はてなキーワード: 国民民主党とは
シスジェンダーへの配慮という名目で「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意する」という規定を入れているが、本件法案は「性的少数者が晒される差別偏見」を立法事実として、「性的少数者が晒される差別偏見の解消」を目的として策定するものだったはずだ。そして、性的少数者が晒される差別偏見がどこからもたらされるかというと、それは多数派であるシスジェンダーでヘテロセクシュアルの者だ。数の暴力というように、多数派はそれだけで強い。多数派の漠然とした不安は数を伴って差別偏見へと形を変えて少数派を襲う。本件法案はそういった多数派の漠然とした不安に基づく差別偏見を「理解増進」で解消するのが目的だ。そこに多数派への配慮というのは、結局彼らの漠然とした不安を追認し、あるいは助長することにつながる。多数派と少数派の衝突は基本的に多数派が勝つ。だからこそ少数派に特化した政策が求められる。なんなら少数派に特化した政策があっても多数派が勝ててしまうくらいだ。少数派を支援するはずが、多数派へ阿るような規定を入れた維国修正案は、立法事実を軽視し、目的を見失っているように思える。
そもそも、シスジェンダーへの不安を名目とするのであれば、その立法事実を積み上げ、必要となる政策を精査し、条文に落とし込む作業が必要だ。修正案として一朝一夕に入れられるような話ではない。また、それは本件法案の題名にもそぐわず、別途の立法や、LGBT理解増進法の運用や成果を考慮指定からの改正の手段をとるのが適当と思われる。
本件法案は超党派議連案(立共提出)、自公案、維国案の3種類が提出されている。自公案は超党派案から「差別は許されない」が「不当な差別はあってはならない」に変更されるなど、その用語の解釈に疑念が生じるような点や、実効性を弱めるような修正点はあったものの、法案としての体裁は保っていた。しかし、維国案は、法案の性質自体を歪ませ、別物と化すものだった。これは政策と立法の関係の基本をまるで弁えていない。
余談であるが、特に国民民主党については、なんとなくの空気感やライブ感で法案の目的を見失った修正案を出してしまうようであれば「提案型野党」という看板には大いに疑問を持たざるを得ない。