2010-02-25

学習→ゲシュタルトを作る

ゲシュタルトとは、全体と部分がお互いに影響を与え合い、全体が部分の総和以上の意味を持つ全体像の事。

つまり、今この画面をみているモニターや、この文字は、ただの光の集合体でしかない。文字にいたっては、たんなるドットの集まりだ。

しかし、そのドットの集まりを「文字」として認識する事で「ドットの集合」という部分の集まりという構造意外の意味ができあがる。

全体像そのものに意味がやどるのだ。それがゲシュタルト

そして、そのゲシュタルトを構築するには、部分を認識することが欠かせない。

単純に、ドットが存在し、それが集合しなくては今読んでいるこの文字はなりたたない。しかし、ドットが集まるだけでも文字はなりたたない。文字という全体像を「文字」として認識するゲシュタルトが必要になる。

この文字を認識するには「ドット」という部分と、その集合によってなりたつ「文字」という2つの概念が必要で、その2つを同時に認識してはじめて「文字」が認識される。そして、この部分と全体を同時に認識する事で、双方向に影響をあたえあう一つのまとまりを作ることがゲシュタルトだ。

要点は、「まとまった上位概念認識するには、同時に下位概念認識しなくてはゲシュタルトは構築できない」という事だ。

これの好例が自転車に乗るときの感覚だ。

最初、自転車に乗れない時はバランスをどう動かしたらいいのか、順を追って考えようとする。そうするとバランスが傾いたときにはもう手遅れで転んでしまう。

しかし、バランスを崩しそうになったら、体をこうひねる、バランスを整える、という「自転車に乗るときの身体を動かし方」という細かい部分の総和を「自転車に乗る」というひとつのまとまりに、総合されたゲシュタルトとして認識しなおすことができる。

その時、自転車にのるためのだけの細部な体の動かし方、という限定的な下位概念と、「自転車に乗る」という、下位概念の部分があつまった上位概念を同時に認識する事で、ほぼ無意識バランスを保つことを覚え、自転車に乗れるようになる。これは体を伴った学習の好例だ。

バランスを崩して転びそうになったとき、順を追って「どちらに傾いているか認識、逆方向にバランスを保つ」などとは認識せず、「どちらに傾いて感じたら、それと反対の方にバランスをとる」という部分が、行動が、「自転車に乗る」という全体に、ゲシュタルトに入っているのだ。

全体と部分を同時に認識していれば、瞬間的に体が反応する。そういった学習を続けていれば、小難しい計算を順を追って無駄時間を費やして考えふけったり、好きな人の行動パターンが読めず苦悩する事も、嫌いな上司の行動パターンが読めず苦労する事もなくなる。

計算の全体と部分を同時に認識していれば、計算すべき方向性がゲシュタルト能力によって「なんとなくわかって」しまうから。好きな人の行動という部分をいちいち分析する必要はない。好きな人の行動という部分と、その好きな人という全体を、逐一同時に認識してゲシュタルトを作っていれば、自然と「あ、こういう事をすると好きな人は喜んだり、嫌がったりするな」というのが、ゲシュタルトでいとも簡単に自然認識できるようになってしまう。

これは嫌いな上司に対しても同じだ。

長年付き合ってる友達の好きそうなものがわかったり、長年一緒にいる親の好きそうなものがわかったり、そういう仲の良い人に「こういう対応をしたら、きっとこういうリアクションが返ってくるな」という想像をして、そういう想像が容易にできる関係の人がひとりはいると思う。

その想像が、どの程度精度があるかは未知数だが、少なくとも、自分なりにそういう想像が働かせられるという事は「自分なりのゲシュタルトを作っている」という事だ。

もし、そのゲシュタルトの精度が悪いのならば、改めて身近な人の行動と、身近な人そのものを、部分と全体として同時に認識すればいい。部分の意味や行動理由を考える必要なんかも、まったくない。

ただ、部分と全体を同時に認識することを延々と続けてれば、自然とゲシュタルトはできあがるし、それによって相手の行動を予測する精度もあがる。(これは観察力の差によって多少の精度の差はでるかもしれないが、長い目で見れば、相手の細かい行動に注意しようと意識を向けるだけで観察力なんて飛躍的に伸びるものだから、どのみち精度の高い見立ては可能になる。あまり心配いらない。)

これの、恐ろしく面白くて、恐ろしく簡単なところは、まったく単純に部分と全体を同時に認識するだけで、なんの小難しい思考の余地もなく「わかる」感覚が育ってくる所。

もちろん、場合によってはより繊細な観察や、難しい概念、複雑な部分構成を読解する能力が別途必要になってくるケースもある。

が、そういう物は、大体が既存の「勉強」を一定量続けていれば身につくし、それで理論がわかったら、あとはその理論を「部分と全体」として同時に認識すればいいだけ。たったこれだけ。

これをしてれば、学習は飛躍的に伸びるし、イロイロな人がどういう人間見立てることが容易になる。人をおだてる事も簡単になるし、怒らせる事も簡単になる。

いろんな人の行動という部分と、人そのものの全部を同時に認識し、ゲシュタルトを作り続ければ「人のタイプ」を見極められるようにもなってくるだろう。そうしたら初対面の人とディープな話題で盛り上がって、急接近する事も夢じゃない。

とにかく、結論は「ゲシュタルトはすごい」

そして、この能力人間全てが持っているので、活用しない手はない。しかも一番いい所が、活用の仕方が簡単な所。小難しい理屈を考える必要がまったくなく、そんな逐次思考とは比べ物にならないくらい実践がはるかに簡単な事だ。

ゲシュタルトを構築するのに注意すればいいのは、ただ1つだけ「全体と部分を同時に認識する」

野球なら、「野球をしている」を全体を認識しながら「バットをうまく降るには、どこに力をいれたらいいか」という部分を同時に認識する。それをやってるだけでメキメキ野球は上手くなる。

ただ「バットのふりかた」だけを考えても、上達は遅い。全体と同時に認識し、ゲシュタルトが作られて、はじめて人間本来の脳の力が飛躍的に発揮されるのだ。

  • いいたいことはなんとなくわかるけど。 それって自分が実際に活用できてるから言ってるの? それとも机上の空論? 新規学習や人間関係にそんなに簡単に応用できるなら、興味はある...

    • これはそうなんだと思うよ。 そういう能力は30歳以降に飛躍的に伸びてくるって本に書いてあった。 結構な昔に、飲んでる席でおっちゃんが 「30過ぎたら急に全体が見えるよう...

    • ぜひ実親してほしい!! そして、「誰でも簡単にできるなら本でも出したら儲かるんじゃない?」という話しですが すいません、これ本に書いてあった内容ですw ただ、その本が難...

      • ぜひ実親してほしい!! って、どうやったらこんな間違いするんだ

      • 細かい説明ありがとう! 具体的に書いてもらったのですごいよくわかったし、チャレンジしやすくなった。 TOEICの勉強でもしようかと思ってたから、試しにそうしながら英単語覚えたり...

        • 本は・・・正直オススメしません。 何故なら、一般的にみて、もんのすごく胡散臭い本だからです!w 一応書いときますねw 参考にしたのは、苫米地英人さんという方の書いた 「頭...

          • 教えてくれてありがとうございます。 Wikiななめ読みしただけで軽く引きましたw 「聞くだけで恋人ができる着うた」「巨乳になる着うた」の開発・販売とか…。 それに「洗脳に造詣が...

  • 批判するわけじゃないが、ここに書いてることって疑似科学と区別がつかないよね 「ゲシュタルト」と専門用語を出して、「自転車に乗るときの感覚だ」と誰でも理解できる概念で適当...

  • これ、基本的にはあってるけど、ゲシュタルトの生成を実用的に使うには、少し違う発想が必要かもしれない。 例えば、英単語を「英語」と意識しながら覚えたら、英単語そのものは覚...

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