最も乖離と言っても、その要素は最初からあって、だんだんとその意味合いが(本人達は無意識でも)強くなってきているんじゃないかなぁと思っている。
この乖離を求めているのは、オタクに限らず、男性女性にも限らず、性的な欲望(性欲に限らず可愛いとか綺麗だとか感じることすら)は突き詰めれば性差別や性加害を避け得ないという悲観を誰もが持ち始めているからではないか。
そして、現実の人間にそれを向けることを「良くないこと」と無自覚であっても感じているのではないのか。
そういう現実への悲観が、2次元をより現実から乖離しているものであるように、欲望しているように見えてきているのだ。
同人などで見かける性的コンテンツのエスカレートの仕方はどんどん現実離れしていて、そもそも試すことができないものになっている。
可愛いと言われるようなコンテンツは、一見昔と比べると現実に近いように見えるけれども、じつはより「そのものではないが、その世界観ではリアルなもの」というファンタジーを作り上げているように感じている。
3Dなどでもその要素は見られていて、リアルであるように向かうのではなく、リアル「のようなもの」というその世界だけで通じるものを求めていっているように見える。
だから逆に、あれらを女性の表象と見なす言動自体を、そもそも乖離させようとしているものを現実に近づけようとしている行為として反発を覚えやすいんじゃないか。
それらは非モテだとかオタクだからとかそういうことではなく、人に欲望すること自体を「悪いこと」と感じている時代がそうさせている気がする。
女のオタクは、大きく三つに分かれると思う。
これを読んだ人は「NL厨とかいるじゃん!」と思うかもしれませんが、
比較的には業が浅いため、一応①ということにさせてください。
「うるさい、私は過激なNL厨だ!」という方は、とりあえず②か③か近い方に所属してください。
私の二次創作としての入りはNLからでした。そして、実はずっとNL……というか、「公式の番外編を書きたい」または「オマージュしたオリジナルを描きたい」という欲求をずっと持ち続け、今になるまで変わらないままだったのでした。
子供の頃の私は、公式の推奨するカップリングが好きで公式の供給にありがたがるタイプの人でした。
しかし、ある時からBLを読みはじめ、なぜだか自分もBLを書き始めます。
好きというよりは、執筆者の人口が多い、供給が多いという理由で始めたような気がします。
人口が多かった夢小説ですが、「二次創作はしたいけど、自分が登場したくない」という理由で、早々に視野から外してしまいました。
夜に見る夢もそうなのですが、私は昔から、「物語に自分は参加したくない」という主義を徹底していたからです。
ですが、「本当は公式に沿ったものを書きたいけどBLなら見てもらえる」と思っていた私の書くストーリーはいつも歪で、何が書きたいかわからないフワフワとしたものが多かったのです。
というか、気づけばどのジャンルも「あまりスポットの当たらないキャラのNL」に浮気して、そっちが本業になってしまいました。
それが変わり始めたのは、大学生の頃、まともにオリジナル小説を書き始めた頃でした。
小説の書き方を学びつつ、オリジナルを書く傍らで、私はよくわからないもやもやを抱えるようになったのです。
それを形にしないまま、オナニーに耽ることが多くなりました。
実はこの時点で、私の願望による道は「公式の番外編・オマージュしたオリジナルを書きたい」というものと「好きな男性キャラクターをどうにかしたい」という願望の二股に分かれてしまったのです。
それにも気づかず、「自分はBLを書きたい」と勘違いし続け、ずっと間違った道を歩いて迷子になっていたのです。
そして、私は懲りずにまたBLに参入し、以前の主体性のないものとは変わってハードなものを書くようになりました。
しかし、意識は攻めよりも受けばかりを重きを置いてしまいます。
また、並行して「公式の番外編」のようなストーリーも書いていました。
「公式の番外編」と「どうにかしたい感情」が入り混じった同人誌も出しました。結果は当然、双方の願望がそれぞれ良い出来なのに、どうも溶け合わない歪な形になってしまいました。
あの頃は、自分が何を書きたいのかわからず、ぐちゃぐちゃになっていたようにも思えます。
彼も「どうにかしたい」と思っていたのですが、時代のせいか、思いつきだったのか、今までとは違う形の作品を作ることにしました。
モブおじさんとは、作品に登場することのないオリジナルのキャラクター(または、一瞬だけ登場したり陰の薄いキャラ)で、自分で設定を変えることのできる存在です。
今までにないほどに筆が乗り、やりたいことで埋め尽くされていきました。
そして、かおもじさんの「いろいろな腐女子」が出現し、自分が「かたつむりの腐女子」であることがわかりました。ひとまず、周りからすれば明らかに少数派で得体のしれない自分の性質に決着がついたことに酷く安堵した覚えがあります。
そう、私は無意識のうちに、ほかの腐女子との性質の違いにひどくソワソワとしていたのでした。
更に、あるオタク友達と泊りがけで飲んだ時、私はこのことを告白しました。
すると、私は「自分がおじさんになって●●くんを犯したい」と、ようやく自分でも気づかないような願望を伝えることができました。
そう、私は避けていたはずの「自分」を「モブおじさん」というきぐるみを着て舞台に上がらせたがっていたのです。
(あの頃は色々あって、「自分が書きたいのはBLではない」ことに気づき始め、ひとつめの道である「公式に近い物を書きたい」という存在を認識するようになっていました。)
あの瞬間でした。
私のいつしか生まれていたもう一つの道は、アバターに着替えてキャラクターと恋愛をする、という夢女子に近いものだということに気づいたのです。
そのアバターも美女のものだと少し恥ずかしく、おじさんのアバターがとてもなじむのでした。
こじらせてますね~。
ですが、おじさんのアバターはとても心地よく、創作の中で色々なことにチャレンジしたくてたまらなくなったのです。
その正体に気づくまで随分と時間が掛かってしまいましたが、今はそれがわかって少し創作活動に幅が広がった気がします。
皆さんも、自分らしく、自分で愛する創作ができることを心から祈っています。
……とか思っていたら、結局また新しいBLにハマったんですけど……
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