2024-06-30

未婚化・少子化最後トドメを刺すのは実はマッチングアプリ

日本の未婚率が急速に上昇しているのは言うまでもないだろう。なんと2020年国勢調査の段階で、すでに30歳前半の男性の約半数にあたる47.7%が未婚であった。その後、皆も知っての通りコロナが到来し、以降、婚姻数・出生数ともに戦後最低を更新し続けている。出生数に至っては100万を切ってからすでに久しく、最近では80万人を切り、2023年には72万人で、今年(2024年)には70万人を切るんじゃないか、なんていうすごい話もある。筆者は98年生まれの今年26歳だが、僕が生まれた年の出生数は120万だったようで、それでも少子化だなんだと騒がれていたので、それから半分近くにまで減ってきていると考えると驚くべき数字だと思う。そして当然、超高齢化社会なので出生数よりも死者数が多く、人口自然減は2023年には83万人である。これは驚くべきことで、一説によると、1937年から45年までの約8年にわたる戦争での日本人の戦死者は310万人らしく、これは年換算すれば38.75万人なので、現代では戦時下の平均の二倍のペースで人が死んでいる、という見方もあり、しか戦時下でも日本人口は増加幅が減っただけで総人口はまだ上昇していたので、人口だけに着目すれば戦時下よりももっと凄惨戦争状態にあるというふうに捉えることができるかもしれない。

前置きがとても長くなってしまったが、ここでは、これから結婚だなんだという年齢に差し掛かかったいわば「結婚現役世代」になりつつあり、さらにZ世代でもある僕の超主観的な肌感覚に基づく、「マッチングアプリがZ世代非婚化に決定的なトドメを刺し、それによって残念ながら未婚化・少子化もっともっと加速するだろう」、という仮説について語らせてほしい。

「なぜ結婚を促進するはずのマッチングアプリが未婚化にトドメを?」と思うだろう。順を追って説明していく。まず、未婚化の原因としてニュースなどでよくとり挙げられるのは、「女性社会進出」、そして、「経済的問題」の二つだと感じる(主観)。だが、それが未婚化の要因として合理的に考えられたのはひと昔前の話だろう。まず、「女性社会進出」については、「25くらいには結婚して女性専業主婦になって男性生活を支えてもらうもん」、みたいな空気感がなくなって、働いて自立して生活できるようになっとか、そのこともあり女性(だけでなく男性も)が「まだ結婚していないの」みたいなプレッシャーから比較解放された、みたいな話とか、色々包含してると思うけど、「女性社会進出」が日本より進んでいるけど日本より未婚化・出生数がマシな先進国結構ある(e.g. フランスドイツアメリカ)ので、それは言い訳にはならない(日本文化欧米文化に合わせようとしてるのだから不利なのは当然だが)だろうし、僕の世代では女性が働いているのは普通で、むしろ結婚相手となる女性には経済力を求める男性が増えているという話まであるので、僕の世代(Z世代)においてはそれが未婚化の直接的な要因とは考えづらいだろう。あとは「経済的問題」だが、実は、少子化による人材不足も相まって、新卒初任給は上昇傾向にある。「いや、物価が上がってるし実室賃金は下がってるやろ。」って言われると、「せやな。」としか言えないが、男女ともに稼いでる人が多いんだから同棲して家賃折半すれば普通もっといい暮らしができそうな人はたくさんいるように感じる。

ではなぜZ世代結婚しないのか、その最も直接的な要因は、中高生の時から当たり前になったスマホ、そしてSNSであり、最後トドメを刺すのがマッチングアプリ(ここでは、Pairs, With, タップル、Tinderなどの普及しているマッチングアプリを想定)である、というのが僕の考えであり、その未婚化に対する効果は大きく分けて二段階あると考えている。

一つ目は、「結婚しなくても精神的に満足して生きやすくなったこと」。スマホがなかった小さい頃は、朝起きて、飛び起きて、家族挨拶をして身支度をして、外に駆け出さないと楽しいことなんて何もなかったのに、ある時から急に、布団から出なくても楽しいコンテンツいくらでも触れられるようになった。LINEを使えば友達といつでも話すことができるし、Youtubeをひらけば世界のいろんなコンテンツ出会えるし、Twitterを始めれば孤独を紛らわせることができるようになったし、それまででは考えられないような性的コンテンツにさえも、いくらでも簡単アクセスして、性欲を解消できるようになった。それは僕らにとって大きな大きな変化であった。しかも、僕の世代では、働けば男女関係なく穏やかに暮らせるくらいには稼げる人は多くなってきたので、結婚しなくても、友達職場の同僚と、それなりに良好な人間関係を築けていれば、経済的不安や強い孤独感を感じずに、それなりに満足して平穏生活を送ることができるようになったのである。いつの時代も4割は結婚恋愛に興味がなく、積極的なのは三割だけ、という話があったりするらしいが、それが本当だとしたら、その特段積極的でない7割は、それなりに満足して生きることができるのだから、僕も含む彼らにとって結婚恋愛相対的価値の低いものとなっただろうし、むしろ、現状の生活相手に合わせて大きく変え、時には我慢も伴う結婚恋愛は、よりハードルが高いものになったのではないかと思う。実際、結婚しない理由を聞くと、「結婚必要性を感じないから。」とか、「独身の方が自由から。」みたいな根も葉もない理由ほとんどだというし、それが本質だと思われる。便利で快適で、楽しくて夢中になれることが沢山ある生活に慣れすぎたのだ。

二つ目が本題だが、「(主に女性が)マッチングアプリにより結婚相手を比べて選り好みすることができるようになったこと、さらには、その経験無視できない割合女性がすること。」だ。これが、ただでさえ相対的価値が低くなり、ハードルが高まった結婚ハードルさらに上げ、未婚化・少子化を取り返しのつかないレベルにまで引き上げる決定的な一撃を加える、と僕は予想している。マッチングアプリは、特にコロナによる外出自粛期間中、つまりただでさえ30代前半の男性の未婚率がすでに約半数であった2020年以降に急速に広がり、ちょっとググったところによると、今では最大手のPairsではユーザー数2000万人、2番手タップルでも1700人以上であり、それ以外にもたくさんのアプリがあるということだ。2020年時点において、20代から30歳前半の人口は2300万人弱くらい(ここでの「弱」は2300万人に満たないくらい、という意味最近は「弱」に多義性があるらしいので補足。)であることを考えると、今や婚活恋活をしている20代、30代のかなりの割合が一度はマッチングアプリを使ったことがあるのではないかと思われる。そんなマッチングアプリでは、男女に圧倒的な非対称性がある。経験者はよく知っているかもしれないが、マッチングアプリ会員の男女比は大きく偏っており、男性は健気に「いいね」を送り続けてもほとんど報われることはなく、たまにマッチしたらそれをものにするべく頑張るのだが、女性は何もしなくても毎日のように「いいね」が届く。男性である目線からすると、顔写真も載せてない、もしくは他の会員と比べて魅力的とも思えないような女性であっても、100いいね近く軽く稼いでいるのを見て、驚くことにも慣れたことだろう。そういうモテ体験をした女性が、「いいね」を送ったたくさんの男性の中から良さそうな男性を選び(もしくは自分から送り)、実際に何人かと会い、最後に1番良かった人をパートナーに選ぶ、という具合だ。ここで、巷でも言われている通り、実際に選ばれる、「モテ男性」というのは少なく、全体の一割ほどが総取りしているという。つまり、大局的に見ると、悲しいことに多くの女性ほとんどの男性に目もくれないのに対し、一部の「モテ男性」を多くの女性が取り合う、という現象が起こるということだ。(外見に気を使って自分磨きをしている女性が多いのに対し、それほど十分に自分磨きをしている男性が少なく、男性側の怠慢が問題なのではないか、という見方もある。)それ自体はまあ、悲しいが学生生活を思い出せば特段驚くべきことではないが、問題なのはそうしてマッチングアプリで「モテない男性」と、「モテ男性と付き合えなかった女性」、という経験を、全体で無視できない割合の人がすることになる、ということだ。男性モテない経験をすることで奮起できれば良いが、ただでさえ婚活恋活マストではない現代では、自信やモチベーションを決定的に低下させてしま可能性もあるし、何よりもっと問題なのが、女性側の「目が肥える」ことで、よりそういった比較的に魅力的に思えない「モテない男性」によりいっそう目もくれなくなる、ということだ。マッチングアプリで、無視できない割合女性が、何もしないでもアプローチを受け、自分男性を「選べる側」だと思い、「モテ男性」のことを知ってしまえば、それがうまくいこうがいくまいが、ただでさえハードルが高くなっていた結婚恋愛ハードルをより高くし、よりいっそう「モテない男性」と恋愛結婚する理由相対的に感じなくなり、それがさらに「モテない男性」のモチベーションを低下させる、という負のスパイラルを生む。これが、僕の言う「マッチングアプリが下す未婚化・少子化を取り返しのつかないレベルにまで引き上げる決定的な一撃」である

気づきかもしれないが、この説が当たっていたとして、婚姻数を上げるためにおそらく最も効果的かつ生産的な解決策は至ってシンプルで、より多くの男性自分磨きを頑張り、「モテ男性」を増やす、ということだ。男性諸君には厳しいかもしれないが、僕も頑張るので共に頑張ろう。あとはそれ以前に重要なこととして、より多くの人が、「他者に対して寛容になる」ということや、ケネディが「国があなたに何をしてくれるかを問うな。あなたが国に対して何をできるかを問え」、といったが、「自分のために他人が何をしてくれるのか」ではなく、「他人のために自分が何をできるか」という視点を思い出すこと、ではないかと感じる。

長くなったが最後に、僕はこの予測が外れることを願っている。だが、当たっとしても、日本人は反出生主義的には倫理的な道を辿った民族である、とも捉えられるし、共に穏やかに死に堕落していこうじゃないか、という楽観的かつ破滅的な考えもある。でもみんな、できればいい人見つけて結婚しような。

P.S. 婚活のやり方を教えてください。賢い女性が好きで、その才能に魅了されたいです。(理想高、結婚できない典型

  • 長すぎて本文読めてないけどその通りだと思うよ SNSで比較の獣になった人間が数知れないようにマッチングアプリもキリがない上を見れるようにできてる しかも結婚目的でなく(いずれ...

  • つまり、女が下方婚してないだけだよね。

    • 天は女の上に男を作らず 女の下に男を作らず 下方だの上方だの天に背く行為なり

  • マッチングアプリ会員の男女比は大きく偏っており ということは多くの女性はマッチングアプリに登録していないってことにならんか

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