2012-06-08

勉強が何の役に立つのかを全力で考えた。

前置き

先日、はてブホッテントリにこんなブログがあった。

ブコメだとネタマジレスとか言われたり賛否があるんだけど、自分はすごく感動した。自分も「こんなこと勉強して何の役に立つの?」とか聞いちゃう子どもだったから、妙に心に刺った。

それは小学生とか中学生のころの話じゃなくて、高校生にもなってそんなことを聞いてた。個人面談で先生に聞いてた。その時の答えは、

「今はそんなことを考えて立ち止まってる場合じゃないだろ。勉強意味なんて勉強すればわかることだ。いまはとにかく勉強しなさい」

というものだった。

で、自分はその答えに全然納得がいかなかった。わかってるなら、どういう意味があるのか言えよ!と思った。だから上のエントリが刺さった。あのとき先生がそうしてくれたらよかったのにって思った。コメントとかに勉強は役に立たつ必要はないっていう意見もあったけど、これも違うと思う。役に立つと思ってやったことの方が身につくし、楽しい。実際に、知識がお金に化ける場合もある、人を助ける場合もある。役に立たないより立つ方いいに決まってる。

上記エントリによると『大人は「知識はどんな風に生きてくるのか」ということを力説し、また「役に立つこと」を実感させてあげないといけない。』らしい。まったくもってそのとおりだ。自分高校時代に「勉強が何の役に立つか」を本気で考えていたから、普通の人よりこの質問により多くの解答を出せる。だから、今度はこの質問に答える側になってやろうと思った。

勉強が役に立つ職業

『多くの子どもに、「将来」という言葉は刺さらない』らしいが、勉強が最も直接的に役に立つフィールド仕事だと思う。だから勉強が役に立つ職業説明から入る。職業という点で考えると、教科ごとに役に立つ職業は異なる。

数学物理

建築家(どのような構造が壊れにくいのか計算するのに必要)、研究者(物理化学工学、情報系などは直接的に使うが、その他、心理学経済学生物学などほぼすべての研究統計必要)、ゲームプログラマ(3DのCGなどは特に計算が難しい)、その他のシステムエンジニアプログラマ(どうやったら計算量が少なくできるか考えたり、負荷を分散できるか考えたり色々)、機械の設計をする人間(船、飛行機、車、エレベーターなどなど動くもの設計には計算が欠かせない)、弁理士(特許手続き等を行う人。こういう文章http://kantan.nexp.jp/%E7%89%B9%E8%A8%B1/a2007272629/を書いたり読んだり)。

物理には数学必要なのでまとめた。

化学生物学

ガソリンスタンド店員(危険物を取り扱うため)、研究者(主に化学生物学。医学、薬品や農薬の開発、試験コンピュータ、発電、蓄電、建築などに応用できるような新素材の開発)、官僚(農林水産省経済産業省など。農薬、食品添加物産業廃棄物基準をきめたり色々)、医者看護師獣医畜産家、農家栄養士薬剤師保健師衛生管理者(食品工場など)、水道局員。警察(科学捜査系)。

生物学には化学必要なのでまとめた。

英語

海外に行く人。外国人がいる職場で働いているひと。英語の資料を読まなきゃいけない人。論文とか書く人。

国語

翻訳家記者作家漫画家企画職、コピーライター検事,裁判官,弁護士,政治家,官僚(法律難解な文章を読んだり、条文を作る際により正確にものを伝える)、システムエンジニア,プログラマ(ソフトウェア利用規約はだいたい難解、仕様を作る際もわかりやすく伝えないといけない)。

自分が思いつくもので、わかりやすく役に立つ職業はこんな感じだ。自分理系だし、理系の方が役に立ってることが分かりやすいので理系科目に力を入れている。国語とか社会科とかは広く薄く役に立ってる気がするのでこの仕事で役に立っているというのが少しわかりづらい。

自分はそういう職業にはつかないよという人へ

さて、この職業リストを見て自分はこの職業につかないから関係ないやと思ってる人も多いんじゃないかと思う。しかし、実際にはこのような職業を評価する側の人間も同様の知識が必要となる。たとえば、雇用主、人事、取引先の人間。このような人は上記に挙げた職の人間を評価しなければならない。その人の態度や風貌で評価をするのはあまりよろしくない。それ相応の専門的な知識が必要だ。上記に挙げた職の人と取引のある人間というとその範囲は一気に広がる。そして、取引先には消費者も含まれる。

家電を買うにしたって食品を買うにしたって知識は必要だ。これまでマイナスイオンのような科学的に根拠のないものブームを生んだ例もあるし、健康食品だってそういうものがあふれている。これからも第2、第3マイナスイオンが生まれるかもしれない。どういう理論効果があると主張されているのか、実験は正しい条件で行われているのか。そういうことを判断するのには科学の知識が必要になる。

この説明子どもを説得するに足りるか?

答えはNOだと思う。具体的に、勉強嫌いな高校生S君を想像してみると、すぐに反論されてしまうのが目に浮かぶ。

学力必要とする職業は多いが、あまり必要でない職業一定数存在する。土木作業員コンビニ店員居酒屋店員、服屋の店員料理人バス,タクシー,トラックの運転手、芸人音楽家デバッガー、清掃員。もちろんこれらもある程度の学力がいるが、せいぜい中卒レベル学力があれば学校勉強よりももっと役に立つことをするべきだというのも筋が通る。そして、それが学力必須でない職業につくのが、学力必須仕事に就くのより大変かといわれるとそうとも言えない。学力必須でない職業に就いた人は幸せになれないわけでもない。学力必須仕事についたからといって幸せだとは限らない。医者多忙だし、貧困生活を送るポスドク研究者もいる。社長政治家より、責任のない立場人間のほうが気が楽かもしれない。

マイナスイオンの話にしたって、科学に詳しい友人が一人いれば済む部分が大きい。高校時代にやるべきことは勉強よりも友達作りなのかもしれない。

もう一度、勉強意味を考える

日本人みんなが勉強しなかったらどうなるだろう?

簡単だ。ほぼすべての仕事仕事として成立しなくなる。ほとんどの日本人が生きていけなくなる。

そもそも、学校勉強というのは「ある人が勉強をしたとき、その人が得をする」ようにではなく、「みんなが勉強をしたとき、みんなが得をする」ように作られているはずだ。例えば、騙されやす人間が増えれば騙す人間も増えやすい。集団の中にいる知識を持った人間がガセや嘘がはびこるのを防いでいる。日本人全体の語彙が増えれば、説明とき使える言葉も増える。先進的な科学技術がみんなの生活を支えている。ある人の勉強によって、周りの人が得をする例と言うのは山のようにある。

このことがいわゆる『囚人のジレンマ』の状態を作っているので、ひとりの人間勉強させるように説得するのは難しい。自分で手間をかけて勉強するより、他の人にやってもらったほうがはるかにお得だ。

勉強自分でやるより他人やらせるほうが得なことを踏まえると、自分勉強しないけど人には「勉強しろ」と言う人間や、「理由は言えないけどとにかく勉強しろ」という人間の多さにも納得がいく。自覚のあるなしに関わらず、周りの人間勉強しないことへの危機感をもって行動ができている。つくづく人間って賢いと思う。生命神秘すら感じる。

勉強は人にさせるには

自分でやるより他人やらせるのが得なら、子どもがやるべきは「たくさん勉強する」ことよりは「周りに勉強をさせられるような人間になる」ことなんじゃないかと思う。だから、どうすれば人に勉強をさせることができるかを考えてみる。

勉強をしている人間をほめる

子どもには勉強しろと言いつつ、官僚馬鹿にしたり、科学者に「お前の研究は役に立ってない」と言ったりする人がいる。こういうのは明らかにダメだろう。これでは子どもが「なぜ勉強をするの?」と思うのは当然だ。勉強をたくさんしてそれを生かしている人たちは褒めなきゃいけない。これこれこういうところがすばらしいということを具体的に言えれば、子ども勉強尊敬される人間になることを関連付けられて、勉強への意欲がわきやすい。

また、たくさん勉強をしている人間を「がり勉」などといって馬鹿にするのも良くない。これは大人より子どもがしてしまう。あまりそういう人間馬鹿にして減らしてしまうと結局は自分が損をすることになる。

周りに勉強をよくしている人間を増やす

人は同調圧力に弱い。周りに勉強している人が増えれば、勉強は楽しくなるし。自分勉強していることに対する疑問も持ちにくい。

勉強の質を上げてやる。

誰かが勉強している時はその質を上げられるといい。楽しく勉強できるようにするとか、短時間でもより多くのことが身に着くように勉強法テキストを改善してやったりするといい。どうゆう勉強が役に立つかを教えてあげるのもいいと思う。勉強は役に立つほうが面白い

志の高い人にとって、役に立つ勉強はたくさんある。簡単ものでもプログラミングができれば、何時間もかかる作業を一瞬で終わらせられたりする。デザインについて学ぶのもいい、デザインは人に伝えるためのものなので人に物事を伝える手助けになる。こういうのhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6やこういうのhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A9%AD%E5%BC%81を知るのもいい。学校の授業でも英語、理系科目、地理政治・経済などは役に立つ場面が分かりやすい。

勉強にも大学受験では評価はされないものがある。役に立つ勉強をしてきた人間をしっかり評価するということも重要だ。役に立たない勉強がもてはやされれば勉強はつまらなくなる。

勉強をしてる人間に対してより多くの対価を支払う。

給料が高い方がやる気が出るし、そうなりたい人が増える。雇用主だけが考える話じゃない。消費者がしっかり価値のある技術お金を払うのも大切だ。消費者キャッチコピー広告に流されてその製品に使われている技術が見れないと、会社キャッチコピー広告制作に熱心になって技術者に対する対価が増えない。お金に余裕のある人が、大学研究、素晴らしいオープンソースソフトウェアの開発、政党寄付をするのもいいと思う、なかなかそんな人はいないかもしれないが。でも、科学雑誌なんかを読んだり最新の技術研究に注目する人が増えるだけでも、その研究が陽の目を見る可能性は増す。

人を勉強させるのに手っ取り早い方法

それは自分勉強をすることだ。周りに勉強している人を増やすには、自分勉強するのが手っ取り早い。勉強している人間をほめるのも、対価を増やすのも、勉強している人を見分けられる必要がある。十分な学力がなければ、支持している人間似非科学者であってもそれを見抜くことができない。勉強をしなければ、勉強の質を高める方法もわからない。

勉強の役立て方

勉強って何の役に立つの?」は答えるのが難しいが、「勉強を役に立てたいのですがどうすればいいですか?」という質問なら少し話が変わる。幸い、今はインターネットがあり勉強を役に立てる方法は身近になっていると思う。単純なものだと、学習サイトでも作ればいい。上でも言ったとおり職業上、勉強必要としている人がいるし、昔習ったことを復習したいという人もいる。そういう職業になりたいという人もいる。そういう人に向けてサイトを作ればある程度需要はあると思う。 楽しいものが好きならばゲームを作ることもできる。高度なものとなると少し難しいが、ミニゲームであれば中学レベル数学で通用する。ブロック崩しあたりだとちょうど中学の座標やグラフの交点とかの知識が役に立つ。ブロック崩しなんて作ってもぱっとしないかもしれない。それは、もうすでにあるものからなんだと思う。重要なのはちゃんとした知識があれば、今はまだないものもできるということだ。

勉強の新しい役立て方

 勉強の役にたつすばらしい場面というのは今はないものを生み出せる、新しい勉強の役立て方を見つけた時だと思う。印刷だってテレビだって洗濯機だってパソコンだってFaceBookだってスマートフォンだって、十分な知識があったから生まれた。それが生まれる以前は勉強がそんなことに役立つことは知られていなかった。

有名な動画Did you knowによると2010年需要のある仕事Top10は2004にはなかった仕事らしい。

勉強がどう役に立つのかは時代ごとに変わっていくし、勉強の新しい役立て方というのは次々と見つかっている。勉強の新しい役立て方が見つかると、世の中の仕組みが爆発的に改善されることだってある。勉強にははそういう夢がある。見つけるのは多少むずかしいかもしれないが、それをできた人はたくさんいる。勉強を役に立てたいのならその方法を探してみるといいと思う。

学校勉強面白くない

これを読んでも勉強に乗り気にならないという人はいると思う。人にやらされる勉強っていうのはどうしてもやる気がわかない。

正直、学校勉強の質はさほど高くないと思う。歴史もっと現代史に力を入れるべきだろう。カエサルが死に際に「ブルータスお前もか」と言ったなんて話は何の役にも立たない。フランス革命のころにナポレオンがどうこうしたという話ですらも大して役には立たない。南アメリカアフリカ東南アジアなども含めて、ここ100年の歴史を詳細に学んだほうが役に立つ。昔の人間より今の人間の方が身近だ。より正確な記録もあるので嘘も少ない。古代の話は教訓を学ぶには記録が少なくて曖昧すぎる。また、古文は考古学者か歴史作家にでもならないと役に立たない。もっと役に立つ勉強をするべきだと思う。小説は人の気持ちを考えるのにあまり適してないと思うし、教科書に取り上げられる論説文は論理的に穴だらけの文章も多い。

それでも、詰め込み教育ゆとり教育を経てだんだん良いものになっていると思う。テキストも改善され、勉強はより楽しくなっているようにみえる。

自分詰め込み教育からゆとり教育への変遷は改善だったと思っている。円周率3.14計算することは小数筆算能力を高めるが、現在では紙とペンより計算機の方が身近にある。筆算よりは、およそ3として暗算計算できる能力のほうが有用だ。総合的な学習は調べ学習や、クラス内の発表練習、英語の学習などに割り当てられた。時代の変化に学習指導要領が追いつくまでにはラグがあるが現場人間が内容を決められる授業がそのラグをうまく埋められるようになっている。初めて、パソコンに触れたのも、検索エンジンに触れたのも(当時使ったのはgooだった、なつかしい)、htmlに触ったのも総合時間だったと思う。この勉強は間違いなく役に立っている。そして楽しかった。

学問進歩してるし、教育も進歩しているんだと思う。でも、まだ無駄は多い。それは、これからもっと改善されていくんだと思う。

学校勉強以外も方法はある。

個人的意見だけど、学校勉強にやる気のわかない人は別のことをやってみるのもありだと思う。いま目の前にある勉強よりもっと役に立つことがあると思うなら、それをやればいいと思う。学校勉強よりも役に立つことを見つけたいと思ったらそれを探してみればいいと思う。自分学校勉強より、プログラミング勉強してゲームとかつくってた。それは学校勉強よりももっと役に立つことだと思ったから。そういうことを続けていたら、IT系会社就職することが決まった。自分で役に立つと考えてやったことを評価してくれる人はいた。

まとめ

ちょっと長くなったのでまとめる。

自分が考えた勉強意味はこんな感じだ。勉強意味考える人ごとに多少違うものになるんだと思う。勉強には他にもこんな意味があるんだという人がいたら、ぜひその意見も聞いてみたい。勉強意味は多い方がいい。一人の人が勉強意味をたくさん感じられるようになったらそれだけ勉強をする人は増えるはずだ。

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