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2019-09-14

寄付隠蔽みんなで騙せば怖くない MITと他もいくつか

伊藤穣一 MITメディアラボ前所長

ニコラス・ネグロポンテ (Nicholas Negroponte) MITメディアラボ創設者名誉教授

ローレンス・レッシグ (Lawrence Lessig) ハーバード大学法学部教授

ピーター・コーヘン (Peter Cohen) MITメディアラボ前開発部長

ラファエルライフ(Rafael Reif)MIT理事長

セスロイド(Seth Lloyd) MIT機械工学教授

リチャード・ストールマン (Richard Stallman) MITコンピュータ科学人工知能研究所 (CSAIL) 客員研究員GNUプロジェクト創始者フリーソフトウェア財団 (FSF) 代表

伊藤穣一

Reid Hoffman apologizes for role in Epstein-linked donations to MIT

リードホフマンLinkedIn創業者)の謝罪

My few interactions with Jeffrey Epstein came at the request of Joi Ito, for the purposes of fundraising for the MIT Media Lab. Prior to these interactions, I was told by Joi that Epstein had cleared the MIT vetting process, which was the basis for my participation. My last interaction with Epstein was in 2015. Still, by agreeing to participate in any fundraising activity where Epstein was present, I helped to repair his reputation and perpetuate injustice. For this, I am deeply regretful.

私の数少ないジェフリー・エプスタインとの関わりは、伊藤穣一の求めによるもので、MITメディアラボ資金集めのためのものです。会う前に、私は伊藤穣一からエプスタインMIT審査手続きクリアしたと聞きました。それがエプスタインに会った理由です。エプスタイン最後に会ったのは2015年でした。エプスタインが出席した資金集め活動に何であれ参加することに同意したことで、エプスタイン名誉回復し、不正を長続きさせることを手助けしました。これについて、私は深く後悔しています

ニコラス・ネグロポンテ

MIT Media Lab founder defends embattled director's decision to accept money from Jeffrey Epstein (The Boston Globe)

In an e-mail to the Globe sent after the meeting, Negroponte said he told Ito that “he should” take Epstein’s contribution, and “I would say that again based on what we knew at the time. . . . “Epstein is an extreme case. But then do you take Koch money? Do you take Huawei money? And on and on?” Negroponte said.

MITメディアラボ総会で、「ジェフリー・エプスタインから資金を今でも受け取れと所長に言う」との発言を)総会の後に届いたメールでは、「所長は受け取る「べき」だ」、「あのときわかっていたことを基にすれば、同じことをいう」という意味だと説明した。(略)「エプスタインは極端な例だ。しかコーク・インダストリーズアメリカ保守勢力コーク家同族企業)の金なら受け取るのか?ファーウェイの金は?じゃあ他はどうなる?」とネグロポンテは言った。

ローレンス・レッシグ

On Joi and MIT

I had known of Joi’s contact with Epstein since about the beginning. He had reached out to me to discuss it. We are friends (Joi and I), and he knew I would be upset by his working with a pedophile.

Joi伊藤穣一)がエプスタインと連絡を取っていたのは、最初から知っていた。彼はそのことを私に相談していた。彼と私は友人で、自分小児性愛者と仕事をしていることで、私が動揺することを、彼は知っていた。

Joi believed that he did not. He believed Epstein was terrified after the prosecution in 2011. He believed he had come to recognize that he would lose everything. He believed that whatever else he was, he was brilliant enough to understand the devastation to him of losing everything. He believed that he was a criminal who had stopped his crime. And nothing in his experience with Epstein contradicted this belief.

エプスタインはもう虐待者ではないと Joi は信じていた。エプスタイン2011年起訴された後、恐怖に襲われている、と伊藤穣一は信じていた。エプスタインはすべてを失うことになるのを認識するに至ったと伊藤穣一は信じていた。いずれにせよ、エプスタインはすべてを失うという絶望理解する十分な知性があると、伊藤穣一は信じていた。エプスタインはもう犯罪を犯さな犯罪者だと、伊藤穣一は信じていた。伊藤穣一はエプスタインに会って、その信念に矛盾することを何も感じなかった。

IF you are going to take type 3 money, then you should only take it anonymously. . . . Good for them, for here, too, transparency would be evil.

タイプ3の資金犯罪者から犯罪でない方法で得た資金)を受け取るなら、匿名でのみ受け取るべきだ。(略)(学生学歴秘密にするように、資金を受け取る場合も)透明性は悪になる。

Sure, it wasn’t blood money, and sure, because anonymous, the gift wasn’t used to burnish Epstein’s reputation.

かにエプスタイン資金犯罪で得られたものではなく、確かに匿名で受け取ったので、その資金提供はエプスタインの名声を高めるために使われていない。

I know that Farrow’s article is crafted to draw the following sentence into doubt: Everything Joi did in accepting Epstein’s money he did with MIT’s approval. I trust the MIT review will confirm it (yes, I remain exactly that naive). So why is he resigning, rather than others in the administration?

ファローによるニューヨーカー記事は「JoiMIT承認の下、エプスタイン資金を受け取った」ことが疑わしくなるように整形されている。MIT調査はそれを承認したと、(ええ、馬鹿正直だと思うが)私は信じている。そうなら、MIT経営陣ではなく、なぜ彼が辞職するのか?

And if Ito must go because Epstein’s wealth was accepted anonymously, who else should go because of blood money accepted openly? Will the planet have an equal advocate who demands justice for the Koch money? Or the victims of opioid abuse for the Sackler money?

もし、エプスタイン資金匿名で受け取ったことで、伊藤が辞職しなければいけないなら、顕名犯罪により得た資金を受け取った人は辞職すべきだろうか?保守勢力コークインダスリー資金に対して、正義を求める平等主義弁護士はこの地球にいるのだろうか?サックラー家の資金に対してオピオイド被害者は?

So put the parts together: The MediaLab accepted an anonymous contribution from Epstein through the help and direction of Joi. The Lab did not (as “Professor Anonymous” wrote to me, his outrage apparently blinding him to irony) “help reputation-launder a convicted sex offender.” It would have, had it not be anonymous; but that’s the point about it being anonymous.

要点をまとめると、メディアラボJoi の補助と指示によりエプスタインから匿名寄付を受け取った。メディアラボ有罪性犯罪者汚名を雪ぐことは何もしていない。匿名でなければ、汚名を雪ぐことがあったかもしれないが。それが匿名であることのポイントである

ピーター・コーヘン

Peter Cohen, a former director of development and strategy, said in a statement that when he joined the Media Lab in 2014, it already had established procedures for handling Epstein’s contributions. Cohen said he understood that those policies were “authorized by and implemented with the full knowledge of MIT central administration.”

MITメディアラボ前開発部長ピーター・コーヘンは声明で、2014年メディアラボ仕事を始めたとき、エプスタイン資金提供を扱う手順(匿名化、少額分割)はすでに出来上がっていた。これらの方針は、MIT経営陣の中心が十分理解したうえで承認され、実行されていた、と彼は理解した。

ラファエルライフセスロイド

少女虐待容疑の米富豪のMIT寄付、理事長が容認 大学ぐるみで匿名化 (AFPBB)

MITセスロイド(Seth Lloyd)教授がエプスタイン被告から寄付を受けたことに対する感謝状に、ライフ氏の署名があることを、同大とエプスタイン被告との関係調査している法律事務所から知らされたという。

Letter regarding preliminary fact-finding about MIT and Jeffrey Epstein不正資金に対する調査途中経過報告)

Second, it is now clear that senior members of the administration were aware of gifts the Media Lab received between 2013 and 2017 from Jeffrey Epstein’s foundations. Goodwin Procter has found that in 2013, when members of my senior team learned that the Media Lab had received the first of the Epstein gifts, they reached out to speak with Joi Ito. He asked for permission to retain this initial gift, and members of my senior team allowed it. They knew in general terms about Epstein’s history – that he had been convicted and had served a sentence and that Joi believed that he had stopped his criminal behavior. They accepted Joi’s assessment of the situation. Of course they did not know what we all know about Epstein now.

メディアラボ2013年から2017年の間にジェフリーエプスタイン基金から資金提供を受けたことを、MIT経営陣の上層部が知っていたことが明らかになった。メディアラボがエプスタイン資金を初めて受け取ったことを2013年上層部が知ったとき伊藤穣一に連絡を取ったことがわかった。伊藤穣一はその資金を返却しない許可を求め、上層部許可した。伊藤穣一上層部はエプスタインの経歴について、有罪になって刑に服したという一般的事柄を知っていた。伊藤穣一はエプスタイン犯罪行為を止めたと信じていた。上層部伊藤穣一による評価を受け入れた。エプスタインについて今わかっていることを、当時彼らは知らなかった。

Joi sought the gifts for general research purposes, such as supporting lab scientists and buying equipment. Because the members of my team involved believed it was important that Epstein not use gifts to MIT for publicity or to enhance his own reputation, they asked Joi to agree to make clear to Epstein that he could not put his name on them publicly. These guidelines were provided to and apparently followed by the Media Lab.

伊藤穣一は、ラボ研究者支援設備購入などの一般的研究目的資金を求めた。かかわった経営陣のメンバーは、伊藤穣一にエプスタインから次の事項に対する了承を得るよう求めた。MITへの資金提供を公にしたり、エプスタインの評判を良くしないように、資金提供名前公表しないこと。これらのガイドラインメディアラボ提供され、メディアラボガイドラインに従った。

Information shared with us last night also indicates that Epstein gifts were discussed at at least one of MIT’s regular senior team meetings, and I was present.

エプスタイン資金提供について、少なくとも1度は上層部定例会議で議論された。理事長である私も出席していた。

I am aware that we could and should have asked more questions about Jeffrey Epstein and about his interactions with Joi. We did not see through the limited facts we had, and we did not take time to understand the gravity of Epstein’s offenses or the harm to his young victims. I take responsibility for those errors.

ジェフリーエプスタイン自身と、彼と伊藤穣一とのやりとりについてもっと質問できたし、すべきだった。知りえた少ない事実を精査しなかった。エプスタインによる加害行為の重大さや若い被害者への危害理解する時間を取らなかった。これらの過ちの責任理事長である私にある。

リチャード・ストールマン

Famed Computer Scientist Richard Stallman Described Epstein Victims As 'Entirely Willing' (The Vice)

Early in the thread, Stallman insists that the “most plausible scenario” is that Epstein’s underage victims were “entirely willing” while being trafficked.

メーリングリストスレッドの初期に、「最も可能性のあるシナリオは、エプスタインにより被害を受けた未成年者は、売春強要されている間、完全に自ら望んでその状況にあったとすることだ」とストールマンは主張した。

メーリングリスト投稿されたストールマンメールを含む一連のスレッドは、記事最後PDF ファイルで閲覧できる。

制限文字数を超えたため、続きは寄付隠蔽みんなで騙せば怖くない MITと他もいくつか 続きに書きました。

2009-09-24

ニコニコ動画削除問題 - デジタルコンテンツの真の問題

インターネットの発達で、紙の本や雑誌は滅びる――そういわれてから何年たつだろう。そしてそろそろ事態が動きはじめたかと思われる節がある。まずグーグル世界的にすさまじい量の書籍電子化に乗り出した。コンテンツはこれでかなりの蓄積ができた。またリーダー機器の面では、日本では未発売だがアマゾンコムキンドルという電子ブックリーダーを発表し、一定の成功を収めている。流通も、アマゾン電子ブック販売や、アップルiTunesストアなどが手法をほぼ確立しつつある。

だがその過程で、電子メディア特有の問題も次第にあらわになりつつあるようだ。それを示す事件が最近立て続けに起きている。

アマゾンコムキンドル用に、オーウェル1984年』『動物農場』の電子ブックを買った人は、6月に驚愕した。版元に問題があったから、としてこれらの本が手元のキンドルから勝手に消し去られていたのだった。いったん買った本や雑誌ソフトが、自分本棚パソコンから勝手に消し去られるなんて、これまでは物理的にもありえない!

アマゾンは、この対応について平身低頭し、二度とやらないと宣言した。が、そもそもそんなことができるということ自体に多くの人が戦慄した。そしてその舞台がまさにそうした情報統制社会の恐怖を描いた『1984年』だったとは、なんたる運命皮肉か。

一方アップルは、オンラインiTunesストアで販売されるiPhone/iPod用のソフト健全性に、たいへん神経を使っている。わいせつ語が入っているソフトは、軒並みアダルト指定を受ける。先日、なんと普通英語辞書がこれを理由に改変を要求され、ストアへの出店を拒否された。アップルは対応のまずさを認めたものの、方針にはいまのところ変化はない。

わが国では動画投稿サイトニコニコ動画が同様の問題を示した。酒井ノリピーの昨今の騒動を受けて、彼女替え歌を歌唱ソフト初音ミク』に歌わせた動画が投稿された。ところがなんとその歌唱ソフトメーカーであるクリプトン・フューチャー・メディアが、そんなことに使われたら自社ソフトイメージダウンだ、と称して削除を要求したのだ。

当然ながら彼らはそのコンテンツについて何の権利ももっていない。が、信じられないことに、ニコニコ動画を運営しているニワンゴは、この無根拠な抗議にあっさり応じて、問題の動画を削除してしまった!

ニワンゴ経営陣でもある西村博之がこの対応に疑問を述べ、その後同社は、問題の動画を復活させた――投稿者に対する自主検閲を促すコメントつきで。

ネット著作権無視の違法コピーが横行する面ばかり取りざたされることが多い。でもじつはデジタルコンテンツの真の問題は、コントロールができすぎてしまうことなのだ。今回取り上げたケースが如実に示しているように。

これはネット法学の第1人者ローレンス・レッシグの10年前からの主張だが、それが急激に現実味を持ち始めている。紙媒体では物理的にできなかったことが、デジタル媒体では平気でできてしまう。そのとき、いま当然と思われている権利や自由があっさり破壊されかねないのだ。

いま多くの日本コンテンツ運営業者は、抗議があればそれが正当なものだろうと不当なものだろうと、人に不快感を与えてはいけません、といった低級なお題目の下に問題のコンテンツをとりあえず消して、ほとぼりが冷めるのを待つ、というのがありがちな対応だ。ニワンゴの対応はその好例だろう。ブログ罵倒合戦くらいならそれでもいい。

だがデジタルメディアが紙媒体を置き換えるなら、紙媒体で建前にしても重視されている規範をどう維持するのかも考えるべきだ。目先の個人的な快・不快なんかより重要なことが世の中にはあるんだから。デジタルコンテンツも、それを考えざるをえなくなりつつあるのではないか。そしてそれを私企業倫理だけに任せられないとしたら、どんな規制がありうるだろうか?

じつは今年、そのヒントになりそうな出来事がもう1つあった。脳科学者の肩書で各種メディアに頻出している茂木健一郎が、ネット上のボランティア執筆による百科事典ウィキペディアでの自分に関する記述に文句をつけ、それをかなり我田引水なかたちで大幅に書き直した。それに対して項目執筆者たちはひるむことなく、ウィキペディア執筆ルールに基づいて茂木の苦情に形式的には対応しつつ、ほぼ従前の記述を復活させて、誠実な対応とメディアとしての中立性を見事に両立させたのだ。

こうしたネット上の自主的な倫理規範も多少の可能性があるのでは? むろん、それがどこまで公的な権利保護規制を補完代替できるかとなると、まだまだ考える必要はあるのだが。

http://news.goo.ne.jp/article/php/life/php-20090919-02.html

2007-06-17

平成十九年六月十五日白田秀彰演説記録

前口上

ThinkCに参加した人たちからは評価が高い白田氏の演説だけど、ギレン・ザビの演説級だと僕は思う。たくさんの人が知った方がいいと思うし、もっと評価されていいはずだ。一部で議事録もあがっているようだけど、現場の勢いはあんなものではなかったから僕の記録を公開することにした。それに今回のフォーラムは公開されないと聞いたから。

もしかしたら実際の発言とは多少異なっているかもしれない。そこのところは僕も危ぶんでいる。とはいえ、面白さとか迫力とかだったらある程度までちゃんと再現できてると思う。以下の記録を読んでくれて、白田氏の熱さが伝われば幸い。

演説記録

【第一発目】

...「制度改正ができるものならやってみろ」ということでしたが...

そんなこと10年前からやってきたんですよ!

博士論文で、著作権制度が産業保護奨励政策としての独占にすぎないことを明らかにした(1)。

博士論文の内容をくだいて一般向けにした、わかりやすい解説も書いた(2)。

あちらこちらの講演で語った。

雑誌記事で一般に訴えた。

オンライン記事でみなに訴えた(3)。

審議会に出て言いたいことを言ってきた。

ロージナ茶会という組織も作った──茶会はすでに解散してしまいましたが──。

パブリック・コメントも出した(4)。

私一人でできることは、ずっとやってきたんだ!

それでも、誰もついてきてくれないから...

いまだに、こんな議論を続けなければならないんじゃないですか。

法律論では、なんにも先に進まないことは、もうわかってますよ。

...この会場の誰が、私を援けてくれるんですか?

誰が、私と一緒に著作権制度の議論に本気で取り組んでくれるんですか?

最近は、茶会のメンバーですら、私の書いた記事にコメントくれなくなった(苦笑。

そこら辺(運営側)の人たちも、最近さりげなーく私の発言を無視するようになった。

それでも、一人でも、一歩でも先に進まなければいけないから、

こうしてここで喋っているんですよ!

【第二発目】

会場から「白田の主張は偏ってるんじゃないか」というご指摘がありましたが...

そんなことは百も承知でやってんですよ!

日本の学界の主流である、ドイツフランス著作権理論がどんなものかは、よく知っています。

しかし私の博士論文では、イギリス著作権制度がそれらに先行し、強い影響を与えたことを明らかにしている。私の研究では、産業保護策としての独占の付与が先んじ、その後、著作者の財産権だの、著作者の人格権だのといった主張がくっついてきたことを明らかにしている。

私はその研究に5年かけたんだ。貴重な若い時間を費やしたんだ。

だから、著作権制度が所有権人格権を本質とするという主張については、賛成できない。さらに言えば、知的所有権のみならず所有権という概念それ自体があやふやであることもまた、岩波から出た論文集の中で指摘している(5)。

もちろん、こうした考えは学界では異端だろうし、支持者もいないだろうことは知っている。

しかし... 世間の大勢が、著作権は「天才を保護する権利だ」とか「創作者の心情を保護する権利だ」などと言ってるからといって、自分が5年かけて確認したことを、「著作権制度は、本質的に産業保護目的とした独占にすぎない」という自らの主張を、曲げることは学者としてできない。世間の大勢を慮って自説を曲げることを曲学阿世という。首をくくられても自説を叫ぶのが学者なんじゃないですか?

いいですか... 社会ほとんどの人が「著作権は天才の権利だ」と信じて、それを強化拡大しようとする側にいるとき、シーソーは、圧倒的に権利強化の側に重く傾く。そのとき、たとえ100mの空高くはじき飛ばされようと、誰かがシーソーの反対側に立たなければ均衡など維持できないではないですか。

ローレンス・レッシグは、憲法学者でありながら、なぜ著作権制度について問題意識をもち、闘っているのか!

彼の本、『コモンズ』には、こういう一節があった。

──連邦議員が、少数の利益既得権ではなく、一般的な福利を尊重すると考えることが頭がおかしいのなら、連邦最高裁が、形式的な法律の適用ではなく、われわれの自由や幸福について配慮すると考えることが頭がおかしいのなら、いますぐキチガイを増やさなければならない──

というものだ。したがって、私は百も承知で偏った議論を展開している。それは、それが全体としての均衡を維持するのに必要だと考えているからだ。

  • footnote

(1) 白田氏の唯一の学術論文である『コピーライトの史的展開』 知的財産研究叢書2, 信山社 のことらしい。

(2) ネットワークでは良く知られた『もう一つの著作権の話』青空文庫 のことのようだ。

(3) このあたり、氏のWebサイト『白田の情報法研究報告』でだいたい読める。

(4) 「知的財産推進計画2006」の見直しに関する意見募集にも提出している

(5) 知的所有について, 『[rakuten:book:11350650:title]』 第3巻 情報, pp. 85--105 のことらしい。

連邦最高裁が「自由や幸福について配慮すると考えることが頭がおかしい」という部分についてだけど、実際の記述は、『Free Culture』p. 313 にあった。引用すると以下のとおり。

でも、政府の役割が「バランスを追求する」ことであるべきだというのがバカげていると言うのであれば、わたしはバカの側に分類してほしい。というのも、そうなったらこれがかなり深刻な問題になってきたということだからだ。もし政府バランスを追求しようとせず、政府が単に最強のロビイストたちの道具でしかないということが誰の目にも明らかになっていて、政府に別の基準を要求するのがバカげていて、政府ウソではなく真実を語るよう求めるという発想がおめでたいのであれば、世界最強の民主主義だったはずのアメリカは、いったいどうなっちゃったというのだ。

政府高官が真実をしゃべると期待するのは頭がおかしいのかもしれない。政府の政策が、強力な利益団体のお手盛り以上の何かだと信じるのは頭がおかしいのかもしれない。歴史を通じてずっとアメリカ伝統であったもの――自由な文化――を守ろうと論じるのは頭がおかしいのかもしれない。

それが頭がおかしいのなら、キチガイをもっと増やさなきゃいけない。それもすぐに。

 
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