2024-07-30

着用して体感するスクール水着トレンド

はじめに

 夏だ。プールだ。水着だ。諸君スクール水着に思い出があるだろうか。筆者はなかった。学校水泳でも競泳水着プライベートではサーフパンツを着る生活で、いわゆるスクール水着というものを着用したことはなかったし、習い事として水泳を習っていると泳ぐことに懸命で、よそ見をしている余裕などない。

 さて。最近学校指定スクール水着が恥ずかしいとかそういう話がよく議論に上がっているのを見る。ジェンダーレス水着なるもの指定されるというニュースも見る。こうしたニュース風物詩なのだろう。そしてインターネットレスバが始まる。

 基本的に男女はこうした場面では分かり合えない。水着の話でもトイレの話でも、性別によって見えている世界が違いすぎるのだ。こうした世界の違いに興味を持っている筆者は、現代水着の何が問題で、共用水着が何を解決したのか気になった。ということで、大人サイズスクール水着を着てみて現代人が抱える問題を観察してみようと考えた。ということで、簡単レポートしようと思う。

検証方法

 そもそも知らなかったこなのだが、スクール水着というもの子供用だけでなく、メーカーから大人用の大きなサイズも発売されている。今回のような実験コスプレ用のスクール水着を買うのは邪道である本来は泳いで試したかったところもあるが、現代社会はまだ成人男性女性用の水着を着てうろつくことを許容しないだろう。そこでいくつか購入して自宅でこっそり試着してみることにする。

 またなるべく着用環境を整えるため、コスプレ用の女装用品を使って身体ライン女性に近づけて着用してみることにした。

 男性として、また女装した状態で、これらの水着を着用し、姿見でビジュアル確認することに加え、準備運動に相当する運動で動きやすさを調べてみることとした。

用意した水着・道具

結果と感想

それぞれの水着について着用の感想をまとめていく。

男性トランクス水着

 これが筆者が人生で初めて着用するスクール水着である。少し裾のあるタイプで、筆者の実体から推定して、スイミングスクールはともかく、小学校高学年になってもビキニタイプを着用する学校は今時ないと考えてこの水着を選定した。わかりやす海パンである

 初めて着用した感想としては、生地の薄さと伸縮性の高さに驚いた、ということ。密着した方が水の抵抗を抑えられ、水中でも脱げにくいので良いことだと思う。ダバダバした水着だと動き回っているうちに半ケツ状態に陥ってしまうことがあるのだが、今はそこまでは考えていないという状況だ。

 ただこの密着が裏目に出ることもある。裏地付きとはいえポジションが外見から丸見えになってしまう点だ。股間がやや膨らむのは正直なところ男子宿命であって、思春期とはいえ諦めがつくものなのだが、ポジションが出るのはちょっと困る。メインターゲットであろう未発達の小学生なら悪目立ちすることはないと思うが、それでも高学年〜中学生になる頃には気になるのではないだろうか。スイムサポーターをを履いて改めて着用してみるとすっきりさせることができた。オプションではあるがマストアイテムであろう。

 着替えのしやすさや動きやすさに関しては、ただのパンイチ状態なので特に問題はない。とても軽いという感想を持った。

女性ワンピース水着

 成人男性である筆者が2着目に着用したスクール水着がこれであるAmazonという文明の利器がなければこのような経験をすることはなかっただろう。

 下にシリコンパンツを履いて、下半身ライン女性らしくして履いてみた。まず着用方法がとても難しい。セパレート式の水着についても、レディース水着は上から被るのではなく下から履くように着用するのが正しい方法らしい。まず下半身を履くのだが上半身部分が嵩張ってうまく着用できない。そして下半身を履いたら胸当てをずり上げていき、最後に肩紐をつける。この肩紐を肩にあてるときに筆者の肩の関節が悲鳴を上げた。もしかすると筆者が成人男性から苦労しているだけで、女性の肩が柔らかいのかもしれない。また胸の周りをきつく押さえつけるような構造になっていたので、おそらく尻は通せても肩を通すのが難しいのだろうと思ったが、筆者には胸がないのでこのあたりはよくわからなった。

 今回はこのまま水に浸かるということは試していないが、こうした着用方法特殊水着は水に濡れてまとわりついたら脱ぐ時も大変かもしれないと思った。

 さて、着用してみると、動きやすさについてはいうまでもない。腕にも脚にも何もついていないのだから何も支障が無いのである。そしてよく伸縮して筆者の膨らんだ腹にフィットし、まるでみかんネットに身を包んでいるような気分であった。

 男性用と比較すると大きな水着だが、布面積に対してプライベートゾーンの細かいところでガードが乏しく、股間や胸元を安心できるところまでガードしているかというと不安を覚えるということなのだろう。日頃から体型を気にしている女子にとってはイレギュラーな格好に見えるのだろう。もはや半裸でやっている男子からは贅沢な悩みに見えるかもしれないが、日頃から体のラインを見せないように意識している人からすればショックが大きいのだろうし、泳ぎを優先した薄っぺらからくる不安があるのだと思う。

 いちおう、性転換パンツを履かずに男性としての身体でも着用してみると、裏地の当たるところが男性より狭いため、当然ながら何もガードしてくれずに股間が悪目立ちした。恐る恐る姿見を見たところ当然にも醜く、最近医者に注意された腹がぽっこり、その下で股間もっこりと出たおっさんの体型が丸見えである。これなら正々堂々と腹をぶりんと出していた方がまだ恥ずかしくないのではと思ってしまった。布が多いはずなのに恥ずかしいのは何故だろう。隠しているからこそ、余計に恥ずかしいのだろうか。加えて筆者は脇毛が濃いのでこのあたりが猛烈に汚く見える。女性には脇毛がほとんどないイメージを持っているが、あれはそもそも脇毛が生えにくいのか常に剃っているのだろうか。

 さらに股のクロッチの布の狭さに改めて驚く。男性の筆者でもハイレグ水着というのはなんとなく恥ずかしい格好であるという意識は持っているのだが、尻まで覆う普通スクール水着でも薄さと狭さで守られていないように感じてしまう。脚の動きに制約がないので動きやすそうではあるのだが、これでは何かのはずみでズレて股の内側が見えてしまわないのかと不安になるのである女子もこの中にサポーターを履いて体型を抑え込んだりしているだろうか。近年スパッツスタイル水着が支持される理由がわかった。

 そしてこれは余談だが、スクール水着を使った映像作品で、足の付け根にベージュ色の布が見え隠れしているものを見かける。あれは中に別のパンツを履いているのだと思っていたが、どうやらスクール水着の裏地らしい。なぜか裏地が縫い付けられておらず、着替えるときにぐるぐると巻きついて水着の外に飛び出してしまうのである。履いてみて初めてわかったこととして共有しておこう。

男女共用セパレーツ水着

 この水着は、サーフパンツと前開きのラッシュガードボタンと暇で繋ぐことで捲れにくく構成された水着で、ゆとりを持たせて身体ラインが出にくいことを特徴としている。

 まずは男性としてこれを着用してみる。少し大きめのサイズを注文したが、ボトムスに余裕があるのに対してトップスはやや窮屈な印象を受けた。

 ボトムスインナーパンツが内側にあり二重構造になっているのだが、裏地がクロッチにはついている一方、男性部にはついていない。少し心許ないというか、十分に大きいサイズ水着でないとやはりチンポジが浮き出てしまうと感じる。これもメンズ同様、スイムサポーターで防ぐことができたが、もうワンサイズ上げたものを購入してみることを検討した方が良いかもしれない。

 トップスも着てみる。トップスの裾とボトムスの腰にボタンがあり、これをとめると固定できるのがユニークだ。生地は伸縮性があってやや薄く感じるが、ラッシュガードとしては十分な軽さを持っていると感じる。胸周りはパッドを入れるためか頑丈な作りになっているので、慣れない男性違和感を覚えるかもしれない。しかし筆者はさきほど経験したばかりであり、どうやらこの胸の締め付け感はレディース水着では当たり前にあることのように感じ取れた。

 こうして肌の露出は避ける水着を着用することができた。普通シャツ羽織るのと同じなので、ボーボーの脇毛を見られることもない。ひとつひとつ安心感につながるのだな実感した。いっぽう胸と腹で裏地の厚みが違うため、胸まわりがかちっとしている一方、筆者の腹はぽっこりと出ていた。ここはカバーできない可能性が高い。

 次に女装シリコンパンツを履いたうえでボトムスを履き直してみる。先ほど気にした裏地は性器位置に合うようになっている。シリコンパンツ構造上尻が大きくなるが、この体型でやっと水着上下ともに良いサイズになったと思う。つまり逆三角形体型の男性場合、セット買いはせず、トップスボトムスより大きいもの発注する必要がある。

 動きやすさについては、これまでの水着と同様に伸縮性に優れていて、薄いので水を溜め込むこともあまりないのだろう。サーフパンツの水の抵抗は未知数だが、トップスボトムスを連結する3つの部品が半ケツを回避できるほど強力だとしたら、かなり期待できる。

 ここまでのことを思うと、このサーフパンツラッシュガードは、男女共用というよりも、男性も着用可能ブランディングされつつも構造的にはレディース向けに設計された水着なのかもしれない、という感想を抱いた。

 メンズ水着としてはトップスがついた程度で、ほかにめくれを防止する機能などがあるくらいで、一特段の革新性はないが、一方レディースとして考えるとこの着替えのしやすさというのは革命的なものになるのではないか、と感じた。

まとめ

 今回は男・女・共用という視点からスクール水着について調べてみた。女子用の水着の着替えでの扱いづらさは実体験しないとわからないものがあると思った。そしてこのビジュアルは、男性が着ることを完全に想定していない、女性だけに作られたアイテムであることも体感した。ゆえに、性差を強く見せてしまう格好として思春期女子から嫌われているのだろうという実態も学ぶことができた。

 実は男女共用水着商品紹介ページには、児童水着に求める機能についてまとめたアンケート掲載されている。これを見ると確かに「着替えがしやす水着」という意見第一位にきて、次に身体の悩みが並ぶ。たしか女子水着は着替えにくかった。思春期特有の悩みというよりも、単純に実用性についての意見が多く寄せられていることを実体験することができたと思う。

 一方で、男女共用水着にも課題があると感じる。身体ラインが出にくい水着、恥ずかしくない水着を身につけること自体否定しない。ただ、インナーまで含めて男女共用とすることには少し無理があるのではないかと思う。小学校低学年くらいであればあまり性差もないだろうが、いずれは体格に差が出てくる。せめてインナー性差に合わせた形状にして選択できないだろうかと思った。自由度があるならば、男子は敢えて男女共用水着を選ぶのではなく、メンズのサーフパンツラッシュガードを着用するのが最適解ではないかという感想を持った。

 とはいえ売る側の事情もあるだろう。単に「身体ラインが出にくい水着を」と主張しても、保守的学校組織指定水着を変えさせるのは難しい。ジェンダーレスという話題バズワードを使うことで普及を促す意図があったのではないか、とも推測した。実際、変えてみて効果が出ているというニュース好意的報道されているが、単にレディース水着バリエーションというだけではここまで話題にはならなかっただろう。

 しかしそれもこれも、男女の水着機能的な違いから目を逸らしてビジュアルだけを論じてきたことが背景にあるのではないだろうか。今まで通りの水着で良いとか、あるいは目の保養だとか思っている男性陣も、一度女性用のスクール水着を着てみれば、新しい視点からものを見ることが出来るのではないだろうか。

 本来はこうした水着自由に選定できることこそジェンダーレスではないかとも感じるのだが、体格的に難しいことを受け入れることもまた必要なのかもしれない。

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