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2019-04-06

ドスパラSSD騒動リマーク疑惑言いがかりであること

先日、ドスパラリマーク疑惑をかけられた自社ブランドSSD「Z1シリーズ」の調査結果を発表し、そこそこ反響を呼んでいるようです。「疑惑はそこじゃない」というのが主流の反応なのですが、ここで反論しておこうと思います

私の中での結論は、「誰も何も問題のある行動をしていないし、製品にも問題はない」です。順を追って説明します。

念のため書いておきますが、私はドスパラ関係者ではありません。

疑惑とは何だったのか

そもそも疑惑は、某ツイッターアカウントアカウントAとします)が「Z1」を購入して分解し、疑惑を突きつけたところからまります。「Z1」発売に当たり、ドスパラ公式ツイッターアカウントが分解写真を載せ、MicronNANDが乗っていますね、というようなツイートをしたのですが、それにアカウントAが反応した形です。

分解したところ、NANDチップの表面がコーティングされていることに気付き、削ったらSpecTekの型番(正確には型番を短く表記した型番コード)が出てきたというのです。

SpecTekのチップMicronロゴと型番を上書きしている、これは「リマーク品」だ、というわけです。

少し面倒な話なのですが、これには前提となるエピソードがあります

SSDに限らずPCパーツは多くが中国工場生産されています中国全体を見た時の技術力向上は目覚ましいものがありますが、昔と変わらず偽物文化も根強く残っているようです。SSD例外ではなく、怪しげなSSD用基板、怪しげなNANDチップ通販で売られています。中には廃棄品の横流しが疑われるようなものなどもあるようです。

少し前、明らかに正規品ではないNANDチップが搭載されたSSD複数見付かり、話題になりました。日本に入ってきていない中国メーカーのものなのですが、同じデザインの基板を使っている、NANDチップの表面の刻印おかしい(型番を消すように斜線が引かれている、網掛けされているなど)という共通点がありました。

アカウントAがドスパラSSDツイートに反応したのは、そのデザインの基板が使われていたからです。

補足しておきますが、別メーカーSSD共通の基板デザインが見られるのはよくあることです。私はSATA2の頃からウォッチしていますが、その頃既にありました。中国には基板設計生産を行う下請け業者がいますSSDの基板の基本構造はそう変わらないので、ベースデザインを基に少しアレンジしただけの基板が複数メーカーに出回るというわけです。もちろん、同じSSDメーカーからOEM供給を受けているので中身がほとんど同じになるということもあります

国内流通しているSSDでも、別メーカーSSDがほぼ同じ基板デザイン採用している例は複数あります。もちろん怪しい聞いたことのないようなメーカーではなく、です。これらの事情を考えると基板デザインをフックに疑惑を持つことがそもそも不適切であり、他の根拠はこれから探すというのであれば、言いがかりであると言えます

話を戻しますが、これは中国でも問題視され、ニュースにもなったようです。アカウントAの人は、この報道を元にそのデザインの基板=不正品の疑惑があるという思い込みしました。そしてドスパラSSDを買って分解したわけですが、副産物としてNANDチップコーティングに気付きました。

さらに、アカウントAの人はSpecTekの公開している資料を元に、型番にある「SG」という文字列が「テスト不合格品」であると断じました。

ドスパラはこれに反応し、「Z1シリーズ」のOEM販売である台湾Ritek確認問題はないとの回答を得て発表します。同時に、第三者機関調査を依頼するとしました。その発表が今回あったということです。

ここまでが経緯です。

まとめると、疑惑は2つあったと言えます(基板の話は論ずるに値しないので除外します)。

リマーク品」のNANDチップを使っているのではないか
不合格品の低品質NANDチップを使っているのではないか

・なぜ疑惑が正しくないと言えるのか

ここから解説編です。なぜリマークではないと言えるのか。

それは、SpecTekがMicronと同じ会社からです。

SpecTekのホームページを見れば分かるのですが、サイト運営会社Micron Technologyになっています。「About(会社概要)」のページを開けば、SpecTekはMicronの「division(部署)」であると明記されています子会社subsidiary)ですらない、同じ会社ということです。SpecTekの半導体チップMicron工場生産されています事務所Micronアメリカ本社内にあります

要するに、SpecTekの型番が入ったNANDチップMicron工場生産されたものです。Micron用、SpecTek用で生産ラインが分かれているのかは分かりませんが、仮に分かれていたとしても、Micron工場生産したNANDチップMicronロゴを再刻印してMicronブランドとして販売することに何の問題があるでしょうか。

アカウントAの人が勘違いした理由シンプルで、SpecTekとMicronが同じ会社だということを知らなかったからです。

ここは私の想像ですが、単純にSpecTekブランドで出荷予定だったNANDチップに注文のキャンセルなどがあり、同じ仕様NANDの注文があったMicron側に渡したというだけの話ではないでしょうか。

NANDチップにわざわざコーティングを施して刻印をし直すという手間をかけている点は、アカウントAの人も「初めて見た」とツイートしています。それもそのはずで、不正NANDチップを使うのはひとえに安いからであって、隠すためにNANDチップ1枚1枚にコストをかけるのはナンセンスからです。ここからも、Micron妥当手続きを経てNANDを出荷したと推測できます

これだけで疑惑が成立しなくなるとは思いますが、一応もう1つの品質問題にも触れておきます

品質という疑惑には、2つの入り口がありました。「リマーク品」であるという点と、「SG刻印問題です。前者は説明済みなので、後者解説します。

SpecTekは「NAND Flash Component Part Numbering Guide」というPDFを公開しています。ここに型番の読み方が書いてあるわけです。

SG」は末尾につく2桁のコードで、「Grade and Product Definition」と定義されています。例えば、「AS」は「Full Spec for SSD100%)」となっていますSSD用のNANDチップということですね。

問題の「SG」は「Simple Test Passers/Extended Test Failures」となっていますアカウントAの人は、これを「簡易テスト合格、かつ拡張テスト不合格」だから不合格品だと考えたわけです。

しかし、この読み方には問題がありますポイントは「/」の読み取り方です。例として「S5」を見てみましょう。「Partially Tested, est yield of 50%」となっており、「部分的テスト済み、容量の推定50%」という意味です。「/」ではなく「,」が使われています意図的に使い分けているということです。他の使用例の紹介は割愛しますが、よく読むと「A/B」は「AまたはB」、「C,D」は「CかつD」という意味で使われているのが分かります

まり、「Simple Test Passers/Extended Test Failures」は「簡易テスト合格、または拡張テスト不合格」、つまり出荷されたのは「簡易テストだけを実行しており、それには合格した」チップであると考えるのが妥当です。

Micron生産してMicronブランド販売するNANDチップなのですから製品に使えないものを出荷するはずがありません。そもそも簡易テスト拡張テストの内容が分からない以上、これだけを見て判断すること自体が間違っているとも言えます拡張テストは「不合格でも特定製品には利用できる」という可能性もあるわけです。

もう一つ、SpecTekは「SG」の入った型番を普通に売っているというのもありますSpecTekの製品ページではNANDチップの「Part Number(型番)」の一覧を確認できます。そこに、「SG」の入った型番が大量に載っているんです。「SG=廃棄品」なんかではありません。

加えて、ドスパラが今回出した第三者機関テスト結果です。実機でテストして他のメーカー製品と特段差がなかったという結果でした。この調査自体は、比較対象2製品のうち1製品S.M.A.R.T.寿命の項目がない、調査機関名前公表されていない、の2点からイマイチ感が強いのですが、100TB以上書き込んでピンピンしているというのは格安SSDとしては上等だと思います100TBというデータ量は、毎日50GBずつ書き込んでも約5年半かかります一般的パソコンの使い方ではそんなに書き込まないので、心配するだけ無駄というか、むしろ安心です。

・つまり疑惑なんてなかった

以上で説明は終わりです。

冷静に一次情報に当たれば、第三者機関調査なんて待たずに言いがかりだと分かる内容でした。

また、製品の内部パーツをどうこう言うのは自作PC業界の独特な慣習なのでそこは尊重しますが、そもそも製品保証すべきは「製品スペックであるということは覚えておくべきだと思います。「MicronNAND搭載」とうたったのであれば、Micron以外のNANDは使ってはいけません。しかし、ある個体を開けたらMicronNANDが使われていた、というのは製品MicronNANDを使っていることを保証しません。仮に別の個体HynixNANDが入っていても文句を言う筋合いはないのです。

今回に限って言えば、内部写真を公開したのがドスパラ公式アカウントだったことと、勘違いとはいえリマーク疑惑が出たので同一視していいのかは微妙ですが、本来ドスパラ保証すべきは寸法とインターフェースSMIコントローラーTLC NAND、最大読み書き速度くらいです。

ドスパラ対応イマイチだなあと思うのはリマークを明確に否定しなかったことですが、販売店という立場があり、自社ブランドについてはメーカーとしての立場もあり、言えないこともあるのでしょう。自分コメントではなく、あくまRitek第三者機関言葉ベースに対外発表しているのは正しい対応であり、批判に当たらないと思われます

iPhoneだって、かつて「A9」がSamsung製とTSMC製の2種類があり、TSMC製の方がバッテリーが長持ちするなんて騒動がありました。しかAppleは両者から供給を受けていることは認めつつ何も対応しませんでした(検証報道批判したりはしましたが)。両方とも公表しているスペックを満たしているのなら、本来この対応が正しいんです。

MicronMicronブランドNAND販売したのですからMicron問題はありませんし、それを買って使ったRitekももちろん問題はありません。販売したドスパラにも問題はありません。どちらかと言うと、本来問題視されることのないNANDチップコーティング剥がしてまで筋違い問題提起をしたことの方が問題なのではないでしょうか。NANDチップ刻印は、購入したエンドユーザーに見せるためのものではありません。iPhoneを分解して、筐体の内側にマーカーで目印が書いてあったら文句を言いますか?今回アカウントAの人がやったのはそのレベルのことだと思っています

最後に、こんなことを言うのもなんですが、アカウントAの人は、かつてリンクスインターナショナル販売したColorful TechnologyのSSDにも同様に基板デザインを起点にした疑惑をかけ、言いがかりだったことが判明しても謝罪コメント1つ出さなかった人です(ご本人は、偽装NANDである証明はできないけど本物である証明もできないからセーフとでも思っているのかもしれませんが)。この人の言動を元に疑惑拡散すること自体不適切だと言えます

(2019/04/10追記

補足の文章を書きました。

https://anond.hatelabo.jp/ashitagaarukara/20190410

 
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