はてなキーワード: 識別コードとは
弊社は「エクセル1からエクセル2へデータを転記する」という業務が多い。
1日に数百ものデータを数時間かけて手打ちしてる人も多く、良かれと思って関数を入れたり自動化したりしてみた。
その結果、同僚の1人に嘲笑しながら「増田ってパソコンオタクだよね」と言われたのが今日のお昼。
この台詞に腹の底からブチ切れてしまったので、仕返しに弊社のクソみたいなエクセルデータについて晒すわね。
・半角と全角が混ざっている
・結合されているセルが多い
・商品の識別コードがなぜか複数あって人によって使うコードが違う
・姓名の間にスペースがあったりなかったりする
・数値で欲しい部分も文字列に設定してある
思ったより少なかった。
弊社のほとんどのクソデータが、データシートを直接加工して見栄えを良くし、印刷を試みようとした形跡が見える。いわゆる神エクセル。
これからエクセルに携わる方たちはどうか、エクセルでデータを記載した印刷物を作るときは「データシート」と「印刷用シート」を分けることだけは覚えていてほしい。
「……分かりました」
あくまで個人的な推測でしかないと念を押して、男は話を続けた。
「この両社が行っている戦いにおいて、勝負の決め手とは何だと思いますか」
だが、一企業がテナント戦争で国家戦争レベルの武器なんて使ったら大問題だろう。
そして耐久を上げすぎれば、決着が一向につかない。
この戦いはプロモーションの側面もあるため、多少の競技性を持たせる必要があった。
そのためには、ほどほどの威力、ほどほどの耐久力でなくてはならない。
技術的なアプローチをしすぎるとウケが悪いから、レギュレーションを設けているってわけだ。
「じゃあ、何が勝負の決め手になるんです?」
「瞬発力、反応速度でしょうね」
反応が早ければ攻撃までのタイムラグも減るし、回避もしやすい。
武器の威力や耐久力で差をつけられないなら、的確な攻撃こそ重要になってくる。
では、その反応速度を上げるには、どうすればいいのか。
「方法は色々とありますが、最も効果的なのは識別コードの単純化でしょう。複雑な処理を介さなければ、対象をスキャンしたと同時に攻撃が開始できます」
だが、それは敵や味方はもちろん、スキャンした対象を大雑把にしか判別できないことを意味する。
あの時、あの場所に母がいなかったとしても、いずれ誰かが被害に遭っていただろう。
「ロボットの反応速度を上げるために、わざと誤爆上等の作りにしていたってことですか!?」
「何度も言いますが、これは自分の推測でしかありません。何らかのバグ、設計ミスという可能性も大いにあります」
というより、真実がどうあれ“そういう結論”にしてくるに違いない。
そんなことを言ってしまえる企業に、誰も金なんて払いたくない。
それは企業側も分かっているだろう。
取り返しのつかない状況になったのなら、せめてマシな言い訳をして傷を浅くするしかない。
最も深い傷を負った母にとっては、堪ったものではないだろう。
いま自分の中でフツフツと煮えくり返る腸すら、機械に取って代わられている。
そのことを思うと、尚さら怒りが湧いてきた。
「ですが医療関係の技術はラボハテが専攻していたので、マスダさんの治療は我が社の主体で行い、金銭面での補償についてはシックスティーンが……」
そこから、医者らしき男は詳しい補償や母の容態について説明を始めたが、まったく耳に入ってこなかった。
この時、母の頭の中はシックスティーンへの暗い情念で溢れていたからだ。
恐れていたことが置き始めている。
インターネットにおける人間関係の多くは「偶然の出会い」と「現実では相手が見つかりにくいネタを投げ合える相手」という形で行われている。
しかし、今やネットにおいては、その両面に置いて早々にネットの超人気者が圧倒的力によって1人1人の出会いとコミュニケーションの可処分許容量をキープしてしまっている。
抗アレルギー薬がアレルゲンと繋がる前の受容体を埋めてしまうかのように、圧倒的速度で「他人とつながる機会」と「他人とつながる理由」を埋めていってしまう。
その結果、ネットの世界の人間関係は、絶対的人気者とその取り巻きという構造に飲み込まれつつある。
人気者でもなんでもないユーザーのHNはもはや運営側がBANするための識別コードでしかなくなるだろう。
横のつながりが生まれるレベルに界隈で目立つような取り巻きはリンチされ、それを恐れて誰もが互いに距離を取るだろう。
とんでもない地獄だ。
「ネットによって自分の実力が可視化される」という流れが、人間関係の構築力にまで辿り着いた。
もはやネットにおいて知り合いを作ることは容易ではない。
現実の方がまだずっと楽なぐらいだろう。