はてなキーワード: 文事とは
JapanTaxi(全国タクシー)について書いた元エントリ(anond:20180927184434)に知らないうちに結構な反応があり、驚いている。要旨がよく分からないというコメントもあったが、要は「会社は乗務員に清貧を求めすぎだ」「アプリで無線配車の回数が増えた」ということである。字数制限で書けなかった。この記事は元エントリの補足が中心で、今伝えたい要旨はない。
乗務員一人だけの車内では、混雑時に無線が来る度に「おい!こんな無線よこすなよ!」「長距離だ!キャンセルするなよ!」という具合で阿鼻叫喚。しかし、短距離だろうが長距離だろうがお客様は皆、何らかの事情があって弊社のタクシーを利用していただいている。お客様と対面するときは、笑顔でやっている。サービス業にありがちなことだが、やはりあまり裏表があるのは望ましくない。
日本交通は、乗務員が心からの笑顔でお客様をお迎えできるような待遇を、乗務員にしていない。別にサービスを売りにしている訳でもない会社とあまり変わらない待遇である。これがよくないのだ、というのが私の意見である。
サービス業に限らず、どんな業界でも、上と現場の間で齟齬は起きているはずである。日本交通におけるそれが、無線配車と運転手の関係だ。もちろん私達もお客様のために必死。お互いが気遣い合って、一度一度の乗車を気持ちよく完了させられれば、もっとこの業界も良くなるはず。運転手にかかるストレスが少なくなれば、お客様が感じるストレスも減っていくかもしれない。
そこで、アプリをよく利用される皆様のために、双方のストレスを軽減できそうな裏ワザっぽいものを紹介する。注文の段階になると「場所詳細」というボタンが現れ、そこに色々書くことができるということは元の記事でも伝えたが、これを利用する。
実際にこのメニューを開くと「建物名」「付け場所」と出てくるが、別にそれ以外のことを書いても大丈夫である。ここでは、電話予約の際に無線センターがお客様から承った依頼を乗務員に伝える際の言い回しを紹介する。ただし、記入欄1つにつき、字数制限は15文字。
こういう時は「乗降時ドアサービス不要」もしくは略して「DS不要」と書くのがよい。全角なのがミソ。やり方は色々あるだろうが、自分がタクシーを呼ぶときは迎え先の欄に「車内待機」、目的地の欄に「DS不要」と書いている。
お客様が来るまで車外待機し、お客様の乗降時にドアを外から開け閉めするサービスは、日交のマニュアルで指定されている。これを社内では「ドアサービス」と呼んでいるが、実際は降車時にお客様が「中から開けてください」と言ってくれるのを期待している乗務員がほとんど。
アプリに表示されている時間はアテにならない。15分とか20分とか表示されていても、実際は行こうと思えば10分以内で行ける。そこで、「時間調整不要」「時間調整禁止!」と書くと、よほど混んでいない限りはアプリで表示された時刻より5~10分くらい早く来てくれる。乗務員にとっても、時間のロスが減るため、かなりありがたい要求である。
実際の所、指定された時間より早く来てもほとんどのお客様は指定された時間(もしくはそれより後)にしか出てこないため、乗務員はそこら辺を遠回りするか、コンビニに寄って飲み物を買ったり車内を片付けて時間調整をすることが多い。お客様の方からそれをせずにさっさと来てくれ!と言っていただければ、乗務員も喜んで急いで行く、という訳である。
配車のアルゴリズムがどうなっているかは知らないが、実感として自分がいる場所と同じ町内には呼ばれないことが多い。例えば、「新宿区新宿」を流している車には、「新宿区大久保」や「渋谷区代々木」からの配車依頼が飛んでくる。空車が少ない地域では100mも離れていない場所から呼ばれることもあるが、レアケース。
https://i.imgur.com/yGMi2rt.jpg
↑の画像でも分かる通り、情報ひとつはカギ括弧の中に収められ、全角カンマで区切られている。これを利用すれば、車載器に自然に反映されるようになる。もちろん、気にしない人は分かるように書いて頂ければそれで大丈夫。
例えば、「新井薬師前駅」に「南向き」で待機してもらい、かつ「ドアサービス不要」「時間調整不要」ということを伝えたいのであれば、2つある欄のそれぞれに
新井薬師前駅」,「南向き
と入力すれば、車載器には4つの情報が送信されてきたように見える。もちろん1つの枠につき15文字の制限は守る必要がある。
https://i.imgur.com/v49tBy5.jpg
アプリ配車だと伝えられる事項が限られるが、電話配車だと↑の画像のようなこともできる。
パターンは様々あるが、建物の色や入り方(バック入庫が必要な場合)、寝坊してしまったときの対処など、細かく注文したいときは、電話で無線センターのオペレーターに伝えた方がいい。どんなに長々とした要求でもしっかり車載器に届けてくれる。
たぶん新型車(ジャパンタクシー)に乗りたい人が多いと思われるが、アプリだと「黒タクのみ」「黒タク優先」となぜか「プリウス」の3種類しかない。これ以外の選択肢は電話でしか指定できない。
ちなみに前述の場所詳細欄に「ジャパンタクシー希望」と書いても意味はない。ジャパンタクシーを指定したい場合は、無線センターに電話で連絡することになる。自分も何度か電話予約のジャパンタクシー指定無線を受けたことがある。ワゴン車(エスクァイアかアルファード)も電話でしか指定できない。
荒技として、「JPN TAXI以外は代車要請」と詳細欄に記入する方法もあるが、代車要請をするとアプリに正しく車両の位置が表示されなくなる(らしい)上、朝はいつまでも車が決まらなくなるため、要注意。代車要請とは車載器のメニューに表示されているボタンの名前で、その名の通りたらい回しされるものである。基本的には事故などどうしようもない状態の時に押すもので、何もないときに押すとその乗務員はクビになる。
何もしなくても無線は黒タクに多く回されるシステムになっているのだが、多少時間がかかってもいいから黒タクに来て欲しいというときは「黒タクのみ」「黒タク優先」のいずれかを選ぶ。車両そのものは色が違うだけで何か特別な設備があるということはないが、乗務員の質が違う。
日本交通を多く利用されるお客様はご存じだと思われるが、社内で基本的な研修とはまた別のサービス研修を受けた乗務員が黒色の車両、すなわち黒タクに乗ることができる。つまり、サービスレベルがより一層高く、ドライバーが新人であれこれ説明しなければいけないということもない…はずなのだが、黒タク資格を得られるかどうかは勤続年数よりも日頃の行いや本人の希望に依るため、乗務経験が1年程度の人が黒タクに乗っていることもある。
ちなみにジャパンタクシーは全て黒(紺)色の車体だが、行灯の「桜にN」の図柄が金色のものが黒タク扱いで、青色のものが黄色と同じ扱いである。つまり、黒は黒でも行灯が青のジャパンタクシーには新人が乗っている可能性があり、目的地を告げた瞬間に「大変申し訳ございません!新人でございます。道のご案内を…」と元気よく告げられるかもしれない。クラウンやセドリックは、黒タクでも行灯の図柄は青色。
別名「四社カラー」。日本交通グループ以外では、km(国際)、大和、帝都も同じ色。いわゆる普通のタクシーである。何も特別なものはない。前述の通り、ジャパンタクシーのうち青行灯の車両も黄タク扱いになる。これをわざわざ指定する理由はないが、無線センターに言えば指定できる。新人ならではのフレッシュさを味わいたい方はどうぞ。1年未満の乗務員は後ドア横に「新人」のステッカーを貼っている。
ちなみに、この車に乗っている乗務員が全員新人かというとそういうわけでもなく、黒タク資格を持っていても車両繰りの都合で黄タクに乗せられることがある。あとは、黒タクならではの縛りが面倒という乗務員は、何年勤務していようが会社から後押しされても固くなに黒タク資格を取らない。
この選択肢があるのがよく分からないが、たぶん一時期のプリウスブームに乗じた物だと思う。実は去年までいっぱいいたのだが、ジャパンタクシーが登場してから急激に台数が減り、グループ全体を見渡してもプリウスはほとんど残っていない。つまり、これを選ぶと高確率で配車に失敗する。自分が把握している限り、プリウスは三鷹営業所とグループ会社の東洋交通に数台ずつしか残っていない(いずれも黄タク)。同じくグループの春駒交通には黄色のプリウスαがいる。
ちなみにプリウスは四隅のサイズが無駄に大きいため、乗務員からの評判がすこぶる悪い。
別に、これでアプリを利用するお客様が萎縮する必要はない。乗務員に良い無線・悪い無線というカテゴライズをさせる会社が悪い。ぜひ、今後も通常通り使って頂いて欲しい。短距離でごめんなさい…と思う必要は別にない。実際は短距離の方が多いし、乗って頂けるだけでありがたいのだから。さすがに無線で410円とか570円は辛いけど。
どこからを長距離とするかは乗務員によっても違うが、4000円(10キロ)を越えると長い部類に入る。10000円を超えると「万収」と呼ばれ、営業所に帰ったあと他の乗務員に自慢できる。
お客様が来るまでにどうやって行こうかな~というのをじっくり考えられるため、心理的負担が少ない。無線のシステムはカーナビと連動しているため、新木場営業所の乗務員が二子玉川まで来て、そこで無線を拾ってしまっても、目的地が設定されていればワンタッチでカーナビをセットできるため、お客様に延々と道を聞き続けて手間をかけさせてしまうようなことはなくなる。短距離でも許せる。
別に長距離に限らず、空車で延々と走るハメになりそうな状況を埋めてくれればいいのである。いま流行のライドシェアの真髄もここにあるのではないだろうか。
例えば、23時頃に銀座から竹ノ塚までお客様にご乗車いただけたとする。比較的長距離なので嬉しい。しかし、0時を過ぎて竹ノ塚から都心への帰り道でお客様が手を挙げそうな場所はそうそうなく、下手すると上野かどこかまで10キロ以上空車のまま帰ることになる。これでは都心で1000円前後のお客様に何度も連続してご乗車いただいたのとあまり変わらない。(そんな時でもお客様を見つけるのがタクシードライバーの腕の見せ所ではあるけれども)
そんなときに西新井→千住と、千住→浅草の無線を立て続けに引くことができれば(そんなことは普通ないが)、それぞれ2000円も行かないかもしれないが、空走りの距離を減らすことができ、結果的に効率は上がる。なぜか世田谷区でよくある。
あくまで代表的な例であって、大泉以外にもこういう場所がたくさんあることは認知している。日交のタクシーは都心に集まるが、例えば世田谷区や目黒区は都心から直接乗り付けてくる人が多いため、アプリで呼ぶとそこから都心に帰ろうとする車が捕まることが多い。しかし、大泉を始めとする練馬区西部は都心からタクシーで乗り付けるとかなり高額になるため、そうでもない…ということである。
大泉近辺でタクシーが集まるのは吉祥寺だが、吉祥寺でも遠いし、あの辺はあの辺で忙しい。日交グループの車もそんなにいないため、JapanTaxiアプリだと捕まらない。
そもそも日本交通は乗務員に都心で営業することを勧めている(実際に都心で営業した方が売上はいい)ため、郊外ではJapanTaxiアプリではなく、東京ハイタク協会の「スマホdeタッくん」を使った方がいいかもしれない。日交は営業所が千住だろうが三鷹だろうが都心にガンガン出ていくが、中小は郊外ローカルで気ままにやる人が多いのが背景にある。
以前ある乗務員から聞いた話では、三鷹営業所では「世田谷番」を設定し、都心に出ずに世田谷区内を中心に営業する乗務員を日ごとに決めていたそうだ。これで需要が多いにもかかわらず日交の営業所がない世田谷区内の需要にもくまなく対応できいたが、営業補償があったかどうかは知らない。ただ、世田谷に営業所を置く飛鳥交通が東京無線から日交にのれん替えしたため、今はないと思われる。
底上げ給を設定してくれるのであれば、一日中郊外の特定地域に居座っていた方が乗務員にとっても気は楽である。都心のピリピリした雰囲気に巻き込まれず、営収を追う必要もそんなになくなり、駅まで・病院までの短距離乗車だって笑顔でこなせる。銀座の金持ちを狙うばかりがタクシーの社会的責任ではない。
配車アプリでUberの進出を防ぐという目標があり、それをタクシーを生業とする自社の社員に担ってもらうのであれば、こうでもして各地域まんべんなく配車が成立する確率を高め、より一層お客様に満足していただけるよう取り組むのが筋ではないか。
アプリを開発したJapanTaxi(株)は、日本交通の100%子会社で、アプリ以外にも無線システムや車載器、あるいはクレカ/電子マネー決済機を開発している会社である。どちらかというとITベンチャーの部類に入る。なぜこの会社が優先配車の980円をもらっていくのかは謎。アプリとお客様は悪くない。会社が悪い。