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2016-05-18

ご指摘ありがとうございます

こんにちは、らくからちゃです。

先日書いた下記の記事に対して、増田にて大変丁寧な補足と指摘を頂いた。以前はブログに思ったことを書いても、なんの反応もなく随分と寂しい想いもしたが、個人的に最大の関心事である『原価』について、ここまで多くの人が関心を持っている状況に感無量である

御礼も兼ねて、記載された内容について、本稿に関係する箇所につきコメントさせて頂きたい。

記事想定読者

まず本記事は、

と私が勝手理解している点を対象とし、詳細な計算プロセスは除外した。本稿は、今後投稿予定の記事の前提となるものとして記載したが、想定読者

対象としたものであって、『工業簿記学者』を対象とした、『ゼロから学ぶ』ではない。やや不十分に思われる箇所や、過剰に思われる箇所も多いかと思うが、記載の狙いとしてはそういった点にある。

総合原価計算個別原価計算選択について

私の書き方が不味く、上手く伝わらなかったのかもしれないが、私の意見としては『この例において、カレーの原価は工程総合原価計算にて算出されるべき』である記載趣旨としては、

たまに、『総合原価計算どんぶり勘定個別原価計算こそ正しい原価計算』なんて言っているコンサルが居ます。確かに、製品ごとに費用を集計する個別原価計算のほうが、より正確性が高い気もします。しかしそれは、最終的な完成品に対し、投入した原価が紐付けることが『妥当であると言える環境での話になります

であり、それぞれの生産形態管理方法に合わせた計算方法選択すべきである。では、総合原価計算個別原価計算をどのように選択するべきであるのか?は、指図書単位で集計することが妥当工程単位で集計することが妥当か、ちょっと別の例を挙げる。カレーでは無いが、カレーっぽい液モノ系のお客様でこういった事例があった。

こういった生産体系にて『ある生産要素の投入と生成物との関連性』が明確である場合個別原価計算法は原価管理観点から有益情報を得ることが出来る。

一方、個別原価計算が不向きなのは『ある生産要素の投入と成果物との関連性』が不明である場合、例えば中間品にストックポイントが置かれる場合だ。今回のカレーの例のように、共通中間生成物(カット済み野菜って言えばいいのかな)が存在する場合中間生成物への生産要素を投入する段階では、最終製品不明である場合も多い。その場合、投入時点ではどの指図に対して実績を計上すればよいかからなくなる。

もっとも、製品だけではなく(工業簿記教科書には何故か最終製品の指図書のみ記載されている例が多いような気がするが)中間生成物に対しても指図書は発行される。その場合、投入時点での費用計上対象は当該指図でよいが、今度は製品中間生成物を投入する際、どの指図書での生成物であるのかを一々記録していく必要がある。その為には、在庫は指図書に紐づく形で管理しなければならないようになる。トレーサビリティ観点から厳密なロット管理を行っている場合インプットアウトプット関係が明確になり、実現不可能ではない。ただ、細かく計算を行ったところで、最終的な管理単位工程に置かれる場合、苦労したところ特に意味は無い。

これが、

例えば、いっぱいのカレーを作るのに、『今回はnグラム人参を使いました』ということをいちいち記録するでしょうか?記録を取ったとして、それは正確と言えるのでしょうか?

意図だ。記録を残すことは重要であるが、それは指図に紐づく形で残す必要はない。工程での消費数量として正しく捉えられていればそれでよい。無理な数値を計算して『個別原価計算をしたら、このカレーとあのカレーの原価の違いが、指図書別に正しく計算できます!!!』なんて言っても、信ぴょう性は無いし、そもそもその情報必要なのだろうか?結局は、どういった単位管理を行いたいかによる。勿論、原価標準を策定するにおいては、原単位は最重要事項であることは言うまでもない。

こうやって書いてみると、概ね元増田氏と同意見に達したように思わるるので、全ては誤読を招きやす文章を書いた私の落ち度である

基準位置づけについて

原価計算基準は『ガイドブック』(という言い方も変だな。ガイドラインだな)であり、『ルールブック』ではない。改めて思えば、記事性質から入ってもその点は記載すべき内容であった。生産手法は、各企業の鋭意に常に新しいものが生まれるため、例えば『セル生産方式下での原価計算』なんて考えてみるとワクワクするね。

一般的かどうか』については、普段担当する企業ベースに考えて書いたが、原価計算計算手法については、各大学がかなりしっかりとしたアンケートを行っているので、その結果も参照した上で記載している。面倒臭がって省略したが、そのあたりの調査結果もおいおい記載していきたい。

「誰が」とは誰か

評価であるパート人件費ライン長にとっては管理可能だが、ライン償却費は管理不可能しかし、工場長にとっては管理可能本来原価情報は、工場内で広く活用されるべきものであるが、費用の分類によっては評価する者によって異なる可能性がある、ということが書きたかっただけである。操業度は生産量と常に一致するものではないが、『操業度』と書いてピンとこない人向けの説明であるので、生産量と置き換えて理解を促す目的記載した。

費用と原価

正直、こんな会計テクニカルタームの違いについて特にあれこれ言うつもりはなかったのだが、ステップとして

という文章の組み立てにするため、このタイミングで入れた。『今期分に調整』という視点は、財務会計寄り過ぎて良くないような気もするし、既に前段で取り上げているため、やや冗長だったかもしれない。

なお、元々本稿では、等級別の説明にも役立てようと、

という3製品製造する工場を想定していた。が、いらすとや辛口と甘口が無かったため、2品目も寂しかろうと、とりあえずみつけたカレーパンにしてみたんだが、指摘の通り『パンはどこから出てきたんだろう?』という感想は生まれるだろうから辛口・甘口に戻そうかな・・・

部門別

説明のため必須判断したので記載した。本稿は、最小量で説明することが目的ではない。一般的会計システムとの連動・整合観点から書いておいた。

連番品ってなんやねん

総合原価計算の小分類一々かくの面倒だなあと想い、どこかのサイトからコピーしたときに混入したものだが、検索してみると『連番品原価計算』という用語を使っている人は存在するらしい。改めて『基準』の当該箇所を眺めて見ると、『連産品原価計算』(ガソリンとかの計算するあれ)は書いていないし、何者なのか俺も分からん。(最初は、『バッチ原価かなんかのことを言うのかしら』と思っていたが)

色々と好き勝手書いてみた。別に回答を記載する義務はないと思うので、アンサーになっていない箇所もあるかもしれない。なんにせよ、原価計算というテーマ話題になって大変満足。その話がたくさんかけてすごく嬉しい。記事本文はおいおい修正していく。また今後も、ごちゃごちゃ書いていくので、その節はよろしく。

2016-05-17

原価計算の基礎と基本について全力でまとめてみる』を読んで

このエントリを書いている私とは別の人が、 http://anond.hatelabo.jp/20160517150742 で間違いや思うところを挙げている。

本当はこのエントリを書く予定は無かったが(だって書いたとしても、簿記管理会計を知っている人から見れば自明だし、知らない人から見ればどちらが良いのかなんて判断できないので、結局自分時間がすり減る以外の効果がないのだ)、↑の増田に触発されたので自分も少し書いてみることにしたよ。

(なお、元のエントリである原価計算の基礎と基本について全力でまとめてみる』 http://www.yutorism.jp/entry/costing 、および↑のエントリ、そしてこのエントリは(たぶん)すべて別個の人間が書いている。前の2つはもしかしたら同一人物かもしれないが、すくなくともこのエントリを書いた私は、前の2つのエントリとは何の接点も持たない人間であることを表明しておきたい)

では参ろうか。なお、これ以降の「元のエントリ」は、『原価計算の基礎と基本について全力でまとめてみる』 を意味する。

元のエントリの全体の印象

元のエントリ最初にちょろっと「原価計算とは何か」とか、「原価計算目的」について書いてあって、それらは正しい。前に話題になった簿記の基本の話のときは、最初からずっこけたんだけど、今回はずっこけなかったので「これは成長したなあ」なんて思って読み始めたが、やっぱりというか、だんだん原価計算の基本とは異なる「よくわからない何か」になってゆく感じだった。とりあえずその中から自分が気がついたところをいくつか指摘する。(全部は大変なのでやらない)

原価計算基準とは何か

そもそも原価計算基準について、元のエントリを書いた人はどういう認識なのかな? この基準は当時大蔵省がまとめたものなんだけど、拘束性がない。原文を参照してみよう。

原価計算基準 - Wikibooks

しかしながら、この基準は、個々の企業原価計算手続を画一に規定するものではなく、個々の企業有効原価計算手続規定実施するための基本的なわくを明らかにしたものである。したがつて、企業が、その原価計算手続規定するに当たつては、この基準弾力性をもつものであることの理解のもとに、この基準にのつとり、業種、経営規模その他当該企業の個々の条件に応じて、実情に即するように適用されるべきものである

というものなので、財務会計のいくつもある会計基準と比べるとかなりルーズである。「原価計算実施する企業体合理的にやってね」というくらいの基準。(合理的というのは、その企業体原価計算目的を達成できる程度の合理性という意味合いで、何か法令で○○製品は☓☓法で処理しなければならない、などと決まっているわけではない。したがって、同じ製品製造している企業でも、企業によって異なる原価計算手法採用していることはありうるし、実際にあると思う。さらにいえば、この大蔵省原価計算基準に載っていない計算方法であったとしても、その製品計算において合理的であれば採用してかまわない。)

そういった説明が無いので、おそらく何も知らない人から見ると、「原価計算は同じものに対して何個も処理法があってよくわからない」みたいな感じになるのでは?、と思う。

くわえて原価計算基準でも指摘しているように、企業毎に原価計算目的計算方法が異なるのが通常なので、「○○が一般的」などということは、一般的には言えない。元のエントリはところどころに「○○が一般的です」といった説明があるが、何をもって一般的判断しているのか?、より詳しい説明が聞きたいところ。

費用の分類

で、次に進む。青い太字で「分類は『誰が、どの時間軸で見るのか?』によって変わる」とあるんだけど、「誰が」とは誰なんだろう。原価計算担当者以外、原価計算を行うもの企業内でいるとは思えない。だとすると、計算担当は一人(あるいは当事者といってもいい)しかいないだろう。複数の「目」を仮定しているからこそ「誰が」という話になるんだけど、ここでなぜそういう仮定を置いているのだろう?

まあ、たまには計算担当が引き継ぎなどで変更されることがあったり、別の会社の似たような事例を参考にすることはあるので(そんなふうな試験問題もある。例えば会計士試験などでは、「ある原価計算担当者は『〇〇』よりも『☓☓』が良いと主張している。どちらがより適切か論じなさい」みたいなやつ)、絶対に無いかと言われるとちょっと怪しいけれど、「誰が」が、問題になることは、ほぼ無いのではないかな。

ちなみに、このちょっと前の、

管理可能性に基づく分類・・・自らの意思で減らすことが出来るかどうかZ

というのの最後は「Z」ではなくて「?」だろうね。分類の説明もかなりアヤシイところがあるね。(4の操業度の説明は、「製造量」で良いのかな? 操業度と製造量は別個の概念だと思うが)

製造費用の分類の画像も知らない人が見ると混乱する要因がありそうに思った。

原価計算の難しいところ

で、あまり気にしないでどんどん進む。このあたりから、いろいろとどうなの?というところが増えていく。

費用と原価がざっくりまとめられているんだけど、この説明はこれで大丈夫なのかなあ。この原価の説明はなんか、はじめて聞いたくらい。「費用を今期分に調整」って、それが原価なの? 期間に着目して原価を説明するのは無理なんじゃないかな。(製造した製品視点がどうしても必要だろう)

このあと、いらすとやさんの画像を使って、カレー/カレーパン/シチューを作る例で話が進むのだけど、カレーカレーパン工程は、少なくともパンを作る工程くらいは入れるべきだろうね。(脱線するけれど、カレー画像緑色のものが載っているけれど、これはなんなのだろうか。グリーンピース?)

事務員さんによるサポート(赤矢印)」という太字のところは「赤」ではなくて、「青」だよね。

原価計算の手順

で、進む。部門別原価計算の例で進むけれど、部門別原価計算って、一番シンプルな例で進むとしたら、部門別である必要はないのでは?費目と製品別で原価計算の基本は説明できると思うけれど。実際に簿記2級で最初に習う一番シンプルものはそんなところだったはず。

だんだん疲れてきたので

このあたりで終了。やる気のある方は、この続きや自分の指摘以外の箇所をやってください。「計算金額:実際原価計算 と 標準原価計算」の箇所もどうかな?と思うところがあったり、他にもいくつもありますが、疲れたので終了します。久しぶりに管理会計原価計算の本を見たりして、ぐったりした。

これらが「原価計算の基礎と基本」なのかな? すごいトリビアルな箇所があったり、説明が適切ではないところがあったりするので、知らない人からみると相当混乱するのではないだろうかと思っているんだけど、どうだろうなあ。

前の簿記エントリ http://www.yutorism.jp/entry/2015/11/11/100336 を見ると、コメント欄に初学者の方が質問されているようだけど、その質問に対する回答も無いようなので、知っている人から見れば「ちょっと変だなあ」くらいで済むけれど、知らない人から見ると理解の妨げになりそうな感じがしております。まあそれも仕方ないのかもしれないけどね。

※ 前の簿記エントリについて、私が書いた増田が読みたいという(奇特な)方は、

- 『簿記の人気エントリhttp://anond.hatelabo.jp/20151112103436

- 『簿記エッセンス(簿記という言葉意味を間違えないために。)』 http://anond.hatelabo.jp/20151113140308

を参照していただきたい。

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