はてなキーワード: 見立てとは
自意識問題について。
まあ思春期には、「自我」がどうしようもなく膨れ上がる。みんなそうだ。
このころに、つまり言葉が一定の水位を超えてあふれ出す時に「思考」が始まる。
そして、現実ではなく、「自己意識の中では」自分は「自由」な存在だということを突然発見する。
若者の「思考」の最大の仕事は自分を正当化すること、そして自分を世界の絶対的な主人公とすること。
そんなわけで、14~15歳前後から、世界のすべてを自分流に解釈し、
自己意識の中で激しく「俺は誰でもない俺だけの存在だ」という感覚を確認しようとする。
要するに、思考の自由がやってきて、はじめて人間は「自分という存在のかけがえのなさ」を実感することになるわけだ。
おめでとう。
しかし、ここには問題がある。
第一に、それは「意識」の内側だけの自由であって、その人を取り巻く現実は、やはり親や社会のルールによって縛られ、拘束されている。
自力で現実的な自由の条件を獲得できない大抵の場合、当分は内的な「自由」で我慢するしかない。
第二に、自分自身を世界の絶対の主人公と見立てたいのだけれど、
この望みは誰もが同じようにもっているものだ、ということに気づかないわけにはいかない。
「周りの奴らは馬鹿ばっかで、俺の考えてることはわかんねーんだよ」という人も、
「俺は誰でもない俺だけの存在だ」ということが、誰にもあてはまる平凡な事実だということに薄々気づいている。
「思考の自由」が、人間に「自分だけは特別な存在である」という新しい真理を教えるのだけれど、
その自意識を満たしてくれる「クリエイティブ」で「他者が賞賛」するような職種で成功を収めないかぎり、
そして「別の生き方」を選ぶようになる。
そこにいたるまで我々は自意識問題という名の厨二病を煩い続ける。
ヘーゲルはこの「俺は誰でもない俺だけの存在だ」という「自己意識の自由」の三類型ということを言っている。
第一の類型は「ストア主義」。
人々は醜い承認争いをしているが、そんな競争はつまらないものだと「俺だけはよく知っている」と考える自己意識のことだ。
このことで自己意識は、自分の価値と独自性を、内的に確保する。
「お前ら必死だなw」って奴だ。
人の意見の弱点を見つけてはこれを相対化しようとする人が懐疑主義者だ。
どんな意見もちょっと観点を変えればみな相対化されてしまうということを「俺だけはよく知っている」と考えて「自己意識」を確保しようとする。
この2つは、両方とも自分の意見、態度、生き方を留保しておいて他人の価値を低く見積り、
第三の類型は「不幸の意識」。
若者は独自の強力な世界観、理論に出会うとその世界にどんどんのめりこみ、世界や人間のどんなことにも「立派な」ことが言えるようになる。
しかし、この高尚な世界観が要請する理想の姿と現実の自分の姿の間で、引き裂かれる自己意識が発生する。
これらはすべて「自分の心の内側だけで、自己価値を確保しようとする試み」だ。
人間の自己価値は「他者の承認」を必要とする。だけど、それは結構きつい。
だから、人間は自分の中の「自由な思考」のうちで自己価値をつかもうとする。
でもそれはたぶん無理だ。
現実はどうしようもなく存在していて、そのうざったい自意識にうってつけの現実なんて向こうからやってこない。
その不可能性が頭ではなく身にしみた時こそが、めでたく厨二病卒業の時となる。
おめでとう。
最近、はてブを見ていると昔見た話題を扱った記事がブクマ集めて人気エントリーに入ることがちらほらある。ユーザーが入れ替わったとか、twitterのRT効果とかいろいろ理由はあるのだろう。
直近ではGIGAZINEの「電線にとまる鳥の群れを五線譜に見立てて音楽を演奏」というエントリや、ギズモードの4kbのプログラミング作品ネタ。
どちらも去年、一度話題になっている。「なんで今更話題になるんだ」という疑問がもたげてくる。別に情弱、情強とかいう話ではなく、純粋な疑問というか。ネットメディアなら2chとはてブを見るのをルーティーンにしてるのが普通じゃないのか。「あれ、この話題去年見た」地獄のミサワが言いそうな台詞だが、ミサワの気持ちが少し分かる気がする。
で、「あれ、この話題以前見た」という記事を発見したとき、最初に見たのはいつだろう、と思ってグーグル検索で調べてみると、見事に新しいほうの記事しかなく、古い記事は埋れている。新しい記事の2chスレ、twitter、アンテナサイト等、どうでもいいものばかり上にくるから。調べようはあるのだが、古いほうの記事がなかなか検索で引っかからないと、「自分の記憶のほうがおかしいのではないか」と思えてきて頭が混乱してしまう。予知夢?千里眼?タイムスリップ?などといらぬ妄想もしてしまう。最終的には若年性アルツハイマーを疑って病院いったほうがいいのか考え始めたところで、ようやく検索に引っかかって安心する。
ギズモードのほうは過去話題になったときの記事にリンク貼ってあるからいいけど、そこまで親切心のある記事は少ない。
これからニュースサイトでサルベージ記事が多くなるかもしれない。記事を書く人は、公開する前にググッてみて過去に話題になっていたなら、そのサイトのリンクも貼って欲しい。
もう同じじゃない人と付き合いたくない。
本当に長くなればなるほど絶望の渦に巻き込まれるから。
例えばシーズンが切れたら服なんて流行遅れで着なくなってしまうモノだから
そんなに高いモノを買わなくたっていいと思う。
でも敢えてシーズンとか時代とかから外れきった、体にも合ってない安い服を着るのは許せない。
お金がないなら全身ユニクロで全然構わない。だから最低限の出資と見立てはして下さい。全身8千円以内でコーディネイトでいいから。
例えば髪だって少なくたって構わない。ハゲとかボールドとか言い出す人もいるかもしれない
それは年齢重ねた証じゃないか。胸を張ればいいと思う。
ただ、抜けるのが怖いからとかで清潔にしないのはどうなの。
シャンプーと水道代はケチると後で皮膚科の世話になる位荒れる人だって居るんだ。洗って下さい。
例えば食べるモノだって安くたって構わない。でもどう考えても材料費を物凄くケチったような安い店に入っていって、
店の中で不味いというのは辞めて下さい。不味いのに気付かないで美味しいとか言われると更に不安になります。
そして記念日に高い店に入ったら値段対サービスが合わないからってイライラしないで。貴方も店にそぐわない振る舞いしてるの。
だったら一緒に最低の価格よりも少し財布が痛む程度のレベルの食材と酒を買って一緒に調理しようじゃないか。
例えば専門バカでも構わない。貴方が今生きる為の糧を稼ぐために重ねてきた知識じゃないか。
胸を張って専門を晒すがいいと思う。その内貴方の右に出るものはいなくなる筈。
でもね、せめて中学あたりで習う知識は忘れないでくれ。常識レベルの知識は保持して。戦国武将は大化の改新よりずっと後。
専門の事は知らなくても恥を掻かないけど、そこは抑えておかないと一緒にいる人も恥ずかしいです。
将来子供に説明出来なかったり、子供自身が同じように見られるかと思うと心配です。
例えばスポーツに後ろ向きでもいい。元々運動神経がいいのはよく知ってる。
貴方は結構なんでもこなせます。テニスもスキーもサッカーも水泳もこなせます。正直羨ましいです。
私より後に始めたボードも初日から普通に滑ってジャンプも決めてましたね。アホかと。
でもね。同じ筋肉組成ではないので私は運動してないと太らなくても動けなくなるの。一人でも頑張ってるけど無理なの。付き合え。って
そう。セックス。はっきり言って満足はしてます。でも貴方は供給過多。いえ、過剰。
私も貴方も残業月50越えは当然酷いときは150~200ですものね。ええ、ストレスが溜まってるのもわかります。
でもね、二人で合ってるからって疲れてる時は疲れてる。人が寝てるのにごそごそと動いて勝手に始めようとするのは
強姦行為に値します。デートレイプだばかやろう。もげてしまえ。タコ。こっちは眠いんだ。寝かせろ。
どうしてただ温度感じる程度に抱き合ってるだけじゃダメなんですか。脳の神経が異常をきたしてるんですかああ納得。
外の文化に触れる事に後ろ向きにならないで。旅行に出かける事にすら拒まないで。
日本にも見てない所が沢山あるじゃないとか言う割に旅行の計画を立てると仕事だなんだと大変後ろ向きですよね。
私実は海外旅行とか好きなんですよ。ええ、あまり行った事無いけどあの全くレンジの違う価値観に囲まれる瞬間好き。
あの文化的差異の中で普段気にもしなかったような事が見えるような現実逃避が好きなんです。
長くいたらそこにはそこの人達の生活もあるのは重々承知だけど、そういうのに憧れるんです。どうしてそこまで背を向けるのか。
じゃあもういいです。一人で行きます。だからその一人になる時間を下さい。
こういう理由で結婚直前までこぎ着けた相手と別れました。
今までに2度。
ちなみに両方とも仕事上の理由で別れた後に海外出張で飛ばされて散々こちらが言ってた意味が分かった、楽しいな。
とか言ってきました。あほか。もげてしまえ。
そんなちっちゃな事を気にしてた昔を思い出しました。
結婚間の時点で随分色々瞑っていたなああ。結婚したら瞑る所なくなるんじゃないかて程迄に。
同意。
車のローン代とガソリン代あればいくらもシティホテルに行けるし、クルマの居住性はめちゃくちゃ悪い。
イチャ声とじこめるために窓締めて(さらに場合により激しい運動もして)たら、移動してない分通気わるくて酸素切れ。
シートがふらっとでもやっぱり膝はいたい。
近郊の林のなかにとめてもエンジン音とライトですぐさま地主が見に来る。だれの所有でもない道なぞない。
旅先で行き暮れてサービスエリアで一晩過ごすだけだって暴走族と警察のおっかけっこがうるさかったり、
たぶん、話に出たセールスマンが本当にいるのなら、客層の見立てが悪いんじゃないか。
ひろきゅ~ん、まーちゃぁん、とかウザいしゃべりのカップル客は、
車庫は実家に寄生しようとしてても、エチする場所がないカップルじゃなく、
30代も間近な既婚子無しで、平日はいらっしゃいませキリッて働いてるんじゃねーのかね。
男だけでワンボックス買う?知らんがな
ここは大いに違うし、そもそもここの勘違いで元増田がフルボッコなんだから区別すべき
元増田とid:logic_masterが同レベルと言わしめているのも、まさしくここ。
元増田やチビ男に対してどう思おうと、それは個々の理由と考え方がある。
しかし、ここで相手が悪いんだから、俺の行動(思想)は好青年(正しい)なんだぜ!という論理に至って
勝てると思ったから、でも、女を脅したのが気に食わないから、でも根っこは同じだ。
id:logic_masterは何の経験も積まなかった、という大きな違いはある。
けれど、所詮元増田は喧嘩を売った相手の見立て違い程度にしか捉えず
id:logic_masterは実行していないし元増田を擁護してない、という見当違いの言い訳をしている。
どちらも、自分自身のDQN思想には思いが至らないそっくりさん。
もう元増田=logic_masterでもいい気がしてきた。
リストラ宣告された。
「特別転進なんちゃら」と言葉を飾ってはいるが、要するに「辞めてくれ」って話だ。
ちょっと待ておい。
病人クビにするのかよ?
それって人道的にどうなのよ?
今どきうつの40代雇う会社があるとでも?
私は辞めないよ。今はね。辞めてやっていける状況にない。
だから、いくら辞めてくれと言われても徹底的に跳ね返す。
そうすると、次の段階として指名解雇というのがあるそうなんだが、
これは関係会社や業界に広く影響するので、軽々には行えないらしい。
会社はそこまでのリスクは冒さないだろう、というのが知人の見立てだが、
万一そういう事態になったときは、労働争議に持っていくのだそうだ。
なんか詳しい知人がいるので助かっている。
月の光を溶かして飲んだりするんだぜ。
ほんとうは、これは心理療法の人が担当すべきなんだろう。
ここで言及されている各分野とその用語には著しい知識の欠如、誤認等があるでご注意ください。
一般的に書籍は有料であり、貨幣を対価として支払わなければ入手することはできない。
しかし巷には図書館というものが存在し、ほとんどの書籍を無料で一定の期間手に入れることが可能である。
つまり情報をタダで入手することができるというわけだ。
弱者のための社会インフラとしてこのようになっているのだが、根底にあるのは情報は無料であるべきということだ。
それを裏付けるようにインターネットでは多くのものが無料、ロハである。
電子出版など情報を売って対価を得ようとする向きもこのほどはあるようだが、由々しきことである。
ここでいう工業製品とは何かしらの資源を使って造られたもののことであり、資源とは人類にとって限り有る地球資源のことだ。
故に精神活動を原料としいくらでも生産可能な書籍などとは違い無闇やたらと資源を大量使用されては困るのだ。
そこでそういうった粗製濫造を防ぐために導入させた制度が貨幣経済である。
貨幣をバロメーターとすることにで人々の人気が高く必要とされている製品とそうではない不人気、不必要な製品を区別できるようになったのだ。
こうして誰もが欲しがるような素晴らしい製品には資源がより多く消費され、
誰も欲しがることのない欠陥製品には無駄な資源が極力投入されないというように限り有る資源が有効活用されるようになった。
現在のところ資源の完璧なリサイクル方法は見つかっておらず際限なく使用していればいずれ枯渇する危険があるからだ。
この貨幣経済の成り立ちについては世界各地でそれぞれ別個に起こったものなのだが、
これはどのような人類社会にあっても無限には存在しない資源をどのように民意を反映しつつ利用していくかを模索し突き詰めた結果であると考えられる。
このように、貨幣を使用するというのは資源の活用方法についての投票行為なのである。
人と人とが接触することによって無限に生まれる情報やそれを記録する活動に対しては、それらがいくら大量に
生産されたとしても材料となる素材がほぼ無限に存在しているため一向に構わず、貨幣による投票を必要としない、つまり無料であるべきなのだ。
現代の市場では書籍に対して価格が設定されているが、これは紙資源の分配、活用使途への投票であり、中身の情報はタダである。
これはインターネットに記載された情報のほとんどや市井の会話を盗み聞きしてもそこに支払い義務が発生しないことからも容易に理解できるであろう。
他方、スポーツ選手のギャラや弁護士への相談費用、インストラクターへの代金など
明らかに地球資源の活用とはなんの関係性も見出せないような事柄にも貨幣は使用されている、これはなぜだろうか。
現代の政治では多くの民主主義を謳う国家で議会制が導入されている、これは国の意思決定について直接国民が判断を下すのではなく、
国民の投票によって信任を得た一部の人間がいわば代理で国家を運営する制度である。
同様に、経済活動についても現代ではそのほとんどが直接の投票ではなく、自らの票を能力の高い人物、組織に付託し権利を移譲する間接的な投票行為が多くを占めている。
先程のギャラや相談費用などは全てこれに該当するというわけだ。
こうしたように人類社会のなかで相対的に影響力が大きく能力が担保されている人物が多くの投票権を得ることでシステムの信頼性が向上しているといえる。
人ひとりの平等を貫き有用な社会活動を通しての投票権利移譲を認めなかった社会主義では資源の運用指針が実際の需要とは大きく違ったものとなり失敗してしまった。
この社会主義の破綻を見てもわかると思うが発達した貨幣経済では貨幣の役割は限り有る資源の使い道を決めるだけに留まらず人類全体の意思決定にまで及んでいる。
これは統一された価値基準である貨幣が本来可視化の難しい相対的な人間の意志や欲望をうまく数値化し社会的評価などをも内包せしめた複雑な投票活動を可能にしたからである。
人間の意思を矢印に見立てるとそれまでおのおのバラバラの方向を指していたように見えた矢印が
貨幣という媒体を得たことによって大まかにではあるが、複数個の矢印により構成されたグループの指す向きや全体の指し示している方向が見えるようになったのだ。
いつからだろう、何か本気で取り組んでみたい物事を見つけるたびに、わざとそれを避けるようになったのは。
できないからやらないのではなく、したくないからやらないのでもなく、したいけどやれない。
こんな矛盾した気持ちを抱えているのは自分だけではないだろうと思う。
自分だけにしかできない何か一つを持つよりも、自分は何一つできないことなどない。
そんな人間になりたかった。
個性なんてお断り。個性なんて背負えば他が潰れてしまう。なるべく平らで均されていて、でもそれぞれか程良く高い。
そんな優秀な人間になりたかった。なれると思っていた。
どんなことでも経験してみたかったし、どんなことでも知りたかった。
何も華やかなことや凄いことだけじゃない、苦しく汚らしく嫌らしい、そんな何もかもを体験していきたかった。
そして自分のそうした好奇心がいずれは自分を大きく立派な人物に成長させるのだと信じていた。
小学生も高学年になればあの頃に特有の万能感もだいぶ薄くなっていたけれど、この好奇心があれば自分は大丈夫。人とは違う。
そう思えた。
少なくとも僕は一握りの才能をもって生まれた人間ではないということに気づく。
物語にでてくるような何でもできるスーパーマンにはなれそうもない。
それでも没個性への志向と自分は好奇心が強いという核にブレはなかった。
けれど、実際のところそれは心の持ちようでしかなく、
好奇心が強く色々なことを経験したかったはずの僕は、何か行動を起こすというのにはいつも消極的だった。
歳を指折り数えられなくなった頃、世界は大きく広がった。
自分の手が届く範囲だけでも見落としてしまいそうなくらい小さなものから、すぐに目に付く大きなものまでたくさんの選択肢がある。
そのそれぞれから続く道は更に遠くどこまでも伸びてゆき、いくつもに枝分かれしている。
多くの友人が一番大きく太い道を、特別な何かを持った幾人かはそっと違う道へと逸れていく。
僕はというとあれもこれもと言っているうち、とうとう時間がなくなってしまいしぶしぶ皆と同じ道へ。
そうしてそんなことが何度か繰り返され、大きかった道もだんだんと狭まっていき、仲間も減っていく。
結局僕は目移りをしていただけだ。
寄り道することも、それらに触れることすらもなく綺麗に舗装され踏みならされたその道をまっ更な靴で歩いている。
気づけば大学4年生。
何にも挑戦することなく、もちろん何の実力もなく、周囲と自分を騙し騙し生きている。
あと半年。
これから待っている残りの人生は子供のころ憧れていた僕とは程遠く、思い描いていたものとはだいぶ違ったようだ。
本当にしたいことが、やってみたいことがたくさんあったのに。
何一つ手をつけることすらしてこなかった。できなかった。
決意を新たにし、覚悟を決めたのは10回や20回なんてものではない。
何百、何千回と心にリセットを掛け、道具や思い出を大切なきっかけに見立て、人に伝えることで退路を絶った。
しかし、それが行動に移ることはただの一度もなく、代わりに腰についた鎖だけが重みを増し、より立つことを困難にしていく。
自分は何かに挑むことが、何かを頑張ってみることが、それができない、そういう生来の特徴を備えた人種なのではないだろうか。
そんな風に考えるようになっていく。
でも、本当はそれでよかったのかもしれない。
挑戦しても、頑張ってみても、成功することなんて滅多にないのだ。
わざわざ敗北者になりたいの。どうせできっこない。
今の自分を、今までの自分を認めてあげようよ、自信を持とうよ。
そんなことを考えてしまう自分の心がどうしようもなく気持ち悪くて、自ら作った防護柵をがしがしと音を立て壊していく。
そうして残った自己嫌悪だけはしっかりとそこに根を張り、
自信や自己実現なんて成功に必要な好循環からは遠ざかる一方だ。
常に揺らぎを持って自分を定位置に留めていたくない。
理想はそうあったのに、口だけなら今でもはっきり言える。
でも、現実はほんとうに同じような毎日の繰り返しで、決まって同じ場所にぽつんと立つ自分がいる。
なぜここまで心と体で乖離できるのだろう。
こうして日々を過ごしていけば、嫌でも自分というものがわかってくる。
自分に何かの才能がないことを知った時よりも、自分にはスタートラインに立つ勇気さえないと気づいた時の方が何倍もショックだった。
思いが行動に繋がるにはほんとうにいくつもの壁がある。
周りの人間がひょいとその壁と軽々しく飛び越えていくのを見るたび、より壁が高くなったように感じられる。
こんな気持ちは学生にありがちなものとして、いつしか忘れることができるのだろう。
中二病というやつをこじらせてしまっただけなのかもしれない。
でもいつなのだろう。
これまでも幾度かあった。
心のなかで燻っていたものがいつの間にか消えているのに気づいてしまいそうになることが。
違う。まだなくなってはいない。
そんなように感じるだけだ。
でも、まだ確信ではないのだけれど。
それを確かめるのが怖い。
認めたくない。
そうしているうち少しだけ、ほんの少しだけ息を吹き返す。
それを感じ、まだ自分には願い想う心だけは残っているのだと、ほっと心底安心する。
でもいつか本当に消えてしまう日がくるのだろう。
いつなのだろう。
挑戦したいと思う気持ちまでもがきれいさっぱり消えてしまい、可能性すら失うのは。
ヒョードルが負けた。2000年に高阪に負けて以来、じつに10年ぶりの黒星だそうだ。その高阪戦だってファーストコンタクトで不運にも目の上を切ったヒョードルにドクターストップがかかったもので、負けたヒョードルはピンピンしていたし、高阪は済まなそうにリング上で頭を下げていた(このときの高阪の態度はじつに立派だった)。
昨日、ヒョードルは三角締めを取られたそうだ。柔道出身なのにストライカーとしても異能者だったヒョードルは、今までだって何度も三角に取られる展開を経験していたはずだ。相手を倒して前からマウントを取りに行けば、まず下の選手は三角を狙う。それを100%の確率で潰しきってきたヒョードルが、わずか1分かそこらで三角を取られたというのだから、やはり、ヒョードルのなかに変化というか、退化が訪れていたと考えるべきなのだろう。
ぼくはヒョードルと同い年だ。33歳という年齢は、若者というにはトウが立ちすぎているし、かといって立派な大人というには精神的にも銀行口座的にも決して豊かな蓄えがない、そんな感じの世代だ。いわゆる氷河期、76世代といわれるぼくたちの年代でもっとも有名なのはたぶん中田英寿だろう。ぼくは中田がペルージャでのデビュー戦でユーベ相手に衝撃的な2発を叩き込んだことをよく覚えているし、彼が旅人に転じたのを微妙な気分で眺めたりもした。
この10年、中田もぼくも、その程度の差はものすごいのは当然なのだが、いずれも挫折や苦悩を経験し、己の限界を知り、別の道を模索したりしてきたわけだ。ぼくはといえば、ようやく、なんとなく、今後の生きる道のようなものが見え始めてきている。
10年前、大きな挫折を経験したぼくは、その後3年くらいを無為に過ごした。心を殺して死んだ目でアルバイトに勤しみながら、いつ死のうか、とそんなことばかり考えていた。駅のプラットホームで思わず座り込んでしまったこともあったし、アルコール中毒寸前までいったこともあった。6畳風呂なしのアパートは荒れに荒れ、押入れのなかはネズミの死骸と糞でとんでもない悪臭を放った。
何度か訪れた再起のチャンスも、手を伸ばせばするりと抜け落ちていった。がんばって稼いだ金をかすめ取られたりもした。何もうまくいかなかった。そのたびに血が出るほど唇を噛んで、なぜだ、なぜだ、何が悪いんだ、そう自問自答を繰り返したが、巡ってきたチャンスが大きければ大きいほど、ぼくは深く傷つくだけだった。そんな日々のなかで、いつしかぼくは自分に期待することをやめた。人は希望さえ捨ててしまえば、二度と絶望に泣くことはないのだ。ぼくはそうして、生きることを選んだ。
20代の後半になったころ、ぼくは過去のいろいろなものを捨てて、新しい仕事に就いた。その会社のトップを仮想敵に見立てて、そいつらを打ち負かすことだけを考えて働いた。働けば働くほどそいつらは打ち負かされるどころか潤うわけだが、そいつらが「君が必要になった」という顔をする瞬間にだけ快感を求めて、その顔をひとしきり眺めては会社を変えた。今の会社のそいつはたいへんな強敵で、とうてい打ち負かすことなんてできそうもなく、ならばそいつに助けてもらおうと考えを変えた。考えを変えたら、時計の針がゆっくりと回り始めた。気が付けば、10年前にぼくを深く傷つけた場所が、違う立場で目の前に広がっている。
その10年、ヒョードルは勝ち続けてきたのだ。スポットライトの中で、勝者であり続けてきたのだ。そう考えたら、くらくらした。コンマ数秒、気を抜けば打ち負かされていたかもしれない。殺されていたかもしれない。そういう緊張感のなかで、ヒョードルは勝ち続けてきたのだ。
10年前、ぼくは特別な人になりたいと願っていた。その願いに目がくらみ、いつのまにか普通の人ですらなくなってしまっていた。それから普通の人を目指して、いまようやく、普通の人になれたという実感がある。
その10年を特別な人として過ごしたヒョードルは、今回の敗北で普通の「強い選手」のひとりになった。契約の関係で、少なくとももう1試合はリングに上がることが決まっているそうだ。これからもヒョードルは、勝ったり負けたりするのだろう。
本当に面白いのは、これからだぜ?
僭越ながら、そう言ってやりたい気分だ。
過剰にサービスを手厚くすることは己の首を絞める危険な行為である。
私がどのようにして判断を誤りそうになり、そしてどのようにして危ういところで軌道修正できたのかをここに書き残しておこうと思う。
「何か食べたい」
と言い出した。
一時間前に中途半端に食べて残しただろきちんと食べろということを幼児にわかりやすく教える時間がなかったので、
「時間ないからおにぎり作ってあげよう。自転車の後ろで食べなさい」
というと
「いやだ」
などと抜かす。
叱っている暇もないので苦し紛れに、
などと何の考えもなく息子の気に入りそうな単語とおにぎりをくっつけて提案すると、息子は大喜びで飛びついた。
「スペースシャトルおにぎり!スペースシャトルおにぎりがいい!」
息子が大喜びで出かける準備をしだしたのはいいが、何の考えもなく言い出したことなので、どんなおにぎりがスペースシャトルおにぎりなのか皆目検討もつかない。
一瞬頭に浮かんだのは、普通の三角おにぎりの両端を薄くして主翼のようにして、残った端っこの近くに楕円に切った海苔を張りコクピットとし、裏側には耐熱タイルを模した、おにぎりの形にぴったり合うように切った海苔を張った立派なスペースシャトルおにぎりだった。
しかし、そんな精巧なスペースシャトルおにぎりを作っていたのでは出発時間に間に合わない。
それに海苔がどこにあるのかわからない。妻に聞こうにも、妻は出勤時間が早いのでもういない。
仕方がないので、半ばやけくそでいつもの正三角形おにぎりを縦長につぶしたような鋭角の二等辺三角形を作り、その粗末な米の塊をスペースシャトルに見立てて息子の目の前で飛ばす真似をした。
「ぶおおおおお、ずどどどどどど、ヒューストン、ヒューストン応答せよ!」
息子は狂喜乱舞してスペースシャトルを追いかけ、うまく誘導されて自転車の後部座席に搭乗した。
本当に危ないところだった。
もし、息子のわがままが時間のあるうちに発動していたら、私は海苔の切り貼りを駆使した精巧なスペースシャトルおにぎりを作ってしまっていたかもしれない。そうしていたら、おそらく次からはどんなに時間がなくて切羽詰った状況でも、息子は精巧なスペースシャトルおにぎりしか食べないと駄々をこねるようになっていたに違いない。
子供だまし
こういう言葉をよく聞くが、私が実際に作ったスペースシャトルおにぎりは、間違いなく子供だましだった。
しかし、息子にしてみれば、そういう子供だましでも十分にスペースシャトルに見えるのであり、大人の視点で無駄に時間と労力を費やして精巧なモデルを作る必要はなかったのだ。
以上のようなことを興奮気味に妻に話したところ、
「そんなの、わがままいってる子は何もあげません!って叱って自転車乗せちゃえばいいんだよ」
と言われた。
確かにそのとおりだと思った。
811 : 797 :2010/05/01(土) 23:51:57 ID: YEtDfOXQGH
>ID: YEtDfOXQGHにとってリンチ潰しはテロ行為と同じなのかwwww
規模は違うよね、規模は。
どちらも己の信念に基づいている以上、どちらも確信犯と揶揄されても免れることはできないよ。
>お前の脳内にリンチ待ちの存在は無いのか。まぁ乱闘しない時点で論外だが
リンチ待ちなんて持ち出したらキリがないよ?なれ合い待ちだのネタ待ちだの持ち出して収拾付けられるの?
どんな場面でも原理主義ってのは扱いが難しい。
極端だね。もう少し考えよう。
ここで>>808の「おきらくは~」のことばがそっくり使える。
もうサービスを開始してしまったんだから、ゼロになるときはサービス停止までないと思っておいた方がいいよ。そこまで続けるってなら好きにすればいいけど、何だかなあ。
>乱闘部屋で崖待ちガン逃げハイエナしてる馴れ合いは乱闘も楽しんでるとは言わん
>何でそこで「乱闘嫌なら他のゲームすればいいじゃないか」という結論が出ないのか不思議でならない
他の目的で利用できる環境が整っているから、としか言いようがない。あえてそういう例えを持ち出すなら、
「IEとfirefoxをブラウザに使えるとき、俺はfirefox使うからIE厨も俺の使ってるものを使え」っていうのに近い。
もちろんこのブラウザの選択肢に、OperaやSafariがあるということは「俺」の中に含まれていない。ましてやレンダリングエンジンが複数あるLunascapeや、ブラウザを使い分けている人もいるだろう。でもそんなことなど知った事ではない、多数派の俺に逆らうな、というジャイアニズムが見えている。
そういう(選択に余裕のある)土壌が整ってしまっている以上、つまり何を選ぼうとユーザーの勝手でしかない。
だから俺はコマ抜けを選ぶ。なれ合いやりたい奴は好きにすればいい。そして君は潰すという選択をしたわけだけど、そこに善悪の観念を持ち出すのはどうなのかな、と思って>>797で聞いたんだけどね。
まあ、あとはループするだけだから特段話すこともないかな。
812 : ななしのよっしん :2010/05/02(日) 04:20:51 ID: S6v13hQLJ3
>同じ穴のムジナ
>>805も>>808も>>802を読んだ上でそう思ってんのか
テロリストのテロ行為に抵抗する奴もテロリストってか、わろすわろす
規模が違うだけで潰しとテロ行為が同じ事だと本気で思ってるとは恐れ入ったぜ
じゃあ犯罪者も信念さえ持って犯罪犯してりゃ警察と同類だなぁ。犯罪者格好良いねぇ
>リンチ待ちなんて持ち出したらキリがない
馴れ合い目的じゃなくリンチ目的の奴はどうなんだ、って意味で聞いたんだが
何で馴れ合い待ちやネタ待ちの話を持ち出す事になったんだ?あぁ、俺の扱いが難しいせいか
>極端だね
勝手に「持ちつ持たれつ」とか恩着せがましい事言ってたんで
馴れ合いいなくなったところで潰しは困らない、って意味で言ったんだがそんなに扱い難しいか
?扱いが難しかったのか?
ようするに自由と自分勝手をはき違えてるだけか。ジャイアニズム
馴れ合いをプレイヤーとしてカウントしてる時点ですでに間違いだけどな
その荒らしが勝手に市民権得たと勘違いした結果が>>797>>808
「馴れ合いリンチも一つの遊び方として認められてる!(だから馴れ合いリンチは正義)」
「お互いに自分を正義だと思ってる!(だからどっちもどっち)」
「潰しは自分のことを正義だと勘違いし、聖戦士を気取ってる!(だから潰しは痛くてダサい行為)」
813 : ななしのよっしん :2010/05/02(日) 04:29:22 ID: TSUguD6iOw
スマブラXのおきらく乱闘において「乱闘しない自由」は許されない。
そこを理解していないプレイヤーが多すぎる。
「乱闘する上での自由」キャラクター・ステージ・アイテムなどの設定の自由は許されるけど「乱闘しない自由」は認められない。これが理解できていればおきらくリンチなど起こるはずがないと思う。
ここからは自分の意見なんですが、いくら楽しいからといっても最低限のルールを守らないといけないと思う。リンチ行為が一般の利用者に迷惑を掛けるということをもっとこどもたちに教えるべきだと思う。
こどもたちは何が一般の人々から見て迷惑行為なのかということを理解できていない。むしろ動物的な本能で快楽だけを求めたら圧倒的優位に立って弱者をいたぶるリンチ行為に走るのは必然的な流れかもしれない。
だからこどもたちにゲームを買い与える親や発売元はちゃんと最低限のルールをゲームをプレイする前から教えてあげないといけないし、その義務があると思う。
それを怠るとこどもたちは心に一つの辞書しか持ってないから、他人の心には違う辞書があることを理解できず、おきらく乱闘=リンチ行為をする場所 という考えに至ってしまう。そういった考えを持ってしまったこどもたちにリンチ行為が一般の人から見たら認められないことだと気づかせるのは難しいし、むしろエスカレートしてリンチ行為のような迷惑行為を他のことでも平気でするような人間になっていく気がする。
もちろん周りの人が教えてあげるのも一つの手だけど、リンチしているこどもたちにはもう一度自分がしていることを正面から向き合って考えてもらいたい。長文すみませんでした。
814 : ななしのよっしん :2010/05/02(日) 04:45:25 ID: Oj1UnEr8E2
システム的に何でもできちゃうんだから、自分の望んだとおりに遊んでくれる相手と遊びたいんだったら、フレンドコード交換して対戦すりゃいいんじゃねーの?
815 : ななしのよっしん :2010/05/02(日) 05:17:44 ID: S6v13hQLJ3
そもそもID: YEtDfOXQGHはおきらくリンチの問題点を理解出来てない
初めてWi-Fi繋ぐ子は、おきらくの現状なんて当然知らない
何も知らずに大乱闘のノリで開幕攻撃すれば、3対1のリンチに遭う
そしてそいつらの正義と信念(笑)を許さずリンチを成立させないのが潰し
潰しをやる人の中には実際にリンチがトラウマになったプレイヤーもいるだろう
でも不特定多数が繋ぐおきらくは誰もがお気楽に繋げるところでなければならない
この二つの思想が「どっちも同じ正義」に見えるなら、もう何も言う事は無いな
にしてもわざわざ大勢の他のプレイヤーに迷惑をかけるおきらくじゃなく
他のゲームや>>814のいうようにフレンドでやりゃいいものを
何でそこで人に迷惑かける事を選ぶんだか・・・
人に迷惑かける事が正義?世間じゃ悪っていうんだよボケーッ!!
816 : ななしのよっしん :2010/05/02(日) 05:26:35 ID: Oj1UnEr8E2
小さい子供にネットゲーとかインターネットやらせる親にも問題があるとは思うけどね。
それに、普通に友達と一緒にオフラインで遊ぶ方が楽しいじゃん。
817 : 文盲(808) :2010/05/02(日) 07:43:03 ID: YsrXUpMpdr
お互いもう少し納得いくまで、もう少しだけ話して頂きたい
>同じ穴のムジナ~(テロ云々は関係無しで)
話がこじれてしまってますが、リンチは悪以外の何物でもないが、ニコニコのリンチ動画が次々とUPされ、更に各所で暴言を吐くのは「ちょっと違うんじゃないか?」という事では。
はたから見れば、挑発しあって煽りあって、大してやってることが変わらない って意味です。(あくまで、「潰し」の行為に限ります。)
>馴れ合いをプレイヤーとしてカウントしてる時点ですでに間違い
私も、ワイワイ乱闘がしたくておきらくに繋いでいるのでハッキリ言って馴れ合いは嫌いです。(開幕攻撃して何時もリンチされてます…)
でも数が多すぎる、その行為が正しい遊び方だと思っている。⇒だから、自分が"乱闘"したいなら、コマ抜けしたほうが早い…妥協案です;;
>小さい子供も~
意思表示が出来ないおきらくでは、悪意むき出しのプレイヤー(リンチだけに限らず)と接続されるのは避けられない問題ですからね。
悲しい事ですが、馴れ合い・リンチを楽しんでいる"小さい子供"も居るんですよね。(推測の域を出ませんが)
私が疑問なのは、「潰し」をしてリンチが減るのか?という事です。リンチ行為の成立には「潰し」が必要ですから"潰しを待っているリンチプレイヤー"も相当居ると思いますよ。
>「乱闘しない自由」は許されない
正にその通りだと思います。お互いマナーをわきまえないと、ネットゲームは成り立ちませんよね。
私もルールを理解していない人に ちゃんと伝えたいが為に動画を作ってます。
補足:808での書き方が悪かったのですが、自分が繋ぐ目的の為に好き勝手遊んで良い、という意味は文に含まれてません。
(乱闘・馴れ合い両方共楽しめるプレイヤーは少ない、という主張の引き合いに出しただけです…)
818 : ななしのよっしん :2010/05/02(日) 11:13:35 ID: /42do5WdbY
問題多すぎだよね、リンチ厨が居るおかげで。
1.リンチ厨はおきらくの「自由」と「自分勝手」をはき違えてる
2.下手すりゃ大人が子供を3人でボコボコにして精神的にいじめてる
とりあえず重要なのは1と3ね。2は下手すればだから
あ、潰されて反省した人は居るみたいだけど。
リンチが無くなったら潰し動画なんて一斉に消されるだろそりゃ。
こちらから言えばさっさと改心して乱闘して欲しい、乱闘派の人が暴言言ってるのはリンチ厨が間違った行為をしているからで、乱闘すれば叩かれる事もないし逆に褒められるっつーの
改心したら何にも言われないの、潰しなんてしなくていいから乱闘派になれ。
自分がされたらどう思うよ、何回繋ぎ直してもリンチされてばっかり。
何度入っても3人に狙われて撃墜されて挑発アピール。どう思うよ。
819 : ななしのよっしん :2010/05/02(日) 11:29:47 ID: Ay5ZIldgeK
>リンチ行為の成立には「潰し」が必要ですから"潰しを待っているリンチプレイヤー"も相当居ると思いますよ。
同感。正直言うと俺が以前そうだったから,他にも居るような気がする。
俺はリンチがしたかった。だから新しく入って来た一人側が馴れ合いだと困るわけだ。攻撃仕掛けてもほぼ抵抗して来ないからな。そういう時は抜けた。
潰しはありがたいよ。貴重な相手だ。
820 : ななしのよっしん :2010/05/02(日) 12:03:15 ID: AwtcwKfzTw
でっかい釣り針ありがとう
821 : 797 :2010/05/02(日) 16:06:22 ID: YEtDfOXQGH
スマブラXのおきらく乱闘において「乱闘しない自由」は許されない。
許容の問題ではないんだけど、「システム上できてしまうものを何か理由をつけて禁止にする」として、それを根本から達成させるためには「システムそのものを変えるしかない」わけです。
「自重しろ」と他者のモラルに頼ることで済んでいれば、こんなことにはなってないです。
今回はその自由が制度上許されてしまっていますが、おそらくその自由が認められなくなるときはサービス停止のときだと思うので、まあ現状が続けば潰しもリンチも持久戦になって互いに疲弊するだけでしょう。
後半はほぼ同意するところで、潰しではなく、親のような第三者からのことばというのは絶対に必要。
ただし、今回に限って言えば、任天堂がこうなる事態を予測できなかったとはとても思えない。あくまでフレンドがいない人のためのおきらくだったと思うのですが、実際の利用状況は想定とずれていたんじゃないか、と考えています。
まあ、この辺は任天堂しか知りようがないので、なんとも言えませんが。
長くなってしまうのでレスを分けようと思います。
822 : 797 :2010/05/02(日) 16:08:11 ID: YEtDfOXQGH
>小さい子にとっちゃ悪意むき出しのプレイはトラウマものだろう
うーん。まだ私の言いたいことが理解されていないようだからはっきり書くけど、
悪意というのは万人に共通の認識なのかな。
俺もなれ合いやリンチはゴキブリ程度のものとしか思っていないから、君とはそういう面で一致しているんだろうけどね。
でも、仮に悪意がどうだ、という主張がまかり通るなら、
「みんなで仲良くアピールしてただけなのに、KYな人がみんなをいっぱい叩いて悲しい」
とかいう、これまた主観バリバリで、しかも潰しを悪と捉えるかのような主張もまかり通るわけだ。
>この二つの思想が「どっちも同じ正義」に見えるなら、もう何も言う事は無いな
「よろしい、ならば戦争だ」と続きそうだけど、この程度の規模のいさかいなら互いに関わらないようにすれば十分収束するんだけどね。だから私はコマ抜けを推奨しているんだけど、もうここからは対話か圧力か、程度の違いしかないからとやかくは言わないよ。それはもう前に書いた。
どっちにもそれなりの言い分があるだろうから、それ以上の高い目線から物事を捉えていかないと収拾がつかない、だからもう少し考えたら、と>>815には書いている。少なくとも今の君は自分の正義に酔っているようにしか見えないよ。
最近、こういう事に関して似たような話題が多い感がある。東京都の「非実在少年」や大阪府の「有害図書」なんかはかなり今のおきらくを見る上で参考になりうるテーマだと思う。
是非とも>>815には一貫した立場(すなわち規制)を貫いて欲しいですね。
>他のゲームや>>814のいうようにフレンドでやりゃいいものを
これは、なれ合いしたい人が乱闘したい人にそっくりそのまま返せてしまう。ということは、これで解決にはならない。
解決にはならない、というのは、皆がフレンドに行く(おきらくをなくす)なら解決するが、俺はおきらくにいるからお前はフレンドに行けよ、というのは根本的な解決にはならない、ということだから、履き違えないでね。それはただの傲慢だから。
823 : 797 :2010/05/02(日) 16:11:23 ID: YEtDfOXQGH
なんというか、いろいろ代弁していただいて申し訳ない。
> 私が疑問なのは、「潰し」をしてリンチが減るのか?という事です。リンチ行為の成立には「潰し」が必要ですから"潰しを待っているリンチプレイヤー"も相当居ると思いますよ。
そこまで含めて「持ちつ持たれつ」と形容したつもりだったんですけど、>>815は理解してくれなかったのでちょっと残念。
これは昨日のニコ生での実名匿名問題とほぼ同じで、フレンド=実名(ハンドルネーム)、おきらく(匿名)という関係上、おきらくでは善悪問わずあらゆることがリスクゼロで行えます(試合開始後、特定の相手にダメージ受けたらすぐ落下を繰り返す、とか)
そういう清濁併せ呑むこと自体はネットの強みでもあるし、おきらくも環境上そういう仕組に「なってしまっている」のだから、それに納得が行かない、つまり自分にとってきれいなものだけ見ていたい、というのであれば、どんな目的だろうとフレンドに行ってそういう部屋を作れば万事解決のはず、なんです。
そうなんですよね、これ、たぶんいますよ。
「今日も上司に怒られた!!あのハゲ無能のクセにエラソーなことばっか言いやがって!!」
って、潰しにきた相手を「仮想上司」に見立てるとかね。口実はいくらでも作れてしまいますよ。
824 : 797 :2010/05/02(日) 16:13:44 ID: YEtDfOXQGH
1.リンチ厨はおきらくの「自由」と「自分勝手」をはき違えてる
これは、>>813へのレスそのままで。自分かってなことをするには自由でなければできるわけがないので、因果が逆かな?とは思いましたが。
マナーというのは道徳の問題だから、難しい。いかようにも解釈できるし、答えは存在しない。相手に迷惑をかけない、ということならおきらく廃止、全部フレンド、で解決するけども。今のネット社会でそういう方策はもはや手段の一つにしかなり得ないから、難しい。
そうなんですよね。実は今日朝1時半からだいたい朝3時まで同じメンバーでおきらく乱闘してたんですが、ステージはテンプレ通りに巡回したし、アイテムもいろいろ出てきて楽しめましたよ。たぶん勝ち越したかな?おかげで今すんごい眠いですけど。
潰しが成立する前提として「リンチ=悪、潰し=善」という勧善懲悪の構図が「絶対」でなければなりませんが、善悪というのは究極まで突き詰めても相対のものでしかなく、捉えようによっては善悪が入れ替わるなんてのは、十分あり得るわけで、だからこそ「善悪なんて曖昧なもんでモノを語るんじゃなくて、もっと大局的に観てみようぜ」と>>815に提案したのですが、納得してくれなかったのは残念。
825 : 797 :2010/05/02(日) 16:16:41 ID: YEtDfOXQGH
あ、>>824の最後の文は同じこと書いたなあ、と思って>>822には載っけなかったんだけど、うっかり全部コピペしてしまっただけなので、考慮しなくていいです。
826 : かびお :2010/05/02(日) 17:39:26 ID: mPX9LY+zIV
熱くなっているところ申し訳ないんですが、このゲームは乱闘するゲームですよね。
3対1で戦うのが乱闘なんですか?
827 : 某優しいフクナガ :2010/05/02(日) 18:00:07 ID: AwtcwKfzTw
797たんかわいいよおおおおおおおおおおおちゅっちゅしてあげるよおおおおおおなでなでしたいよおおおおおおおおおおおおお
828 : ◆Eefy7xkntE :2010/05/02(日) 18:06:09 ID: QLjcxhIDEQ
やめて!
829 : 某優しいフクナガ :2010/05/02(日) 18:06:37 ID: AwtcwKfzTw
さっきのは冗談です。本当は 俺797さんのこと好きになっちゃったけど・・・この気持ち・・・どう伝えたらいいか分かんないよ・・・・・・
830 : 某優しいフクナガ :2010/05/02(日) 18:07:51 ID: AwtcwKfzTw
797さんには恋人がいる。それは僕の親友だ。彼は当然僕が797さんのことが好きなことを知ったら・・・とても言えない
831 : ななしのよっしん :2010/05/02(日) 18:11:28 ID: lcNFs3AfHk
言いたいことは3行にまとめような とりあえず。
832 : 某優しいフクナガ :2010/05/02(日) 18:25:35 ID: AwtcwKfzTw
こうなったら797さんを無理やりにでも・・・!
833 : 797 :2010/05/02(日) 20:56:00 ID: YEtDfOXQGH
発狂しているのは一人ぐらいなものだから、のんびり>>808さんの書き込みでも待つことにしようかな。
話し言葉ならそれぐらい心がけるけど、あいにくキャッシュの残る書き言葉までそういうふうにするつもりはないかな。申し訳ない。
834 : 顔文字 :2010/05/02(日) 21:43:36 ID: c3B3KnRfle
797
とりあえず落ち着こうか
一応俺は貴方だけを叩くつもりは全くない、正直叩いてるほうも叩きたい、だが、戦力的に低いほうから始末したら早くおさまると思って。
まずこれの最後のリプレイを見て来て下さい、当然コメントは全部消して。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm10324765
で、叩いてる人た達
こんなところで叩いたって逆効果になることを理解してください。
これだから乱闘厨とか言われるのも大体はこれが原因です、自覚してください。
貴方達の望みはなんですか?リンチ厨をここで叩くのを望んでますか?違いますよね、乱闘するのが望みですよね。
いや、俺は叩くのが望みだ、という人も怒らないから正直に答えてください、何が望みですか?
835 : ななしのよっしん :2010/05/02(日) 22:31:26 ID: WyTYK+HTAB
突然会話に割り込みさせてもらうけどすくなくとも俺は好きでリンチ潰しはしていません。
1 乱闘したいから全員に攻撃する
2 馴れ合い側がそれに反応して勝手に仲間をつくりこっちを敵視する
3 いつの間にか3対1のリンチ状態になる
4 こっちからすれば乱闘部屋は全員敵なので仕方なく3人まとめて相手をする
5 コマ抜けするとCPUになったと気づかずにCPUをボコってリンチ厨が喜ぶのでなるべくコマ抜けはしない
こういう人って結構いるんじゃないんでしょうか?
リンチ潰し自体を楽しむということを目的としている人なんていないと信じたいです。
長文失礼
836 : ななしのよっしん :2010/05/02(日) 22:37:16 ID: 0YUfKXGk4Y
>ほんわかレス推奨です!
お前らこれが読めないのかと
837 : ななしのよっしん :2010/05/03(月) 11:48:10 ID: CL+lhqMSSE
まともな対戦動画がリンチ動画に比べると再生回数が伸び悩んでると思った。
知名度のあるタイマン動画は比較的伸びてるけども、それでもリンチ潰し動画以下の再生数も多い。
838 : ななしのよっしん :2010/05/03(月) 18:22:57 ID: 4A9Lppar/4
チームに入っても馴れ合ってる奴らはゲームしてないで寝ろw
839 : ななしのよっしん :2010/05/03(月) 19:38:39 ID: h0obi28aFb
>>837 それだけリンチを憎んでる人が多いんじゃないの。
リンチ潰しが歪んだ趣味とは思ってた。でも見るのはおもしろいんだよな・・・
ああいう間抜けプレイを見たくてつないでる人はいそう。
「潰してもリンチは減らない」として、「ここの人が相手をしなくてもリンチは減らない」。
リンチ潰しをよしとしない連中はどうやっても諦めない。それってどうしようもない。
結局どう対処してもいいんじゃないか?遭遇したら抜けても戦ってもいいんじゃない?
他がどう言ってこようと。悪はリンチ側だがな!乱闘するゲームだから。
840 : ななしのよっしん :2010/05/03(月) 20:04:26 ID: CL+lhqMSSE
「メイドいんジャパン」からぶっこ抜いた構造(http://anond.hatelabo.jp/20100328131122#tb)に、この前映画館で見た、『誰かが私にキスをした』から連想したものをぶち込んだらこうなった。男一人で恋愛映画を見に行くのは正直キツかった。不自然なところをこれから直していっている途中なんだけど、無理がでてきた。出てきた無理を直していく作業に苦労している。「どんな言葉をぶちこむのが適当か」を判断するもの(思考ツール?)を用意しないまま思いつくままに言葉をぶち込んだのが敗因か。ぶち込まれる空欄(=以前に増田に貼り付けたもの(http://anond.hatelabo.jp/20100328131122#tb)のアルファベット)間の関連性をもっと意識すべきだった。というか、それさえ意識すれば何とかなるんじゃないだろうか。というか、それを意識して、いま思いついているものをぶち込みなおしたら、すんなり物語の形になるのではないだろうか? アルファベット間の関連性について今週の土曜日までに考えてみる。ぶちこみ直しの作業は土曜日に始めて土曜日に終わらせる。
・
神酒薫(ミキ カオリ)が視点浮動者として存在する。高校二年生の女子。視点浮動者は、自分がどの視点から物事を見るか、どの記憶から物事をデコードするかを決められないでいる。
視点を決定すると、通常ならば、その視点向けのコマーシャル(=企業が配給する良質のドラマ)を見ることができるのだが、県から支給されたモバイルを使っている神酒薫は、コマーシャルを見ることができない。だから、視点を決定するインセンティブがない。
モバイルによる拡張現実は、学校での授業に必要になる。モバイルから発せられる電界が、それを身につけている者のコンタクトレンズや眼鏡に像を映す。神酒薫の父親は特別に教育に厳しい人なので、薫に個人向けのモバイルを買ってくれない。
神酒薫は他人からの視点を気にせずに生きることを求める。タイムラインに、他人が発言した自分の振るまいが蓄積されるので、自分の振るまいが正しいかどうかがひどく気になる。視点を決定している人たちは、自分の視界内の発言しか見る余裕がないので、他人の視点というものを気にしない。というか、視点を決定すると、カーソルの初期位置から一番近いのが返信欄になり、それから遠く離れたところに検索欄が移動するので、他人を検索すると言うことが少なくなる
神酒には、勉強ばかりしているというイメージが、他者のタイムラインの中では固定化されている。高校一年の学校祭の準備のとき、神酒はキキに励まされながら土砂降りの雨の中を自転車で木材を運んだ。それをきっかけに、ポジティブでアクティブな自分に変われそうな気がした。しかし、学校に戻ると、
「このときの神酒さんとイメージが変わった」
と、クラスメートに過去のタイムラインを見せられる。クラスメートは肯定的な意味合いでそれを言ったのだが、神酒はとても恥ずかしくなる。もう、自分のイメージからはずれた行動はしないようにしようと決めた。
視点を決定しなければならないという切迫感が存在する。
神酒薫は視点を決定しなければならないという切迫感を取り除くことを求める。
電子アシスタントが存在する。電子アシスタントはキキを含む。キキは、白いウォンバット。常に神酒の近くを付いてまわり、神酒を常に必要としてくれる。
電子アシスタントは、その所有者が設定したように、その所有者を誉めたり注意したりしてくれる。モバイルに勝手にソフトをインストールすることを父は怒るのではないかと神酒は思ったが、キキの機能を見て、彼はキキを気に入る。
キキを持っていることで、神酒薫は視点浮動者であることを隠す。電子デバイスに興味があるんだというフリができる。
津島修一は、神酒と同じ中学校・同じクラスだった男子。神酒薫にキキをくれたのは、津島修一だった。
津島は、男子からはハナコと呼ばれていた。というか、誰かに対して陰口で使っているハナコという呼び名を、津島に当てはめると、無矛盾なのだった。だから、津島=ハナコは憶測。
ハナコの良いところは顔だけ。ハナコは男なのに生理がある(精神が安定していない)。ハナコは……。
ハナコがハナコと呼ばれるようになったのは、ハナコが男子トイレの個室で泣きながら、ボールペンの先端を彼の腕にぶつぶつと刺していたから。
卒業式に、津島修一に呼び出される。呼び出されたその瞬間まで、会話をしたことは一度としてなかった。卒業式の日に、神酒薫を好きだと言って、その贈り物だとしてキキをくれた。津島修一が勝手に、神酒薫のモバイルにインストールしてしまったので、神酒薫はキキをアンインストールする方法を知らない。それに、日本語を喋る存在をアンインストールすることは、殺しと同じことに思えてしまい、できない。
「ヒメ! ヒメ!」と、キキは神酒の足にすり寄る。
「うざかったら、ワンス・ア・ウィークって言えば、彼はしばらく動きを止める。週に一回くらい、電子アシスタントですらうざくなるときがあるでしょう?」と、津島は言う。「今日の夜八時に、キキが指定する場所に来て」とも。
そのとき神酒は、「うん、行く」と答えてしまう。
神酒は、クラスの中核をなす声の大きい集団からはジミーズと呼ばれていた。仕返しに、神酒は心の中で、声の大きい集団を、彼らの化粧のけばけばしさを由来にケバブと呼んでいた。ジミーズはジミーズなりに地味な人同士で集まっていたので、ケバブが思っているように友達がいないわけではない。卒業式の帰り、仲の良かった友達とカラオケに行く。神酒の視界の中には、まだその存在になれられないキキがいた。キキは、友達に見えないようにしてあった。
カラオケからの帰り道、道の関係で一人になった。信号待ちをしていると、ラブホテルが横断歩道を隔てた向かいに建っている。
ラブホテルの裏道から、高校生のカップルが、自転車の二人乗りをしてでてくる。
ラブホテルの電光掲示が目に入る。
『まだまだ寒い夜 あつあつのラーメンを! プレミア価格5○○円(会員様)』
「ラーメンって、おいしい?」キキが訊いてくる。
「ワンス・ア・ウィーク」キキを黙らせる。
給食で食べたソフト麺のベチャベチャした味が、舌の上で思い出された。その味をかき消すために、津島からもらった連絡先のメモを、小さく、小さく畳んで、制服のスカートのポケットに入れた。ポケットに紙を入れたまま、洗濯機にスカートを入れ、スイッチを押した。
キキがしゃべり始めるたびに、「ワンス・ア・ウィーク」をした。そして約束の八時が過ぎ去るのを待った。
津島のタイムラインの卒業式前後のものを見ないようにしようと決めた。見ないために、神酒は視点浮動者になることを選んだのだ。
自分に自信を持てていない神酒薫は、彼からの告白を何かの悪いいたずらだと思い、津島修一とは連絡を取っていない。しかし、津島修一と神酒薫は同じ高校に通っているのだ。ときどき廊下ですれ違うと、気まずい。
ほかの人は、タイムライン上に友人との約束を記憶させる。神酒はキキに約束を覚えさせる。どちらも、モバイルを使って約束を管理しているので、他者は神酒がすでに視点を決定しているのだと勘違いしている。
神酒薫は、他人のタイムラインに自分がどう記録されているかを気にすることを取り除きたい。
電子アシスタントは他人のTL上の自分を気にすることを取り除く手段になるように見受けられる。神酒はキキに、神酒が他人のTLを気にしたらキキが神酒を注意するようにコマンドする。
神酒薫が他人のTL上の自分を気にすることを取り除くことは失敗する。キキの注意が煩わしくて、神酒はイヤフォンと眼鏡を外してしまう。ワンス・ワ・ウィークしなかったのは、キキに自分を注意するようにコマンドしたのに、注意を理由にキキを黙らせるのはかわいそうだと思ったから。
友人との会話:「モバイルを忘れたら、記憶が不確かになって約束の1日前に待ち合わせの場所にいることになって、困った」
イヤフォンも眼鏡もつけずに図書室に行く。
そこには、一人の女性がいる。上靴のいろは赤なので、一つ学年が上の三年生の先輩。神酒が一年生のころ、彼女は貸し出しカウンターの内側にいたことを神酒は覚えている。彼女のノートには、たくさんの三角形が書かれている。また、たくさんの三角形が書かれているページの反対のページには、三角関数表がセロハンテープで貼り付けられている。
図書室の端に行くと、先輩が突然、「私のアシスタントを動かさないで」と言う。神酒はあわてて、拡張現実を身につける。
キキがしきりに神酒の足下で、「ヒメあぶない! ヒメあぶない!」と言っていた。先輩のアシスタントは、天使の羽。神酒がぶつかった勢いで、空中を漂っていた。
五時間目の授業から、モバイルをオープンにしたままだったことを思い出す。(授業中はオーソリティが先生に移るため、電子アシスタントはオフになる。)
「痛い男が、彼女を呼ぶみたい」と先輩は言う。「彼氏からプレゼントされたの?」
神酒は、終わった、と思った。誰か男にキキをプレゼントされたとタイムライン上に記憶されたら、全てが終わってしまう、と神酒は思う。
神酒は先輩のタイムラインを展開しようとする。彼女が、伊庭瑠璃という名前の三年生であることが表示される。偶数組だから、文系クラスだとわかる。ローディングを示す輪がくるくるまわり続けるだけで、タイムラインが表示されない。
「私の知ってる男も、彼女をヒメって呼んでいて、痛々しい」と伊庭は言う。
「彼氏からもらったわけじゃなく!」と神酒。
「ヒメ! ヒメ!」とキキ。
「キキ! ワンス・ア・ウィーク(黙れ)!」
キキはぴたっと止まる。
「え」
「だって、ワンス・ア・ウィークって、シュウイチってことでしょ?」
「そうだったのか!」
キキをもらってから二年間、ずっと気づかなかった!
納得したことで、もう隠しようがないことに気づき、神酒は硬直する。
「いや、でも、気のせいかもしれない。津島修一なんて人が私の知り合いにいたかは、タイムラインを確認してみないとわからないな……」と、苦しいとりつくろいをする。
伊庭は、ふっと笑いを漏らす。
「そういえば、私の知り合いに津島なんていないかもしれない。私はタイムラインを持ってないから、確かめようがないや。名前なんて忘れちゃった」
「伊庭先輩は、視点浮動者なんですか?」
伊庭はうなずく。「私とあなたの間には、一年の学年の違いが横たわっている。だから、私は視点浮動者というよりも、視点を持たないものと言った方が正しいかもしれない。県が私に貸し出したモバイルは、タイムラインを見る機能を持たない」
「伊庭先輩の親も、個人用のモバイルを持つことに反対なんですか?」
「ううん。中学受験のために塾に通わされたときに、安全のためのモバイルは持たされた。私は親に反発して、モバイルを川に投げ捨て、塾にも行かなかった。それ以来、親は私にモバイルを与えようとしない。そして中学受験をしなかったから、私はいま、公立高校であるこの学校にいる」
図書館で話していても大丈夫か、すごく気になる。遠くで、溶けた雪がどさっと落ちる音が聞こえたから。それに、伊庭のアシスタントがあまりに寡黙だから。しかし、三月の土曜登校日の放課後なので、二人のほかに誰もいない。
「私は前の図書局局長だから、私がルールみたいなものだ。大丈夫」と伊庭は言う。「私と貴方の関係は、少し長いものになると思う。私が名前を忘れた誰かのせいで。貴方の呼び方を決めていい?」
先輩は手を振る。視界上に、私の情報を展開したのだと思う。
「神酒さんって呼ぶのは、距離が遠くて好かないな」
「呼び捨てで、いいですよ」
「呼び捨てと、さん付けの間をとって、ミキクンっていうのはどうかな」言った伊庭先輩が、ひとりで笑う。「変だな」
「慣れれば、慣れますよ」
伊庭先輩は、ミキクン、と十回繰り返した。「やっぱり、変だよ」自分が言い出したのに、くすくすと笑っていた。
「土曜登校日の放課後に図書館でなにをしてたんですか?」と神酒。
「私の彼氏ーー名前は忘れちゃったーーは、一つ下の学年にいるんだけどーーつまりミキクンとおなじ学年なんだけどーーその、名前を忘れちゃった彼氏は、精神的に不安定なところがある。だから図書館にいる」
「彼氏さんとの関係に、疲れてしまったの?」と神酒。
「ううん。疲れていないから、ここにいる。臨戦待機中」
「それと、その三角形とどういう関係が?」
「ただ待っているだけだと、頭が暇になる。かといって、彼から連絡があったときに何かに没頭していると、すぐには動けない。だから、私と私のアシスタントと彼のアシスタントを三角形の頂点に見立てて、彼のアシスタントと私との間の距離を求めていた。彼のアシスタントは、彼の近くにいるから。彼を意識しながら、頭に作業をさせることができるから。そして彼が「死にたい」って言ったら、すぐにでも私は駆け出す。死にたい気分を、逸らしに行く」
「死にたい気分って、そんなに簡単にそらせられるものなんですか」
「なんたって私は、彼より一年年上のお姉さんだから」
「どうやって?」
「その」伊庭は、一瞬迷う。「一緒にラーメン食べに行こう、とか」
「へ!?」
「え……」
「……」
「……」
給食のソフト麺のべちゃべちゃした味を神酒は舌の上で思い出す。二人の間にすごく微妙な空気が流れる。訊いたことを、神酒はすごく後悔する。
伊庭先輩は、タイムラインを持たないので、神酒は、自分がタイムライン上でどういうキャラクターであるかを気にせずに、勇気を持った行動をできる。津島と伊庭先輩を引き離そうと決める。伊庭先輩のために。
「伊庭先輩が津島くんを支えようとすることは、よいことだとは思わない。きっと、彼の負の力に引きずられてしまう。彼の行動をタイムラインに記憶してる友達を、何人か紹介するよ。それを見たら、伊庭先輩はきっと津島くんから離れようと決心してくれる」
「私はタイムラインを持たないから、複数の他者の発言を根拠に、いますでに読みとっている彼からの愛の意味を変更することはできない。それに、彼の愛から読みとった意味は、私の内部にある。タイムライン上の外部化された記憶のように、消しされるものではない。そして私は、私がもう津島を助けられないという言葉を私のタイムライン上に蓄積することができないので、津島を助け続けなければならない」
デスクトップから書き込んだタイムラインはないかと、伊庭瑠璃の名前で検索する。伊庭瑠璃から見える津島を知りたかった。しかし、伊庭瑠璃はデスクトップ上のタイムラインも所有していない。
検索ワード「図書局局長」でサーチをかける。彼女についての噂を書いているタイムラインが、いくつかある。図書室だより、生徒会だより、男性からの、そして女性からの、あこがれのまなざし。「どうしてハナコが、図書局局長と付き合っているんだ」という、いらだちの声。図書局局長は、自分の身を削って他者に尽くす、素晴らしい人間だということになっている。「八方美人だ」と言って、彼女を攻撃する人間にすらも。
視点浮動者である神酒薫は、津島修一のタイムラインを見ることができる。見ないと決めたものを見ていることに、罪悪感がある。しかし、彼女が見ないと決めたものは卒業式前後の記憶だったので、決めたことをやぶっていることにはならないのだ(と、神酒は自分をだます)。
津島修一は精神が不安定なので、膨大な数の書き込みがタイムライン上に堆積している。津島修一は過度に記憶を外部化している。それを読む限りでは、津島修一は伊庭瑠璃からの自立を求めているらしい。伊庭に依存してばかりいる自分の弱々しさを嫌っているらしい。
津島はタイムライン上で、他人の反応を待ち続ける。しかし、他人がこない。反応がくるまで、じっとうずくまる。しかし、どれだけ待ってもこない。死にたい気分になる。その気持ちを消したいがために、他人の反応を待ち続ける……。他人の気持ちを引くために、自虐を繰り返す。そして、自傷をする。アップロードされた自傷画像には、ハナコがそうしていたのと同じ、ボールペンを腕に突き刺したものもあった。傷が治癒していく経時変化もアップロードされている。「そういうことをやめろ」という声が、彼には心地よい。しかし、心地よいのだが、しかられたダメージはしっかりと受けている。スパイラルは、次第に破滅的な方向へと落ちていく……。
津島の頭の中では、津島のタイムライン上に書き込まれた、伊庭瑠璃からの「愛してる」がリフレインしている。だから、伊庭瑠璃から離れることができずにいる。「愛してるから、なんでもできる」と伊庭瑠璃が過去において言ったことを口実に、津島は伊庭に依存している。いや、その言葉を自分に言い聞かせることで、伊庭が自分をいやしてくれるという現実から、抜け出さなくてもいいのだと自分をだましている……。
伊庭の都合の良さは、まるで電子アシスタントみたいだ。そして電子アシスタント的な伊庭に依存している津島の生き方は、独りよがりで弱々しくて、気持ち悪い、と神酒は思う。
「伊庭が記憶を外部化していないことを理由に、津島の記憶の外部化をやめさせられるのでは。ペアルック的な感覚で」と神酒は思う。
津島の神酒との思い出が存在する。神酒は津島のタイムラインを遡行していると、自分のことについては外部化されていないことに気づく。
廊下の端。普段なら、カップルがそこにいるような場所。そこで神酒と伊庭は待ち合わせる。
伊庭は、天使の羽を背中につけて待っている。それは、伊庭の茶目っ気でもある。伊庭のねらい通り、それをしている伊庭を神酒はかわいいと思う。伊庭のアシスタントが天使ではなく天使の羽なのは、伊庭は天使ではなく天使になることを求めているから。
人が少ない場所。伊庭はタイムラインを、モバイルではなくデスクトップ上でしか見られない。伊庭と神酒の二人で津島について話をするため、電界通信をオープンにして、伊庭と神酒は手をつなぐ。二人の拡張現実が共有される。
「伊庭の都合の良さは、まるで電子アシスタントみたいだ。そして電子アシスタント的な伊庭に依存している津島の生き方は、独りよがりで弱々しくて、気持ち悪い」と神酒は言う。伊庭は表情変えずに、「そうね」と言った。
「伊庭が記憶を外部化していないことは津島修一が津島の記憶の外部化を取り除く手段に、きっとなるよ」と、神酒は伊庭に言う。「だって、たとえば、私に告白したことを津島くんはタイムラインに載せていない。全ての記憶をタイムラインにゆだねているわけではない」
津島が、二人のいる廊下の端に現れる。三角測量で、伊庭の位置を知っていたのだ。文系の伊庭が三角測量で津島の居場所を求めていたのは津島の影響をうけていたからだったのだ。
津島が現れたとき、伊庭はびくりとして、手を引く。
「大丈夫だよ」
神酒は伊庭の手を押さえる。
知らない、大人の女性の声が聞こえる。
「他者のために尽くす貴方は素晴らしいわ……」
声のするほうを見ると、伊庭のアシスタントがいた。
伊庭は、彼女の電子アシスタントの声を聞かせたくなかった。だから、彼女の電界をクローズドにしたかった。しかし、神酒が手を押さえたために、それができなかったのだ。
津島の三角測量は、伊庭のとは比べものにならないほど優れている。伊庭が緊張のためにかすかに肩を膨らませると、津島の三角測量の、小数点以下の数字の変動としてインディケートされる。
「君たちは、僕について語っているのだろう?」と津島。「君たちは、悪である僕について語る。そうして、善であることを偽装したいんだ。そうだろう? 二人で語るだけで、実際には善の振る舞いをしないにも関わらず。僕は来てやったよ。善をなし得ない、君たちふたりの為に。どうだ、潔いだろう」
(ここから)
津島が、タイムラインに載せていない記憶を持っていることは、津島がタイムラインに依存していることを取り除き得ない。高校時代における津島の精神の脆弱さのきっかけは、ほかならぬ、神酒による津島の拒絶だったのだ。津島がタイムラインに依存しているのは、タイムラインに載せることのできない記憶が存在しているからこそなのだった。神酒が津島を振ったトラウマは伊庭瑠璃が津島修一からの自由を得ることを阻む。
時間の一回性(=神酒が津島との約束をやぶったこと)は、神酒薫が神酒が津島を振ったトラウマを取り除くことを阻む。
神酒は、津島を振ったことを謝ろうとする。
津島は、神酒がどれだけひどいことをしたかを伊庭に語る。タイムラインを持たない伊庭は、津島視点の神酒の行為を、疑わずに信じてしまう。
「貴方は、津島にそんなひどいことをしたの? 見損なう」と、伊庭は神酒に言う。
「まって。津島くんは、私を好きだったんじゃなかったの?」と神酒は言う。
「津島くんは、私を好きだったんじゃなかったの?」という神酒薫の発言は神酒薫が神酒が津島を振ったトラウマを取り除くことを助ける。
神酒薫は時間の一回性を取り除くことを求める。
「愛してる」ではどうにもならないことが存在する。
「愛してる」ではどうにもならないことは神酒薫が時間の一回性を取り除くことの手段となる。
「おまえの視点は確定的じゃなかったのか」と、津島は神酒に対して言う。
天使の翼が「愛してる」ではどうにもならないことを取り除くことを求める。
「おまえの視点は確定的じゃなかったのか」は天使の翼が「愛してる」ではどうにもならないことを取り除く手段となる
天使の翼が「愛してる」ではどうにもならないことを取り除くことは成功する。
「私のアシスタントの声を聞かれて恥ずかしい」と伊庭は言う。
「アシスタントに誉めてもらうなんて、みんなやってること。恥ずかしくないよ」と神酒。
「恥ずかしいよ! 恥ずかしくて、弱々しくて、気持ち悪い! アシスタントに頼っていないと自分を保てないなんて、一人の独立した人間として恥ずかしい! しかも、そんな恥ずかしい生き方は、私のアシスタントが求める生き方じゃない!」
電子アシスタントは、神酒薫が時間の一回性を取り除く手段になる。
電子アシスタントに含まれるキキは、天使の翼が電子アシスタントを取り除く手段になる。
伊庭瑠璃は、「神酒薫が他人からの視点を気にせずに生きることを得たこと」を求める。(どこかで神酒が、他人からの視点をとても気にして生きている描写が必要になる。そしてそれを伊庭が見たという描写も。)
「津島くんは、私を好きだったんじゃなかったの?」という神酒薫の発言は、伊庭瑠璃が「神酒薫が他人からの視点を気にせずに生きることを得たこと」を得ることを阻む。
「メイドいんジャパン」からぶっこ抜いた構造に、この前映画館で見た、「誰かが私にキスをした」から連想したものをぶち込んだらこうなった。不自然なところをこれから直していっている途中なんだけど、無理がでてきた。
神酒薫(ミキ カオリ)が視点浮動者として存在する。高校二年生の女子。視点浮動者は、自分がどの視点から物事を見るか、どの記憶から物事をデコードするかを決められないでいる。
視点を決定すると、通常ならば、その視点向けのコマーシャル(=企業が配給する良質のドラマ)を見ることができるのだが、県から支給されたモバイルを使っている神酒薫は、コマーシャルを見ることができない。だから、視点を決定するインセンティブがない。
モバイルによる拡張現実は、学校での授業に必要になる。モバイルから発せられる電界が、それを身につけている者のコンタクトレンズや眼鏡に像を映す。神酒薫の父親は特別に教育に厳しい人なので、薫に個人向けのモバイルを買ってくれない。
神酒薫は他人からの視点を気にせずに生きることを求める。タイムラインに、他人が発言した自分の振るまいが蓄積されるので、自分の振るまいが正しいかどうかがひどく気になる。視点を決定している人たちは、自分の視界内の発言しか見る余裕がないので、他人の視点というものを気にしない。というか、視点を決定すると、カーソルの初期位置から一番近いのが返信欄になり、それから遠く離れたところに検索欄が移動するので、他人を検索すると言うことが少なくなる
神酒には、勉強ばかりしているというイメージが、他者のタイムラインの中では固定化されている。高校一年の学校祭の準備のとき、神酒はキキに励まされながら土砂降りの雨の中を自転車で木材を運んだ。それをきっかけに、ポジティブでアクティブな自分に変われそうな気がした。しかし、学校に戻ると、
「このときの神酒さんとイメージが変わった」
と、クラスメートに過去のタイムラインを見せられる。クラスメートは肯定的な意味合いでそれを言ったのだが、神酒はとても恥ずかしくなる。もう、自分のイメージからはずれた行動はしないようにしようと決めた。
視点を決定しなければならないという切迫感が存在する。
神酒薫は視点を決定しなければならないという切迫感を取り除くことを求める。
電子アシスタントが存在する。電子アシスタントはキキを含む。キキは、白いウォンバット。常に神酒の近くを付いてまわり、神酒を常に必要としてくれる。
電子アシスタントは、その所有者が設定したように、その所有者を誉めたり注意したりしてくれる。モバイルに勝手にソフトをインストールすることを父は怒るのではないかと神酒は思ったが、キキの機能を見て、彼はキキを気に入る。
キキを持っていることで、神酒薫は視点浮動者であることを隠す。電子デバイスに興味があるんだというフリができる。
津島修一は、神酒と同じ中学校・同じクラスだった男子。神酒薫にキキをくれたのは、津島修一だった。
津島は、男子からはハナコと呼ばれていた。というか、誰かに対して陰口で使っているハナコという呼び名を、津島に当てはめると、無矛盾なのだった。だから、津島=ハナコは憶測。
ハナコの良いところは顔だけ。ハナコは男なのに生理がある(精神が安定していない)。ハナコは……。
ハナコがハナコと呼ばれるようになったのは、ハナコが男子トイレの個室で泣きながら、ボールペンの先端を彼の腕にぶつぶつと刺していたから。
卒業式に、津島修一に呼び出される。呼び出されたその瞬間まで、会話をしたことは一度としてなかった。卒業式の日に、神酒薫を好きだと言って、その贈り物だとしてキキをくれた。津島修一が勝手に、神酒薫のモバイルにインストールしてしまったので、神酒薫はキキをアンインストールする方法を知らない。それに、日本語を喋る存在をアンインストールすることは、殺しと同じことに思えてしまい、できない。
「ヒメ! ヒメ!」と、キキは神酒の足にすり寄る。
「うざかったら、ワンス・ア・ウィークって言えば、彼はしばらく動きを止める。週に一回くらい、電子アシスタントですらうざくなるときがあるでしょう?」と、津島は言う。
神酒は、クラスの中核をなす声の大きい集団からはジミーズと呼ばれていた。仕返しに、神酒は心の中で、声の大きい集団を、彼らの化粧のけばけばしさを由来にケバブと呼んでいた。ジミーズはジミーズなりに地味な人同士で集まっていたので、ケバブが思っているように友達がいないわけではない。卒業式の帰り、仲の良かった友達とカラオケに行く。神酒の視界の中には、まだその存在になれられないキキがいた。キキは、友達に見えないようにしてあった。
カラオケからの帰り道、道の関係で一人になった。信号待ちをしていると、ラブホテルが横断歩道を隔てた向かいに建っている。
ラブホテルの裏道から、高校生のカップルが、自転車の二人乗りをしてでてくる。
ラブホテルの電光掲示が目に入る。
『まだまだ寒い夜 あつあつのラーメンを! プレミア価格5○○円(会員様)』
「ラーメンって、おいしい?」キキが訊いてくる。
「ワンス・ア・ウィーク」キキを黙らせる。
給食で食べたソフト麺のベチャベチャした味が、舌の上で思い出された。その味をかき消すために、津島からもらった連絡先のメモを、小さく、小さく畳んで、制服のスカートのポケットに入れた。ポケットに紙を入れたまま、洗濯機にスカートを入れ、スイッチを押した。
津島のタイムラインの卒業式前後のものを見ないようにしようと決めた。見ないために、神酒は視点浮動者になることを選んだのだ。
自分に自信を持てていない神酒薫は、彼からの告白を何かの悪いいたずらだと思い、津島修一とは連絡を取っていない。しかし、津島修一と神酒薫は同じ高校に通っているのだ。ときどき廊下ですれ違うと、気まずい。
ほかの人は、タイムライン上に友人との約束を記憶させる。神酒はキキに約束を覚えさせる。どちらも、モバイルを使って約束を管理しているので、他者は神酒がすでに視点を決定しているのだと勘違いしている。
神酒薫は、他人のタイムラインに自分がどう記録されているかを気にすることを取り除きたい。
電子アシスタントは他人のTL上の自分を気にすることを取り除く手段になるように見受けられる。神酒はキキに、神酒が他人のTLを気にしたらキキが神酒を注意するようにコマンドする。
神酒薫が他人のTL上の自分を気にすることを取り除くことは失敗する。キキの注意が煩わしくて、神酒はイヤフォンと眼鏡を外してしまう。ワンス・ワ・ウィークしなかったのは、キキに自分を注意するようにコマンドしたのに、注意を理由にキキを黙らせるのはかわいそうだと思ったから。
友人との会話:「モバイルを忘れたら、記憶が不確かになって約束の1日前に待ち合わせの場所にいることになって、困った」
イヤフォンも眼鏡もつけずに図書室に行く。
そこには、一人の女性がいる。上靴のいろは赤なので、一つ学年が上の三年生の先輩。神酒が一年生のころ、彼女は貸し出しカウンターの内側にいたことを神酒は覚えている。彼女のノートには、たくさんの三角形が書かれている。また、たくさんの三角形が書かれているページの反対のページには、三角関数表がセロハンテープで貼り付けられている。
図書室の端に行くと、先輩が突然、「私のアシスタントを動かさないで」と言う。神酒はあわてて、拡張現実を身につける。
キキがしきりに神酒の足下で、「ヒメあぶない! ヒメあぶない!」と言っていた。先輩のアシスタントは、天使の羽。神酒がぶつかった勢いで、空中を漂っていた。
五時間目の授業から、モバイルをオープンにしたままだったことを思い出す。(授業中はオーソリティが先生に移るため、電子アシスタントはオフになる。)
「痛い男が、彼女を呼ぶみたい」と先輩は言う。「彼氏からプレゼントされたの?」
神酒は、終わった、と思った。誰か男にキキをプレゼントされたとタイムライン上に記憶されたら、全てが終わってしまう、と神酒は思う。
神酒は先輩のタイムラインを展開しようとする。彼女が、伊庭瑠璃という名前の三年生であることが表示される。偶数組だから、文系クラスだとわかる。ローディングを示す輪がくるくるまわり続けるだけで、タイムラインが表示されない。
「私の知ってる男も、彼女をヒメって呼んでいて、痛々しい」と伊庭は言う。
「彼氏からもらったわけじゃなく!」と神酒。
「ヒメ! ヒメ!」とキキ。
「キキ! ワンス・ア・ウィーク(黙れ)!」
キキはぴたっと止まる。
「え」
「だって、ワンス・ア・ウィークって、シュウイチってことでしょ?」
「そうだったのか!」
キキをもらってから二年間、ずっと気づかなかった!
納得したことで、もう隠しようがないことに気づき、神酒は硬直する。
「いや、でも、気のせいかもしれない。津島修一なんて人が私の知り合いにいたかは、タイムラインを確認してみないとわからないな……」と、苦しいとりつくろいをする。
伊庭は、ふっと笑いを漏らす。
「そういえば、私の知り合いに津島なんていないかもしれない。私はタイムラインを持ってないから、確かめようがないや。名前なんて忘れちゃった」
「伊庭先輩は、視点浮動者なんですか?」
伊庭はうなずく。「私とあなたの間には、一年の学年の違いが横たわっている。だから、私は視点浮動者というよりも、視点を持たないものと言った方が正しいかもしれない。県が私に貸し出したモバイルは、タイムラインを見る機能を持たない」
「伊庭先輩の親も、個人用のモバイルを持つことに反対なんですか?」
「ううん。中学受験のために塾に通わされたときに、安全のためのモバイルは持たされた。私は親に反発して、モバイルを川に投げ捨て、塾にも行かなかった。それ以来、親は私にモバイルを与えようとしない。そして中学受験をしなかったから、私はいま、公立高校であるこの学校にいる」
図書館で話していても大丈夫か、すごく気になる。しかし、三月の土曜登校日の放課後なので、二人のほかに誰もいない。
「私は前の図書局局長だから、私がルールみたいなものだ。大丈夫」と伊庭は言う。「私と貴方の関係は、少し長いものになると思う。私が名前を忘れた誰かのせいで。貴方の呼び方を決めていい?」
先輩は手を振る。視界上に、私の情報を展開したのだと思う。
「神酒さんって呼ぶのは、距離が遠くて好かないな」
「呼び捨てで、いいですよ」
「呼び捨てと、さん付けの間をとって、ミキクンっていうのはどうかな」言った伊庭先輩が、ひとりで笑う。「変だな」
「慣れれば、慣れますよ」
伊庭先輩は、ミキクン、と十回繰り返した。「やっぱり、変だよ」自分が言い出したのに、くすくすと笑っていた。
「土曜登校日の放課後に図書館でなにをしてたんですか?」と神酒。
「私の彼氏ーー名前は忘れちゃったーーは、一つ下の学年にいるんだけどーーつまりミキクンとおなじ学年なんだけどーーその、名前を忘れちゃった彼氏は、精神的に不安定なところがある。だから図書館にいる」
「彼氏さんとの関係に、疲れてしまったの?」と神酒。
「ううん。疲れていないから、ここにいる。臨戦待機中」
「それと、その三角形とどういう関係が?」
「ただ待っているだけだと、頭が暇になる。かといって、彼から連絡があったときに何かに没頭していると、すぐには動けない。だから、私と私のアシスタントと彼のアシスタントを三角形の頂点に見立てて、彼のアシスタントと私との間の距離を求めていた。彼のアシスタントは、彼の近くにいるから。彼を意識しながら、頭に作業をさせることができるから。そして彼が「死にたい」って言ったら、すぐにでも私は駆け出す。死にたい気分を、逸らしに行く」
「死にたい気分って、そんなに簡単にそらせられるものなんですか」
「なんたって私は、彼より一年年上のお姉さんだから」
「どうやって?」
「その」伊庭は、一瞬迷う。「一緒にラーメン食べに行こう、とか」
「へ!?」
「え……」
「……」
「……」
給食のソフト麺のべちゃべちゃした味を神酒は舌の上で思い出す。二人の間にすごく微妙な空気が流れる。訊いたことを、神酒はすごく後悔する。
伊庭先輩は、タイムラインを持たないので、神酒は、自分がタイムライン上でどういうキャラクターであるかを気にせずに、勇気を持った行動をできる。津島と伊庭先輩を引き離そうと決める。伊庭先輩のために。
「伊庭先輩が津島くんを支えようとすることは、よいことだとは思わない。きっと、彼の負の力に引きずられてしまう。彼の行動をタイムラインに記憶してる友達を、何人か紹介するよ。それを見たら、伊庭先輩はきっと津島くんから離れようと決心してくれる」
「私はタイムラインを持たないから、複数の他者の発言を根拠に、いますでに読みとっている彼からの愛の意味を変更することはできない。それに、彼の愛から読みとった意味は、私の内部にある。タイムライン上の外部化された記憶のように、消しされるものではない。そして私は、私がもう津島を助けられないという言葉を私のタイムライン上に蓄積することができないので、津島を助け続けなければならない」
視点浮動者である神酒薫は、津島修一のタイムラインを見ることができる。見ないと決めたものを見ていることに、罪悪感がある。しかし、彼女が見ないと決めたものは卒業式前後の記憶だったので、決めたことをやぶっていることにはならないのだ(と、神酒は自分をだます)。
津島修一は精神が不安定なので、膨大な数の書き込みがタイムライン上に堆積している。津島修一は過度に記憶を外部化している。それを読む限りでは、津島修一は伊庭瑠璃からの自立を求めているらしい。伊庭に依存してばかりいる自分の弱々しさを嫌っているらしい。
津島の頭の中では、津島のタイムライン上に書き込まれた、伊庭瑠璃からの「愛してる」がリフレインしている。だから、伊庭瑠璃から離れることができずにいる。「愛してるから、なんでもできる」と伊庭瑠璃が過去において言ったことを口実に、津島は伊庭に依存している。
「伊庭が記憶を外部化していないことを理由に、津島の記憶の外部化をやめさせられるのでは。ペアルック的な感覚で」と神酒は思う。
津島の神酒との思い出が存在する。神酒は津島のタイムラインを遡行していると、自分のことについては外部化されていないことに気づく。
廊下の端。普段なら、カップルがそこにいるような場所。人が少ない場所。伊庭はタイムラインを、モバイルではなくデスクトップ上でしか見られない。伊庭と神酒の二人で津島について話をするため、電界通信をオープンにして、伊庭と神酒は手をつなぐ。二人の拡張現実が共有される。
「伊庭が記憶を外部化していないことは津島修一が津島の記憶の外部化を取り除く手段に、きっとなるよ」と、神酒は伊庭に言う。「だって、たとえば、私に告白したことを津島くんはタイムラインに載せていない。全ての記憶をタイムラインにゆだねているわけではない」
津島の神酒との思い出が存在することがきっかけとなり、津島が忘れられない「弱点」が存在する。
津島が忘れられない「弱点」が存在することがきっかけとなり、読解の文脈を変えられないことが存在する。
津島が、二人のいる廊下の端に現れる。三角測量で、伊庭の位置を知っていたのだ。文系の伊庭が三角測量で津島の居場所を求めていたのは津島の影響をうけていたからだったのだ。
読解の文脈を変えられないことは伊庭瑠璃が津島修一からの自由を得ることを阻む。高校時代における津島の精神の脆弱さのきっかけは、ほかならぬ、神酒による津島の拒絶だったのだ。神酒が津島を振ったトラウマは伊庭瑠璃が津島修一からの自由を得ることを阻む。
時間の一回性は、神酒薫が神酒が津島を振ったトラウマを取り除くことを阻む。
神酒は、津島を振ったことを謝ろうとする。
津島は、神酒がどれだけひどいことをしたかを伊庭に語る。タイムラインを持たない伊庭は、津島視点の神酒の行為を、疑わずに信じてしまう。
「貴方は、津島にそんなひどいことをしたの? 見損なう」と、伊庭は神酒に言う。
「まって。津島くんは、私を好きだったんじゃなかったの?」と神酒は言う。
「津島くんは、私を好きだったんじゃなかったの?」という神酒薫の発言は神酒薫が神酒が津島を振ったトラウマを取り除くことを助ける。
神酒薫は時間の一回性を取り除くことを求める。
「愛してる」ではどうにもならないことが存在する。
「愛してる」ではどうにもならないことは神酒薫が時間の一回性を取り除くことの手段となる。
「おまえの視点は確定的じゃなかったのか」と、津島は神酒に対して言う。
天使の翼が「愛してる」ではどうにもならないことを取り除くことを求める。
「おまえの視点は確定的じゃなかったのか」は天使の翼が「愛してる」ではどうにもならないことを取り除く手段となる
天使の翼が「愛してる」ではどうにもならないことを取り除くことは成功する。
電子アシスタントは、神酒薫が時間の一回性を取り除く手段になる。
電子アシスタントに含まれるキキは、天使の翼が電子アシスタントを取り除く手段になる。
伊庭瑠璃は、「神酒薫が他人からの視点を気にせずに生きることを得たこと」を求める。
「津島くんは、私を好きだったんじゃなかったの?」という神酒薫の発言は、伊庭瑠璃が「神酒薫が他人からの視点を気にせずに生きることを得たこと」を得ることを阻む。
伊庭瑠璃は「津島くんは、私を好きだったんじゃなかったの?」という神酒薫の発言を取り除くことを求める。
神酒薫が視点浮動者として存在することは、伊庭瑠璃が「津島くんは、私を好きだったんじゃなかったの?」という神酒薫の発言を取り除くことを阻む。
天使の翼は「津島くんは、私を好きだったんじゃなかったの?」という神酒薫の発言を取り除くことを求める。
「津島修一が伊庭瑠璃からの自立を求めることは、天使の翼が「津島くんは、私を好きだったんじゃなかったの?」という神酒薫の発言を取り除く手段になる」らしい。
津島修一が伊庭瑠璃からの自立を求めることは、天使の翼が「津島くんは、私を好きだったんじゃなかったの?」という神酒薫の発言を取り除く手段になるように見受けられる。
「俺を忘れろ」という津島の発言は、神酒薫が神酒が津島を振ったトラウマを取り除く手段になるように見受けられる。
「俺を忘れろ」という津島の発言と伊庭が記憶を外部化していないことがともに存在していることが原因となり、神酒薫が神酒が津島を振ったトラウマを取り除くことは失敗する。「俺を忘れろ」という津島の発言は神酒薫が神酒が津島を振ったトラウマを取り除く手段とはならなかった。
「津島くんは、私を好きだったんじゃなかったの?」という神酒薫の発言が存在することがきっかけとなり、モバイルがなくても覚えていることと神酒がすでに過去を振り切っていることが存在する。
モバイルがなくても覚えていることは、神酒薫が視点を決定しなければならないという切迫感を取り除く手段となる。
神酒がすでに過去を振り切っていることは、神酒薫が他人からの視点を気にせずに生きることを得る手段となる。
ゲシュタルトとは、全体と部分がお互いに影響を与え合い、全体が部分の総和以上の意味を持つ全体像の事。
つまり、今この画面をみているモニターや、この文字は、ただの光の集合体でしかない。文字にいたっては、たんなるドットの集まりだ。
しかし、そのドットの集まりを「文字」として認識する事で「ドットの集合」という部分の集まりという構造意外の意味ができあがる。
そして、そのゲシュタルトを構築するには、部分を認識することが欠かせない。
単純に、ドットが存在し、それが集合しなくては今読んでいるこの文字はなりたたない。しかし、ドットが集まるだけでも文字はなりたたない。文字という全体像を「文字」として認識するゲシュタルトが必要になる。
この文字を認識するには「ドット」という部分と、その集合によってなりたつ「文字」という2つの概念が必要で、その2つを同時に認識してはじめて「文字」が認識される。そして、この部分と全体を同時に認識する事で、双方向に影響をあたえあう一つのまとまりを作ることがゲシュタルトだ。
要点は、「まとまった上位概念を認識するには、同時に下位概念も認識しなくてはゲシュタルトは構築できない」という事だ。
最初、自転車に乗れない時はバランスをどう動かしたらいいのか、順を追って考えようとする。そうするとバランスが傾いたときにはもう手遅れで転んでしまう。
しかし、バランスを崩しそうになったら、体をこうひねる、バランスを整える、という「自転車に乗るときの身体を動かし方」という細かい部分の総和を「自転車に乗る」というひとつのまとまりに、総合されたゲシュタルトとして認識しなおすことができる。
その時、自転車にのるためのだけの細部な体の動かし方、という限定的な下位概念と、「自転車に乗る」という、下位概念の部分があつまった上位概念を同時に認識する事で、ほぼ無意識でバランスを保つことを覚え、自転車に乗れるようになる。これは体を伴った学習の好例だ。
バランスを崩して転びそうになったとき、順を追って「どちらに傾いているか認識、逆方向にバランスを保つ」などとは認識せず、「どちらに傾いて感じたら、それと反対の方にバランスをとる」という部分が、行動が、「自転車に乗る」という全体に、ゲシュタルトに入っているのだ。
全体と部分を同時に認識していれば、瞬間的に体が反応する。そういった学習を続けていれば、小難しい計算を順を追って無駄な時間を費やして考えふけったり、好きな人の行動パターンが読めず苦悩する事も、嫌いな上司の行動パターンが読めず苦労する事もなくなる。
計算の全体と部分を同時に認識していれば、計算すべき方向性がゲシュタルト能力によって「なんとなくわかって」しまうから。好きな人の行動という部分をいちいち分析する必要はない。好きな人の行動という部分と、その好きな人という全体を、逐一同時に認識してゲシュタルトを作っていれば、自然と「あ、こういう事をすると好きな人は喜んだり、嫌がったりするな」というのが、ゲシュタルトでいとも簡単に自然に認識できるようになってしまう。
これは嫌いな上司に対しても同じだ。
長年付き合ってる友達の好きそうなものがわかったり、長年一緒にいる親の好きそうなものがわかったり、そういう仲の良い人に「こういう対応をしたら、きっとこういうリアクションが返ってくるな」という想像をして、そういう想像が容易にできる関係の人がひとりはいると思う。
その想像が、どの程度精度があるかは未知数だが、少なくとも、自分なりにそういう想像が働かせられるという事は「自分なりのゲシュタルトを作っている」という事だ。
もし、そのゲシュタルトの精度が悪いのならば、改めて身近な人の行動と、身近な人そのものを、部分と全体として同時に認識すればいい。部分の意味や行動理由を考える必要なんかも、まったくない。
ただ、部分と全体を同時に認識することを延々と続けてれば、自然とゲシュタルトはできあがるし、それによって相手の行動を予測する精度もあがる。(これは観察力の差によって多少の精度の差はでるかもしれないが、長い目で見れば、相手の細かい行動に注意しようと意識を向けるだけで観察力なんて飛躍的に伸びるものだから、どのみち精度の高い見立ては可能になる。あまり心配いらない。)
これの、恐ろしく面白くて、恐ろしく簡単なところは、まったく単純に部分と全体を同時に認識するだけで、なんの小難しい思考の余地もなく「わかる」感覚が育ってくる所。
もちろん、場合によってはより繊細な観察や、難しい概念、複雑な部分構成を読解する能力が別途必要になってくるケースもある。
が、そういう物は、大体が既存の「勉強」を一定量続けていれば身につくし、それで理論がわかったら、あとはその理論を「部分と全体」として同時に認識すればいいだけ。たったこれだけ。
これをしてれば、学習は飛躍的に伸びるし、イロイロな人がどういう人間か見立てることが容易になる。人をおだてる事も簡単になるし、怒らせる事も簡単になる。
いろんな人の行動という部分と、人そのものの全部を同時に認識し、ゲシュタルトを作り続ければ「人のタイプ」を見極められるようにもなってくるだろう。そうしたら初対面の人とディープな話題で盛り上がって、急接近する事も夢じゃない。
とにかく、結論は「ゲシュタルトはすごい」
そして、この能力は人間全てが持っているので、活用しない手はない。しかも一番いい所が、活用の仕方が簡単な所。小難しい理屈を考える必要がまったくなく、そんな逐次思考とは比べ物にならないくらい実践がはるかに簡単な事だ。
ゲシュタルトを構築するのに注意すればいいのは、ただ1つだけ「全体と部分を同時に認識する」
野球なら、「野球をしている」を全体を認識しながら「バットをうまく降るには、どこに力をいれたらいいか」という部分を同時に認識する。それをやってるだけでメキメキ野球は上手くなる。
ただ「バットのふりかた」だけを考えても、上達は遅い。全体と同時に認識し、ゲシュタルトが作られて、はじめて人間本来の脳の力が飛躍的に発揮されるのだ。
前にルパンのカリオストロの城の事で急に思いついたことがあった。
それは、何故ルパンはクラリスを助けに伯爵の城に乗り込んだ時、落とし穴に落ちても動じなかったのか?
単純にルパンはすごいから、じゃなくて、何かルパンが「落とし穴のような仕掛けがある」という見立てがあったはずだ。と思った。
それを逆に考えたら、あってるかどうかわからないけど、ひとつの仮説を急に思いついた。
とりあえず、ルパンがお城に入り込む前の情報として、そのお城に入ったヤツは誰一人として帰らない、偽札界のブラックホールと言われてるって情報が出てくる。
ここから推理できる事は、何年にもわたって伯爵は城に忍び込んだものを殺してきたという事。そして、その死体をどう処理しているのか?という事。
何年にもわたって人を殺してきたら、それこそ人の死体が山のようになる。そうすれば絶対に死体処理班みたいのが城にあるはず。そうすれば下調べをしたとき、明らかに仕事内容がおかしい死体処理班の存在がわかるはず。
しかし、そういった死体処理班の存在を感じる素振りはなにもない。さらに、城の領土もすごく少ない。城の庭やどこかに死体を埋めるわけにもいかないし、夜な夜な死体を運び出す作業を何年にもわたって続けていたら、絶対にそれなりの不穏な噂は立っておかしくない。
となると、自然に考えられる一番ありえる可能性は「地下」しかない。
合わせて大量の偽札を作る工場もどこかにあるはず。それも一番濃厚なのは「地下」だ。
すると、とにかく城の秘密部分は「地下」に密集してるという事が推理できる!
そして、その地下に入り込むには特別な場所にあるだろう隠し通路や、侵入者を地下に送り込む装置があるはず。それを利用して地下に入り込む。ここらへんまではルパンは3秒ぐらいで予想がついてたと思う。
あとは指輪の秘密を知るためか、盗みが働きやすくする為かわからんが、クラリスをとりあえずの目的にして、でも本当に大事なのは指輪が偽物で、それを使って伯爵と交渉をする事。そして地下に行って城の核心部に入り込んだルパンの持ってる指輪を取り戻しに来るヤツを使って、地下から核心部へ忍び込む。というプロセスをルパンは全て計算していたはず!
この中で計算できてなかったのは、不二子が本物の指輪を伯爵に渡してしまうことと、撃たれる事と、ロケットがおっこって屋根をジャンプするハメになった事ぐらいだと思う。