はてなキーワード: イタコ漫画家とは
正直愚痴です。
どこのジャンルでもある程度母数がいれば往々にして発生するトレパク問題が身近で起きました。
厳密には計測の上描き写すタイプの模写のようですが、やり過ぎて線が重なるので実質トレスです。
言い分としては、行為自体はトレスではなくあくまで模写なのだからセーフだ、とのことです。
というわけで私は今、私達が美術系の漫画やアニメ、漫画研究会などで当然のように触れて身に付けてきた知識や知恵を全く知らない二次創作者が少なからずいることに不安を感じています。
なのでここで、そうした経験から学んだなぜ模写・模倣は問題視されるのか、について吐き出そうと思います。
そこそこ上手いんですよ。
そこんとこ素直に褒められてると受け取って承認欲求満たして自己肯定感上げてとっととステップアップしてほしいです。
もし本当にただの無知なら。
まあここで言って本人に届くとは思ってませんが。
さて、本題に入ります。
無名絵描きは練習(習作)としてとある有名画家の作品の模写に取り組んでいました。
最初はそっくり同じに写しとっていました(模写)が、ある時「この画家の描いたネコも見てみたい」と思うようになりました。
その有名画家はイヌ派だったので、お手本はイヌの絵ばかりだったのです。
そうして無名絵描きは、有名画家の作品を模倣(いわゆる絵柄パク)しながらネコの絵を描いてみました(パロディ/二次創作)。
「上手に描けたよ!」
「すごい!」「本物(有名画家の絵)みたい!」
そこへ通りがかった画商が「素晴らしい!その絵を買わせてくれないか?」と持ちかけました。
「絵が売れた!売れたぞ!」
近所の人達もお祝いしてくれました。
画商は無名絵描きから買った絵を画廊に飾り、新聞社へ電話をかけました。
なんと無名絵描きの描いたネコの絵は、有名画家の絵と間違われてしまっていたのです!
無名絵描きは無名ですから、画商は無名絵描きが絵描きだということすら知りませんでした。
ですからたまたま出会ったそっくりな筆使いのネコの絵を、有名画家の作品と疑いもしなかったのです。
とはいえもちろん画商も目利きです、並大抵の模倣では騙されるはずなどありません。
そうしてネコの絵は、有名画家の未発表作として多いに世間を沸かしました。
そういうことです。
だから模写や模倣は習作と呼ばれ、公にするものではないとされているのです。
パロディ(二次創作)が成立するのは、それがパロディであると受け取り手にとって明らかな時だけです。
商業的なパロディ作品の場合は適宜許可取りや原案表記をしています。
そこそこの年齢の二次創作愛好家は知っているでしょう、青いタヌキの二次創作が訴えられた事例を。
あれは決して二次創作を締め付けようだとか見せしめだとかのためだけに訴えられたのではありません。
それを本物、公式だと勘違いした一般人がいたから、海賊版の扱いをせざるを得なかったのです。
海賊版とは、公式(権利者)の商売の邪魔になる商品のことです。
コピー品に限らず、著作権者に無許可で売買される、著作物を利用した製品は、全て海賊版です。
よく二次創作イラストが海賊版グッズに利用されるという被害が出ていますが、絵柄が公式とある程度異なっていれば、二次創作に関連する知識のない一般人にも容易に混同されることはありません。
逆に公式そっくりな絵柄だった場合、ライセンス料の分安い当該商品は売れに売れてしまうかもしれません。
二次創作者本人を知らない人がたまたまそれを見かけたとしましょう。
(制作者の注意書きの及ばない無断転載を含みます。無断転載もしてはいけないことですが、避けようがありません)
「有名絵師さんってご自身の手掛けた作品の二次創作も描かれるんですね!」
絵師さん大慌てです。
特にゲームやアニメなど集団で作る作品の場合、絵師さんにライセンスはほぼありません。
公式絵師が非公式二次創作をする場合、ほとんどのケースではまず公式の許可を取る必要があります。
そして多くの場合は公式の目の届く範囲で、非公式と注意書きを添えた上で公開しています。
この辺りは私は詳しくないので深掘りはしませんが、公式絵師の非公式二次創作をファンが公式同然に受け取ってしまい、トラブルになりかけたこともあります。
公式絵師は自身の関わる作品に関して、一般の二次創作者以上に慎重を求められるのです。
公式絵師の絵柄を模倣するということは、その責を公式絵師に負わせるということにもなりかねません。
ところで、先だって二次創作漫画の無断転載サイト運営者が二次創作者から著作権侵害で訴えられ有罪判決となりましたが、ご存知でしょうか?
原作サイドではなく二次創作者からの訴えですので、二次創作作品に関して二次創作者の著作権が認められたおそらく初めての判例です。
○二次創作者の考えた公式ではあり得ないようなストーリーがあったこと
の二点が大きく挙げられます。
専門家の解説記事へリンクを貼っておくので、詳しくはそちらを読んでください。
少し大袈裟なところもありますが、とにかく二次創作で公式の模倣はまずいってことがもっと浸透することを願ってやみません。
偶然絵柄が似ていることも世の中にはありますが、二次創作をする際にはあえて公式から絵柄を遠去けることが暗黙の了解と言われている程です。
二次創作にまつわるリスクと回避方法が少しでも伝わっていれば幸いです。
○おまけ
イタコ漫画家はどうなんだとお思いの方もいると思いますが、大抵は知識やコネを持っています。
十分な知識があり、上手く立ち回れるのでしたら、頑張ってみればいいんじゃないですか?
そこまでしてやりたいのなら、ですが。