけど、ふと半袖になって見えた傷の跡を見て思い出したので記念に書いてみた。

  • 長い。

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  • 女性しかいない街やコミュニティの方が男社会よりも平和に物事が回ると思ってた。 でもそのお局さんが町長さんになったりしたらとんでもないことになる。

  • 女のうんち話のくせに最後まで読めてしまった ちくしょく

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