2011-07-19

初音ミクLAライブ外国人感想その13

http://anond.hatelabo.jp/20110707195830

 初音ミクLAライブについて、各所で話題になっていたマサチューセッツ工科大サイト感想翻訳してみた。初音ミク現象を基に、情報を巡る様々な活動の基盤となるメディアプラットフォームのあり方について考えたもので、書き手はミクが市民主導のメディア作りをするうえで参考になると考えているようだ。残念ながら一ヶ所、fro-ducerなる意味の分からない用語があったのでそこは翻訳していない。意味を知っている人がいたらご教授願いたい。

 urlは以下の通り。

http://civic.mit.edu/blog/condry/miku-japans-virtual-idol-and-media-platform

+++++以下勝手翻訳+++++

ミク:日本ヴァーチャルアイドルメディアプラットフォーム

 7月2日土曜日、私は普通じゃないライブショー、日本から来たヴァーチャルアイドル米国デビューを見に行った。彼女市民メディアについて私たちに何かを伝えられる存在だと思う。

 初音ミクアニメエキスポにおける催しの一つとして、ロサンゼルスノキア・シアターで公演した。完売したコンサートには、多くがコスチュームに身を包んだ4000人を超えるファンが訪れ、ステージ上で生の演奏家の横に投影された「人間サイズ」の映像であるミクが床からせり出してくると、彼らは叫びケミカルライトを振った。

 ミクは甘く歌い、幅20フィートある放物線状の鏡に沿って跳びはね、大半は熱狂的なテクノダンス・ポップな曲目を駆け抜ける間、決して汗をかかなかった。ステージの脇には彼女と他のバンドメンバークローズアップした映像スクリーンに映し出されていた。彼女はちょっとしたおしゃべりもした。「はじめまして初音ミクです」。そしてバンドギターベースキーボードドラム)と6人の弦楽器奏者たちを紹介した。私たちは彼女拍手を送り続けた。

 「あたしたちは歴史を作っているのよ」と、私の隣に座った若い女性友達に話しかけていた。たしかにそんな気がした。そして政治ポピュラー音楽について私が知っていると考えていることについて、改めて考え直した。

 誰もが喝采しているが、何に対して? ステージ上、私たちの注目が集まる場所には誰もいない。単に仮想アバター存在するだけだ。何のアバター? 一体誰の? それは私たちの。

 大衆文化政治と同様、しばしばステージ上の(あるいはスクリーンに映された)リーダーを前提としているように見えるが、その影響力や、しばしば創造性そのものが、どう転んでもより幅広い分散型の集団行動から生まれてくることを、ミクは示している。ミクは未開拓の可能性を孕む世界クラウドソースな動員モデル、そして一部はソフト技術ボーカロイド)、一部は文化的なアイデア(ミクというキャラからなるメディアプラットフォームに関する有益な事例について、言外にほのめかしているのだ。

 ミクはYAMAHAが開発し2004年から販売を始めたボーカロイドと呼ばれる音楽合成ソフトウエアパッケージの声として作られた。ボーカロイドガレージバンド音楽制作ソフト]同様、演奏用の道具として音楽を作ることができるが、その際にメロディーと同じく歌詞を書けるという特徴も持っている。別の企業クリプトンフューチャーエンターテインメントママ]が2007年漫画風の画像と経歴設定(16歳、身長体重、その他)と一緒に、追加音声であるミクを発売した。

http://www.crypton.co.jp/mp/pages/prod/vocaloid/cv01_us.jsp

 重要なことに、クリプトン画像に対する著作権を強く主張しない方針を定め、キャラクター彼女自身の生命、より正確に言えば私たち自身の生命を持てるよう制限を解いた。いわば私たち誰もがレディー・ガガのために音楽を作り、それを彼女が私たちのために演じてくれるようなものだ。ミクがリアルじゃないってことが問題だって? それじゃレディー・ガガはどのくらい「リアル」なんだい?

 ファンはそれにこたえ、さまざまな共通の服装及び像(たとえばネギ)を共有しながら数百数千の音楽ビデオオンライン投稿した。以来、日本動画シェアサイトニコニコ動画への投稿及びコメントを通じて増幅されたファンの取り組みのおかげで、ミクはスターの座へ駆け上がった。いわゆる「Nicodo」[ニコ動]はユーチューブと似ているが、動画を見ていると利用者のコメントスクロールしていくところが違っており、それによって参加者の視点というレイヤーが追加されている。

 今日ではミクのP(『プロデューサー』)は彼らの作品をオンラインで販売し、日本カラオケスポットでは好きなミクの歌をダウンロードして歌うことができる。クリプトンは、彼ら曰くクリエイティブ・コモンズの模倣であるPiaproというオンラインサイトを持ち、連携促進とライセンス供与をするシステムを作っている。ファンの作品は他の販売経路を通じても売られている。2010年11月東京池袋で開かれ私を含めた7000人の参加者を集めた完売のファン・コンベンションでは、集められた500のファングループボーカロイド関連の音楽ポスターDVDイラスト本、テレビゲーム、装飾品その他を販売した。

http://ketto.com/tvm/

 こうしたファンの興奮ぶりを踏まえると、ビッグビジネスが仲間に加わろうとするのも不思議はない。2009年以来、SEGAProject Divaというタイトル名でミクの携帯機及びアーケード向けゲーム作成している。トヨタも今や広告シリーズでミクを使っており、彼らはミクのロサンゼルスデビューの前にCMを公開したほどだ(いくらかの非難も浴びたが、おそらくは善意に基づいて作られていた)。とはいえ究極のところミクはファンの取り組みによって命を吹き込まれており、ミクが商業主義世界に足を踏み入れるのを見るのが興味深いのもそれこそが理由だろう。

 ミクは、以前から知られていた市民メディアのための教訓のいくつかを補強する存在だ。人々が参加するには本当の開放性が感じられることが必要であり、共有と対話がコミュニティー形成のカギになる。管理された知的財産権システムよりも自由な文化の方がより何かを生み出す力があり、新規参入商業主義化は、特に人気が高まった場合は常にリスクとなる。

 だがミクは分散型の創造性について、ウィキペディアとも人間セレブとも異なる特殊な図式を提示している。ミクにはバックグラウンドが欠けている。彼女には予め定められた人格はない。彼女は唯一の完成した空想世界存在しているのではない。このウィキセレブは、将来がプラットフォームに在る時代において、昔ながらの人間セレブ白物家電のように見せてしまう。

 この事実民主主義と参加についての考え方にも別の道筋を提供するのだろうか? 行動と人気を生み出すのがリーダーたち以外の社会的現実だとしたら、メディアに関する問いは表現される内容よりも、プラットフォームのあり方、それがどれほど開放的であり、それが許す創造性の形式がどんなものであるかに振り向けられるだろう。

 クリプトン社長伊藤博之2011年10月、ミクと計画されている英語版を含む関連プロジェクトについて議論するため[MITの]比較メディア論を訪れる。彼はこの現象を、エンターテインメント産業について再考する機会だとみている。「これは普通ではない形の創造です」と、コンサート前にLAで短時間出会った際に彼は言った。「私たちはコンテンツ作成する過程を作り変えているのです」。ミクが機能するのは分散型のファン=製作グループの関与があるからだ。おそらくこれはプロ=シューマー[生産消費者]の終焉であり、fro-ducer[残念ながら意味不明]の台頭なのだ。

 大衆文化は、市民メディアを分析・設計する際に利用できる社会的力学を照らし出すものだ、と私は信じている。大衆文化政治的参加のための媒体になり得るのみならず、特に人々に行動を促すという観点からどのようにアイデアが流れ影響をもたらすかについて把握するモデル提供してくれる。

 アニメに関する研究において、私は仮想のキャラクターがそれ独自で生成力のある創造性のプラットフォームになっているとの結論に達した。そこからより多くの種類のプラットフォームが出てきそうであり、創造され、築かれ、共有され、分配され、リミックスされ拡張されるのを待っていることを、ミクは明白に示した。ミクについて考えることで、私たちが未来において行動するコミュニティー創造するための新たなアプローチについて思い描けるようになること、それが私の望みだ。

+++++勝手翻訳終了+++++

初音ミクLAライブ外国人感想その1「再生約束」逐語訳

http://anond.hatelabo.jp/20110707195830

初音ミクLAライブ外国人感想その2「再生約束フリーダム

http://anond.hatelabo.jp/20110708223459

初音ミクLAライブ外国人感想その3「ミクノポリスのボカレタリアートたちよ、団結せよ!」

http://anond.hatelabo.jp/20110709211718

初音ミクLAライブ外国人感想その4「仮想の歌姫:初音ミクの人気と未来音色

http://anond.hatelabo.jp/20110710234300

初音ミクLAライブ外国人感想その5「オレはAXには行ってないけど、まあとにかく……」

http://anond.hatelabo.jp/20110711212701

初音ミクLAライブ外国人感想その6「ミクノポリス:7月のクリスマス世界征服

http://anond.hatelabo.jp/20110712205546

初音ミクLAライブ外国人感想その7「AX11:ミクノポリスの印象」

http://anond.hatelabo.jp/20110713211501

初音ミクLAライブ外国人感想その8「ミクノポリスコンサートリポート

http://anond.hatelabo.jp/20110714210122

初音ミクLAライブ外国人感想その9「アニメエキスポ初音ミク

http://anond.hatelabo.jp/20110715222900

初音ミクLAライブ外国人感想その10アニメエキスポ2011(抄訳)」

http://anond.hatelabo.jp/20110716194029

初音ミクLAライブ外国人感想その11世界彼女もの初音ミクはいかにして全てを変えたのか」

http://anond.hatelabo.jp/20110717201147

初音ミクLAライブ外国人感想その12アニメエキスポ2011でのボーカロイド体験」

http://anond.hatelabo.jp/20110719031316

海外blogに載っていたクリプトンインタビュー

http://anond.hatelabo.jp/20110723142345

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