2013-02-03

アイドル丸刈り事件を「女性差別」と考える人とのFacebookでのやりとり

Facebookで次のようなやりとりがあったので、貼り付けます。皆さんの思考の一助となれば。

なお、下記のCは法科大学院生、AとEは大学教授です。

(補足:本題は、AとC、Eのやり取りです。B、Dのコメントは前振りです。また、イメージがわきにくいので、男女の別と肩書きを付しました)

A教授(女)の投稿

AKB48メンバー恋愛丸刈り問題、フランス新聞リベラシオン」にも掲載されました。

タイトルは「日本ダンサー少女丸刈りに衝撃」で、事実淡々と伝えていますYou Tube画像24時間で300万回以上再生されたとか、日本で大騒ぎになってるとか。彼女は「自分で決めた」と強調しているとか。それで、「第二次大戦ナチ将校と寝たフランス女性懺悔を思い出させる」という反応とか、「これが先例になったら困る。青少年への影響を考えろ」というツイッター上の反応とか紹介してます。そのうえで、。「このように日本懺悔伝統少女を追い込んだことについても、恋愛を禁止したことについても、このような有名人プレッシャーをそれを負うには若すぎる少女に課したことについても、誰も罰せられない」と皮肉っています

私は、You Tube世界中から見られるので、日本の恥世界さらさないで!と危惧していましたが、恐れていた通りになりました。 http://next.liberation.fr/musique/2013/02/01/surprise-chez-un-danseur-une-chanteuse-japonaise-se-rase-la-tete_878485

コメント

B(男)

どこかで、次回出すCDに、切った髪の毛を入れて発売するという記事を読みました。すべては商業的に仕組まれたことだったのではと思います。本当ならば、なんとしたたかなことか。

A教授 (女)

Bさん、私も作為的なものを感じます。でも、それが商業的に成功する国・社会であってはいけないし、フランスAKBのような存在のものが成り立たない成熟社会です。

学生C(男)

商業的に成功するんでしょうか?さすがに切った髪の毛をCDに入れるのには、ファンも反対すると思うのですが。まあ、ファン以外の人がたくさん買うと思うので、売れることは売れるかもしれませんけど…。

AKBのような存在のものが成り立たないことを「成熟」と捉えることには反対です。

A教授(女)

Cさん、反対の理由は何ですか?確かに「成熟」にはいろいろな意味があるので、ちょっと良い表現ではないかもしれませんが。

D(男)

切った髪をCDに入れるというのは、虚構新聞の悪乗り記事ね。

B(男)

Dさん、そうでしたか。うっかり、ひっかかりました。(^^ゞ

学生C(男)

端的に、成熟(その裏返しとしての未熟)といえる根拠がないと思うからです。逆に、成熟と捉える理由はなんですか?

ところで、フランスでは、AKBは人気がないですが、モーニング娘。結構ファンがいるようです。どういう差なんでしょうか…?

A教授(女)

私の考える「成熟社会」とは、自由、平等法の支配がより行きわたる社会です。子ども女性障がい者等、弱者権利がより守られる社会です。

もちろん、この問題1つだけで日本が未熟でフランス成熟しているという根拠には不十分かもしれませんが、たとえば日本新聞で、上のように「誰も罰せられないのはなぜ?」と疑問をなげかける新聞があるでしょうか?フランスももちろん闇の部分はたくさんあるので、100%良い国だなどといいう気は全くないのですが、女性差別とか児童暴力ポルノ問題への批判に関しては、日本の数歩先を行っていますモーニング娘コスプレが人気と言っても、あくまで「しゃれ」の範囲で、今回のような丸刈り事件には大多数が反対するのがフランス社会だと考えています

学生C(男)

Aさんのおっしゃるような社会を「成熟社会」と呼ぶことには違和感はありませんが、AKBのようなアイドル存在しえないことは「自由、平等法の支配がより行きわたっていること」と関係がないように思います

児童ポルノ問題については、日本アメリカヨーロッパ諸国に比べると遅れていますね。性差別については、議論が盛り上がっているということ自体は先を行っていると言えますが、議論の進展状況については、フランスでのヒジャブ禁止問題を見る限り、単純にそう言えるか微妙なところもあります

今回の丸刈り事件については、日本でも批判的な見解が大多数だと思います。例えば、朝日新聞の記事はかなり批判的です(http://www.asahi.com/national/update/0201/TKY201302010381.html)。この記事は、むしろ、上記のフランス新聞よりも問題状況を理解していると言えます(この件について、坊主にされたフランス人女性の話と比較させるのは的外れです。もちろん、単に市民の反応を紹介しただけ、という言い訳はできるでしょうが)。

A教授(女)

Cさん、朝日の記事は読みましたが、私には批判的とはあまり思えませんでした。特に、後半の危機管理プロかいう方の「謝罪は成功」とか、「アイドルは商品。ブランドコントロールは何よりも重要です」というコメントで締めくくる記事構成は、それを是認しているととられる可能性大です。「反省してるから許してあげて」と言いますが、反省する必要はないし、それを売りにしていること自体が明治時代以来の処女神話というか、女性商品化差別)の表れと思うと私には耐えがたいのです。フランス社会はそれに抵抗があるからAKBのような存在が(ごく一部のマニアックな層に人気が出たとしても)メジャーになることはないと思っています

へジャブ禁止令もそもそもイスラム女性差別に対する批判からでてきた話で、しかも禁止は学校内だけですから、問題ないと思っています

学生C(男)

察するに、今回の件に関してどのような理由から批判するのか、という点について、Aさんと朝日新聞とでは視点が異なるのだと思います朝日新聞は、「アイドル恋愛禁止」をやや批判的に描き、「反省の手段として丸刈りにする」ということを体罰あるいはパワハラに類するものだと批判し、また、マーケティング戦略として失敗したのではないかという角度から意見を紹介しています。そこには、「女性差別」の話は登場しません。

今回の件を女性差別の問題と捉えることは、的を失していると思います。もちろん、女性商品化→即差別考える人がいるのはわかっていますが、自分はそうは思いませんし、そういう考え方が一般的だとも思いません(これに対し、男性女性わず、性の商品化自体が心地良いものではないという意見は多いと思います。それは差別とは別の問題です)。

ヒジャブ禁止は、フランス差別解消についての独善性が出たものと思っていますムスリム女性自身の反対を押し切って、よく施行に踏み切ったなと思います

それはともかく、AKB存在しえないことが成熟社会である、という言明は、Aさんのコメント内容から推測すると、結局、「女性商品化差別である」→「AKB女性を商品とするものである」→「AKB存在差別である」→「差別のある社会成熟していない」→「AKB存在は未熟を表す」という思考過程を経ているという理解でよいですか?

A教授(女)

女性商品化=即差別とは私も思いません。それこそ大人の男女が自らの魅力を演出してそれを売りにすること自体は、職業として成り立つのでしょう。でも、そこに「恋愛禁止」のルールなど入りこむすきはないですよね?その自由の否定とそれを受け入れる社会が未熟だという考えです。校則なども一種の自由の制限として私自身は反対です。

なので、上記の「女性商品化差別である」という命題からは出発しません。AKBのような未成年商売道具として利用する大人に対する批判はあるので、AKBに限らず、「10代のアイドルは大人が子どもを商品とするものである」→「特に処女性を売り物にするアイドル(たとえばAKB)は女性差別である」→「子どもを商品としたり、女性に限らず、差別を許す社会は未熟である」という思考過程を経ているかな?と思います

E教授(女)

このAKBの構成員たる若い女子丸刈りが、いかに多くの女性から嫌悪感を帯びて見られているか秋元某はわかってないでしょうね。この嫌悪感は、まさしく「女性がオッサンから商品化」され、「搾取」されていると嗅ぎ取っていることからます。また、「若いにーちゃんがこれを見て喜ぶだろう欲求」を充たしたと、商業ベースから判断されていることを嗅ぎ取っているからでしょうね。

法や人権に携わる者が、これらのことに鈍感であってはならないと強く感じます。そういう意味での「嗅覚」、とても大切ですよね。頭で理屈づけることなど、後から暇な人がすれば良いことです。これが社会的に、また若い女性若い男性に与える悪影響から考えると、即刻このような「性の商品化」はやめるべしだと思います。また、森美術館の例の展示も、いま問題の体罰も、根っこに同じものを感じます

Aさんの仰ること、私には大変よく理解できますロースクール法学部も、真面目にジェンダー法に取り組むべきでしょうね。

E教授(女)

うそう思い出しました。キャリア教育などでも「自分を商品と思って売り出すなら、なんて売り出しますか?」というフレーズを使う講師に、それは不適切だと抗議したことがあります人間は売り物ではありません!それを、いけしゃあしゃあとやっている大人たち、買う人間いるから売るという発想の大人、これは本当に断罪しなければなりません。

F(女)

謝罪って・・・誰に対して?写真集犯罪については責任者男性権力者落とし前社会的にも不問で、労働者女子人権人格も否定される不平等搾取だし、キモい日本ジェンダーバランスの点では著しく未熟な社会である

G(女)

AKB女の子と同じくらいの年齢の娘がおりますので、この女の子丸刈り姿を直視できません…。これがもし自分の娘だったら…と考えるだけで、死にそうなくらいイヤな気持ちになります。そんな集団に入ることを許してしまった、親としての自分のあり方を呪うと思います

この画像に対する嫌悪感は、表現しがたいほどです。女性が「罰として丸刈りにする」という行為自体が、ナチス収容所に入れられた女性や、大戦後、ナチスとの付き合いがあったことで丸刈りにされた女性たちを連想してしまうのです…。

こんなことがまかり通る「幼稚」な国であるということを、臆面もなく世界さらしてしまったことは、本当に恥ずかしいと思いますね。

H(女)

私も朝日新聞の記事を読みましたが、あれのどこが批判的なんでしょ?しかも、その記事の横に「板野友美引退」ですよ?スポーツ紙か?と突っ込みました。

テレビニュースも然りです。この気持ち悪さ、不快感本質をついてくれない。

Aさんのスレッドを読ませて頂き、やっと胸のつかえがおりました。

学生C(男)

>Aさん

女性商品化というよりは、子供商品化が問題であり、また、それとは別に処女性を売り物にすることが女性差別だということですね。処女神話はたしか女性差別意識の発現と言えるでしょうから処女性を売り物にすることが女性差別意識を払拭することを妨げると言うことはできますよね。

ただ、たしかに「男はあの映像を見て喜ぶ」と演出サイドが思った可能性はありますが、実際にはそんなことはおそらくありませんので(喜ぶ人もいることはいるでしょうが)、演出サイドを責めるならともかく、今回の件に対する批判の声が多い現状に鑑みると、社会を未熟と言ってしまうのは、卑下しすぎではないかと思わないではないですね。

少数派の意見正当化しなければならないときには「嗅覚」だけではどうにもならないので、理屈けが必要です。もちろん、問題発見プロセスでは、理屈付けの前に「嗅覚」が先に立つわけですが、正当化プロセスにおける理屈けがなければ、味方同士の馴れ合いで終わりです。

E教授(女)

>Cさん

嗅覚」が働かないような人は、学者にも司法関係者にも人権に携わる人にもはなれませんね。どこぞの弁護士みたいに人権が飯のタネ、なら別ですが。かしこぶっても、痛みをわからない人に理屈をつけられるよりは、まずは気持ち悪さを「共感」できる人でないと、自分はおろか他者の「権利」なんて守れませんからね。「正当化プロセス」を他者がしたり顔ですることが、問題発生のすぐの時点でそんなに必要とは思えません。それを味方同士の馴れ合いなどと断言されるというのは、やはり第三者である自分安全地帯において評論する、というところからですかね。

F(女)

Cさん、大衆論理は常に正しいんですかね。女性のことに関して女性意見を聞かない男性に何がわかるのでしょうか。古代である嗅覚すらないならもはや生物とも思えません。

  • 「特に処女性を売り物にするアイドル(たとえばAKB)は女性差別である」 が意味不明。 処女性を売り物にするアイドルが、どういう点で女性の権利を不当に損ねているのか、尋ねてみた...

    • というか、一昔前は男性アイドルも恋愛禁止みたいなのが多かったような。

      • 女アイドルの恋愛発覚の場合、狂信的ファンの攻撃って本人のほうにいくけど、男アイドルの恋愛発覚の場合は攻撃対象が相手の女のほうにいく感じがする。

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