2019-12-31

人形みたいな子に会ったことある

人形みたいだと思った。最初に会った時だ。

会社行事準備中、景品引換所で色々と作業をしていたら、女子が2名ほどまごついていた。

仕事がないんだな、と思って彼女らの方を見た。

あれが人形か! そう思った。噂には聞いていた。1年前に入った新人の子もの凄く綺麗だって。影のあだ名人形(笑)。そのままじゃねーか。

そんな人間いるわけないだろ、と思ってたら本物だったという。

の子が俺の方に近づいてくる。どちらかというと、別の子に手を引かれているような気がした。

……どれぐらい可愛いかって? 文字で伝わるかはわかんないけど、説明してやろう。

まず、顔が小さい。アイドルを見たことはないけど、これがアイドルか!ってくらい小さい。でも、そこまで顔がいいとはいえない。平均よりは上だけど、化粧でごまかしてる。たまに化粧に失敗して口裂け女みたいになってる(笑)

プロポーション完璧だ。身体ラインや手足がすべて細い。アニメキャラフィギュアがあるだろ? 冗談抜きでそんな体型だ。

それでいて背が低い。150くらいかな? 肉体が細くてもモデルみたいじゃなく、全体がちょこんとしてい

る。それが人形といわれる所以らしい。

髪は長くて、顔つきはぼんやりクールな感じ。つまらなそうにしてる。胸はほとんどない。少年みたいでもある。

話が逸れた。

それで、その女子2人に引換券整理の仕事を分けてやって、でも男は邪魔だろうから、別のアトラクションの準備をしに行った。

ところで、俺らの職業リーマンだ。中規模企業ホワイトカラーが一番近い。

家に帰って、その人形みたいな子(Yさんとする)のことを思った。幸せだった。

翌週に来客があって、こちらでとある資料を用意せねばならないことになった。

必要情報は、上の階の社内機密を扱う部署にある。

俺はラッキーだった。その部署にYさんがいる。

そこに行くと、入口辺りにYさんが座っていた。聖女だった。薄いピンクスカートに、水玉模様ブラウスを着ていた。

「このことが知りたいんですが」と声をかけた。

の子ぶっきらぼうな感じでパソコンガガガッと叩くと、必要データ印刷機から出てくる。秘と印字されていたそれを受け取ると、なんて言ってたかな、「個人情報なので気を付けてください」だったかな、そんなことを言っていた。口調が震えていた気がする。

それから何度か、データ必要になった。

ある時、例の部署に行くと、行事の時にYさんと一緒に居たMさんが一番前に座っていた。

隣に居たYさんが立ち上がる。スーツスタイルだった。スカートじゃなくてパンツ二次元キャラみたいな頭身だった。腰の位置が高い。

この人形を手に入れたい、と思った。

でも、声をかけることはできなかった。忙しそうだったので。今回の仕事はたぶん面倒だ。俺が声をかけたら、あの時みたいに助けてくれるだろうか? 別にこの部署は、依頼された仕事を断ることだってできる。

この日の朝のことを思い出していた。駐輪場でYさんと目が合った時さ、サッと真下目線を逸らしたんだ。こないだもそうだったな、視線の逸らし方が。あれ、これって好意サインじゃないか? 経験からして。

で、結局Mさんの方に声をかけた。

するとどうだ、10分も人を待たせやがった! 挙句の果てに、「時間がかかるので明日まで待ってください」だって

もしかして、Yさんってもの凄く優秀なんか? Mさんが苦戦してる時にこちらを注視していたし。

翌日の夕方Mさんがうちの職場にやって来た。地図が完成していた……と思ったらぜんぜんだった。縮尺が違うから、ぜんぜんハマらない。

畜生、と思ったけど我慢した。それで、「こんなに頑張ってくれたの? ありがとう~!」とみんなに聞こえるような声で言った。Mさんもの凄く照れていた。

俺は、とあるプロジェクト担当者に名乗りを上げた。

これまで熟練スタッフが100の時間を要していた仕事を、新卒の子でも20以下で終えられるようにする少人数での業務改善プロジェクト。面倒くさいだけで難易度は低い。実りがあるかは怪しかったが、俺は手を挙げた。

資料を集めにあそこまで行けるからだ。

Yさんが髪を切っていた。長い髪だったけど、ショートカットになっていた。心境の変化かな? 

今回の仕事は、俺自身システム操作する必要がある。Mさんに声をかけて使い方を請うたところ、先輩であるYさんも寄ってきて、手取り足取り教えてくれた。

以後、約2ヶ月間、計6回ほど其処に行くことになった。総作業時間は9時間ほど。死ぬほど退屈な作業だった。でも、Yさんは丁寧に教えてくれたし、MさんとはラインのIDを交換して話をするようになった。

Yさんとの仲が悪くなった。

5回目に行った時のことだ。それまでは何を聞いても親切にしてくれたのに、今日は機嫌が悪い。話しかける度、めっちゃウザそうな視線を俺に向けてくる。

今思えば当然だった。Mさん病気で居なくなっていたのだ。そりゃ当たり前だよ。しかも、俺は間が悪いから、帰り際に「アドレスを教えて」なんて言ってしまった。教えてなどくれなかった…

Mさんのことを思い出す。Yさんよりも年上の後輩で、明るくて、真面目で、ひたむきだった。そのうえ頭がいいときてる。あの部署に配属される人間はみんな賢いのだ。

賢いだけじゃない。魅力もそれなりで、ぽっちゃりしてるように見えるけど、実はお腹が出ていない。撫でると恥ずかしがる。

料理は上手いし、耳かきもできるし、生理の時もイラついた様子を見せない。

YさんもMさん大学を出てないけど、人事の目は本物だと思ったものだ。

で、それからまた、俺はYさんに話しかけた。ウザがられてるのはわかってるけど、それでも話しかけた。それで、ある時、仕掛けた作戦ピタッとはまって、彼女笑顔を見ることができた。笑顔なんて滅多に見せないから小躍りして喜んだものだ。

Mさんが復帰してくる気配はない。Yさんやその同僚も、繁忙期が重なって負担が大きくなっているようだった。

俺は馬鹿だった。そうだとわかっていながら、機会を見つけてはYさんに話しかけたのだ。

今ではわかる。女子恋愛は減点法というが、相当点数が減ってたんだろうな。

でも、まだ圏内はいたと思うよ。「髪切った?」って聞いたら照れて俯いてたし。

で、俺がどうしてこんな話をしたいと思ったかというと、4日ほど前、いいことがあったからだ。

仕事納めだというのに残業した。トラブルがあって、新年からどのような対応をするのか部内で話し合う必要があったからだ。

10時前に全部終わって駐輪場に向かった。心も体もヘトヘトだった。

いた。Yさんがいた。

「お疲れさま」と声をかけた。返事はなかった。

顔色が悪かった。いつもぶすっとしているが、それでも様子がおかしい。

「嫌なことあった?」って聞いたら、コクリとうなづいた。

話を聞いていると、業務過多+人間関係がしんどいとのこと。お局みたいな奴がいて、だいぶ調子に乗っているらしい。

俺はこれまでに居た部署で、そういった女の始末を人事から依頼されたことがある。

余談になるが、そういった女の処分方法は、ひたすらにキレさせることだ。人間、一度キレてしまうと、その日中自律神経が乱れっぱなしになる。なので、そういうのが毎日続くと、肉体の健康に支障が出てくる。

半年後、『そういった女』に限界がきた。俺にキレている最中、どうなったと思う?

過     呼     吸

になったんだ。

ああ、これがあの、かの有名な過呼吸なんだな、と思った。上司①と同僚①②は俺への怒りを露わにしてたけど、俺が処分なんて受けたはずがないだろう。

だって、お前らより偉い連中の指示なんだから

そりゃ、その女は可哀相だったけど、でも、そいつにも責任はあるんだぜ。だって、前の職場でさんざんマウンティングとかパワハラやらを繰り返して、男だけ十数人の部署に異動させられてるんだからな。とんだ罰ゲームだ。そりゃ、人事も辞めさせたくなるよ。

話が逸れた。許してくれ。

それで、Yさんの話の続きだ。

とりあえず、そういうクソお局を気にしないための方策を教えてあげた。オブラートに包んで。

……近づいていた。俺とYさんとの距離が。周りに人はいない。

もっと、サッと近づくと、Yさんが感付いたのか後ろに下がろうとする。俺は、彼女の後ろ髪を掌で包み込むようにして、グイッと顔を寄せて、唇を奪った。

イケる、と思ったんだ。ちょっと抵抗されてたかな、と思う。何秒か経って唇を離すと、胸を押して距離を取ろうとする。今度は手を掴んで、またキスしようとすると、逃げようとした。

腕を引っ張って、何度も口づけをした。両手で背中を掴んでいるので、もう大丈夫だ。尻も掴んだ。ああ、これが人形のお尻か、と思った。死んでもいいって、そう思えた。

Yさんが唇をずらそうとして、口づけて、ずらそうとして、口づけてを繰り返しているうち、抵抗がなくなった。

計ってないけど、1分くらいかな?

手を繋いで、「家まで行きたい」と耳元で囁いた。Yさんは迷った様子で、首を横に振った。

「行きたい」

と再度言った。すると、俯いたまま首を縦に振った。

Yさんは震えてたけど、「はい」って、俺の顔を見て、確かにそう言った。

迷ったけど、俺はYさんの家に行かないことにした。

これは危ないパターンだ。

本当にOKなら、もっとこう、恥ずかしげになる。違う、これは違うんだ。おそらく本意じゃない。

実は、その気はあんまりないんじゃないか? このまま家に行ってセックスできたとしても、後でひどい目に遭うんじゃないか? 罠なのでは、と直観した。

今ではわかる。過去でもわかってたし、未来でもそうだと思う。俺はへタレなんだ。今になって思う。あの時は行くべきだったんじゃないか? と。

とにかく、あの時の俺は、これ以上はダメだと思った。ちょっとやりすぎだ、と思った。

俺はYさんの頭を撫でると、「また来年」とだけ伝えて、自転車に乗った。

家に帰って気付いたんだが、俺はまだYさんの電話番号ラインも知らない。

俺は馬鹿だ。なぜさっき聞かなかったんだろう。教えてくれたかもしれないのに。

いつも、こうやって後悔ばかりしている。

でも、あの人形の子だけは手放したくない。俺の物にしたい。頼むよ、神様来年最初のひと月とかだけでもいいからさ、俺の背中を後押ししてくれよ。

追記

「うんち」「再投稿は甘え」の仕様(完全にスクリプトなのか、それとも人力との合わせ技なのか等)を調べるため、内容を修正して再投稿しました。

数日前、誤って「この内容を登録する」ボタンを押して公開した日記を、削除・再投稿したこときっかけです。

後者については、スクリプトと人力の合わせ技なのでは? と思いました。内容を少し変えて投稿しても、「再投稿は甘え」とコメントされない日記ひとつあったからです。スクリプトバグかもしれませんが…

はてな匿名ダイアリーに常駐されている方々にはご迷惑をお掛けしました。

 前回投稿分のコメントへの返信

・うるせえなあ。長文書く暇があったら さっさと玉砕してこい

 今年度中に勝負をかける。

応援しててワロタ

 はてなには、俺のような者に声をかけてくれる人もいるんだよな。優しい人に感謝

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