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2023-06-23

マッチングアプリを使ったら同級生が来た話

きっか

はじめてアプリを使った。田舎の片隅で20ちょいの年数を生きてきて、彼氏欲しいな〜って思ったこともあったけど、嫌な思いもしたのであるから興味を持つことをやめた。私の好きなもの推し推しカプとBLで、お金仕事も自信ないし、いずれ適当に死のうと思ってその日その日が過ぎるのを淡々と待っていたから。

些細なきっかけでした。

それはTwitterフォロワーマッチングアプリ男漁り(言い方)をしてるのを上げていたから。

そのとき私は気付いた。(私もマッチングアプリが使える年齢じゃん)と。そう思ったら俄然興味が湧いてきた。話のネタになればなーって思って動いた。

とりあえず顔面登録しなくても使えて、漫画アニメと、もうオタク感満載のプロフィール適当に。

地方都市人口が少ないからか色んな人とマッチングした。歳上、歳下、みんな趣味は似てたけど、タメ口だった。なんならヤリモク(性行為目的)っぽいひともちらほらいて、適当に2、3通やりあったら逃げてた。どうやらアプリを使う人は女性が少ないらしく、蹴ってもそれなりにアポが来た。

登録して2、3日が経ち、歳上歳下問わずに初回でタメ口っていうのがどうも苦手で、そろそろ退会しようかなと思ってた矢先に

はじめまして!」

と来たのが彼だった。

「あっ!敬語!!!!」

恥ずかしながらタメ口の男どもに疲れていた私はすぐにやり取りをした。チョロい

同い年、同じ市内、なんなら読書趣味までそれなりに合った。今まで話した人の中で一番嫌な気持ちにならなかった。

初会編

それは彼も同じだったようで、すぐに「会わないか」と言う話になった。場所県内で一番大きな書店。私は行きたい想いと、知らない男に会うっていう怖さで迷った。アプリ使っておいて何を言うかって話なのだけれど。

正直私は女としてはガタイがいい方で、可愛くもない、美人じゃないし、昔付き合った男には「痩せたら可愛い」と言われたくらいだ。今でも思い出すだけで泣きそうになる程度にはトラウマだ。悪かったなデカくて。

振るいにかけるつもりで「私可愛くないので期待しないでください」って送った。

容姿気にしないので大丈夫です!」

(おもしれえ奴)

私の中で何とかの王子様が笑った。私は覚悟を決めた。

殺されたりしたらやばいから友人に連絡して、次の日までLINEがなかったらという条件付きで警察通報を頼んだ。男の車には乗るなって念を押された。

彼には車で迎えに行こうかって聞かれたが、流石に怖かったので辞退した。

その日の天気と彼の服装はよく覚えてる。春先にしては冷たい雨が降ってて、彼はしま〇らっぽいパーカーを着てた。めっちゃ田舎男の子だった。

本当に、彼には悪いけど中学生男の子だった。

今日はどこから乗ってきたんですか」

「A駅からです」

最初はそんなやり取りからだろうなーって思ったけどつい最寄り駅を答えるなど阿呆をやらかす私。

すると彼

「A駅ってことはB中学でした?」

「どうして?」

「いや、俺もそこなので」

「…………」

マッチングアプリを使ったら同級生が来た

かに田舎からありえないことでは無いが、まさかそんな事あるとは思わなかった。

私の通っていた中学はそれなりのマンモス校で、更に私は2年生から不登校になっていたので、たとえ同じクラスだったとしても知るはずはないのだ。さらに言うと前述した元彼と同じ部活だったという。

同じ出身校という事であっという間に緊張は解けて、そのまま書店を三時間散策した。休憩無しだったので流石に疲れた

そろそろ帰ろうかなと思って切り出そうとしたところ、彼から「お寿司、好きですか?この辺に食べログ1位の美味しいお店があって」と切り出された。

私は迷った。なぜなら私は

寿司が大好きなのだ

そして迷う私に彼が追加する

「俺の奢りで」

気が付いたら友人の忠告も忘れて車に乗ってた。寿司って怖い。食べログ1位のお寿司って行ったことないもん。行きたいじゃん。加えてこの男、

笑顔チワワのように可愛いである

このあと持ち帰られたらどうしようと思った。もう持ち帰られても私が悪いんだけど。

全身しま〇らの男に持ち帰られたらネタになるなとか思いながら寿司食べてた。彼にもしま〇らに悪いな。

異性に会うのにあまりラフだったから私はびっくりしたのだ。

寿司はめちゃくちゃ美味しかった。食べログ1位だった。ちょっといいお店だし、初めてだし、少しは気を使った。食べる方なので。彼は気にせずニコニコ食べてた。チワワスマイル全開だった。

そのあと、心配してたことは起こらなかった。自宅の最寄り駅で下ろしてもらって、次の予定を取り付けた。

後日聞いたら彼は、「そんなこと考えてなかった」そうで、素直な人間代表の私はそうなんだ……と助手席で思ったのだった。

帰宅後、今までは開きたいと思わなかった中学アルバムを開いた。確かにそこには聞かされた名前と同じ名前の彼がチワワスマイルで載っていた。

少しだけ楽しみが増えたなとこの時は思った。

2回目

週を跨いで二回目。彼の車で水族館に行くことになった。(2度目にして既に彼に対する警戒感は多少薄れていた。)

致命的なまでに人の顔を覚えるのが苦手な私は、1週間で先週会った男の顔を完全に忘れていた。

覚えているのは名前と、強めの車の芳香剤匂い。あとはやたら笑顔が可愛かったという印象だけだった。

以前降ろしてもらった駅で拾ってもらうことになっていたのだが、はて、車も覚えてないのだ。どうしようかと思っていた。

でも、そんなのは杞憂に終わった。

向こうが車から降りてきたからだ。

顔覚えの悪い私でも、こちらに向かって歩いてくる男が居れば流石にわかった。

当日の彼はジャケットを着ていた。

彼を見た時に私は息が止まった。

大変だ。オフィスカジュアルだ。

そしてこの私、三度の飯と同じくらいに男のジャケットが好きなオタクだ。推しカプがデートジャケット着てたら丸一日元気で居られるくらいには好きだ。

ジャケットを着た男がいるシチュエーションが好きなのだ

目の前にはオフィスカジュアルな男がいる。例えるなら相棒神戸であるしかも前回はしま〇らチワワだった訳で……。そんなギャップテンションが上がらないわけがなかった。

悲しいくらいに私はオタクだった……。

一方の私、前回の彼に合わせてラフ目にしてきたため、互いに格好が入れ替わった形になった。格好を例えるなら相棒亀山薫みたいな格好をしていた。

さて、無事顔を忘れた私だったが、話してるうちに(あー、こんな感じだったな。この人だ)と思い出し始めた。向こうは覚えてたのにこっちは覚えてないとは失礼な話だが、体質だからしょうがないのだ。

なお、このチワワの顔をふんわり思い浮かべられるようになるのは付き合って3ヶ月経つくらいになってからだ。車の顔の方が先に覚えられた。ごめんチワワ

2度目は正直あまり覚えていない。泳いでた魚は美味しそうだとか、アジは沖と港とで種類が違うとか、港でブリも釣れるとか、話していた気がする。

「今度天気が良ければ釣りに行きますか」って言われた気がする。

それは付き合って早々に実現するのだけれど、そこで私は魚を素手で掴んだまま帰宅するのだった。

彼は何故か感動していた。

話が脱線した。あらかた水族館を見終わって、天気がいいから浜に行こうって言われた。

めちゃくちゃ天気が良かった。カップルが山のようにいた。あまりにも居すぎて見てるこっちが恥ずかしくなった。

それは向こうも同じだったようで、

「なんかこう、(カップル距離が)近いですね」

「わかる」

互いに免疫がなかったのである

夕食は誘われたけど、今回は辞退した。理由は忘れたけど。

つぎはご飯を食べようって話になって、知人の店に行きましょうって私が提案した。

拾ってくれた場所で下ろしてもらって、「また来週」って挨拶した。

久しぶりに楽しかったので、友人に洗いざらい報告して、その夜は珍しくよく眠れたと思う。

3回目

ここまででかかった日数は僅か二週間。

二週間で知らないチワワ男と毎日やり取りする仲になったのだ。面白いである

ここまでくると次のイベントはそう

告白

永遠に私と縁がなかったイベントである。なんなら告白された事はなく、男を見る目もない。可愛くないと家族にも男にも言われ続けて自尊心なんてほとんど残っていない二十代前半で既に出涸らしのような女である

告白されたら死ぬな〜と思いながら電車に乗った。

この頃の私の検索履歴は「付き合ってない 3回目 デート」でいっぱいだった。頭の中はなんでだらけだった。

今回は飲む予定だったので互いに最寄り駅で合流する手筈になっていた。

当たり前のようにチワワの顔は忘れていた。

「夜はまだ寒いから暖かい格好してきてくださいねー」

出かける前にそう彼から連絡が来ていた。

田舎から駅で降りる人達なんてほとんど学生で、だからなんとなく彼を見つけられた。

その日の彼は残念ながらしま〇らboyに戻っていた。

その時私はなんとなく気付いた。

暖かい格好=パーカーか!!

話が逸れるが、私の実弟ものすごくオシャレが好きな男だ。私なんかよりずっと靴を持ってる。

そんな訳で、イマドキの若い男ってここぞと言う時にはめちゃくちゃかっこいい服着てくるイメージしかなくて、色んな意味でびっくりした。

おすそ分けのタケノコを持っていた私が言えることではないけれど。

初めての異性とのサシ飲みは、本当に友人達のものと代わり映えもなく、互いに「酒は飲めるがあまり飲む必要はない」というスタンス通りに2、3杯飲んで終わった。

「少し散歩してから帰りませんか」

電車時間まで40分くらい。最後に頼んだ梅酒ロックが効いてふわふわになりながら、「おさんぽすき!!(本当に好き)」とハイテンションで了承した。

散歩と言っても田舎の9時は真っ暗で、ぽつぽつとある街頭の下を酔っ払いテンション学生時代の話なんかしながら歩いていく。気がつけば電車時間まで20分を切ってて、次の電車がいつあるのか把握していない私は心配になった。

「そろそろ戻らないと電車間に合いませんよ」

「あ、公園がある!もう少しだけいいですか」

そう言ってブランコに駆け寄るチワワ

(なんで草ボーボーの公園に入っちゃうかな〜)と当時は思ったのだけど、今思えばタイミングを探してたのかなと思ってる。

でも草ボーボーの春先の公園しんどいです。足が痒かった。

結局ブランコに座ったまま雑談突入。もう電車は間に合わない時間帯だった。

「俺、もうこのアプリ辞めようと思ってて。」

「私もそろっと辞める予定です。変な人と沢山会ったし!勉強になりました」

これは本当。彼と会って最後は辞めるつもりだったし、身の丈に合わないと思ったから。

彼はそのまま隣でスマホを開いて退会処理を始めた。

気が早いな〜と思って見てたら

「あの、アプリ消したし、よかったら付き合って貰えませんか」

はい

なんか流れるように告白されて、私も脳みそ認識する前に反射で答えてた。ついでにどうしたらいいかからなくて握手した。

電車踏切の音が聞こえて、乗る予定だった電車が華麗に通り過ぎてった。

なんかもっとこう、告白って、少女漫画みたいなキラキラシチュエーションで、もっとゆっくり時間が過ぎるのを感じるものだと思ってた。

現実は草ボーボーの公園だし、足は寒いし、目の前にいたのは嬉しそうなしま〇らチワワだった。

帰宅後、LI〇Eで「これからよろしくお願いします」と送ったら「うん!こちらこそよろしく😁」ときて、2週間の間全く外れなかったチャットツールでの敬語が外れたので、距離感の詰め方に驚きながらもようやく彼氏が出来たことを実感した。

そんな子と半年も付き合ってる。

 
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