2020-12-09

模写・模倣贋作・習作・パロディ海賊版二次創作について

美術専門家でも著作権専門家でもありません。

ただ少しばかり知識を蓄えた二次創作愛好家です。

正直愚痴です。

どこのジャンルでもある程度母数がいれば往々にして発生するトレパク問題が身近で起きました。

しか公式絵の事実上トレス

厳密には計測の上描き写すタイプの模写のようですが、やり過ぎて線が重なるので実質トレスです。

言い分としては、行為自体トレスではなくあくまで模写なのだからセーフだ、とのことです。

というわけで私は今、私達が美術系の漫画アニメ漫画研究会などで当然のように触れて身に付けてきた知識や知恵を全く知らない二次創作者が少なからずいることに不安を感じています

なのでここで、そうした経験から学んだなぜ模写・模倣問題視されるのか、について吐き出そうと思います

ぶっちゃけ下手な模写なら問題無いんですけどね。

そこそこ上手いんですよ。

そこんとこ素直に褒められてると受け取って承認欲求満たして自己肯定感上げてとっととステップアップしてほしいです。

もし本当にただの無知なら。

まあここで言って本人に届くとは思ってませんが。



さて、本題に入ります

無名絵描きがいたとします。

無名絵描き練習(習作)としてとある有名画家作品の模写に取り組んでいました。

最初そっくり同じに写しとっていました(模写)が、ある時「この画家の描いたネコも見てみたい」と思うようになりました。

その有名画家イヌ派だったので、お手本はイヌの絵ばかりだったのです。

そうして無名絵描きは、有名画家作品模倣(いわゆる絵柄パク)しながらネコの絵を描いてみました(パロディ二次創作)。

それはまるで有名画家の描いたネコのように見えました。

無名絵描きは嬉しくなって、近所の人達に見せびらかしました。

「上手に描けたよ!」

無名絵描きを知る人々は、口々に褒め称えてくれます

「すごい!」「本物(有名画家の絵)みたい!」

そこへ通りがかった画商が「素晴らしい!その絵を買わせてくれないか?」と持ちかけました。

無名絵描きにとっては初めての実績です!

「絵が売れた!売れたぞ!」

無名絵描きは喜びました。

近所の人達もお祝いしてくれました。

画商は無名絵描きから買った絵を画廊に飾り、新聞社電話をかけました。

大発見だ!あの有名画家の描いたネコがあった!」

なんと無名絵描きの描いたネコの絵は、有名画家の絵と間違われてしまっていたのです!

無名絵描き無名ですから、画商は無名絵描き絵描きだということすら知りませんでした。

ですからたまたま出会ったそっくりな筆使いのネコの絵を、有名画家作品と疑いもしなかったのです。

とはいえもちろん画商も目利きです、並大抵の模倣では騙されるはずなどありません。

無名絵描きはそれほど完璧に有名画家模倣していたのです。

そうしてネコの絵は、有名画家の未発表作として多いに世間を沸かしました。

意図せぬ贋作海賊版)のできあがりです。

そういうことです。

から模写や模倣は習作と呼ばれ、公にするものではないとされているのです。

パロディ二次創作)が成立するのは、それがパロディであると受け取り手にとって明らかな時だけです。

絵柄が違えば一目でパロディであると示せます

商業的なパロディ作品場合は適宜許可取りや原案表記をしています

そこそこの年齢の二次創作愛好家は知っているでしょう、青いタヌキの二次創作が訴えられた事例を。

あれは決して二次創作を締め付けようだとか見せしめだとかのためだけに訴えられたのではありません。

それを本物、公式だと勘違いした一般人がいたから海賊版の扱いをせざるを得なかったのです。

海賊版とは、公式権利者)の商売邪魔になる商品のことです。

コピー品に限らず、著作権者に無許可で売買される、著作物を利用した製品は、全て海賊版です。

よく二次創作イラスト海賊版グッズに利用されるという被害が出ていますが、絵柄が公式とある程度異なっていれば、二次創作に関連する知識のない一般人にも容易に混同されることはありません。

逆に公式そっくりな絵柄だった場合ライセンス料の分安い当該商品は売れに売れてしまうかもしれません。

公式にとっては営業妨害どころじゃ済みませんね。

有名絵師だって同じです。

憧れた二次創作者がそっくりな絵柄で二次創作をしたとします。

二次創作者本人を知らない人がたまたまそれを見かけたとしましょう。

制作者の注意書きの及ばない無断転載を含みます無断転載もしてはいけないことですが、避けようがありません)

「有名絵師さんってご自身の手掛けた作品二次創作も描かれるんですね!」

絵師さん大慌てです。

特にゲームアニメなど集団で作る作品場合絵師さんにライセンスはほぼありません。

公式絵師非公式二次創作をする場合ほとんどのケースではまず公式許可を取る必要があります

そして多くの場合公式の目の届く範囲で、非公式と注意書きを添えた上で公開しています

この辺りは私は詳しくないので深掘りはしませんが、公式絵師非公式二次創作ファン公式同然に受け取ってしまい、トラブルになりかけたこともあります

公式絵師自身の関わる作品に関して、一般二次創作者以上に慎重を求められるのです。

公式絵師の絵柄を模倣するということは、その責を公式絵師に負わせるということにもなりかねません。

ところで、先だって二次創作漫画無断転載サイト運営者が二次創作から著作権侵害で訴えられ有罪判決となりましたが、ご存知でしょうか?

原作サイドではなく二次創作からの訴えですので、二次創作作品に関して二次創作者の著作権が認められたおそらく初めての判例です。

二次創作者の権利が認められた理由として

二次創作自身の絵柄であったこ

二次創作者の考えた公式ではあり得ないようなストーリーがあったこ

の二点が大きく挙げられます

専門家解説記事リンクを貼っておくので、詳しくはそちらを読んでください。

https://t.co/SXknUu2fRf


少し大袈裟なところもありますが、とにかく二次創作公式模倣はまずいってことがもっと浸透することを願ってやみません。

偶然絵柄が似ていることも世の中にはありますが、二次創作をする際にはあえて公式から絵柄を遠去けることが暗黙の了解と言われている程です。

二次創作にまつわるリスク回避方法が少しでも伝わっていれば幸いです。

というわけで、模写・模倣は非公開の練習に留めましょう。

場合によってはトレスよりも厄介なことになりますよ。




○おまけ

イタコ漫画家はどうなんだとお思いの方もいると思いますが、大抵は知識コネを持っています

十分な知識があり、上手く立ち回れるのでしたら、頑張ってみればいいんじゃないですか?

そこまでしてやりたいのなら、ですが。

  • 今日は気持ちが荒ぶってるなうね 七時とか八時の通勤時間帯が読まれると思うなうよ

    • ありがとう。でも目立ちたくもないからいいの。 ちょっとスッキリしたし。 どうせ界隈の人は見ないだろうから。

      • とても勉強になる良い文章だったなうよ これは二次創作にかかる全員が読んだ方がいい文章なうよ

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