かつて日本を代表するPCメーカー、そしてシステムインテグレーターの大手6社に数えられるNEC。それを退職した今、機密に触れない程度に、特に研究所の裏事情を説明していこう。おそらく製品部門は違う苦しみを抱えているだろうが、高額なボーナスもらってるんだから耐えてくれ。
私が入社したのは、研究発表でのいわゆる一本釣りだった。釣りあげた部門も、当時の研究に比較的近かったため、給料をもらいつつ研究ができる、という不純な動機があったのは確かだ。大手特有の研修体制も魅力に感じた。
雲行きが怪しくなったのは1年目の夏である。当時研究所のトップであるE氏による、研究発表の総評の場で「まだそんな研究していたのか」という発言だった。NECのシステムインテグレーションといえば、重要な事業の柱であり、事業部からの引き合いも非常に強かった。折しも、AWSが日本国内での事業が躍進し、オンプレミスとは違う流動性の台頭に、研究テーマとしては佳境の段階であった。そこに貢献するミッションは他の研究テーマでは代用できないものである。
それをE氏は「そんな研究」と一蹴したのだ。翌年、予算はつかず、研究チームは文字通り解散となった。そしてシステムインテグレーションの研究はNECから完全に姿を消すことになった。E氏は光通信の元研究者で、正直なところなぜ偉くなったのか、今でも疑問であるが、少なくとも大のつくIT音痴であることは仲間内では有名である。それこそ当時はデータベースとは何か、すら知らなかったようである。
E氏が理解できる、できないはあったにせよ、そして価値の提供方法まで突き詰めて考えられていたかは怪しいけれど、少なくとも、なんのためにやっているのかわからない研究ではなかった。「バイオプラスチック 漆ブラック」などいった、海のものとも山のものともつかぬものより劣っていたのだろうか。カーボンナノチューブの研究すらまだ留保しているのに。
そしてE氏はNEC常務となり、CTOとなった。社内では最高級(給)のブロガーと称され、「未来について考える」だとか、「~について意識しなければならない」といった、きわめて抽象的、かつ薬にも毒にもならないビッグワードを垂れ流し、評論し、何かをいっているようで、実際には何ひとつ具体的な行動や指示を出せない人物である。そして未来創造会議というような、何ら結論の出ないものに露出するようになった。あれを見た人は、NECが何の会社なのかわからないだろうし、それは製品として何を提供するのかすら伝わらないだろう。漫画雑誌の企画会議ですらもっとマシなものだろう。
研究所といえば、技術部門の花形、と思われる人もいるかもしれない。事実、優れた技術はほぼすべて研究所発である。しかし、本当に優れた技術はNECからの広報には載らず、社外からの引き合いが先行する。なぜなら、広報はインパクトが優先され、そして広報ノルマを充足するために実施されるからだ。そして時には大きな「事故」となる。
数年前、橋梁構造物の劣化診断という技術が日経新聞に掲載された。これは固定カメラが画像を撮影し、振動による変化で構造内部の劣化をモデリングし、内部ひび割れを可視化するという画期的なものであった。事件の発端は、その研究途上であった技術に対し、研究所の理事(*2)がメディアの前で口を滑らせたことである。当然注目され、実用目途についてまで発表することになった。実際には理論検証が完了し、クリアしなければいけない項目の洗い出しの最中であったという。1年後を目途とされた研究テーマは、その後研究所から姿を消した。撮影には非常に繊細な取り扱いが要求され、撮影時の振動に弱いという欠点を克服できなかったと思われる。これは当時画像診断系の学会でも度々指摘されていたもので、研究者の間で共通認識であったが、残念ながら理事には理解できなかったようである。
ここ数年のNECでもっともインパクトがあった事象は2件の談合による指名停止であろう。煽りをくらい、全く無関係の研究所予算がまずは削減された。そして賞与が大幅に減額である。社内ですら、談合当事者やその上司の名前は完全に秘匿され、明に責任をとった人物は存在しないことになっている。おそらく、公表した場合、全社員から報復を受けることを恐れたのであろう。
すると、不透明な人事はいたるところにあることに気がつく。前期の大幅に未達だった中期計画の責任者だった遠藤元社長は会長になり、その策定の中心人物だった新野副社長は社長となった。そして次の新中期計画は1年目でとん挫したにも関わらず社長以下留任ときたもんだ。
グローバルビジネスの低迷。これからのNECの生命線とまで言われていたグローバルBU。彼らは海外売上比率を25%を目指すと宣言していた。中期計画に対して、何ひとつ貢献できずKPIを外したそのトップ、真っ先に責任を取らなければならない人物M氏は、翌年副社長となった。その自浄作用の無さもさることながら、株主や債権主の銀行は一体何を考えて、彼らの役員人事を承認しているんだろうか。株価は買値の1/10となった、もう値動きすら見たくないから早く潰れてくれ、と思っているのだろうか。
今後、NECは暗黒の時代を迎えるだろう。折しも今年は3000人のリストラを掲げ、断固と構造改革を実施する覚悟を強調する新野社長。しかし、彼にあるのは覚悟だけであり、スタッフを減らす方策すら定まっていないだろう。現状、10人が事業で仕事をし、8人が彼らの事務を担当するような人員比である。そして今回の早期退職は主に事業の主力たちが手をあげるようである。
思えば、個人の努力が何に対しても反映されず、学習性無気力に苛まれ続けたNECライフであった。管理能力に長けた上司はおおむね本社に接収され、帰ってくることはなかった。そして残ったのは、管理職不適格でありながらも、降格制度が存在しないことによる吹き溜まりである。会社に学会の仕事をしにきている主幹研究員なる人種もいれば、1時間前の記憶すらないような痴呆老人である。そんな中、近頃はカルチャー変革(*3)を謳っているようだ。NECの暗黒時代たる本質まで踏み込み、ぜひNECを再生していただければと思う。
(*1)ビジネスマナー研修や思想教育といったものから、ディスカッションなどがあったが、参加者も講師もレベルが低く、こいつら大学出てるのかすら怪しげだった。彼らが同期となって、社内キャリア形成上意味をもつ存在だと思うと、ぞっとした。さまざまな節目に集合研修は行われたが、効果を測定する様子もなく、ただそこに予算があり、研修を実施することが担当者の評価だ、というような空気であった。そしてその直感は、NECのスタッフ部門全体に共通するものであると後にわかる。
(*2)理事とは事業部長、本部長、中央研究所傘下の研究所長経験者で、様々な理由で部門が消滅したりすると発生する役職である。最近では、関西研究所CCII本部長、シンガポール研究所を歴任し、価値共創センターを立ち上げ、これらのすべてを失敗させたY氏が理事となっている。彼らは理事になると、「天下り」先を探すことがメインの仕事になる。そして彼らが天下れば、空席となった理事は別の元所長が補充される。
(*3)カルチャーは変革できても、働き方全般や違法裁量労働たるVワークの制度は変えられないだろう。また社員のモチベーションを上げるための施策は、すべて人事部門判断によって握りつぶされると思われる。総務部は人事部門の抵抗をどのように回避するのか、外様の役員の腕の見せ所だろう。
理系の人ってピュアだよねっていう感想しかないな。たぶんいいところに転職したんだろうから昔のことは忘れて頑張れ。
江村 克己 https://jpn.nec.com/profile/corp/executives/bio/k-emura.html
自分が給料をもらっている会社のため 結果として国の将来ために 在籍しているときに なぜ 言わないのだ 半年前に 代表取締役 管理職 社員全員あてに 君が書いた文...
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ピーターの法則 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87 を思い出しました。 昔は優秀だったのかもしれないが、当然の帰結だったのかもしれない。
この増田に対するねこら発狂disを待つ。
グローバルBUの通信事業はファーウェイに(すでに?)根こそぎシェア奪われて、国内のITソリューションもスマホやらタブレットを使った格安システムに少しずつ奪われそう
給料いくらだ
この記事は明日の午前中に消されるだろう。
でも既得権益で100年くらいは下手をうたなきゃ存続するからいいじゃん
あれ?まだあったんだ、この会社。
人事が腐ってるのは世界中どこも同じだよ。下っ端は評価だの査定だのやられるけど上に行けば行くほど出鱈目になっていく。
日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条 を思い出した。 敗因の一つに作戦の失敗の責任を誰もとらず、平時の昇進を行って人事を誤ったというのがあったなと思った。
誰か「はてなで何が起きているのか」「Twitterで何が起きているのか」なども書いてよ。他山の石として参考にしたい。
NEC全盛期を知っている人間からすると、今の凋落ぶりは目を覆うばかりだよ。バブル前に『C & C』- コンピューティング & コミュニケーションだったかのキャッチフレーズの元、コ...
占領されたいのか? anond:20180912073056
腐ったところからは、とっととトンズラしましょう。
Buzzfeed「...」 読売新聞「...」 ねとらぼ「...」 毎日新聞「...」
金の切れ目が縁の切れ目。こいつらが相次いでNECディスを言い出したら終盤だな。分かりやすい。
お疲れ様でした。IT屋だけどあの会社がV字回復する未来が見えない。俺らが知ってるNECは死んだ。
tzk2106 この会社、さすがかつての名門企業だなって感じるに充分な福利厚生の厚さなんだよね。 残業しないし会社の公休日も多い。従業員は既得権は守ろうとするし、呑気で働かない...
俺としては子会社に仕事を回さず"一気に"オフショアをやったのがまずかったと思うよ。
下手に研究成果出ると、刈り取りだの何だの言って非現実的な納期で上が出します言ってクソみたいな物出しちゃうよね。んでまた開発費が全部赤字扱いで失敗プロジェクトになると。...
お前も後出しじゃん
誰にも言ってないプライベートな内容なのでひさしぶりに増田に。 今では考えられないがNECがまだ就職したい企業ナンバーワンだとかもてはやされた頃、母方の祖父や実父がNECで技術...
オチをいい話に持っていこうと努力してるのに、漂う終末感
最後の竹とんぼは完全に駄文。日記に終わりなんて意識するなよ。
いい会社に入ったあと身分を失うリスクを背負って挑戦したい人はいない いい会社なら過去の遺産で食えるのに冒険しようと煽り立てる危険人物は排除されなければならない
https://archive.is/62stF https://anond.hatelabo.jp/20180911165115
NECりゃくしてみかか
アーカイブのページのリンク踏んだら セキュリティエラーだの 攻撃されただの ダイアログが出て なんかインストールしろって言ってきた
スポンサーに付いてたフォース・インディアは倒産して、レースポイントフォースインディアに変わりました。
メキシコ人ドライバーのセルジオペレスがフォースインディアに持ち込んだスポンサーがメキシコの大手通信会社テルメックス。NECメキシコもテルメックスとの関係からスポンサーにな...
昔の格言か何かで、『戦略レベルのミスは戦術レベルでは取り返せない』というのがある。 確かに、近年電機業界で大きな損失を出した会社を見てみると、この戦略レベルのミスが非常...
高い給与・福利厚生 手厚い待遇が企業をダメにする不思議な法則 http://danshi.gundari.info/mac-going-down.html
メキシコ人ドライバーのセルジオペレスがフォースインディアに持ち込んだスポンサーがメキシコの大手通信会社テルメックス。NECメキシコもテルメックスとの関係からスポンサーにな...
がんばってください
今後のご活躍を祈念します。 研究所トップ 若手研究員に対する「まだそんな研究していたのか」発言は、研究機関では多々見られます。これは、不器用な期待表現の一つと思われま...
NECの研究提案会議はテーマリーダーがプレゼンを行い、研究所長と中央研究所長が審査するものです。件の研究テーマも、江村氏の責任の下で承認されたもののはずで、それを「まだ~...
元研究所幹部個人のビジネスセンスや技術理解力の有無を客観的に(あらゆる条件を考慮して全方位的に)問うのは非常に難しいと思うので、ここではもう少しNECの組織的な課題から...
社長の仕事ってのは、社員のパフォーマンスを最大限に発揮させるお膳立てをすること。 社員が能無しばかりだと、会社はつぶれる。 社員が出来る奴ばかりだと、会社の売上も伸びる...
年の瀬や 水の流れと 人の身は 明日待たるる 匿名ダイアリー ランク タイトル ブクマ数 日付 カテゴリ 1 増田文学100選 3435 2018/06/17 02:57 おもしろ 2 Wi-...
https://anond.hatelabo.jp/20181209010339 タレコミ系とか長文だらけやぞ。
字数どこに書いてあるの?
リンク飛んで長文多いのが確認できれば充分だろ
https://anond.hatelabo.jp/20181209012641 お疲れ様。今お前に絡んでる増田は絶対に謝れないから難癖付けるだけのクズだから放っておいてあげろ。
頭悪そう
あとで読む。 今年のまとめ、良くぞ作ってくれました。 あざーっす
ギリギリ載らなかった なぜかちょっと悔しい たぶん期待してしまったせいだな 期待はほんと毒だ
自分用まとめ。今年は力作が多かったけど、飛び抜けてヘンテコな増田は少なかった印象。 俺的増田大賞2018は、「妹のゴミ部屋を掃除した」に進呈。 01/31 さようなら時天空 anond:2018013...
幾山河越えさり行かば 寂しさのはてなむ国ぞ 今日も増田はゆく 若山牧水 今年まとめた増田ランキングを増田神社に奉納させて頂き、今年の増田納めとさせていただきます。 ...
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いつもホッテントリを賑わせている増田だが、増田が始まってからこれまでの15年間について、年代別にブクマ数ベスト5を調査して、振り返っていきたい。 2006年 1位:プログラミ...
色々あったねえ。 月日が経つのは早い。 “部下がくれたアドバイス”を書いた筆者だけど、あの増田の文章テクニックは 故Hagex先生 の教えてくれた技を利用していて、だからブックマ...
非公開モードでブクマは番付作成者
2位:anond:20061214085342(155users) 有名なオーケン事件の2chコピペ。 2chコピペだとわかるように書いてある。 2chコピペを真に受ける当時のブコメ https://b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/200612...
とりあえず大企業に立ち向かう反体制っぽい空気に乗っかった意見に便乗することが正義っていうのが16年前のインターネットの流れだったよな それで行き当たりばったりに行動するう...
ゼロ年代半ばってネトウヨの勃興期やん。より正確に、その頃のはてなは反体制派だったと言い直すべきでは