2014-05-29

AKB48の例の事件って、人災だよ

どう書いても場所や個人の風評被害につながるのでぼかすけれども、

AKB48握手会刃物で切りつけられた事件について、芸能界によくあることみたいなのは全く違うというのを書いておこうと思う。

また、現在様々な握手会イベントが中止や延期になっているのは、(遅すぎたとはいえ)その判断は素晴らしいと思う。

テロに屈するのではなく、そもそも何の対策もしていないありえない状況の是正に繋がると考えるからだ。

時間がない人向けのまとめ

大規模化したのに警備が甘いままなのは主催者側のミス

今回のAKB48事件は、当然かけるべきコストケチった為に起きた人災

防げないテロ存在することと、防げたはずの凶行とは、分けて考える必要がある。

犯罪者が悪いに決まってる

どうせなんか湧くだろうから本題に入る前に当たり前の事を書いておくが、

当然、斬りつけるようなヤツが悪い。

刃物振り回すようなアレな人間が間違いなく悪くてそいつさえ居なければ良いというのは十分わかった上で、

でも、そういうキチガイは間違いなく一定数居る。

町内会長と外務大臣

本件、AKBファンかそうじゃないかで分けても意味は無い。

根底にはAKBファンにはキチガイ割合多いだろみたいな蔑視があると思ってるが、本題じゃないから省く)

テロの標的になるのは、目立ってるものだろうし、本質的対策が難しいというのはある。

ただ、程度問題というやつは当然ある。

町内会長のオッサンがスーパー開店挨拶で切りつけられた時に、犯人許すまじ、で終わるのなら良いが、

外務大臣のオッサンがどこぞの講演会挨拶で切りつけられた時に、犯人許すまじ、で終わったら正直困る。

警備は何してんだ、って話になってもらわなきゃ困る。

俺は安倍さんは嫌いだが、ぶら下がり取材にのこぎりでホイホイ切りつけられたら、国益を損なうと思ってる。

(外から要人とか来てくんなくなるだろ)

から、ファンが全部で10人の地下アイドル握手会と、CD握手券つけるAKB握手会では、当然警備の量・質共に段違いであるべきだ。

防ぎようのないテロと、防げたはずの凶行

テロはいけないので止めましょう、じゃ標語だ。

その上で、芸能界でも今まで多々あってきた凶行と今回の件は、どうすれば防げたかという観点で見直しがいる。

見直さずに握手会を行うのであれば、それは蛮勇ではなくて単なる商行為における人名軽視だ。あってはならない。

美空ひばり塩酸をかけられた、誰それが誘拐された、ファンが自宅に押しかけた。

から、「昔から芸能人ターゲットになってきて、今回のAKB握手会の凶行も同じだ」は正しいか。

正しくないのではないか。

移動時でもなければ私生活時でもなく、業として商売として行われている最中出来事だ。

犯罪者が悪いことに変わりはなくても、興行を行う主催者ミスとして責められるべきではないのか。

総選挙の時にステージに向かってモノを投げつけたわけではなく、直接触れ合えるタイミングで切りつけているのだ。

根本的に状況が異なる。

握手会」という業

ファンサービスという言葉がある。

例えばだ、北海道島本和彦サイン会をして、色紙に熱い言葉を殴り書きしているときにファンに切りつけられたとしよう。

ビデオレンタルショップで手荷物検査があるでなく、取り押さえるにも時間がかかったりするだろう。

いずれ漫画ネタとして昇華される日が来るかもしれないから、オイシイとかバカなこと言われるかもしれない。

この場合、それは一過性のものなので、警備の不備を指摘しても、あまり意味が無い。

もちろん島本和彦レベルのビックネームであれば警備を強化すべきとの声もあるだろうが、ファンとの触れ合いを大切にしたい作家の気持ちもある。

そもそも、殴りつけるなら兎も角、切りつけてくるような犯罪者が混じっていることなど、判ろうはずがない。

島本和彦は炎の漫画家であって、炎のサイン書きでは無い。

しかし、AKB握手会は違う。

事業商業などに使われる「業」とは、反復継続意味する。

会えるアイドル、という部分と本質的に異なり、アイドルと触れ合える機会が、偶然ではなく確実にある。

CDを書い、握手券を手に入れ、会場に行けば(体調不良などのアクシデントがなければ)、握手できるのだ。

年に数回、並ぶファンも総勢50人以下なんていう状況とは異なる。

もう一度言おう、そこに行けば確実に直接手と手を触れ合わせることができるイベントが、かなりの頻度で定期的に行われている。

彼女たちは、握手をするのも仕事だ。

アイドル警備体制

この手の話は、規模や頻度、人気やファン層を無視しがちだ。

セキュリティという観点で見た時、性別年齢職業地域などで、想定する警備体制見積もるのは当然のことだ。

文化ホールで年中行われるさだまさしコンサートと、ホテルで行われる美輪明宏ディナーショーロフトプラスワン地下アイドルイベント

のこぎりで斬りつけられるタイミングはそれぞれ違うし、警備体制を同様に論じることは当然出来ない。

ロフトプラスワン警備体制ジャニーズコンサートを行ってはいけないというのは、判るだろう。

差別的だというのを十分承知の上で言えば、美輪明宏クリスマスディナーショーに、のこぎりを持った今回の犯人が紛れ込む可能性は無視できるほど低い。

単純に行きづらいからだ。

さて、テレビAKBという名前で出る、CDも売っている、ファンも多い。

そんな相手に、1600円で直接触れ合えるイベントがある。

あの規模の握手会で、握手対象者ドル箱たるアイドルのもので、手荷物検査がザルなんてあってはならないのだ。

どうすべきだったのか

クリント・イーストウッド主演の、ザ・シークレット・サービスという映画をご存知だろうか。

あの映画では、ジョン・マルコビッチ金属探知機をすり抜けて銃を持ち込んでいる。

ポイントはそこではなく、アメリカ上流階級が参加するパーティーであっても、礼儀を尽くしたまま警備レベルを上げることができる点だ。

コストは当然かかる。

佐渡金山労働者のように、一旦全員裸にして、ケツの穴までチェックしてから入場させる必要はない。

手荷物を全て預かり、アクセサリー類は全て外させ、金属探知機ゲートを潜らせてから、手を洗わせて、係員立ち会いのもとで握手させる。

たったそれだけだ。

富士急ハイランドではアレだけの入場者が居るにもかかわらず、メガネはおろか時計まで外させてロッカーに入れさせる。

空港ではどんなことがあっても金属探知機をくぐらせる。

長机はちゃんと固定しているか

スタッフは何かあることが前提で構えているか

アイドルはとっさに後ろに下がる訓練は受けたか

アクリル壁とか言う前に、やるべきことは山ほどあるはずだ。

時間は今よりかかるだろう。会場も限定されるだろう。置き引きや荷物間違い、つけ爪や服装規定に関しても揉めるだろう。

だが、コミケコスプレ会場スタッフは乗り切っているし、準備会は柔軟に対応しながら当局規制を免れてる。

実質的に有料の商業行為である握手会で出来ない理由はないし、コストを掛けないのは良く言って怠慢で、悪く言えば人名軽視だ。

職業暗殺者を防ぐことは出来なくても、自暴自棄になった若者程度ならハジく警備体制になっていなければならないのだ。

簡単なまとめ

今回の事件は、当然行っておくべき対策を怠った為に、起こるべくして起きた事件であって、運営責任は重い。

防ぎようのないテロではなく、簡単に防げた凶行だ。

防ぐのが難しい高級車窃盗団いるからといって、鍵をつけたまま車を放置して良いことにはならない。

町内会長の講演と、国家元首の演説で、求められる警備レベルは異なるし、そのコストは省いて良いものではない。

もちろんファンが自主的にできることもある。

握手会にはできるだけ手荷物を持っていかない、時計を含めたアクセサリーは付けない、スタッフの指示には必ず従う。

そういったマナーが浸透すれば、そうでない人物を警戒すれば良く、スタッフの負荷は減る。それはアイドルの為にもなる。

(それをすり抜けるキチガイも当然でるだろうが、現状よりもずっと難しくなる。無策の言い訳にはならない)

蛇足。「握手」という風俗行為

わかりやすくするためにきちんと書くが、世俗や習慣、風習という意味ではなく、性風俗意味を持つ「握手」の事だ。

異性同性に対して何らかのサービスを行う物事は多いし、国や時代によってモラル風習も違うので、良い悪いは無い。

ただ、今の時代日本において、少女握手をさせるというサービスは、どこまで許されるのか?

はっきり書こう。AKBCD代金の何割かはこのイベントのために支払われている。

まり「会場に行って、1000円支払って、好みの女性握手をする」という商形態だとしたら、許容されていたか

いまはこれを、CD代金に含めることで有耶無耶に誤魔化している。

規模が小さい頃は、ファンサービスの一環という言い方もできるし、実際そうだろう。

大規模になり、十分にビジネスモデルとして回り、実態として握手券のためにCDを買う人間が増えてきた。

法律がなければ何をしても良いわけではなくて、何かあればすぐに規制がかかる。

握手会を無くさない為に、この業界トップランナーであるAKB運営は早急に自主規制を行う必要があるのではないか。

誠に残念だが、「ファンサービス」に戻すための努力をすべき時期に来ていると思う。

ほっとくと、ホント刑務所の面会室みたいな場所ガラス越しに手を重ねあわせるだけになりかねないと思う。

蛇足蛇足

アイドルなぞ賤業でメンヘルなので、斬り付けられる程度の覚悟はしておくべきと考える人がもし正しいとしても

商売人として運営アイドルコストをかけないのは、美術館が展示の目玉の国宝の壷を触れるように展示するレベルにありえない。

これは徹頭徹尾人間商品として扱う商売人がかけるべきコストをかけていなかったという、運営の話だ。

そんなコストを掛けてまで握手会は出来ないというのであれば、サービス残業がなければ潰れる会社と同じく、元々出来ないのだ。

正直な処、男性アイドルグループや、無名グループでは起きなかったであろう犯行だと感じるので、

女性子供など、斬り付けやすいと判断されがちな芸能人達の運営母体は、早急に対策をして欲しいと思う。

「ちびっ子タレント握手会で凶刃に倒れ死亡」とか、今後起きようもんならそれは間違いなく人災だよ。

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