はてなキーワード: スリーマイル島原発とは
(http://anond.hatelabo.jp/20110409164209からの続き)
今回の未曾有の原子力災害に関しては、政府の災害対策本部の指揮・命令のもと、国を挙げてその対策に当たっているところであり、当学会の気象学・大気科学の関係者が不確実性を伴う情報を提供、あるいは不用意に一般に伝わりかねない手段で交換することは、徒に国の防災対策に関する情報等を混乱させることになりかねません。放射線の影響予測については、国の原子力防災対策の中で、文部科学省等が信頼できる予測システムを整備しており、その予測に基づいて適切な防災情報が提供されることになっています。防災対策の基本は、信頼できる単一の情報を提供し、その情報に基づいて行動することです。会員の皆様はこの点を念頭において適切に対応されるようにお願いしたいと思います。
不確実な情報で混乱させないように注意されたし、という日本気象学会から会員への呼び掛け。自粛要請ではない。
火山防災に携わってきた小山真人静岡大教授は、かつて雲仙岳の噴火で火砕流の危険を伝えることに失敗した経験をふまえ、「通知は『パニック神話』に侵されている。住民は複数の情報を得て、初めて安心したり、避難行動をしたりする。トップが情報統制を命じるのは、学会の自殺宣言に等しい」と話している。
マスメディアや一部の研究者、ネットユーザーはこれに猛反発した。
また、気象学会の方針とは関係ないのだが、時を同じくして別の事実が発覚した。IAEAの要請により気象庁が放射性物質の拡散を連日予測していたが、国内には公表していなかったというもの。マスメディアなどはやはりこれを徹底非難した。
日本政府が公開しないことについて内外の専門家からは批判が上がっており、政府の原発事故に関する情報開示の在り方が改めて問われている。
被ばく医療に詳しい長崎大学の長瀧重信名誉教授は「国は、どれぐらいの被ばくが予想され、どれぐらいの危険があるかをもっと公表し、住民と共に避難などの対策を決めるべきだ」と話すなど、今回のような予測データの公表の在り方を巡ってはさまざまな意見があり、今後検討の対象になりそうです。
本当にめちゃくちゃな話です。これは国民に対する裏切りであり、情報隠蔽と言われても仕方ないと思います。気象庁によれば「要望があれば公表したい」とのことなので、はやく公開して欲しいと思います。ていうか要望するに決まってますやん。
では、何故政府はこれを公表しなかったのか。
つまり、この予測は極めて精度の低く、しかも観測によって裏付けられていない机上の予測。原発から数千kmとか数万km離れた外国では参考になるかも知れないが、原発から1000km圏内の国内ではあまり参考にならないので公表しなかった、という。これは納得できる説明だと思われる。
例えば、東大教授の早野龍五はその1週間以上も前からprediction(予報)よりもpostdiction(検証)すべきだと主張している。
どこの誰だか分からないが、高エネルギー加速器物理が専門というbunogetoも同意見。
枝野官房長官は4日午後の記者会見で、「少なくとも隠す必要のない情報。誤解を生まない説明を付けて、公表すべきだった」と述べた。
政府は公表しなかったことを反省した、というだけ。枝野の説明とか、予測はあくまで予測なのだからあまり信用すべきでないという研究者の声も全然紹介されていない。
つまり、本来はさほど重要でない、というよりも誤解を招き易い情報を公表しなかっただけなのに「隠蔽」と批判され、何故公表しなかったのかをちゃんと説明し、それを支持する研究者もいるのに報道されない。こんなバカな話があるか。
というわけで、読売新聞の説明は不十分、というよりもミスリーディングで、これのために誤解が広まったようです。さて、読売新聞の記者はこれをどういうつもりで書いたのか。本当に意味を知らなかったのか、あるいはわざとやったのか。単に説明不足では済まないように思いますが、どうでしょうか。
日本の研究機関のシミュレーションがなかなか発表されないのは問題なのですが、だからといって外国のシミュレーションを見て「なんの目的で、どのように行なったか」を調べもせずに「大変だ大変だ」と大騒ぎするのも、まずいでしょう。それは結局「デマ」以外のなにものでもありません。これをなんの注釈もなく紹介したマスコミや「大変だ」と大騒ぎしたジャーナリストなどは、情報を読む能力がないだけでなく、「デマの発生源」にもなっているわけですから、反省してもらいたいものです。訂正なり反省なりがない限り、僕ならその人たちの言うことを今後信じませんね。
次の産経の記事も大同小異。
ドイツや英国、フランス、オーストリアなどの気象当局や原子力当局が、福島第1原発から放出された放射性物質の拡散状況を独自に予測、ホームページ上で公開し、注目を集めている。こうした背景には、1986年に起きた旧ソ連のチェルノブイリ原発事故で放射性物質が欧州に飛来し、飲料水や野菜などが汚染されたことがある。国際原子力機関(IAEA)からの要請を受け、日本の気象庁も放射性物質の拡散予測を行っているが「仮定の数値のため、予測精度が低い」として5日まで非公表にしてきたのとは対照的。インターネット上では「日本政府は頼りにできない。貴重な情報源だ」などと評価する声が多い。
読売と異なり、産経では日本政府が気象庁の予測を公開しなかった理由も紹介している。ただし、専門家の意見は紹介せず、「日本政府は頼りにできない」というネットユーザーの声を紹介。ド素人のネットユーザーからの評価なんてどうでもいいだろ、バカ。
政府や東電がより多くの情報を公表提供するだけならば、さほど問題はない。しかし、それを国民に周知させるマスメディアは、周知させるべき情報を精選しなければならない。
このようなときに、「学問」の本質が判っている学者はどういうふうに発言するでしょうか。「学問的に、わたくしの研究では100ミリシーベルトぐらいまでは大丈夫だと思います。しかし一部に、100ミリシーベルトを浴びると1000人の内に5人から10人の人がガン(過剰発がん)になるという結果もあります。もともと学問は、真実が判っているわけではないので、皆さんはできるだけ放射線に被曝しないように気をつけてください。学者は新しい知見があれば論文を出すことができますが、皆さんの健康は損なわれると元に戻ることはできません。従って、国際放射線防護委員会で決められたように安全という意味では、「1年間に1ミリシーベルト」を目安に生活設計をされた方がよいと思います。お役所も市民を守るのが役目ですから、法律に基づいた値で市民の健康を守ってください。」今、福島市で行われていること、学問的に言えば「人体実験」ということができます。つまり学問は「100ミリシーベルトだから大丈夫だ」ということを断定的にいう事ができないのですから、学者が自分の判断で勝手に被曝量を決めるということは、学問の本質に反することなのです。
通説では人体に危険がないとされている100ミリシーベルとの被曝でも、人体に有害だとする研究が一部にあるという。しかしだからと言って、
従って、国際放射線防護委員会で決められたように安全という意味では、「1年間に1ミリシーベルト」を目安に生活設計をされた方がよいと思います。
などと忠告することは完全に間違っている。100ミリシーベルとの被曝ならば人体に危険がないと証明することは、悪魔の証明に近い。考慮する必要のない可能性まで考慮していたら、人は何も出来なくなってしまう。
例えば、被災地で「外国人窃盗団」「雨当たれば被曝」などのデマが広がっているという。
では、これがデマだと証明することが出来るだろうか。「外国人窃盗団が横行しているが、警察が把握できていないだけかも知れない」「雨に当たれば被曝するが、現在の科学が観測できていないだけかも知れない」という可能性は決して皆無でない。しかしだからと言って、そのような皆無に近い可能性を警察や現代科学よりも信用するのは完全に間違っている。
これは原発事故についても同様だ。福島の原発が暴走して日本とブラジルを一つの穴で繋いでしまう可能性も、月が明日地球に落下する可能性と同じく決して皆無でない。しかしそのような考慮すべきでない可能性を、たとえ「可能性」としてでも発信したならば、異常な状況にあって判断力の低下している人たちは少なからず混乱するだろう。
いや、彼らが言っているのは可能性の話なので。原発の事故に関しては、必ず最悪の事態を想定して書いて、その上で現状はこうですよ、というのは正しい報道の仕方だと思います。日本のように「安心です、安全です。逃げなくていいです」って新聞やテレビが言っちゃ駄目ですよね。海外メディアの取り上げ方は、全然問題ないと思います。不安を煽るのではなくて「ここまでになる可能性はあります。ただし、現状はこういう状態なので、今は安心してください」とやればいいわけですから。
これも大いなる幻想によるものだ。毎日様々な事象について「これこれこういう可能性もあるが、しかしこれこれこういう理由により現在は安全だ」と報道しても、人々が正しく理解できるとは考え難い。
プレゼン用語に「take home message」というものがある。「これだけは覚えて帰って欲しい要点」の意味だ。そして結局のところ、国民が覚えて帰りたがっているのは、現在自分は安全かどうかということでしかない。その要点のみを強調し、必要でない情報を強調しないことは決して間違いでない。
【ベルリン=弓削雅人】国連の放射線影響科学委員会(事務局・ウィーン)のワイス委員長は6日、福島第1原発事故について「チェルノブイリ原発事故(1986年)と、米スリーマイル島原発事故(79年)の中間」との見解を示した。事故の国際評価では「レベル6(大事故)」に当たる。AP通信が伝えた。
ワイス委員長は「(第1原発事故は)チェルノブイリほど大規模ではないが、スリーマイルより深刻であることは確かだ」と述べた。チェルノブイリは「レベル7(深刻な事故)」と最悪の評価を受けている。
一方、第1原発が太平洋に面しているため、「放射性物質の大部分は希釈され、人体への影響は少ないだろう」と説明。事故の初期対応については「チェルノブイリの時とは大きく異なる」と指摘し、「妥当」と判断した。
マスコミは「福島は危険」「放射線は身体に悪影響」しか報道されていない節があります。
後付で「このレベルでは身体に害はありません」と言うだけ。パニックを抑えるなら言う順序が逆では?「放射線の数値が通常より若干高い値を示していますが、体に影響のある数値ではありません。各地の数値は~」と言うのが報道の仕事ではないのでしょうか?
「ただちに健康に影響を与えるものではない」-。野菜や飲料水などから基準(規制)値を超える放射性物質(放射能)が検出されたとき、枝野幸男官房長官が繰り返し使った言葉だ。この言葉に「ただちに影響がなくても、何年か後に影響が出るんだろう」と思った人も多いのではないか。実際は現在までに検出された値では将来的にも健康への影響はなく、「ただちに」という言葉を使ったことに疑問を投げかける専門家も少なくない。
政府は「ただちに影響ない」でなく「影響ない」と断言すべきだ、という他に類を見ない批判だ。しかし、もし「影響ない」と断言すれば、政府は将来における危険の可能性を隠蔽し偽りの安全を演出している、と批判されることになるだろう。問題は政府が「ただちに」を使うかどうかでなく、マスメディアがそれを「安全だ」と報道するかどうかでしかない。
今回の原発事故では、原発事故自体の復旧にかかる費用も大きいが、それ以上に、風評被害への補償にかかる費用も大きい。
風評被害が大きくなった原因の1つは、福島第一原発に「福島」という、県の名前が付いていたからだろう。
「福島」という名前が原発についていることが、同じ福島県でも問題のない作物に対する風評被害を拡大する一因になった。
これは、原発の名前には、なるべく狭い地域・人口の少ない地域の名前をつけるべきだ、という教訓の一つだろう。スリーマイル島原発事故だって、「スリーマイル島ってどこ?」という人が大半のはず。これがペンシルバニア州なんとか原発だったら、ペンシルベニア全体に風評被害が及んでいたはずだ。