2020-09-07

ツイッター月経カップが妙にバズっていた

ある日から急にツイッター月経カップ言及する人が増えた。

月経カップを初めて使用してみたという方が、その体験所謂オタク構文的」に仕立てたレポがバズったことがきっかけらしい。

月経カップユーザー自体国内にはまだ少なく、能動的に調べない限り情報が入ってこない中、親しみのあるオタクノリで語られたことで存在を身近に感じられた方が多くいたのだと思う。

興味深くその流れを追っていた中で、「月経カップユーザーメリット面ばかりを強調して勧めてくるのでなんか宗教っぽい」という意見を多く目にした。そこで、月経カップユーザー何となく胡散臭い、という疑念への回答をユーザーとして自分なりに考えてみることにした。

第一に、月経カップは決して安い買い物ではないし、一般的薬局等での取り扱いもされておらず、ちょっと気軽に試してみる、ということが難しい。

だってそのままドブにお金を捨てたくはないわけだから自分に合うものかどうか、各メーカー製品比較するなどして購入する前にかなり慎重に検討している人がほとんどではないかと思う。

使用が慣れるまで痛い思いをした」という情報レビューなどを調べればそれなりに目にするので、そのあたりのリスクも引き受ける覚悟の上で(というと大袈裟かもしれないが、ある程度は仕方がないと受け入れて)実際の購入に踏み切っている人が多いのではないか

そこまで行き着く動機というのは、私の場合には、それまでの生理用品の使用に著しく不快感不自由を感じていたことだった。

ここで特定生理用品についてのディスを書くつもりはないので、具体的にどこがどう悪いといったことは詳しくは言わないが、元々皮膚が荒れやすい体質だというのが大きい。

言うなれば最初から、「ナプキンなどの使用に伴う苦痛A」が解消されるのなら、「月経カップ使用に伴う苦痛B」は許容できるという不等号になっているのだ。

苦痛Aの解消にフォーカスが当たっている自分のような人間にとっては、苦痛Bというのは既に自分の中で飲み下してしまっている部分なので、つい「不快が”全部”なくなった!」みたいな言い方をしてしまいがちなのかもしれない。

しかし当然ながら何をより不快苦痛に感じるかというのは人によって大きく異なるわけで、苦痛Aの方が苦痛Bよりずっとましだという人がいるのは全くおかしいことではない。

それぞれ自分安心できる道をとるべきなので押し付けるような言い方だけはお互いにするべきではないが、何にせよ人の言う「快適さ」にはその人の価値観個体差によるバイアスがかかっているという当たり前の話でもある。

加えて、体質や心持ちの方が変わらなければおそらくはずっと要因としては残り続けるであろう苦痛Aに比べて、苦痛Bの方は多くの場合、慣れによって無くなるか、少なくとも軽くはなってくるという、怪我リハビリテーションのようなところがある。

リハビリとして考えてみると、「この器具を使えばあなた身体はずっと自由に動かせるようになりますが、慣れない内は痛かったり違和感を感じたりしますよ」という選択肢自分で納得して選んだ場合、その後練習を積んでだいぶそれを使いこなせるようになったという時に「確かに自由にはなったけれど、リハビリのこういう所がこれだけキツかった」とデメリットを伝える方に向かうよりは、今まで強い苦痛を感じていた人であればより一層「この器具を使ってよかった!同じ悩みがある人にぜひ薦めたい!」という感動ばかりが全面に出てしまうというのも、心理としてそこまでおかしなことではないのではないか

そういった性質と、元々ある程度各自リサーチした上で使用している人が多かったという背景から、ある種の「前提」を共有しているコミュニティで閉じてしまっていたという面はあり、そこが傍から見た時の”怪しさ”に繋がる要因であるかもしれない。

そもそも今回バズったきっかけのレポートを書いた方のように、「今までナプキンでもそこまで苦労をしていたわけではないか、人からもらったので使ってみた」というケースは結構特殊なほうではないかと思う。

しかしバズったことで月経カップ含めて色々な生理用品について率直に、気軽に語られるきっかけになったのならばそれはいい機会だし、また、月経カップ使用してみたが上手く使えなかった、という人が自分を責めてしまわない為にも、バズったレポートのような「失敗談」がオープンに聞ける機会があるのは良いことと思う。

私自初心者の頃は着脱に苦労した経験があり、個人的には「慣れれば絶対にうまくいきますよ」という言葉の方に勇気づけられて練習できたタイプではあるが、「同じように上手くいかない人がいる」とか「諦めてもいい」という声によって安心を得られる人もまたいると思う。

反面、拡散される中で月経カップユーザーからすると少し「怖いな」と感じられるノリもあった。

ここで少しだけ、仮に今、日本では圧倒的に月経カップ(もしくはタンポン)を使っている人がメジャーで、紙ナプキンを使う人が一番少数派である、という反転した状況を想像してみてほしい。

この状況が反転した世界では需要が少ない紙ナプキンは高級品で手に入りにくいが、それでも”わざわざ”紙ナプキンを使っている人たちというのは、体内に何かを装着する事への心理的な抵抗感など、各自の切実な理由があってそれを選択しているのである

そうやって自分なりの安心を得ている人が少数いる中で、突然「なんか紙ナプキンていう生理用品があるらしい」という話題SNSでバズったとする。

ナプキンユーザーが圧倒的に少数派である状況で、「紙ナプキンかいやばいツールw」みたいに面白コンテンツとして消費されたり、「経血を体内に溜めないで自然に外に出すっていうのがいかにも子宮カルトの人が好みそうだよね」と特定思想集団と結び付けられたり、「公共トイレに毎回ゴミを出すなんて不潔、感染症スプレッダーになっている」などというネガティブ意見がワッと湧き上がるのを想像されると、少しこの「怖いな」という気持ち理解いただけるのではないだろうか。

意見を言う自由があるのは当然のこととして、「オープンに語る」ということと「他人領域踏み込む」ことは違うし、特に生理用品は単なる「嗜好」や「趣味」という基準からではなく、もう少しプライベート身体健康上の理由から選択している人が多いと思うので、その辺りはデリカシーを持って語っていったほうが良いのではないか

最低でも、〇〇をつかっている人はこうなんじゃないかとか、勝手イメージ想像に基づいた偏見をばらまくのは良くないし、そういう姿勢こそカルト等と揶揄される”疑似科学”と何も変わらないように思う。

一応補足しておくと、今回バズったことでレポート主の方を責めたりするつもりは全くない。むしろ予想外にバズってしまたことで色々と矢面に立たされてしまい大変なことだろうと思う。

使った人が率直な使用感を述べることは全くの自由だと思う。しかし、その中でも少しだけ読んだ方への誤解に繋がるのではと心配になる部分はあったので、以下は参考として書かせていただく。

月経カップメーカーHPなどには身長体重出産経験のありなしによって推奨されるサイズが書かれており、先ずは自分に合ったサイズを買うことでリスクを抑えられる。

レポ主の方はMサイズを人から貰い受けたとのことだったが、未経産かつ性交経験がないと書かれていたので、サイズが合っていない可能性があり少々心配になった。もちろん体格や個人差があるので一概には言えないが、Sサイズさらに短いタイプ等もあるので、基本的にはこれから使用される方は最初月経カップ自分で選んだ方が間違いがないと思う。

また、着脱の度に煮沸消毒したほうがいいか、という点に関して。メジャー月経カップメーカー使用方法には基本的には月経期間が終わった後と始まる前に1回煮沸消毒すればよいと書かれており、メーカーによっては必ずしもそこまで神経質にやる必要はないと書いているところもある。月経カップ区分的には一般医療機器にあたるので、「なんとなくこうじゃないか」と各自判断するよりは、使っている製品ごとに書かれている使用方法を守るのが安全だと思う。

最後に、処女場合性具等で拡張しないと月経カップは入らないのではないか、という懸念については、逆に経産婦の方やパートナーペニスは入る方でも月経カップ最初痛くて入らなかった、という意見もよく見る。月経カップ装着の仕方にクセがあるので、ディルド等の性具と比べて考えるより、やはり月経カップ特有の装着の仕方に慣れていくことでしか痛み等は解決しないように思う。

ただ、確かに今まで膣に何も挿入経験がないという方とそうでない方とでは心理的な抵抗感なども大きく変わってくるとは思うので、まずはタンポンなどで挿入しやすい角度や感覚などを練習してみるというのは有用だと思う。

追記

ツイッター上で、ここで言及しているレポート主の方に何点か指摘を頂いたようだったので補足。

先ず、「マイノリティとまで言って「月経カップを使う人」をコミュニティ属性にしている時点でうわあと思ってしまう」、という指摘に関して。

文章内で”マイノリティ”という言葉使用したことに関しては、単に”少数派”という意味使用したつもりだったが、意図しない含みを連想させる言葉であることも確かだと思ったので、そのまま”少数派”に訂正した。文章の至らなさがあり申し訳なかった。

そして確かに話を分かりやすく進めるために「月経カップを使う人」をひとまとめのように表現してしまっている部分はあるかと思うが、勿論、月経カップユーザー特定属性に押し込めたい意図はなく、私の主張はむしろその真逆のところである

月経カップユーザーが閉じたコミュニティになっていかない為にも件のレポートがバズったことには良い作用があった、という事を書いたはずだったのだが、この日記レポート主の方に向けて月経カップを「庇え」と言っているように受け取られてしまったようで残念だった。

また、「ナプキンネガキャンをしている月経カップユーザーだって居た」、という指摘については、もしその「ネガキャン」の内容がナプキン使用している人を不当に貶めたり、偏見のある発言をしていたということなら、私が問題視しているのはまさにそういう声や、この日記コメント欄にも発生している「布ナプキンの方が云々」のような発言のことだ。

元々この日記レポート主の発言に向けてではなく、あくまでその流れに便乗して乱暴発言をする人たちを危惧して書いたものだったが、結局レポート個人の気を悪くさせる結果になってしまたことについては申し訳ないし、ここで交換日記めいてしまうのも良くないので以後は更新しないことにする。

  • どうでもうんち

  • まあ、タンポン使ってみろってことやな

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