はてなキーワード: レオナルド・ダヴィンチとは
彼女の旦那はひどい男だった。まずその話をする。これが発端だからだ。
彼女とその旦那は学生時代に出会い、就職後に結婚した。結婚後も、二人は幸せだった。(この段階では俺は一切登場しない。登場したら不倫になってしまう)しばらくは子供を作らないと決め、多趣味な旦那にくっついていく形で彼女もいろんな経験をしたそうだ。文字通り地球の北から南まで、様々なところへ旅行へ行った。お金もあったし、旦那は大企業。現代において、最良の結婚といっていい。その頃の写真には、まさに人類の幸せというものを教えてもらった気がする。とにかく、素晴らしい夫婦だった。
だった、ということはつまり、どこかで亀裂が入ったということだ。ここで登場するのが俺…というわけじゃない。俺はもう少し後だ。
旦那は栄転した。そこに転勤するということが選ばれた幹部候補の証であり、旦那は意気揚々と赴任地へ向かった。週末は彼女のもとへ帰り、月曜朝一の新幹線で出勤する。まさにエリート。しかしやはり、そういう生活はきつい。幹部候補ともなれば、その業務は半端じゃない。
この辺、長々と書く意味はないので省略するが。つまり、旦那は現地で女を作った。週末になかなか帰らなくなり、帰ってきたら来たで服の趣味が彼女の知らないものになっていたり、スマホにロックがかかっていたり、まぁ、そういうありがちな話しが長らく続く。
俺はその頃に彼女と知り合った。SNS上で、共通の趣味を通じて。ありがちな展開だけど。
で、悩む彼女に俺はいろいろとアドバイスをした。最初は単なる悩み相談から、徐々にキナ臭い方向へ。旦那が寝てる間に指紋認証突破しては、とかね。
それで、旦那のスマホからは、まぁ、お察しの通りのモノが大変な量出てきた。すごかった。正直すごかった。圧倒的な幹部候補セックス。札束を丸めて突っ込んでるとか、Vシネかよ。見たことないし多分そんなシーンないと思うけど。童貞の俺には手に余るシロモノだった。そういうことで、落ち込む(というレベルじゃないけど)彼女を励まし、勇気づけ、興信所を手配したり法テラスの手続きしたり、抜け殻の彼女の身の回りの世話をしたりして、彼女は旦那と離婚した。まぁ、俺が彼女の周囲にいることは彼女に取ってめちゃくちゃ不利だったんだけど(旦那からもそう指摘された)、証拠の内容が内容だし、浮気相手の女性を二回妊娠させていたりと大変なことになっていたので、俺の件は相殺された。
実際のところ、俺は彼女とはセックスしていない。セックスしてなけりゃいいのかという問題ではあるけど、キスなんかも彼女が結婚してる間はしていない。
ここで、俺の話をする。
俺は長身で痩身の雰囲気イケメンの男。神木隆之介っぽいとはよくいわれる。我ながら結構、いや相当いけると思う。彼女と知り合ったとき25歳で、今は32。
ちんこ、これはとても重要だ。太っていたころは、「大丈夫、腹の肉に埋もれているだけだし」と言い訳もできた。しかし痩せて行くにつれ、現実が腹の下から現れだしたのである。
…ちんこが、小さい!
俺のちんこは…これが…これが俺の真のちんこだったというのか…!?
最大に、フルに、マキシマムにさせてもその全長は7cm・・・いや、正直に言うけど、5cmである。5cmである。5cmなのだ。5cmさ。握れない。つまむのがやっと。
AVを見ていて、ぶっかけ要因の汁男優が列をなす場面があるだろう。それを見てて、やっぱり中には、すごく小さい人もいる。俺はそういう男性がいるととても安心して、オナニーをすることができた。しかし、己のちんこに向き合ったとき、思い至った。ちんこが小さい汁男優は、その後の本番の場面には参加していないという事実。記憶の限り、脳内でわが友たちの姿を検索しても、やはり、ちんこが小さいフレンズは本番には存在していなかった。もちろん、汁男優はあくまで汁専門。その後の絡みに関係することはないが、汁男優が本番に参加する企画のAVでも、ちんこの小さい男性は姿を消している。俺の脳をちんこ差別の電撃が襲う。AV映えしないという理由なのか。そんなにも視聴者はマグナムを求めているのか。
いてもたってもいられなくなった俺は、スマホを手に取った。
ちんこの問題に関して、ネットは信用できない。どいつもこいつも、ちんこがそれなりにでかいことを当然のこととして話をしている。包茎に関しても、まるで仮性包茎がレアであるかのような物言いだ。これは欺瞞だ。男同士でも、ちんこの大小はアイデンティティにかかわる問題なので、通常話すことはしない。銭湯で確認しようにも、俺は生粋のメガネ民族。湯気たちこめる銭湯では、真のちんこを見極めることができない。
かのレオナルド・ダヴィンチが実践していたという、「その道のプロに尋ねる」という究極の人力検索を俺は敢行した。
祈るように俺はデリヘルを手配した。
プロを待つ間、俺は立ったり座ったり、掃除をしたり瞑想をしたり、1分が数時間にも感じた。これほどの焦りは「俺は糖尿病なんじゃないか」と病院の待合室で脂汗を流して以来だ。
プロが到着した。むっちりした女性だ。プロをもてなす。お茶を出したが、さすがはプロ。口を付けない。何か変なもの入ってたら困るしな、と俺は初めて思い至った。
「それじゃあ…」とプロが言いかけるのを「あ、いや」と制止し、悩みを打ち明けた。
俺のちんこのサイズは、一般的にどの程度なのか…本当のことを教えてほしい。
世のあらゆるちんこを、ペニスを、男根を見てきた彼女ならそれがわかるはず。呼吸を抑えてパンツを脱ぐ。「みんなこんなもんですよ」の声を期待しながら。
脱いだ時、空気が変わるのを感じた。俺は死んだ。
あー…みたいな彼女の表情にすべてをあきらめた俺は、「いかがですか…」とちんこをさらにちいさくして、聞いてみた。
プロはしばらく逡巡したのち、「あの…ちょっと…あのぉ…歴代最小っていうか…」と答えてくれた。
俺は彼女のお尻に顔をうずめながら泣いた。最高に気持ちよかった。
帰り際、プロは「大丈夫…大丈夫ですよ!」と励ましてくれた。それほどまでにちいさかったのかもしれないが、とても感謝している。
ちんこが小さいのはギリギリで挽回できるとしても、やはりネックはかつて死ぬほど太っていたことだ。
中学~大学まで、体重の増大に歯止めがかからず、一時は130kgを超えた。5分歩くだけで大量の汗をかく。そんなキモい身体だから当然友達も恋人もできない。コミュ障の出来上がりである。おまけに心臓と肝臓にダメージが残った。今も血圧の薬を毎日飲んでいる。心臓は細胞が入れ替わらないから、「治る」ということはないらしいな。この肥大した心臓と一生付き合っていかなくてはならない。最盛期は、うつぶせに寝ると心臓の鼓動で体が上下するくらい、肥大していたから。
就職後、さすがに死を感じてダイエットした。肉が落ちる快感とともにちんこが姿を現すという絶望も味わったが、やはり体が軽いのはいい。単純に服を着る楽しみができたし。ちんこがちいさいからスキニーパンツも全く、もう本当に全く問題なく着こなせる。ははは。ははははは。
同窓会に出席するのはもう本当に楽しみだった。上記のように、俺はなかなか顔もよかったし、背も高い。ちんこと脂肪を捧げてこれらを授かった俺は、同窓会でめちゃくちゃモテた。肥満による死の恐怖でブーストされた健康志向によって、ちんこ以外の体の部分もケアしていたから、同級生の男性たちより格段にかっこよかった。ちんこだけが問題だ。…いや、正確には、思春期を瀕死デブとして過ごしてしまった俺には、コミュ力が一切なかった。会話ができない。何を言えば面白いのかわからない。話題がない。結果、「それにしてもやせたね!」「かっこよくなったね!」以外の言葉はもらえず引き出せず。仕事に関しても、「何してるの?」「町工場的なところで働いてるよ」のやり取り一発で終わった。官僚になったN君の周りは最後まで人で群れていた。二次会は行かなかった。あの後きっと笑いものだったろうな。
プロによるちんこショックと、同窓会ショックで完全に男としての欠陥を認識した俺は、趣味の世界に走った。
とはいえ、町工場的なところで働く俺である。金はない。だからお金がかからない、かつ、健康的な趣味をやることにした。バードウォッチングと天体観測(どっちも双眼鏡で事足りるからお安い)、山歩きで見つけたハーブでハーブティ。ハーブティから発展して漢方やアロマ。
もうすっかり脱線したけど、冒頭の彼女とは、この趣味を通じて出会った。
彼女は素晴らしい女性だった。…もちろん、同情心が俺にそう感じさせたのかもしれないが。
離婚後、3年付き合った。彼女の両親にも会った。感謝もされた。この人を幸せにしたいと思った。俺はちんこ的には全く及ばないが、ちんこ的なものに忌避感が生じた彼女とならうまくやれるのかも、とか漠然と思った。キスはたくさんしたし、オーラルな行為もしたけど、童貞はそのままだった。それでもいいと思った。
この時が来たか、と、俺はロックを解除した。以前彼女にアドバイスしたとおりに。
いやぁ、ちんこのパワーってすごい。
ちんこにトラウマを抱えた彼女が、どういう経緯で自らちんこを求めるのか。しかも、元旦那である。よくわからないが、ただ一つ納得できることは、俺のちんこは小さく、元旦那のちんこはAV映えするモノであるということだ。これはまぁ、もうしょうがないな。無理だったな、俺のちんこ。すまなかったな。
しかし、いったいどういうことなんだろうな。あれほどの行為をした男の元に戻るというのは。要するに、あの写真のようなことを望んだというわけだ。すごいな。何を言わせてるんだろう。何を言ってるんだろう。あの写真のようなことを「私にしてほしかった」「お前にしたかった」とか、どうなればそうなるんだ。
ちんこには勝てなかった。俺と、俺のちんこでは太刀打ちできなかった。
先日、彼女が元さやに納まった。泣きながら俺に感謝の言葉を述べる彼女。しかし一方で元旦那にちんこを下品な言葉で切望する彼女。エロゲかよ。エロゲはどいつもこいつもちんこでかくて、やりきれないけど。そういうエロゲもあるはずだ。
なんかもう、俺にはよくわからないな。そもそも、いくら生物多様性とはいっても、これほどのちんこの存在は子孫を残せないだろう。ぶっちゃけると、5cmはもう限界いっぱいまでサバ読んで5cmなんだよ。定規を思い切り中のほうにまで埋めて、ちんこの根っこっぽいところまでをギリッギリで測ってそれだぜ。ドラゴンボールの初期の孫悟空のちんちんみたいな感じだ。タマのほうが圧倒的にでかい。タヌキかよ。
いくら配られたカードで勝負するしかないのが人生とはいってもさ、ここまでする必要があったか?
ちんこのサイズを気にしない女性はいる。という声はある。しかし、その結果があの彼女だぞ。何も信じられないだろう。どうだよ。この有様は。
facebookで彼女の投稿を見てしまう俺も俺だが、なんというか、俺と歩いた山道で普通に元旦那にして現旦那と写真を撮っているのを投稿するなよ。そこで「私にしてほしかった」ことをしてもらったのか?
あーーー。
神よ、俺にあと2cm与えたまえ。