「電話の音がするねぇ」
と言い出した
しかし耳を澄ませてもなにも聞こえない
「しないよ」
と言っても
「するよ、じゃあよそのおうちかな、よその子が悪い事をして鬼さんに電話されてるのかな」
と音がする主張を止めない
私は鬼から電話を時々使っていた
子供が言う事を聞いて便利だからって幻聴が聞こえるほど追い詰められていたなんてもう使わないでおこうと反省した
居間でテレビを見ていた旦那に事情を話して来て貰ってもやはり聞こえないらしい
すると子供は「わかったこれ僕の夢の中からする音だよ」と言い出した
私が「もし怖い夢を見てもパパとママが夢に行って守るから大丈夫」と言い電気を消すと子供は眠った
頭の奥から響くような変な音だ
旦那に聞いても、聞こえないらしい
そして旦那も眠って
今もまだ耳の奥でジリリリリジリリリリと鳴り続けていてとても怖い
スマホおいて音に集中したくないし早く寝たい
やっぱストロングゼロ飲むんだね。
インクなんて補充するだけじゃないの?
朝ではない。昼でもない。走るしかない。機関銃の雨に撥ねる北の大地の泥は、マズルフラッシュにあてられて金雲母のように闇に輝く。
その間を浮遊するバイオチャフにより、ノイズを発するしか能のなくなったウェアラブルオペレーション。バグを起こしてあさっての方向を走り回る援射ロボット。
背にした土嚢の向こう側から迫るオート歩兵の駆動音。隣には陸戦車コントローラを持ったまま冷たくなったT。
再突入の見込みはとっくの昔に消えた。私たちに課せられたミッションは28分前に破棄された。
後に「雪解けの悪夢」として語られるこのトカチガ管制塔奇襲作戦を、ウラジミール・ドッグスたちはまさに犬であることを誇示するように食い散らかした。
迫撃砲の嘶く声。耳をつんざく着弾音。ヘッドギアを抱えて、礫岩の雨を受ける。死。幾度となく投げられた賽は今日ついに、その目を出したようだ。
損傷した鼓膜が耳鳴りを起こしている。乾いた血で固まった強化グローブとギアを外して、右足を失った私は空を見上げる。白んできた銀色の空に浮かぶロシアの無人爆撃機編隊。
通り過ぎると同時に降り注ぐ夥しい数の赤い粒たち。
白煙に包まれながらピンク色に発光する。カザンの血潮と呼ばれ、全道民を震え上がらせた光だ。
その美しさに、私は目を見開く。
これと同じようなものを、私は見た。
「ねえきみ、新入生だよね? よろしくね」
春の日差しのなか、彼女は赤らんだ顔で私にいった。あれはまだこの内戦の起きる前のこと。
19年前、北大に入学してまもなく、花見を兼ねた新歓コンパで2歳年上の彼女に話しかけられた。
「じゃあTくんがハタチになったら一緒に飲もうね」
そう一方的に約束された。サークルに入りしばらくして飲み会が続き、楽しげに酩酊する同級生を見て、飲んでみてもいいか、と思うようになったが、彼女はそれを許さなかった。
そういって彼女は私を見張るという名目でよく一緒にいるようになった。
彼女が飲んでいたチューハイはいつも同じで、アルコール度数の高いものだった。
彼女はそういうと缶のなかをのぞきこんで笑った。勉強に明け暮れた学生生活の中で、彼女との時間は幸福そのものだった。
ただ私は知っている。この記憶が本物ではないことを。
19年前、ここにいる私は存在すらしていなかった。
この記憶はストロング計画と呼ばれる極秘クローン兵士計画の発起者である北大出身科学者Tのものである。
Tは故郷に爆撃を受け、愛する人を失ったその憎悪から自ら軍研究所に志願し、計画を立ち上げた。
北の大地を侵すものに強い攻撃性を持ったTの記憶はデータ化され、1000のストロングアーカイブスに分けられた。
クローン兵士ダブルTたちはその中からランダムに196のアーカイブを植えられ、パーソナリティを獲得する。
ストロング196から1は平時より自由にアクセスができるが、1つだけ全兵士に共通の封印された記憶がある。
そのアーカイブは彼らが死に至るときにだけアクセスが許される。
ストロングゼロ。
それはTがもっとも幸福だったときの記憶だ。まだ、この国が平和だったときの、幸福な。
「買ってきたぞお~」
私は受け取ったポリ袋から、一本を取り出す。シルバーに映える桃色。
爆炎に飲み込まれながら、私は生まれて初めて、その味を知った。
親自身が無知でとりあえず子供が何かをしていると止めなきゃいけないという衝動があってそう言ってるだけ ネタが外出でも就職でも勉強でも自分の知っている「いつも」と違うと「悪いこと」と捉えてしまうだけ
最近急に、開いて最初にヨッピーの写真が出てくると身構えるようになったんだけど。
やっすい政治語ったあげくに叩かれたらだから政治は身近にならないんだとか言ってみたりさ、
病気の人間を晒して「こうなりたくなかったらクライアントの商品を買ってね」って言ってみたりさ、
うまくいかない時は、全く関係ないところで不幸なことが同時におこる。
どうしようもなく飲みたくなって、居酒屋で一人飲む。
はやりのストロングゼロでも飲もうとおもったけど勇気が出ず、ビールとタバコで脳を溶かしてますだにかきこむ。
誰かに急がなくていいんだよと言って欲しい。
急いでない。そこそこ自分は自分なりにいきてきて、それなりに自信がある。
でも、今夜だけはなぐさめてほしい。
まぐろのくせによくいう